【2024年版】ボーナス・賞与の社会保険料の計算方法
ボーナス・賞与からも社会保険料が引かれますが、引かれない場合もあります。ボーナス・賞与から天引きされる社会保険料とそ…[続きを読む]
退職や転職を検討する際、「ボーナス・賞与」がもらえるかどうか気になる方は多いと思います。「これまで頑張った報酬」として代謝前にもらっておきたいところですよね。
この記事では「ボーナスは退職・転職をしても貰えるのか」「どうすれば退職・転職してもボーナスを満額もらえるのか」についてわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧になってくださいね。
目次
会社を退職した場合、「退職後に給与や賞与はもらえるの?」と疑問を持つ方もいることでしょう。損をしないためにもルールを把握しておきましょう。
ボーナスの話の前に、まずは退職後の給与について解説します。
結論から言うと、退職日までに労働した期間分に相当する給与については支払いを受ける権利があります。給料日が退職日以後であったとしても、「退職後だから支払わない」といったことはありません。
例えば、給与計算の締め日が月末、給料日が翌月25日である会社を、月末に退職したと仮定します。この場合、翌月25日に給料が満額支払われることになります。もし月の途中で退職した場合には、労働日数に応じた給与が支払われます。
給料と同様に、退職後でもボーナスをもらうことはできるのでしょうか? 例えば夏季賞与の査定期間が「前年10月~3月」に設定されている場合、3月末に退職すれば査定期間を通して在籍していたことになりますし、一見ボーナスをもらえるように思えます。
しかし一概には言えませんが、このケースではボーナスをもらえる場合と、もらえない場合があります。
ボーナスに関する規定は就業規則や雇用契約書等に規定されています。就業規則等に以下のような規定が設けられている場合、例え査定期間中に在籍していたとしても、規定の期日に在籍していなければボーナスは支給されないこととなります。
たとえば、冬のボーナス支給日が12月で、支給日時点で在籍している必要がある場合、11月に退職してしまうとボーナスをもらえません。
一方、就業規則等の規定に上記のようなボーナス支給に関する規定が設けられていない場合はどうなるでしょうか?
そもそもボーナスとは、あくまでそれぞれの会社の判断に基づいて、それぞれの会社のルールに則って支払われるものです。従って支給日の要件が明確に規定されていない場合は、退職後でも賞与が支給される可能性もあるでしょう。ただし、その場合でも会社の担当者との交渉次第の面が大きいと言えます。
退職後では就業規則を閲覧することが難しくなってしまいますので、退職前に就業規則や雇用契約書をしっかりチェックしておくことが大切です。
チェックすべきポイントとして以下の項目が挙げられます。
査定期間とは、ボーナスの支給額を決定するための評価をする期間のことをいいます。
例えば夏季賞与が7月支給なら、査定期間は「前年10月~3月」、冬季賞与が12月支給なら「4月~9月」といったように、就業規則等に規定されています。査定期間は会社によって異なるので、勤務先の査定期間を退職前に調べておきましょう。
査定期間を知ることで、自分が退職しようとしている日が査定期間のどの辺りのタイミングに位置しているのか把握することができます。
ボーナスが実際に振り込まれるボーナス日・支給日は会社ごとに異なります。先ほども述べたようにこの「支給日」に会社に在籍しているかどうかをボーナスの支給条件にしている企業も多いため確認しておくことが大切です。
就業規則等には、ボーナスが支給されない条件が規定されている場合があります。よくあるのが、「業績の著しい悪化等の事由が生じた場合には、賞与は支給しない」といった業績による要件です。
ボーナスを受給するために退職日を延ばしたとしても、業績悪化でボーナス自体が支給されなければ意味がありません。そのようなことを避けるためにも、ボーナス不支給の要件が規定されているかどうかを確認しておきましょう。
「ボーナスを受け取った直後に退職しよう」と考える方も多いのではないでしょうか? しかし、就業規則に「賞与支給直後に退職する場合、賞与を減額する」旨の規定があるかどうかを確認しておく必要があります。
そもそもボーナスには「査定期間中の労働・成果への対価」という面以外にも、「将来への期待」や、「意欲向上を促す」等の意味が込められています。ボーナスを受け取った直後に退職する従業員には、これらの要件は当てはまりません。
一方、「ボーナス受給直後に退職した場合には、ボーナスを返還しなければならない」という規定があった場合はどうでしょうか? この場合、その規定は「退職に対する違約金」という意味を持つと解釈され、労働基準法に違反する可能性があります。気になる方は専門家や労働基準監督署などに相談してみましょう。
支給日在籍条項とは、「ボーナスの支給日時点で在籍している社員にのみボーナスを支払うこととする」という規定です。賞与支給日前に退職を考えている方にとっては最も重要な規定と言えるでしょう。
支給日在籍条項が規定されている場合、賞与支給日以前に退職した者にはボーナスを支払わなくて良いこととなります。就業規則等に「賞与支給日時点で在籍しない従業員に対しては、賞与を支給しない」といった規定がある場合は、退職後にボーナスを受け取ることは難しいでしょう。
また、類似するものとして、下記のような規定が定められている場合もあります。
なお、有給消化中はその企業に在籍していると扱われるため、支給日在籍条項を満たします。ただし、査定によって支給額が減額される場合もあると考えられます。
自己都合の退職と異なり、会社都合で退職を余儀なくされた場合、自分で退職日を選ぶことができません。このようなケースでは、支給日在籍条項は当てはまらず、在籍期間に応じたボーナスを支給すべきであると考えられます。
悪質な会社では「ボーナスを払いたくないから支給日前に解雇しよう」と考える企業があってもおかしくありません。そのような恣意的な解雇を防ぐ意味も含まれています。
転職や退職を考えている場合、前もって会社に伝えなければいけませんね。しかしボーナスの支給前に退職の意図を伝えてしまうとボーナスが支払われないかも……減額されてしまうかも……という不安もあるでしょう。
結論から言いますと、その会社の規定次第では減額される可能性もあると言えます。「支給日まで在籍しているのだから満額もらえるはず」と考えるのは自然ですが、減額される理由はどこにあるのでしょうか?
