年収160万円の壁とは? 超えたらどうなる?

年収の壁 103万円の壁 160万円の壁

年収の壁引上げが大きな話題になりました。それによって2024年まであった「年収103万円の壁」はなくなり、代わりに新たな壁がいくつも出来上がりました。

この記事では、年収160万円の壁とは何か、超えるとどのような影響があるのかをまとめます。

1.年収160万円の壁とは?

年収160万円の壁とは、パートやアルバイトの人の収入に、所得税がかかる壁です。

2025年の改正で、103万円から160万円へと大きくひきあげられました。

年収の壁が103万円だったころ、その内訳は以下の通りでした。

 

基礎控除48万円 + 給与所得控除55万円 = 103万円

 

2025年の改正で、基礎控除が最大95万円に、給与所得控除の最低額も65万円に引き上げられたので、その結果、新たな年収の壁が160万円となったのです。

基礎控除95万円 + 給与所得控除65万円 = 160万円

 

年収の壁 160万円の壁

「基礎控除」というのは、「生活に必要な最低限の所得には税金をかけない」という制度で、この基準が、近年の物価高騰を加味して、48万円から95万円に引上げられました(所得税のみ)。

そして所得95万円に給与所得控除65万円を足すと、パート・アルバイトの「年収」に換算され、年収160万円以下であれば所得税がかからないということになったのです。

逆に言えば、年収が160万円を超えると、所得税の支払いが発生します。

2.年収160万円の壁はいつから?

法律の運用は12月1日から

2025年から年収の壁が引き上げられた、というお話をしましたが、改正された所得税法が実際に施行されるのは2025年12月1日からです。

つまり、2025年11月30日までは、古い法律にのっとり「103万円の壁」をベースに源泉徴収(給料からの天引き)などが行われているということです。

2025年分の年収に適用

年末調整や確定申告では、2025年1年分の年収に対して税制改正後の基準が適用されます。

法律施行前の11か月と法律施行後の1ヶ月で分けて扱うようなややこしいことはありません。

年末調整は10月から11月頃に行いますので、法律の改正前に年末調整の手続きを終える会社も多いですが、所得や控除の計算などは全て、160万円の壁を基準にして行うことになります。

3.年収160万円を超えたらどうなる① 所得税の支払い

年収が160万円を超えた時、実際にはどのくらいの影響があるのでしょうか。

前述の通り、年収が160万円を超えると所得税の支払いが発生します。

その金額は、160万円をどのくらいオーバーしているかによって決まります。

例えば年収が161万円になり、160万の壁を1万円オーバーしてしまった程度であれば、それに対する所得税は以下の通り500円です。

1万円×5%=500円
年収がどんどんあがっていくと、税率も上がり、所得税は高額になっていきますが、160万円を少しこえた程度であればそれほど大きな影響はありません。
 
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4.年収160万円を超えたらどうなる② 配偶者への影響

配偶者の扶養内で働いているケースで考えてみましょう。

あなたの年収が123万円を超えた時点で、あなたは夫/妻の扶養(税制上の扶養)から外れます。

この時、あなたの夫/妻は「配偶者控除」を使えなくなりますが、代わりに「配偶者特別控除」が使えるようになります。

あなたの年収が160万円以下であれば、あなたの夫/妻は「配偶者特別控除」によって「配偶者控除」と同額の控除を受けることができます。

しかしあなたの年収が160万円を超えると、「配偶者特別控除」の控除額は段階的に下がり、それに応じてあなたの夫/妻の税金負担が重くなっていきます。

以下は、配偶者特別控除の控除額です。年収160万円以下の時の控除額は38万、160万円超~165万円以下の時の控除額は36万円ですから、年収160万円を少しこえた程度ではあまり大きな影響はありません。

配偶者の給与年収 納税者本人の給与年収
1,095万円以下 1,095万円超
1,145万円以下
1,145万円超
1,195万円以下
123万円超~160万円以下 38万円 26万円 13万円
160万円超~165万円以下 36万円 24万円 12万円
165万円超~170万円以下 31万円 21万円 11万円
170万円超~175万円以下 26万円 18万円 9万円
175万円超~180万円以下 21万円 14万円 7万円
180万円超~185万円以下 16万円 11万円 6万円
185万円超~190万円以下 11万円 8万円 4万円
190万円超~197.2万円未満 6万円 4万円 2万円
197.2万円以上~201.6万円未満 3万円 2万円 1万円
201.6万円以上 0万円 0万円 0万円
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5.年収160万円を超えたらどうなる③ 学生・親への影響

最後に、親の扶養内で働くケースについてみてみましょう。

あなたの年収が123万円を超えた時点で、あなたは親の扶養(税制上の扶養)から外れます。

この時、親御さんは「扶養控除」を使えなくなります。扶養控除が使えない影響は大きく、あなたの年齢や親御さんの年収にもよりますが、年間で5万~10万程度、税金の負担が増えてしまいます。

ただし、あなたが19歳以上23歳未満であれば、扶養控除の代わりに「特定親族特別控除」が使えるようになります。

あなたの年収が150万円以下であれば、親御さんは扶養控除と同額の控除を受けることができるのですが、あなたの年収が上がるにつれて、「特定親族特別控除」の控除額は段階的に下がり、それに応じて親御さんの税金負担が重くなっていきます。

下表は、特定親族特別控除の控除額を表しています。仮にあなたの年収が160万円から161万円になったとすると、所得税の控除額は51万円から41万円と、10万円も下がります。この時親御さんの税金負担は、所得税率が10%なら1万円、20%なら2万円増えることになります。

特定扶養親族の給与年収
()内は合計所得金額
控除額
所得税 住民税
123万円超~150万円以下
(58万円超~85万円以下)
63万円 45万円
150万円超~155万円以下
(85万円超~90万円以下)
61万円 45万円
155万円超~160万円以下
(90万円超~95万円以下)
51万円 45万円
160万円超~165万円以下
(95万円超~100万円以下)
41万円 41万円
165万円超~170万円以下
(100万円超~105万円以下)
31万円 31万円
170万円超~175万円以下
(105万円超~110万円以下)
21万円 21万円
175万円超~180万円以下
(110万円超~115万円以下)
11万円 11万円
180万円超~185万円以下
(115万円超~120万円以下)
6万円 6万円
185万円超~188万円以下
(120万円超~123万円以下)
3万円 3万円
188万円超~
(123万円超~)
0円 0円
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6.年収160万円では社会保険の扶養に入れない

今回は、年収が160万円を超えたときの影響を、税金ベースで解説しました。

実際には、年収が160万円をこえている人は社会保険にも加入する必要があります。

社会保険料の壁については以下の記事をご参照ください。

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パートやアルバイトの収入は計画的に調整することをお勧めします。

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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