老後の年金はいくらもらえる?計算方法と平均受給額
老後の年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)はいくらもらえるのか? 具体的な金額や、計算方法、平均受給額をわかりやすく解…[続きを読む]

民間の試算では、2026年度(令和8年度)の公的年金が、前年度より、基礎年金は1.9%、厚生年金は2.1%、引き上げられる予定です。
まだ正式決定ではありませんが、国民年金、厚生年金などが具体的にいくら増額されるのか、予測で詳しく紹介します。
目次
2026年度(令和8年度)の国民年金(老齢基礎年金)の金額の予測は、月額70,625円(年額847,500円)です。前年度からの増額金額は、月額1,317円(年額15,800円)です(2025年度より、約1.9%増額)。
※1966年(昭和31年)4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金は、予測で、月額70,416円(年額845,400円)です。前年度からの増額金額は、月額1,317円(年額15,700円)です。
| 2025年度 (令和7年度) |
2026年度予測 (令和8年度) |
増額分 | |
|---|---|---|---|
| 国民年金 (老齢基礎年金) |
月額:69,308円 年額:831,700円 |
月額:70,625円 年額:847,500円 |
月額:+1,317円 年額:+15,800円 |
2026年度(令和8年度)の厚生年金(老齢厚生年金)の標準的な金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む金額)は、月額237,396(年額約285万円)です。前年度からの増額金額は、月額4,612円(年額55,330円)です(2025年度より、約2.0%増額)。
厚生年金の金額は人によって違いますが、厚生労働省は、以下のような夫婦家庭をモデルにして発表しています。
夫婦2人分の老齢基礎年金を差し引いて、厚生年金だけの金額で見ると、月額96,146円(年額約115万円)です。前年度からの増額金額は、月額1,978円(年額23,730円)です。(2025年度より、約2.1%増額)
| 2025年度 (令和7年度) |
2026年度予測 (令和8年度) |
増額分 | |
|---|---|---|---|
| 厚生年金 (夫婦2人分の 老齢基礎年金を含む) |
月額:232,784円 年額:2,793,408円 |
月額:237,396円 年額:2,848,752円 |
月額:+4,612円 年額:+55,330円 |
| 厚生年金のみ | 月額:94,168円 年額:1,130,016円 |
月額:96,146円 年額:1,153,746円 |
月額:+1,978円 年額:+23,730円 |
公的年金(国民年金・厚生年金)の金額は年度単位で決まっています。4月~3月までが一つの年度です。
2026年度とは、2026年4月から2027年3月までのことをいいます。
つまり、2026年1月分から3月分までは2025年度の金額、4月分から2026年度の増額された金額となります。
年金が振り込まれるのは偶数月の15日であり、前月と前々月の分が振り込まれます。
となりますので、
具体的に増額された公的年金が振り込まれるのは、例年は、6月15日からです。
2026年6月15日は月曜日ですので、日付の調整はなく、2025年6月15日(金)となります。
「基礎年金は1.9%、厚生年金は2.1%増額」の割合は、どのようにして決まるのか、簡単に説明します。
年金の支給額は、物価と賃金の上昇・下落に合わせて決まります。
いくつかのパターンがありますが、物価と賃金の両方が上昇し、かつ、物価上昇率>賃金上昇率の場合(下図の⑥)には、賃金上昇率に合わせて改定します。

具体的には、消費者物価指数(CPI)と、名目賃金変動率(※)から計算します。
※名目賃金変動率とは、2~4年度前(直近3年度平均)の実質賃金変動率に、前年の消費者物価指数(CPI)の変動率を足したものです。
2025年度の消費者物価指数(CPI)の予想は、3%前後(※)となっており、2025年度の名目賃金変動率の予想は2.2%であるため、「物価上昇率>賃金上昇率」となり、名目賃金変動率2.2%が、年金の増額率になります。
※2024年11月~2025年10月の1年間の消費者物価指数(CPI)平均は、約3.3%です。
ここで、「マクロ経済スライド」により、年金額を毎年少しずつ減額します。
やや概念が難しいのですが、非常に簡単に説明すると、賃金や物価が上昇しても、年金の上昇を抑える仕組みです。現役世代の人口が減少していく中で、将来の年金支給を維持するために、現役世代に対する所得代替率を少しずつ減らしていきます。
「年金減額制度」といったほうが直感的かもしれません。
マクロ経済スライドによる減額率は、2026年は、基礎年金が-0.3%、厚生年金が-0.1%となる予測です。
賃金上昇率2.2%から、この減額率を、引きます。


2025年度は、基礎年金と厚生年金の増額率は、どちらも1.9%と同じでした。
ところが、2026年度は、基礎年金は1.9%、厚生年金は2.1%と、厚生年金の増額率のほうが、基礎年金の増額率よりも高くなる予定です。その理由を簡単に説明します。
少子高齢化に伴って、将来の年金財政は厳しくなることが予測されています。
そこで、過去30年間と同じ経済状況が続いた場合を想定すると、2024年から2057年にかけて、マクロ経済スライド(年金減額制度)により、基礎年金を3割減額する予定となっています。
具体的には、2024年時点で、基礎年金の所得代替率(現役男性の平均的な手取り収入に対する割合)は36.2%ですが、これを、2057年にかけて25.5%まで減額する予定です。
一方、厚生年金は、比較的、財政が安定しているため、今後約30年かけても、0.1%程度の減額ですみます。

年金受給者の中で、老齢基礎年金のみ受給している割合は約2割ですが、老齢基礎年金の月額は約7万円であり、現時点でも、とても生活できる金額ではありません。
さらに、就職氷河期世代が65歳に達したとき、会社員として厚生年金に加入していた期間が短いため、たとえ、厚生年金をもらったとしても、生活に必要な十分な年金をもらえないことが、大きな課題となっています。
そこで、大きな話題となりましたが、2025年6月に、年金制度改革法案に、厚生年金の積立金を活用して基礎年金を底上げする案が盛り込まれました。
具体的には、2057年時点で、基礎年金の所得代替率25.5%であったところを、2037年までに33.2%まで減額したあと、その後は減額せず固定します。
一方、厚生年金も2037年までに22.9%まで減額したあと、固定します。

図で直感的に説明すると、底上げ前は、基礎年金が3割減額される予定でしたが、底上げ後は、厚生年金分を減らし、基礎年金分を増やします。

年金底上げが実施されると、底上げ前より、一時的にマクロ経済スライドの減額率が大きくなり、年金が減りますが、2036年くらいで減額が終了します。そして、2041年には、底上げ前よりも年金支給額が多くなります。

ただし、年金制度改革法案には盛り込まれましたが、実施するかどうかの判断は、2029年以降に先送りされることになりました(次回の5年後の財政検証のタイミング)。
上記の図の年度は、すべて2025年時点で実施した前提ですので、2030年以降に実施する場合は、より後ろにずれこむことが予想されます。
年金底上げについて、詳しくはこちらをご覧ください。