2025年、公的年金1.9%引き上げ、増額はいつから

2025年度（令和7年度）の公的年金が前年度より1.9%引き上げられることが、2025年1月24日、厚生労働省より発表されました。

国民年金、厚生年金などが具体的にいくら増額されるか、厚生労働省の資料を基に詳しく紹介します。

【参照】厚生労働省：令和７年度の年金額改定についてお知らせします

1．公的年金の金額

（1）国民年金（老齢基礎年金）の金額

2025年度（令和7年度）の国民年金（老齢基礎年金）の金額は、月額69,308円（年額831,700円）です。前年度からの増額金額は、月額1,308円（年額15,700円）です（2024年度より、約1.9％増額）。

※1966年（昭和31年）4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金は、月額69,108円（年額829,300円）です。前年度からの増額金額は、月額1,300円（年額15,700円）です。

	2024年度 （令和6年度）	2025年度 （令和7年度）	増額分
国民年金 （老齢基礎年金）	月額：68,000円 年額：816,000円	月額：69,308円 年額：831,700円	月額：＋1,308円 年額：＋15,700円

（2）厚生年金（老齢厚生年金）の金額

2025年度（令和7年度）の厚生年金（老齢厚生年金）の標準的な金額（夫婦2人分の老齢基礎年金を含む金額）は、月額232,784（年額約279万円）です。前年度からの増額金額は、月額4,412円（年額52,944円）です（2024年度より、約1.9％増額）。

厚生年金の金額は人によって違いますが、厚生労働省は、以下のような夫婦家庭をモデルにして発表しています。

• 男性の平均的な収入（平均標準報酬（賞与含む月額換算）45.5 万円）で40年間就業した場合に受け取り始める年金（老齢厚生年金と２人分の老齢基礎年金（満額））

夫婦2人分の老齢基礎年金を差し引いて、厚生年金だけの金額で見ると、月額94,168円（年額約113万円）です。前年度からの増額金額は、月額1,796円（年額21,552円）です。

	2024年度 （令和6年度）	2025年度 （令和7年度）	増額分
厚生年金 （夫婦2人分の 老齢基礎年金を含む）	月額：228,372円 年額：2,740,464円	月額：232,784円 年額：2,793,408円	月額：＋4,412円 年額：＋52,944円
厚生年金のみ	月額：92,372円 年額：1,108,464円	月額：94,168円 年額：1,130,016円	月額：＋1,796円 年額：＋21,552円

2．公的年金の増額はいつから

公的年金（国民年金・厚生年金）の金額は年度単位で決まっています。4月～3月までが一つの年度です。
2025年度とは、2025年4月から2026年3月までのことをいいます。

つまり、2025年1月分から3月分までは2024年度の金額、4月分から2025年度の増額された金額となります。

年金が振り込まれるのは偶数月の15日であり、前月と前々月の分が振り込まれます。

• 2月15日に振り込まれるのは、12月分と1月分
• 4月15日に振り込まれるのは、2月分と3月分
• 6月15日に振り込まれるのは、4月分と5月分

となりますので、
具体的に増額された公的年金が振り込まれるのは、例年は、6月15日からです。

なお、2025年6月15日は日曜日であり、土日に当たる場合はその前の営業日に振り込まれますので、実際には、2025年6月13日（金）となります。

3．障害年金と遺族年金の増額

老齢年金以外に障害年金と遺族年金も増額されますので、まとめておきます。
いずれも、2024年度より、約1.9％増額です。

（1）障害年金

障害基礎年金

障害基礎年金は一律の金額です。障害等級1級と2級で金額が異なります（1級は2級の1.25倍）。

2025年度（令和7年度）の障害基礎年金は、
障害等級1級の場合、月額86,635円（年額1,039,625円）です。前年度からの増額金額は、月額1,635円（年額19,620円）です。
障害等級2級の場合、月額69,308円（年額831,700円）です。前年度からの増額金額は、月額1,308円（年額15,700円）です（老齢基礎年金と同額）。

18歳未満の子どもがいる場合に、障害基礎年金に加算される金額は、
1人目、2人目の場合、月額19,941円（年額239,300円）です。前年度からの増額金額は、月額375円（年額4,500円）です。
3人目以降の場合、月額6,650円（年額79,800円）です。前年度からの増額金額は、月額125円（年額1,500円）です。

	2024年度 （令和6年度）	2025年度 （令和7年度）	増額分
障害基礎年金 （障害等級1級）	月額：85,000円 年額：1,020,000円	月額：86,635円 年額：1,039,625円	月額：＋1,635円 年額：＋19,620円
障害基礎年金 （障害等級2級）	月額：68,000円 年額：816,000円	月額：69,308円 年額：831,700円	月額：＋1,308円 年額：＋15,700円
子の加算 （1人目・2人目）	月額：19,566円 年額：234,800円	月額：19,941円 年額：239,300円	月額：＋375円 年額：＋4,500円
子の加算 （3人目以降）	月額：6,525円 年額：78,300円	月額：6,650円 年額：79,800円	月額：＋125円 年額：＋1,500円

