【2024年版】ボーナス・賞与にかかる税金はいくら? 節税対策はできる?
賞与・ボーナスにかかる税金の種類、賞与・ボーナスから引かれる税額の計算方法、税金の節税対策をわかりやすく解説します。[続きを読む]
会社員や公務員にとって「ボーナス・賞与」は一大イベントの一つです。けれど、ボーナスが支払われたときに「あれ、なんだか聞いていた額よりも少ないな」と感じたことはありませんか?
この記事では、ボーナス・賞与から天引きされる「社会保険料」とその計算方法について、わかりやすく説明していきます!
目次
まずは社会保険料の概要と、どのような社会保険料が賞与から引かれるのか、確認しておきましょう。
そもそも社会保険料とは、病気や失業、仕事中の事故等のリスクが生じたときに保障を受けたり老後に年金を受け取るために、労働者や企業が負担する保険料です。
会社員の場合、毎月の給与からはもちろん、ボーナス・賞与からも天引きされます。一定の要件はありますが、通常の会社員は社会保険に加入することが義務付けられています。
ボーナス・賞与から引かれる社会保険料には、下記の4種類があります。
健康保険は、本人やその扶養家族に病気や怪我、死亡、出産等があった場合に保険給付を行う制度です。
厚生年金は字の通り年金を支給する制度で、原則65歳以上から年金を受け取ることができます。また、本人が死亡した際には遺族が年金を受給することができます。
【厚生年金は退職していなくても貰えるの?】
退職していなくても年齢が達していれば厚生年金を受け取ることできます。これを「在職老齢年金」といいます。ただし、もらっている給与が多いと年金額は減らされてしまいます。
2020年5月29日に成立した法律では、60~64歳で賃金と年金月額の合計額が47万円以下の方は満額で年金を受け取ることができるようになりました(2022年4月から施行)が、減額の制度自体がなくなることはありませんでした。
介護保険は、介護が必要と認定された際に介護サービスを受けることができる制度で、40歳以上の方に加入義務があります。
ここまでお伝えした健康保険、介護保険は勤務先の会社と本人が半分ずつ負担します。
雇用保険とは、失業者に対して失業手当を給付するほか、労働者に対して教育訓練給付や育児休業給付などを行う制度です。保険料の負担割合は業種によりますが、一般の業種では、1000分の6(2023年4月1日以降)が本人の負担割合となります。
また、上記4種類のほかに社会保険に含まれるものとして労災保険があります。労災保険は仕事中や通勤中の病気やケガ、死亡等に対して給付を行う制度です。労働者であれば誰もが加入する制度ですが、労災保険料は企業が全額負担するためボーナスからは控除されません。
「自分が上記の社会保険に加入しているかどうか分からない」という方もいるかもしれません。まず、労災保険には正社員やパート等の立場に関係なく労働者全員が加入していると考えてOKです。
ただし、勤務先が個人経営で小規模である場合加入していない場合もありますので、気になる方は勤務先に確認しておきましょう。
健康保険、厚生年金、雇用保険も普通の会社の正社員の方はほぼ確実に加入しています。パートやアルバイトの方は世帯主の扶養となっている(世帯主の保険に加入している)場合もありますし、勤務時間や見込みの勤続年数によっては本人が加入している場合もあります。
なお、介護保険は健康保険に加入している人が40歳以上となった場合に強制加入されます。「加入した覚えがない」と思う方もいると思いますが、年齢に応じて自動的に加入されるものと覚えておきましょう。
ボーナス・賞与から引かれる社会保険料は以下の計算式で算出されます。
※正確には、ボーナスの額面金額の1000円未満を切り捨てた金額に、保険料率を乗じます。
ただし、上記で算出した金額の全額が引かれるわけではありません。健康保険、介護保険、厚生年金保険は保険料の半額を会社が負担してくれるため、ボーナスから引かれる保険料は上記の式で算出した金額の半額となります。
一例として、30代の会社員の場合、健康保険の保険料率は大体9%~10%程度、厚生年金の保険料率は18.3%となります。
健康保険の保険料率は加入している健康保険組合や勤務先の都道府県によって変わります。
健康保険は主に協会けんぽと組合けんぽ、共済組合等に分かれます。一般的に中小企業で働いている方は協会けんぽ、大企業で働いている方は組合けんぽに加入していることが多く、公務員の方は共済組合に加入していると考えてください。
協会けんぽの保険料率は全国平均でおおむね10%に設定されています。
