【2024年版】ボーナス・賞与の社会保険料の計算方法
ボーナス・賞与からも社会保険料が引かれますが、引かれない場合もあります。ボーナス・賞与から天引きされる社会保険料とそ…[続きを読む]
夏と冬のボーナス支給は、会社員・公務員にとって大きな収入です。お勤めをされている皆さんの中には心待ちにされている方も多いでしょう。
この記事では、ボーナス・賞与にかかる税金についてわかりやすく解説していきます。
について疑問をお持ちの方はぜひ、最後までお読みください。
目次
ボーナス・賞与から引かれているのはどんな税金なのでしょうか。答えは「所得税」です。
所得税は個人の所得にかかる税金で、毎月の給与からも天引きされています。賞与明細の「源泉所得税」「所得税」という欄に記載されている金額が天引きされた所得税額です。
賞与から引かれる所得税額は下記の式で計算できます。
所得税額 = 課税対象額 × 所得税率
賞与について所得税の課税対象となる金額は、賞与の額面金額から社会保険料を差し引いた金額です。
つまり、こういう式になります。
所得税額 = (額面金額-社会保険料) × 所得税率
賞与にかかる所得税の税率は国税庁作成の一覧表を見て調べます。
賞与の額面ではなくて「前月の給与から社会保険料を差し引いた額」と「扶養家族の数」で税率が決まります。
一覧表の一部を抜粋して、扶養家族が1人もいない場合の所得税率を見てみましょう。
前月の給与 (社会保険料差引後) |
賞与の所得税率 |
---|---|
68,000円未満 | 0% |
68,000円~78,999円 | 2.042% |
79,000円~251,999円 | 4.084% |
252,000円~299,999円 | 6.126% |
~中略~ | |
3,495,000円以上 | 45.945% |
このように、前月の給与から社会保険料を差し引いた金額が上がっていくほど賞与にかかる所得税率は高くなっていきます。
また、上記の表は扶養家族が0人の場合の所得税率を抜粋していますが、扶養家族が多いほど税率は下がります。
では実際に、所得税率を用いて賞与から天引きされる所得税額を計算してみましょう。下記のケースの場合、所得税額がいくらになるか、皆さんお分かりになりますか?(2024年6月時点の税率・保険料率で計算しています。)
先ほどの所得税率の表を参照すると、このケースの所得税率は6.126%だとわかります。
また賞与の額面金額50万円の場合、賞与から引かれる社会保険料は次のようになります。
したがって賞与から引かれる所得税額は次のように計算されます。
ということで、このケースでは26,115円の所得税額が賞与から天引きされます。なお、実際の手取り額からは社会保険料も引かれます。社会保険料については下記の記事で解説していますのでぜひ併せてご覧になってくださいね。
ここまで所得税についてお話してきましたが、「賞与から住民税は引かれないのか」疑問に思われた方もいるかもしれません。
住民税は所得税と同じく毎月の給与から天引きされる税金です。ですが所得税と違って住民税は賞与から天引きされることはありません。
その年分の住民税は「前年の所得」を元として計算されます。そして、その年分の住民税の総額を12分割した金額が、毎月の給与から天引きされる仕組みになっているのです。
要するに、毎月の給与から引かれている住民税で住民税の支払いは完結する(賞与から引かれることはない)と考えてしまってOKです。
「ボーナスにかかる税金が高い」「昔より賞与の税金が高くなった」と感じる方もいるようです。実際にはどうなのでしょうか?