※いずれも、1966年（昭和31年）4月2日以降に生まれた方の場合

障害厚生年金

障害厚生年金は、厚生年金の加入期間とその間の収入によって異なります。

障害等級3級の場合には最低保障額があり、月額51,983円（年額623,800円）です。前年度からの増額金額は、月額983円（年額11,800円）です。

生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に、障害厚生年金に加算される加給年金額は、月額19,941円（年額239,300円）です。前年度からの増額金額は、月額375円（年額4,500円）です。

	2024年度 （令和6年度）	2025年度 （令和7年度）	増額分
障害厚生年金 3級の最低保障	月額：51,000円 年額：612,000円	月額：51,983円 年額：623,800円	月額：＋983円 年額：＋11,800円
配偶者 加給年金額	月額：19,566円 年額：234,800円	月額：19,941円 年額：239,300円	月額：＋375円 年額：＋4,500円

※いずれも、1966年（昭和31年）4月2日以降に生まれた方の場合

（2）遺族年金

遺族基礎年金

遺族基礎年金は一律の金額です。
2025年度（令和7年度）の障害基礎年金は、月額69,308円（年額831,700円）です。前年度からの増額金額は、月額1,308円（年額15,700円）です（老齢基礎年金と同額）。

18歳未満の子どもがいる配偶者が受け取る場合、または、子どもが受け取る場合に、遺族基礎年金に加算される金額は、
1人目、2人目の場合、月額19,941円（年額239,300円）です。前年度からの増額金額は、月額375円（年額4,500円）です。
3人目以降の場合、月額6,650円（年額79,800円）です。前年度からの増額金額は、月額125円（年額1,500円）です。

	2024年度 （令和6年度）	2025年度 （令和7年度）	増額分
遺族基礎年金	月額：85,000円 年額：1,020,000円	月額：86,635円 年額：1,039,625円	月額：＋1,635円 年額：＋19,620円
子の加算 （1人目・2人目）	月額：19,566円 年額：234,800円	月額：19,941円 年額：239,300円	月額：＋375円 年額：＋4,500円
子の加算 （3人目以降）	月額：6,525円 年額：78,300円	月額：6,650円 年額：79,800円	月額：＋125円 年額：＋1,500円

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、亡くなった方の厚生年金の加入期間とその間の収入によって異なります。

夫が死亡したときに40歳以上で子どものない妻が受け取る場合に、40歳から65歳になるまでの間、遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の金額は、月額51,983円（年額623,800円）です。前年度からの増額金額は、月額983円（年額11,800円）です。

	2024年度 （令和6年度）	2025年度 （令和7年度）	増額分
中高齢寡婦加算	月額：51,000円 年額：612,000円	月額：51,983円 年額：623,800円	月額：＋983円 年額：＋11,800円

4．公的年金に関連する金額の増額

公的年金に関連する金額も増額されます。

（1）国民年金保険料

2025年度（令和7年度）の国民年金保険料の金額は、月額17,510円（年額210,120円）です。前年度からの増額金額は、月額530円（年額6,360円）です（2024年度より、約3.1％増額）。

	2024年度 （令和6年度）	2025年度 （令和7年度）	増額分
国民年金保険料	月額：16,980円 年額：203,760円	月額：17,510円 年額：210,120円	月額：＋530円 年額：＋6,360円

国民年金法第87条第3項の規定により、名目賃金の変動に応じて毎年度改定されます。

（2）在職老齢年金

在職老齢年金制度では、月額の給料と年金の合計額が一定金額を超えると、超えた分の年金の半分が支給停止（カット）されます。

2025年度（令和7年度）の年金カットの基準額は、51万円です。前年度は50万円であり、1万円増額です（2024年度より、2％増額）。

	2024年度 （令和6年度）	2025年度 （令和7年度）	増額分
在職老齢年金 年金カットの 基準額	50万円	51万円	＋1万円

厚生年金保険法第46条第3項の規定により、名目賃金の変動に応じて毎年度改定されます。

5．各種手当の金額の増額

次の各種手当についても、2024年の物価変動率（2.7％）に基づき、2.7％の引上げとなります。
（月額のみ記載します。）

		2024年度 （令和6年度）	2025年度 （令和7年度）	増額分
障害者 向け	特別障害給付金	1級：55,350円 2級：44,280円	1級：56,850円 2級：45,480円	1級：＋1,500円 2級：＋1,200円
	特別児童扶養手当	1級：55,350円 2級：44,280円	1級：56,850円 2級：45,480円	月額：＋375円 年額：＋4,500円
	特別障害者手当	28,840円	29,590円	＋750円
	障害児福祉手当	15,690円	16,100円	＋410円
原子爆弾 被爆者 向け	健康管理手当	36,900円	37,900円	＋1,000円
年金生活者 向け	老齢年金生活者 支援給付金	5,310円	5,450円	＋140円
	障害年金生活者 支援給付金	1級：6,638円 2級：5,310円	1級：6,813円 2級：5,450円	1級：＋175円 2級：＋140円
	遺族年金生活者 支援給付金	5,310円	5,450円	＋140円
母子家庭 父子家庭 向け	児童扶養手当 （※）	第1子：45,500円 第2子：10,750円	第1子：45,500円 第2子：10,750円	第1子：45,500円 第2子：10,750円

※児童扶養手当については、全部支給の場合の金額