ボーナス・賞与にかかる税金はいくら? 節税対策はできる?
夏と冬、年に2回のお楽しみである「ボーナス・賞与」。お勤めをされている皆さんの中には心待ちにされている方も多いでしょ…[続きを読む]
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楽しみにしていたボーナスが、いざ振り込まれてみたら聞いていたよりも金額が少ない……そう感じたことがある方もいるでしょう。
明細を見てみると「賞与手当」と「振込支給額(差し引き合計)」のように、2つの金額が記載されているはずです。
前者がいわゆる「額面」で、会社から提示される金額です。後者は「額面」から所定の税金や社会保険料が天引きされた金額で、いわゆる「手取り額」にあたります。
このように、ボーナスが支給されると額面の金額から税金と社会保険料が天引き(控除)され、額面通りにはもらえるものではないのです。
それでは、実際の「手取り額」はどのように計算すればよいのでしょう。先ほどの説明を計算式に表すと下記のとおりです。
次の章では、ボーナスから引かれる税金、社会保険料の計算方法について説明していきます。
ボーナスから天引きされる税金は「所得税」といって個人の所得にかかる税金です。普段から給与明細を確認している方なら、毎月の給料からもこの「所得税」が引かれているのをご存じでしょう。
なお、普段のお給料からは「住民税」も引かれていますが、ボーナスに住民税はかかりません。詳しく知りたい方はぜひ、下記の記事も併せてご覧くださいね。
ボーナスから引かれる所得税の金額は、以下の式で求めることができます。
ここでいう「ボーナスの金額」は先ほど説明した「額面」にあたります。会社に提示された金額から社会保険料を差し引いた金額に「源泉徴収率」を掛け合わせた金額が、あなたのボーナスから天引きされる所得税の金額です。
この「源泉徴収率」は国税庁の「賞与に関する源泉徴収税額の算出率の表」に一覧で記載されていて、前月の給与の課税対象額と扶養親族の数で税率が決まる仕組みになっています。
所得税を計算するステップは下記のとおりです。みなさんもお手元にご自身の給与明細を用意して一緒に計算してみましょう。
① 前月の給与から社会保険料を引いた金額をだす
② ①を用いて「賞与に関する源泉徴収税額の算出率の表」で「源泉徴収率」をだす
③ ボーナスの額面からボーナスにかかる社会保険料を差し引いて「課税対象額」をだす
④ [③の課税対象額 × ②の税率]を計算して所得税額をだす
ボーナス支給月の前月の給与明細を用意します。ボーナス支給日はまだまだ先という方は直近の給与明細で代用しましょう。
「支給」の欄に記載された金額から「控除」の欄などに記載されている社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)の金額を引き算してください。
続いて、「賞与に関する源泉徴収税額の算出率の表」を開いてみてください。扶養家族の人数と①の金額(前月の給与から社会保険料を引いた金額)の掛け合わせであなたの「源泉徴収率(=あなたの賞与にかかる所得税の税率)」が分かります。
例として、扶養家族が0人、前月の給与から社会保険料を引いた金額が28万円だったとしましょう。
上の図をご覧ください。扶養家族が0人の列(図の青い部分)の中から、給与額が28万の行(25万2千円~30万:図の赤い部分)を選ぶと、ボーナスにかかる税率は6.126%と分かります。
例えば東京勤務の30代の会社員が50万円の賞与をもらう場合(保険組合は協会けんぽ)、社会保険料は71,925円です。この場合、ボーナスの課税対象額は下記の通り。
ボーナスにかかる社会保険料の計算方法は次の章で説明します。
②でだした税率と③でだした課税対象額をかけて所得税の金額を計算しましょう。ここまでの例と同様の条件(下記参照)であった場合、所得税の金額は下記のとおりです。
小数点以下は切り捨てとなるため、ボーナスにかかる所得税の金額は2万6223円です。
ボーナスをもらうと、先ほど説明した「所得税」に加えて社会保険料が天引きされます。ボーナスから引かれる社会保険料は下記の4種類です。
雇用保険と労災保険を合わせて労働保険といい、労災保険も社会保険に含まれますが、企業が全額負担するのでボーナスからは控除されません。
それぞれの保険がどんなもので、何のために加入しているどんな保険であるのかは下記の記事で詳しく解説しています。
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の計算方法は下記のとおりです。
賞与にかかる健康保険料は下記の式で計算できます。
[ボーナスの金額]:総支給額の1,000円未満を切り捨てた数字です(以下同様)
[健康保険料率]:加入している健康保険組合、事業所の所在地によって異なります。「協会けんぽ 東京 健康保険料率」のように組合名、所在地を含めて検索してみましょう。例えば東京勤務で協会けんぽに加入している場合、健康保険料率は9.87%です(※2020年10月現在の保険料率です)。
[÷2]:健康保険料は企業が半分負担してくれるため最後に2で割りましょう。
賞与にかかる介護保険料は下記の式で計算できます。なお40歳未満の場合、介護保険料は発生しないため0円です。
[介護保険料率]:加入している健康保険組合、事業所の所在地によって異なります。「協会けんぽ 東京 介護保険料率」のように組合名、所在地を含めて検索してみましょう。例えば東京勤務で協会けんぽに加入している場合、介護保険料率は1.79%です(※2020年10月現在の保険料率です)。
賞与にかかる厚生年金保険料は下記の式で計算できます。
[厚生年金保険料率]:厚生年金保険料率についてはどこの健康保険組合でも一律固定となっています。2020年10月現在、厚生年金保険料率は18.3%です。
賞与にかかる雇用保険料は下記の式で計算できます。
[雇用保険料率]:厚生労働省が設定していて、事業(一般、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業)によって異なります。
【引用】令和2年度の雇⽤保険料率について
それでは実際に、賞与にかかる社会保険料の計算をしてみましょう。例えば賞与の金額が50万円で、東京勤務、協会けんぽに加入している会社員の場合の計算例は下記のとおりです。
ここまで、ボーナスにかかる所得税・社会保険料の計算方法を説明しました。改めてボーナスの手取り額のシミュレーションをしてみましょう。
おさらいになりますが、ボーナスの手取り額は下記の式で求めます。
式に今までの計算結果を当てはめてみると……
※条件:東京勤務、協会けんぽ加入、30歳、賞与額面50万、前月給与から社会保険料を引いた金額28万
以上が、ボーナスの手取り額の計算方法です。「仕組みはわかったけどもっと手軽に計算したい!」「計算が合っているか確認したい!」という方は、下記の自動計算ツールをぜひご利用ください(別ページで開きたいかたはこちら)。
賞与額、年齢、扶養家族の有無、前月の給与を入力すると手取り額の概算をだすことができます。
より正確な金額を計算したい方は「より詳細な情報を入力する」ボタンをクリックして詳細計算をご利用ください。計算の際は前月の給与明細をお手元に用意されることをおすすめします。
いかがでしたでしょうか。今回の記事ではボーナスの手取り額の計算方法を解説しました。他にも賞与について解決していない疑問がある方には以下の記事もおすすめです。ぜひ併せてご覧ください!
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