また、2024年度(令和6年度)の保険料率を都道府県別に見ると、一番高い佐賀県(10.42%)と一番低い新潟県(9.35%)で1%以上の差があります。ちなみに東京都の2024年度の健康保険の保険料率は9.98%です。
東京勤務の30代の会社員が50万円の賞与を受け取った場合、どの程度の社会保険料を引かれるのか簡単に解説します。この場合、本人が40歳未満であるため、介護保険料は引かれません。賞与から引かれる社会保険料「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」の3種類です。
健康保険は協会けんぽに加入しており、勤務先が雇用保険の分類上一般の事業に該当する場合、保険料率は以下の通りとなります。
健康保険と厚生年金は本人負担が半額なので、保険料率の半分を掛けた金額が賞与から引かれることとなります。計算結果は下記のとおりです。
ということで、50万円の賞与をもらった際に天引きされる社会保険料の合計額は73,700円となります。なお、賞与からは社会保険料以外に「所得税」も引かれます。所得税については以下の記事で解説していますので是非併せてご覧になってくださいね。
毎月の給与や賞与から引かれる社会保険料ですが、下記のケースでは社会保険料が免除される可能性があります。
社会保険料は、退職日の翌日の属する月の前月まで負担することとされています。なぜ退職日の翌日かというと、社会保険料の資格を喪失する日が退職日の翌日とされているためです。
したがって、退職月や退職後に賞与を受給した場合、基本的には保険料は負担しなくて済むこととなります。ただし、月末に退職した場合、「退職日の翌日」が月が変わってしまうため、社会保険料を負担しなければなりません。
退職日によって保険料面での有利・不利があることを頭に入れておきましょう。
結論から言うと、産休・育休中は社会保険料の支払は免除されます。具体的な期間は、産休・育休開始月から~終了日の翌日が含まれる月の前月までとなります。
ですので、産休・育休中にボーナス・賞与が支払われても、社会保険料が引かれることはありません。
この免除を受けるためには、勤務先の会社が申出書を提出していることが条件となります。中小企業などの場合、担当者が失念しているケースもあるため、念のため確認しておくことをおすすめします。
ここまで社会保険料の計算は「賞与の額面金額×保険料率」と解説してきました。しかし、賞与が年に4回以上支給される場合、社会保険料の計算方法が変わります。
その場合、7月1日を起算日とした1年間の賞与の総額を12で割り、毎月の給与に、その1か月単位に分割した賞与の金額を上乗せして計算します。
この計算方法の違いによって、年収が762万円を超える人は大きな恩恵を受けることになります。毎月の給与から引かれる厚生年金の計算上、標準月額報酬の上限が635,000円であるため、そこに分割した賞与の金額を上乗せしても厚生年金保険料は変わらないためです。
ちなみに、健康保険料の標準月額報酬の上限は1,355,000円なので、年収が16,260,000円を超える人は健康保険、厚生年金の両面において恩恵を受けることができます。
賞与にかかる社会保険料には上限があり、健康保険と厚生年金保険で上限の算出方法が異なります。
健康保険は4月〜翌年3月に支給する賞与額の累計573万円が上限です。
一方、厚生年金保険は1回の支給額の上限が150万円と定められています。
例えば年2回の賞与の金額が300万円ずつである場合、2回目の賞与の健康保険料は下記の計算式で算出します。
一方、厚生年金は1ヶ月の賞与の上限が150万円なので、賞与2回とも下記の計算式で算出されます。
なお、同一年度中に転職した場合、健康保険の加入組合が同じである場合には、前職で支給された賞与と転勤後の会社から支給された賞与の金額を通算して計算することができます。その場合、「健康保険標準賞与額累計申出書」という書類を提出する必要があるため、不安な方は勤務先の担当者に確認しておきましょう。
いかがでしたでしょうか。今回はボーナスから天引きされる社会保険料についてお伝えしました。
ボーナスについてまだお悩みのことがある方は関連記事もおすすめです。ぜひ併せてご覧になってくださいね。
ボーナス・賞与にかかる税金はいくら? 節税対策はできる?
ボーナスの手取り額の計算方法
ボーナス・賞与は退職や転職をしても貰えるの?
ボーナスはいくら貰うのが普通?|平均額・査定方法を解説
夏のボーナス・冬のボーナスはいつもらえる? 支給日・査定期間はいつ?