年末調整は妻が育休中だとどうなる?注意点と書き方

妻が産休・育休に入ると、収入が減ります。育休のタイミングと年収によっては、夫の扶養に入れることもあります。

妻が育休中の場合の、夫の年末調整の注意点と書き方について解説します。なお、夫が育休をとり妻が働いている場合でも、基本的には同じです。

1.妻が育休・産休中だと、扶養に入れる可能性が高い

通常、妻の育休中・産休中には、会社から給料が支払われません。すると、ふだん働いているときと比べて、年収が激減し、税制上、夫の扶養に入れる可能性が高くなります。

(1)妻の年収123万円以下(所得58万円以下)なら配偶者控除

妻の年収が123万円以下(所得58万円以下)なら、夫は配偶者控除を利用できます(ただし、夫の年収1,195万円以下の場合)。

たとえば、妻が1~3月の3ヶ月間だけ働いて、4月から、産休・育休に入った場合、月給30万円なら、30万円×3ヶ月=90万円で、年収123万円以下ですので、その年は、夫が配偶者控除を受けられます。

里帰り出産などで、出産予定日の2~3ヶ月前から休職している場合も、給料が支払われていなければ、その期間の収入はありませんので、年収123万円以下となる可能性が高まります。

なお、有給休暇を取得している期間は、「有給」ですので、年収にカウントされます。

関連記事
配偶者控除
配偶者控除・配偶者特別控除の早見表【2025年版】
1.配偶者控除の控除額の早見表 配偶者控除の金額の早見表です。 納税者本人の所得(給与収入)と配偶者の年齢によって、…[続きを読む]

(2)妻の年収201万円以下(所得133万円以下)なら配偶者特別控除

上記の年収(所得)を超えても、妻の年収が201万円以下(所得133万円以下)なら、夫は配偶者特別控除を利用できます(正確には201.6万円未満)(ただし、夫の年収1,195万円以下の場合)。

配偶者特別控除は、厳密には「扶養に入っている」状態ではありませんが、夫の税金負担が減るという意味では、扶養に入っている状態とほぼ同じともいえます。

たとえば、妻が1~6月の半年だけ働いて、7月から、産休・育休に入った場合、月給30万円なら、30万円×6ヶ月=180万円で、年収201万円以下ですので、その年は、夫が配偶者特別控除を受けられます。

関連記事
配偶者 夫婦
配偶者控除と配偶者特別控除の違い|どちらがお得?【2025年版】
「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の控除の違いを図を使ってわかりやすく解説します。どちらの控除を受ければ良いのか、ス…[続きを読む]

2.育児休業給付金などは非課税なので、年収に含まれない

会社から給料は支払われていないけれど、育児休業給付金をもらっているので、年収になると誤解されている方はいないでしょうか?

育児休業給付金など、出産・産休・育休に関して支払われる給付金は、すべて非課税です。
次のような一時金・給付金が該当します。

  • 出産育児一時金
  • 出産手当金
  • 出生後休業支援給付金
  • 育児休業給付金

これらの一時金・給付金は、産休・育休中の人の生活を支えるためのお金ですので、社会政策上、所得税・住民税は非課税とされています。

関連記事
年末調整は産休・育休中でも必要?育休明けでも扶養に入れる?
育児休暇中や育休明けの年末調整はどうしたらいいのか、配偶者控除や生命保険料控除で節税する方法、育休中にもらうお金に税…[続きを読む]

3.妻が育休中の年末調整の書き方

妻が育休中で、扶養に入れる場合は、次の2つの書類に記入します。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(令和7年分・令和8年分)
  2. 給与所得者の基礎控除申告書(兼)給与所得者の配偶者控除等申告書(兼)給与所得者の特定親族特別控除申告書(兼)所得金額調整控除申告書

記入例をあげます。

(1)扶養控除等申告書

扶養控除等申告書は、令和7年分と令和8年分がありますので、それぞれ記入します。

妻の年収160万円(所得95万円)以下の場合、「A 源泉控除対象配偶者」欄に、記入します。

令和7年分

扶養控除等申告書 令和7年分

令和8年分

扶養控除等申告書 令和8年分

(2)配偶者控除等申告書

妻の年収201万6千未満(所得133万円以下)の場合、こちらの書類の右上の欄に記入します。

基礎控除申告書 令和7年分 配偶者控除

基本的には、配偶者の収入・所得金額を記入し、該当する欄の番号を記入します。配偶者控除または配偶者特別控除の金額を記入します。

基礎控除申告書 令和7年分 配偶者控除等申告書

さらに詳しい書き方は、こちらをご覧ください。

関連記事
配偶者控除
年末調整の配偶者控除・配偶者特別控除の書き方【令和7年分】
配偶者が専業主婦(主夫)であったり、パートやアルバイトなどで、給与収入が少ない方は、配偶者(特別)控除を受けると税金…[続きを読む]

4.保険料を夫が支払うとお得に

妻が育休中で、年収が激減した場合、妻は所得税がないか、またはあっても少ないことが多いです。すると、妻が保険料を支払っても、妻自身の所得税から控除することができません

そこで、妻が育休中で年収が少ない場合は、妻の保険料を、夫が代わりに支払うと、夫の生命保険料控除の対象になりますので、お得です。

夫が支払ったことを明確にするために、保険料の引き落とし口座を、一時的に、夫の口座に変更しておくと良いでしょう。

なお、法律婚だけが対象です。内縁の妻や、事実婚は含まれません。

(1)保険料控除申告書

夫が、妻の保険料を支払ったら、保険料控除申告書に記入します。

保険料控除申告書 令和7年分

保険料控除申告書は、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除などに分かれています。

生命保険料控除は、このように記入します。

保険料控除申告書 令和6年分

詳しい書き方は、こちらをご覧ください。

関連記事
保険料控除申告書 令和7年分
【令和7年分】年末調整の保険料控除申告書の書き方(記入例つき)
会社勤めの方は、保険料控除申告書を会社に提出することで、支払った保険料の一部を控除することができ、所得税が減税になり…[続きを読む]
監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
プロフィール この監修者の記事一覧
\この記事が役に立った方は是非シェアをお願いします/
  • Pocket