ボーナス・賞与の査定とは? いつ、どんなふうに評価されている?
私たちのボーナスの金額は、だれがどうやって決めているのでしょう? どんな基準で評価されているのでしょうか? この記事…[続きを読む]
毎月の給与とは別に支払われる特別な給与、「ボーナス」。賞与と呼ばれることも多いですね。ボーナスが支払われる会社にお勤めの方なら、毎年ボーナスの支給を楽しみにしていらっしゃるでしょう。
今回は、ボーナスの金額がどのように決まっているのか、世間ではどのくらいのボーナスが支払われているのか解説していきます。
目次
日本企業の慣習として、ボーナスは夏と冬の年2回支給されるケースが一般的です。しかし、企業によっては年1回や年3回以上ボーナスを支給する会社もあります。
なお、「ボーナスは必ず支給しなければならない」といった法律上の規定はありません。ボーナスを支給する旨が会社の就業規則に明記されている場合、会社はボーナスの支給義務を負いますが、その場合でも「業績によってはボーナスを支給しない」旨が就業規則に記載されていれば、会社はボーナスの支払義務を負いません。
参考までに、どの程度の会社がボーナスを支給しているのか見てみましょう。厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、2019年の夏季ボーナスは67.9%、冬季ボーナスは73.2%の会社で支給されています。
ボーナスの支給状況は会社の規模や業種によって大きく変わります。例えば2019年の冬季ボーナスで見てみると、従業員数が500人以上の会社では97.8%の会社がボーナスを支給しているのに対し、従業員数が5人~29人の会社では70.2%にとどまっています。
また、業種別では「複合サービス事業」が最も高く、97.3%の会社がボーナスを支給しています。一方最も低いのは「飲食サービス業等」で、53.8%の支給にとどまります。
ボーナスの金額は、一般的に基本給をベースとして計算されます。日本では従来「基本給の〇ヶ月分」「基本給の〇%分」といった基準を定めている企業が主流でしたが、業績連動型の基準を定める企業も近年増加しています。
なお、ボーナスの金額を「給料の〇ヶ月分」と言うことも多いですが、ボーナスの金額の元となるのはあくまで基本給です。基本給以外の諸手当は含めないこととなります。
ただし、ボーナスの支給額に法的な規制はありませんので、上記はあくまで一般的な基準です。実際のボーナスの金額は会社ごとの基準に従って計算されますので、全く異なる方法でボーナスの金額を決定する会社もあるでしょう。
他人のボーナスの金額は中々知ることができませんし、気になる方が多いのではないでしょうか?ここからはボーナス平均額の過去からの推移や、年代別のボーナスの金額、さらに、給料の何か月分のボーナスが一般的なのか、データを交えて解説します。
ボーナスの平均額が過去と比べてどのように変化しているのか、気になる方も多いことでしょう。
厚生労働省が実施している「毎月勤労統計調査」のデータを元に、過去20年間の平均ボーナス支給額の推移を5年単位で見てみましょう。
1990年代初頭のバブル崩壊から、ボーナスの平均額は下落を続け、2008年のリーマンショックを境にさらなる下落を見せています。ここ数年は徐々に回復傾向にありますが、新型コロナウィルスの影響もあり今後も厳しい状況が続と見られています。
なお、経団連の調査による大手企業の平均ボーナス支給額は、2019年の夏季が921,107円、2019年の冬季が951,411円と高い水準を保っており、冬季については過去最高の支給額となっています。
参考:日本経済団体連合会「春季労使交渉/賞与・一時金 妥結状況」
続いて、年代別のボーナスの支給額を見ていきましょう。データは厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」を参照しています。なお、表の金額は「1年間のボーナス合計額」です。
年齢 | 1年間のボーナス支給額 |
---|---|
~19歳 | 13万8600円 |
20~24歳 | 39万3300円 |
25~29歳 | 67万6400円 |
