JAF(日本自動車連盟)の年会費に消費税はかかる?インボイスは?
車のトラブルに対し、24時間365日、全国どこでもロードサービスを提供しているJAF(日本自動車連盟)は、会員制をとっています。
ところで、JAFの入会金も年会費も、一部を除いて消費税が不課税(対象外)であることをご存知でしょうか。JAFはロードサービスを提供しているので、「役務の提供」とみなされ消費税がかかりそうな気がしますが、そうではないのです。
JAFの年会費と消費税の関係について解説します。
目次
1.JAFの入会金・年会費に消費税はかからない
JAFの会員は、個人会員、家族会員、法人会員の3種類があります。
法人会員の場合、入会金2,000円、法人特定会費は1法人につき年2,000円、車両特定会費は1台につき年2,000円となっています。
JAFは「入会金、年会費ともに非課税」と説明していますが、厳密には不課税です。
(1)法人特定会費に含まれる機関誌代は課税
JAFの「よくある質問」ページでは、次のように記載されています。
JAFの会費に消費税はかかりますか?
<回答>
JAFの入会金・会費は「非課税」です。
ただし、個人会員の会費および法人会員の法人特定会費には、機関誌代(440円+消費税10%の44円=484円/年)が含まれています。
つまり、「会費は非課税」と記載してはありますが、実際には、機関誌代(440円+消費税44円=合計484円)は課税ということです。
やや不適切な案内ではありますが、一部は課税取引ということになります。
(2)JAFの入会金・年会費の仕訳
JAFの入会金・年会費は基本的には不課税で、機関誌代のみ課税で仕訳をします。
<初年度、入会金と会費を支払った場合>
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
諸会費(対象外) | 5,516円 | 現金 | 6,000円 |
諸会費(課税10%) | 440円 | ||
仮払消費税等 | 44円 |
(3)JAFのインボイス対応
課税仕入れに該当する部分は、仕入税額控除を適用するために、インボイスが必要です。
JAFは適格請求書発行事業者として登録していますので、JAFからインボイスの交付を受けることができます。
登録番号 | T8010405009479 |
---|---|
名称 | 一般社団法人日本自動車連盟 |
住所 | 東京都港区芝大門1丁目1番30号 |
2.JAFの会費が不課税になる根拠
消費税は「対価を得て行う役務の提供」にかかります。
JAFの年会費などが、消費税がかからない不課税になっているのは、JAFのサービスが「対価を得て行う役務の提供」に該当しないからです。
(1)会費と役務に対価関係がない
国税庁は消費税法基本通達5-5-3で、団体が会員から受け取る会費と、構成員に提供する役務の提供の間に対価関係がない場合、「対価があった」とはみなさないとしています。
そして、会費を支払っている企業などがその支払いを課税仕入れにしていないことを認めています。
同業者団体、組合等がその構成員から受ける会費、組合費等については、当該同業者団体、組合等がその構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、その判定が困難なものについて、継続して、同業者団体、組合等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その会費等を支払う事業者側がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。
(2)その都度料金を支払っているわけではないから
JAFが会員にロードサービスを提供しても、会員はその都度料金を支払うわけではありません。会員は年会費を払えば、何回でもロードサービスを受けることができます。
このような契約内容の場合、ロードサービスにという役務に対して対価を支払ったとみなすことができないのです。
したがってJAFの入会金も年会費も不課税となります。
ちなみに非課税とは、本来は課税対象でありながら、「社会政策的配慮」と「課税になじまない」の2つの理由により課税しないことに決めた取引のことです。不課税の取引は、そもそも課税対象にならない取引のことです。
(3)追加のロードサービス費用は課税
JAFのロードサービスは基本的には無料の内容が多いですが、すべて無料ではありません。無料の範囲を超えた場合は有料になります。
たとえば、昼間、一般道路(駐車場・自宅を含む)での故障車けん引は、会員は15kmまで無料ですが、それを超えると、1km毎に730円の費用が発生します。この費用は、明確にロードサービスに対する対価ですから、10%課税取引です。
まとめ
JAFは入会金も年会費も不課税ですが機関誌代だけ課税されます。JAFはインボイス対応している事業者です。
JAFのホームページでは「非課税」とありますが、国税庁の見解では不課税となります(2019年7月現在)。