そもそもボーナスは「必ず支給しなければならない」という法的な義務はありません。ボーナスを誰にいくら支給するのか、といった規定は原則として会社が自由に設定することができるのです。
ボーナスの支給額は会社が自由に設定できるとはいえ、「退職予定の従業員のボーナスを減額する」ことも自由であることに疑問を抱く方もいるかと思います。
しかし、ボーナスが持つ意味合いを考えるとこの理由が分かるかと思います。
会社によって異なる場合はありますが、一般的にボーナスは以下の要素で構成されていると考えれらます。
このうち「将来性への期待や労働意欲の向上」という項目に関しては、退職予定の従業員には当てはまらないことになります。
要するに、「退職予定の従業員に支給するボーナスは、将来性への期待に対する対価分を減額して支給しよう」という考え方ですね。
退職者に対するボーナス減額について争われた裁判例としては、平成8年のベネッセコーポレーション事件が有名です。この事件の概要は、賞与規定における「退職予定者のボーナス支給額を82%減額する」との規定に対して争われた裁判です。
判決は「退職予定者のボーナスを減額することは合理的」であるとしつつも、82%の減額は行き過ぎであるとし、最終的に20%の減額までが認められる結果となりました。
先ほど挙げたボーナスの要素で考えると、「将来性への期待や労働意欲の向上」の部分がボーナスに占める割合が約2割であると判示されたと考えられます。
繰り返しになりますが、ボーナスの支給額は原則として会社が自由に決めることができます。したがってボーナス支給前に退職の意志を伝えることは得策ではありません。
退職を検討している人がボーナスを確実に満額受け取るためには、ボーナスを受給した後に退職届を提出するのが安全でしょう。
ここまで解説してきた通り、会社の規定次第では退職予定者はボーナスを減額される可能性があります。一方で、ボーナスを受給後に退職した場合に、ボーナスの返還を求められる心配はないと考えて良いでしょう。会社が返還を求めた場合、労働基準法に違反する可能性があるためです。
賞与からは通常、所得税と社会保険料が天引きされます。ですが、賞与受給直後に退職する場合や、退職後に賞与を受給した場合、実は健康保険料と厚生年金保険料は控除されません。
社会保険料は「加入資格を喪失した月の前月まで」負担することとされています。例えば7月10日に夏季賞与を受け取り、7月20日に退職した場合、「資格喪失月の前月=6月」となります。したがって7月に支給された賞与からは社会保険料は控除されません。
ただし、月末に退職した場合のみ注意が必要です。賞与と社会保険料については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
転職した際に最も気になるポイントの1つが、「ボーナスはもらえるのか」という部分ではないでしょうか?
面接で確認できれば話は早いですが、金銭に関することは面と向かって聞きづらい方も多いと思います。
ボーナスの支給要件については就業規則や賃金規定等に規定されているため、入社前に転職サイトや求人情報誌で確認できる場合はしっかり読み込んでおきましょう。
就業規則でチェックすべきポイントとして、以下の項目が挙げられます。
「転職後にボーナスをもらうことができるのか?」「もらえるとして金額はどの程度なのか?」これらの疑問を解決するには、やはり就業規則や賃金規定等の規定を確認する必要があります。
繰り返しになりますが、規定は会社によって異なります。しかし、一般的には次のような規定を設けている会社が多いと言えます。
上記のように規定が設けられている会社では、まずはボーナス支給日に在籍していることが前提となります。次に査定期間をチェックします。
例えば4月1日に転職した場合、夏季賞与の査定期間が終了してしまっています。したがって夏季賞与の支給日7月10日に在籍していたとしても、夏季賞与は支給されません。一方で冬季賞与は査定期間中フルで勤務することになるため、満額の賞与が支給されると考えられます。
結論として、やはり転職する会社の規定をしっかり確認しておくことがボーナス受給のコツと言えるでしょう。
大企業等では、査定期間外に入社・転職してきた従業員に対しても、ボーナス支給を規定している会社もあります。入社一年目・転職一年目の社員にもボーナスを支給して士気を高めたいという意図があります。
ただし、この場合の支給額は本来の支給額に比べてかなり低額であることが普通です。転職前に規定を確認できるようであれば、チェックしておきたいところです。
また、中小企業では社長の裁量によってボーナスを受給できる可能性もあります。期待しすぎるのは禁物ですが、もしボーナスが支給された場合には会社の厚意に感謝すべきでしょう。
いかがでしたでしょうか。今回は退職後にボーナスを貰うことができるのか、ボーナスを満額貰って退職するにはどうすればよいのかについてお話ししました。最後に、この記事の重要ポイントをおさらいしましょう。
ここまでお伝えしたように、ボーナスの支給は「会社の規定による」部分が大きいです。転職・退職をお考えの方は事前に規則を確認したうえでスケジュールを立てることをおすすめします。
ボーナスについては下記の記事でもお役立ち情報を解説していますので、ぜひ併せてご覧になってくださいね。
ボーナスはいくら貰うのが普通?|平均額・査定方法・手取り額を解説
夏のボーナス・冬のボーナスはいつもらえる?|支給日・査定期間を解説
ボーナス・賞与にかかる税金はいくら? 節税対策はできる?
ボーナス・賞与から引かれる「社会保険料」とは?