30~34歳 | 82万5600円 |
35~39歳 | 94万1900円 |
40~44歳 | 106万300円 |
45~49歳 | 119万3700円 |
50~54歳 | 128万7600円 |
60~64歳 | 64万3600円 |
65~69歳 | 33万3900円 |
70歳~ | 25万6600円 |
年齢別にボーナス支給額を見ていくと、10代が最も低く、50歳~54歳でピークを迎え、その後は減少しています。60代以降は定年退職後の再雇用などの影響からか、ボーナス支給額は大幅に減少します。
公務員にとってボーナスに当たるのが、勤勉手当と期末手当です。公務員のボーナスは民間企業のボーナス支給額と均衡させる必要があるため、人事院によって決定されます。
2019年の公務員のボーナスは、人事院の勧告で「年間で給与の4.5ヶ月分」と決定されました。具体的なボーナス平均額は下記のとおりです。
2019年国家公務員のボーナス平均額
なお、上記のボーナス平均額からは管理職のボーナスは除かれていますので、実際にはもっと平均額は高くなると思われます。
「民間と均衡を保つと言っておきながら、民間よりよっぽど高額じゃないか」と感じる方も多いでしょう。実は公務員のボーナスは民間企業のうち、大企業のボーナス支給額に高い比重を置いてボーナス支給額を決定しているのです。
公務員のボーナスが多いのか少ないのかという問題は、人によって意見が分かれるところもあるのではないでしょうか。
国家公務員の2019年のボーナスは年間4.5か月分でしたが、民間企業のボーナスは給料の何か月分が平均なのでしょうか?こちらも厚生労働省による「毎月勤労統計調査」を参考に、2019年の従業員数別のボーナス平均額から探っていきます。
従業員数 | 夏季賞与 | 冬季賞与 | 合計額 |
5人~29人 | 261,268円 | 273,076円 | 534,344円 |
30人~99人 | 331,267円 | 350,683円 | 681,950円 |
100人~499人 | 431,227円 | 447,375円 | 878,602円 |
500人以上 | 653,688円 | 639,294円 | 1,292,982円 |
そもそもボーナスの計算の基準となる基本給の金額が正確には分からないため一概には言えませんが、上記の表を見ると概ね「中小企業は年間で給料の2~3か月分」「大企業は年間で給料の4~5か月分」と言えそうです。
気になるボーナスの金額はどのように決まるでしょうか。「誰が」「どのような基準で」といった部分について詳細に解説します。
気になる「ボーナスの金額は誰が決めてきるのか」という点ですが、これは会社によって異なります。
ただし、大企業では人事考課によりボーナスの金額が決定されることが一般的です。人事考課とは、人事部長や各部署の管理職により行われる会議のことで、ここで査定が行われます。
一方中小企業などでは、査定方法は会社の慣習等により様々なケースが考えられます。直属の上司による評価が大きなウェイトを占める会社もあるでしょうし、社長による独断で決定されるケースもあるでしょう。
ボーナスの金額は会社ごとに査定方法は異なります。ただし、一般的には次のいずれかの方法で決定されると言えるでしょう。
また、個々人のボーナス査定項目としては、基本的に下記が挙げられます。
ボーナスの「査定方法」「査定基準」「査定時期」など、ボーナス査定については下記の記事で詳しく解説していますのでよろしければ併せてご覧ください。
いかがでしたでしょうか。今回は「ボーナスの金額が平均いくらくらいなのか」「だれがどうやって決めている金額なのか」をお伝えしました。最後に、ボーナスの「額面」と「手取り額」の違いについてお話しします。
皆さんのお給料からは、毎月税金や社会保険料が天引きされていますね。賞与も同じで、額面の金額から所得税と社会保険料を引いた金額が支払われます。この金額が手取り額です。
賞与の金額が聞いていたより少ない! と感じられた方は以下の記事で「社会保険料の天引き」「所得税の天引き」について、基礎から計算の仕方まで詳しく説明していますので是非ご覧くださいね。