現金給付と消費税減税の違い、誰がいくらお得?メリット・デメリット
各政党が表明している、現金給付または減税(消費税・所得税)について、その違い、メリット・デメリット、誰がいくらお得に…[続きを読む]
2025年6月19日、自民党は国民1人当たり2万円、住民税非課税世帯と子供には2万円上乗せして支給することを、参院選の公約に明記しました。
国民一律は、2020年に国民一律10万円の給付金が支給されて以来のことです。
わかっている範囲で最新情報をお伝えしていきます。
目次
国民全員一律で所得制限はない予定です。
なぜなら、政府の関係者は「上振れした税収を国民に還元する」と発言しており、もし、そうであれば、税金を納税した国民全員が対象になると考えられるからです。
まだ発表はありませんが、今年のある時点で、住民基本台帳に記録されている人が対象になると考えられます。
※2020年の特別定額給付金(10万円)では、2020年(令和2年)4月27日に、住民基本台帳に記録されている人が対象になりました。
2025年6月19日に発表された自民党の参院選公約には、石破総理が事前に会見で説明した通り、国民1人当たり現金2万円、住民税非課税世帯と子供は1人当たり4万円と明記されています。
子供というのは、民法では18歳未満ですが、児童手当などと同様に、18歳になった年度の3月31日までの子供が、対象になると考えられます。つまり、高校3年生までが対象です。
世帯別に見てみると、独身の人は2万円、子供のいない夫婦は合計4万円、夫婦と子供2人の4人家族は12万円、住民税非課税世帯の夫婦は8万円となります。
マイナポイントで給付するという案も浮上していました。
マイナンバーカードを持っている人はマイナポイントで支給し、持っていない人には現金で支給するという案のようです。
(個人的には、現金が欲しいために、マイナンバーカードをあえて返納する人が増えそうな気がしますが・・・)
今回、参院選公約に盛り込むように指示しただけであって、まだ、支給すると決定されたわけではありません。
7月末に参院選があり、その後、秋ごろに予算案が国会で成立して、年内の支給となると思われます。
参議院の任期満了は7月28日ですので、その1週間前の、7月20日に参院選が行われる予定です。
ちなみに、7月20日は、3日間の連休の中日です。連休の中日に投開票を実施するのは、国政の選挙では、1952年以来、73年ぶりの実施となるようです。
あと、給付金は、自民党が公約に盛り込むだけですので、仮に、参院選で自民党が惨敗すれば、その後の国会での審議が難しくなり、給付金の案が成立しない可能性もあります。
公約に盛り込むということは、給付金がほしいなら、自民党と公明党に投票してください、とも読み取れるので、選挙での買収ではないかという、批判的な意見もあるようです。
まだ発表はありませんが、2020年の給付金と同様に、世帯主が家族分をまとめて申請し、指定された銀行口座に振り込まれることになると予想されます。
住民税非課税世帯向けには、過去何度か給付金を支給していますので、申請をしなくても、委託事業者を経由して、迅速に振り込みできるシステムが、すでに用意されています。おそらく、支給が決定されれば、すぐに振り込まれることになるでしょう。
子供についても、毎月の児童手当の支給で、把握していますので、迅速な振り込みが可能です。ただ、今回は、親も含めて全員が対象ですので、その仕組みは利用されないかもしれません。
マイナンバーカードを持っている人は、マイナポータルからオンラインで申請が可能になるでしょう。
または、郵送での申請も設けられるはずです。
公金受取口座を指定している人は、特に他の口座を指定しない限り、その口座に振り込まれることになるでしょう。
今回の給付金は、政府・与党が2025年4月に発表したが、国民からの批判を受けて見送り、再度、復活させたものになります。その経緯に簡単に触れておきます。
政府・与党は、2025年4月9日、突然、国民全員に一律5万円の給付金を支給する方向であることを発表しました。
しかしながら、4月11日、林官房長官は、新年度予算案が成立したばかりだとして、「新たな給付金や減税を検討している事実はない」と言及しました。
一方で、4月13日、森山裕幹事長は、物価高を受けた経済対策を講じるため、2025年度補正予算案の編成を明言しました。与党内でも、いろいろな意見があり、方向性が定まっていなかったようです。
結局、4月17日、政府は、国民一律の現金給付案を断念したとの報道がありました。国民からの批判が多いというのが理由のようです。
野党は、消費税の減税を打ち出していましたが、与党は、財源がないことを理由に、頑なに拒んできました。
しかし、7月の参院選を前に、何も対策をしないのでは不安があるということで、与党内でも、給付金の再検討を求める声が強まっていました。
2025年6月6日には、公明党が、生活応援給付として、税収の増加分を国民に還元することを、参院選の公約として明記しました。
これらの経緯を踏まえて、今回、与党として、給付金を再検討することになりました。