先ほどの事例(前月給与28万/扶養家族なし)では、現行の所得税率は6.126%でしたね。
同じ条件で平成20年の所得税率を確認してみると、所得税率は8%となります。給与金額によっては負担が増加している部分もあるため一概には言えませんが、必ずしも所得税の負担が増加したとは言えないことが分かると思います。
ボーナスから引かれる税金が高いと感じてしまうことの理由としては、社会保険料があわせて引かれていることが関係しているのでしょう。事実、賞与から引かれる金額としては、所得税より社会保険料の方が大きいのです。
先ほど賞与の所得税額の具体例として挙げたケースを元に、所得税額と社会保険料の金額を計算してみましょう。なお、勤務地は東京都と仮定します。
詳しい計算過程は省きますが、このケースで引かれる所得税額と社会保険料額は下記の通りとなります。
賞与から引かれる社会保険料の合計額は73,700円となり、所得税額の倍以上の金額を負担していることとなります。「賞与の額面金額と手取り額の差が大きすぎる」と感じた方は、社会保険料の方が大きく関係していると思われます。
【関連記事】賞与にかかる社会保険料とは
【関連記事】賞与の手取り額の計算方法
夏のボーナスより、冬のボーナスのほうが所得税が高いと感じている人は多いでしょう。
夏と冬の賞与・ボーナスで、所得税の計算方法に違いはありません。所得税の金額に違いがあるとしたら、
のどちらかでしょう。
夏のボーナスが支給される月の前月(5月・6月)よりも、冬のボーナスが支給される月の前月(11月)のほうが、年度末が近づいていて、残業をたくさんして、一時的に給与が増える傾向にあるかもしれません。
仮に、冬のボーナスで所得税が高かったとしても、年末調整をすれば、払いすぎた分は戻ってきますので、ご心配は不要です。
昔は賞与から税金が天引きされていなかったという話を聞いたことはありませんか? 「昔は良かった」といったニュアンスの話を上司から聞かされたことがある方もいるかもしれません。
実はその認識は誤りです。賞与に対する課税のはじまりは1920年なので、「ボーナスに対して課税されなかった」という経験を持っている現役の会社員はいないでしょう。
ただし、その話が全くのデタラメとも言い切れません。おそらくは社会保険料と勘違いしているのでしょう。
事実、1995年から「特別保険料」という名目で保険料が徴収される以前は、ボーナスから社会保険料は引かれていませんでした。また、特別保険料の本人負担分は0.5%と非常に低かったため、「昔は税金の負担が少なかった」と感じる方も多いのは当然です。
ただしこのような制度では、毎月の給与額を抑えてボーナスを高額にするという手法で、社会保険料の金額を簡単に節約することができてしまいます。こういった経緯で2003年から現在の方式で社会保険料が引かれることとなりました。
まとめると、「100年前から賞与には税金がかかっている」「社会保険料の負担は2003年までは非常に軽かった」というのが事実です。
ボーナスから引かれる所得税や社会保険料の負担をなんとか減らす方法がないか考えている方もいるかもしれません。なかなか難しい問題ですが、考えられる方法を解説します。
先ほど解説したように、賞与の税金の計算に使用する所得税率は、「前月の給与から社会保険料を差し引いた金額」が元になります。要するに、「前月の給与から社会保険料を差し引いた金額」が低い方が賞与にかかる税金の金額が安くなるということです。
ちなみに、税率が変わる境目の金額(一部)は下記の通りです。
上記のように、「前月の給与から社会保険料を差し引いた金額」が税率が変わる境目付近である場合、たった1円の違いでも賞与から引かれる所得税の金額に大きな差が生じる可能性があります。
基本給の額は自由に操作できるものではないでしょうが、残業手当など多少融通の利く諸手当の金額を抑えることができるのであれば、賞与から引かれる税金の金額を節約することができるかもしれません。
ただし、この方法はあくまで一時的な手法です。「直近の賞与の手取り額を増やしたい」という方には効果があるかもしれませんが、年間通して見れば節税の効果は薄いので注意してください。
賞与から引かれる税金がいくら高くても、あくまでその金額は概算の所得税額です。なぜなら、正確な所得税額はその人の1年間の給与所得が確定しなければ計算できないためです。
会社員の場合、ほとんどの人は年末調整で1年間の給与所得が確定し、正確な所得税額が算出されます。そして年末調整が完了すると、毎月の給与や賞与から引かれた税金のうち、過大に引かれた税金が還付されるという流れです。
(1)で解説した手法は「1年間の給与所得」という観点で見るとほとんど差が生じないため、年間の所得税額を抑える効果は薄いのです。また、賞与から引かれた所得税額が少ないということは、年末調整の際の還付金の額が減ることになります。稀なケースではありますが、年末調整で追加の所得税を引かれる可能性もあります。
したがって、本当の意味で節税を考えるのであれば(1)のようなやり方ではなく、年末調整で利用できる控除の金額を増やすことが最も簡単な節税手法と言えるでしょう。
年間単位での所得税額を減らしたいのであれば、控除の金額を増やすことが最も正攻法の節税手法です。一般的な生命保険や介護保険、個人年金保険、地震保険等に加入している場合は保険料控除を適用することができます。現在加入している保険については忘れず、確実に控除の申請を行いましょう。
また、掛金次第ではiDeCoに加入することで大きな節税効果を得ることができます。まだ控除を最大限利用していない方は活用を検討してみてください。
いかがでしたでしょうか。今回は「賞与にかかっている税金」について解説いたしました。最後に、今回の記事のポイントをおさらいしましょう。
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