そして、6月13日、石破総理大臣は、国民1人当たり2万円、住民税非課税世帯と子供には2万円上乗せして支給することを、参院選の公約に明記するように自民党に指示しました。
6月19日、自民党は参院選公約を発表しましたが、ここに、総理が指示した通りの金額で給付金が明記されました。公明党公約にも、自民党と金額を合わせた金額が追記される形となっています。
2025年6月19日、自民党の参院選公約が決定しました。
「日本を動かす 暮らしを豊かに」とキャッチコピーがつけられた公約の中には、6月13日に石破総理が会見で発表していた通り、国民一律で支給する給付金が、政策として明記されています。
支給金額にも変更はなく、基本の2万円を国民全員に支給し、上乗せの2万円を、住民税非課税世帯の大人、そしてすべての世帯の子供に支給する、つまり、子供と、住民税非課税世帯の大人には1人4万円ずつ、課税世帯の大人には1人2万円ずつの現金給付、ということになります。
これを受け、公明党の公約に記載されていた生活応援給付についても、自民党と足並みをそろえ、同じ金額が併記されるようになりました。
今後の焦点は、選挙後の迅速な支給に向けて、支給方法や支給時期についての協議が進められることになります。
また参院選後は、給付金の支給には3兆半ばの費用が掛かるため、この予算を通すために野党との政策協議等が進められるでしょう。
給付金をもらえるのは、嬉しいと思いますが、気になるのは財源ではないでしょうか?
なぜなら、減税や国民支援の話題になると、政府はいつも「財源がない」と言っており、実行を渋っているからです。
たとえば、2024年11月に国民民主党が、「178万円の壁」として、所得税と住民税の基礎控除額をそれぞれ75万円アップし、大幅な減税をする提案をしましたが、政府・与党は、7.6兆円の減収になるとして猛反発しました。
その代わりに、「160万円の壁」として、低所得者のみ所得税の基礎控除額を大幅に引き上げる案を示し、2025年3月4日に衆議院で可決されました。これによる減収の見込額は6,210億円であり、大幅に抑えられています。
【衆議院】所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案(自民・公明案)
2020年の国民一律で10万円の給付金を支給した際の事業費総額は12兆8802億円(うち、諸費用は約1458億円)でした。
仮に、今回、国民1人当たり2万円、住民税非課税世帯と子供には2万円上乗せして支給となると、約3.2兆円、事業費を含めると約3.3兆円が必要になると想定されます。
与党は「上振れした税収を国民に還元する」としています。
6月13日の読売新聞の報道によると、2024年度の国の税収は、5年連続で、過去最高を更新する見通しとなりました。2023年度の税収は2.5兆円の上振れとなりましたが、それをさらに上回る上振れが予測されます。
結果がわかるのは7月ですが、すでに、3.2兆円以上の上振れが確実であることが判明したので、石破総理大臣は、給付金を公約に盛り込むことを、正式に発表したのではないかと思われます。
下図は、1990年度と2024年度の国の税収の比較ですが、2019年10月に消費税が10%に増税されてから、大きく税収が増えました。2024年度は定額減税により、所得税が減り、もともと69.6兆円の予定でしたが、3.8兆円増えて、73.4兆円になりました。
実際、財務省の「一般会計税収の推移」のグラフを見ると、2025年はさらに税収が増える見込みです。定額減税がないことで、所得税が3兆円程度増えるほか、インフレで消費税がさらに増えて、税収は77.8兆円の予想です。
2020年と比較すると、17兆円も税収がアップしています。割合でみると、約30%アップ、年間では約6%アップです。インフレ率は3%程度ですから、インフレよりも遥かに大きな税収アップとなっています。
この税収の増加分の一部を国民に還元するということは、理にかなっていると考えられます。
2022年以降、海外のインフレの影響を受けて、国内でも物価が上昇しています。2024年の消費者物価指数の上昇率(全体)は2.7%ですが、生鮮食品は7.0%も上昇しており、国民の負担が大きく増加しています。
【引用】総務省統計局:消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)
加えて、2024年には、主食であるコメ価格の高騰が発生、2025年4月には、米トランプ政権が関税措置を発表し、今後の経済は不透明さを増しています。
政府は、これらを「国難」と位置づけ、経済対策の一環として、給付金を支給する検討をしているようです。
ただ、ここまでは、あくまでも建前的な話です。
どちらかというと、2025年7月20日(予定)に行われる参院選の選挙対策としての位置づけが大きいでしょう。
そもそも、国民の生活が苦しくなったのは、2020年のコロナ禍以降で、そこからずっと続いています。その間にやろうと思えばできたはずです。このタイミングで突然行う理由は、選挙対策と捉えられても致し方ないでしょう。
同様の内容をYouTube動画でも、さらに多くの図を使って解説していますので、ご覧ください。