2025年(令和7年)所得税・住民税改正、基礎控除・給与所得控除など
2025年(令和7年)は所得税・住民税に大きな改正があります。基礎控除の金額や、給与所得控除の最低ラインの金額などが…[続きを読む]
所得税の改正により、2025年の年末調整の書類から「特定扶養親族」「特定親族」という用語が登場します。似ていますが、実は、まったく違うものです。
これを間違えると、扶養控除をまったく受けられなくなる可能性がありますので、非常に要注意です。
「特定扶養親族」と「特定親族」の違い、控除額や年末調整の方法などを、図を使ってわかりやすく解説します。
目次
2025年の年末調整や確定申告から、「特定扶養親族」「特定親族」というチェック欄が登場します。子供を扶養している人は、正確に理解することが必要です。
「特定扶養親族」とは、12月31日時点での年齢が19歳から22歳までの扶養親族(子供)のことです。
ここで、「扶養親族」とは、年収123万円(所得58万円)以下の、扶養している親族(親、子供など)のことです。配偶者は含みません(配偶者は別の扱いで、扶養となります)。扶養親族がいる場合、「扶養控除」を受けられます。
扶養親族のうち、年齢が19歳~22歳の場合を「特定扶養親族」と呼んでいます。
通常、扶養控除の控除額は38万円ですが、特定扶養親族の場合の控除額は63万円となります。これを「特別扶養控除」と呼んでいます。
年齢が19歳~22歳の場合は、通常、大学や高等専門学校・専門学校などに在籍していて、学生であることが多く、その子供を扶養している親(扶養者)に多くの経済的な負担がかかるため、控除額が大きくなっています。
扶養親族について、さらに細かい条件など、詳細は、別の記事「扶養控除の対象となる扶養家族とは?」をご覧ください。
2024年まで、扶養親族となるための年収の壁(年収条件)は、年収103万円(所得48万円)でした。
それが、所得税改正で、2025年から、年収の壁が、123万円(所得58万円)に引き上げられました。
給与所得控除が55万円→65万円に10万円アップ、所得条件が48万円→58万円に10万円アップしたので、合計で20万円アップしました。
所得税改正で、2025年から「特定親族」という用語が登場します。
「特定親族」とは、12月31日時点での年齢が19歳から22歳までであり、かつ、年収123万円(所得58万円)超~年収188万円(所得123万円)以下の、親族(子供)のことです。
要するに、「特定扶養親族」と「特定親族」の違いは、その親族(子供)の年収(所得)です。どちらも、12月31日時点の年齢が19~22歳という点は同じです。
区分 | 年収 | 所得 |
---|---|---|
特定扶養親族 | 123万円以下 | 58万円以下 |
特定親族 | 123万円超~188万円以下 | 58万円超~123万円以下 |
2024年までは、年収の壁を超えると、扶養控除をまったく受けられませんでしたが、2025年(令和7年)からは、通常の年収の壁(123万円)を超えても、控除を受けられるようになりました。ただし、これは別の制度です。
これ、非常に超重要なため、強調しすぎるほど強調していますが、本当に重要です。
「特定親族」という用語をよく見ると「扶養」という言葉が入っていないですよね。つまり、特定親族は、扶養親族ではないのです。
扶養親族であるか、そうでないかの区別は、非常に重要です。
扶養控除だけでなく、「所得金額調整控除」にも影響を及ぼします。また、住民税非課税となる収入基準の計算や、給付金や支給の有無、自治体独自の各種支援政策、奨学金の要件などにも影響してきます。
よく「扶養に入る」「扶養にする」という言い方をしますが、その扶養の条件は、あくまでも、「年収123万円以下(所得58万円以下)」です。
「扶養に入れる年収の壁が150万円にアップした」と考えていると、いろいろなところで、申請を間違えたりして大変なことになりますので、要注意です。
2025年から「特定親族」が新たに登場したのに伴い、「特定親族特別控除」という新しい控除の制度も登場しました。
「特定親族特別控除」とは、特定親族に対して適用される控除です。「特別」といういう名称が入っていますが、まさに特別に創設された制度です。
控除額は、その親族(子供)の年収によって異なり、3万円~63万円の範囲です。
特定親族(子供)の年収が、150万円以下までは、控除額は63万円です。これは、年収が123万円以下のときの「特定扶養控除」と同じ金額です。
特定親族(子供)の年収が、150万円を超えて188万円以下までは、3万円~61万円の範囲で、段階的に減ります(控除額については、後で詳しく解説します)。
年収 | 控除額 | 備考 |
---|---|---|
123万円超~150万円以下 | 63万円 | 特定扶養控除と同額 |
150万円超~188万円以下 | 3万円~61万円 | 控除額は段階的に減る |
ここで、超重要ですが、「扶養控除」と「特定親族特別控除」は、条件も金額も似ていますが、まったく別のものです。
「扶養控除」は年収123万円以下の「扶養親族」に対して適用されるもの、一方、「特定親族特別控除」は、年収123万円超~188万円以下の「特定親族」に対して適用されるものです。
控除の名称 | 適用対象 | 年収条件 |
---|---|---|
扶養控除 | 扶養親族 (特定扶養親族を含む) |
123万円以下 |
特定親族特別控除 | 特定親族 | 123万円超~188万円以下 |
ややこしいため、ここまでの内容を図で整理します。
さきほども触れましたが、「年収の壁が150万円にアップしたので、扶養控除が受けられるようになった」と考えていると、大変な目にあいますので要注意です。
つまり、親族(子供)の年収が123万円を超えた時点で、「扶養控除」は受けられません。その代わりに、「特定親族特別控除」を特別に受けられるのです。
年末調整や確定申告で記入する欄も、まったく違います。ここは、税務署や国税庁から、ちゃんと周知してほしいと思いますね!
「特定扶養親族」と「特定親族」の違い、「扶養控除」と「特定親族特別控除」の違いを理解していただいたところで、さらに、もう一つ、難解な用語「源泉控除対象親族」について理解してもらう必要があります。これも正しく理解しておかないと、年末調整や確定申告で間違えます。
「源泉控除対象親族」とは、次の範囲の親族のことです。
文章だけでは、もはや意味不明ですので、下の図をご覧ください。赤く囲った範囲が、源泉控除対象親族です。
扶養親族(子供)が、この「源泉控除対象親族」に該当する場合には、年末調整や確定申告で、「源泉控除対象親族」の欄に記入します。
ここまで、登場した用語を簡単に整理してみました。どれも超重要で、正しく理解していないと、記入を間違えます。
これは、ネーミングがややこしすぎないでしょうか・・・?
あまりにもややこしいため、今回の年末調整や確定申告では、間違える人が続出しそうです。国は、間違える人を増やして混乱させたいのかもしれません。2025年以降は、従業員も会社も税務署も、みんな大変そうですね。
「源泉控除対象親族」の意味合いについて、簡単に説明します。
毎月、給与が支給される際に、「源泉徴収」という形で、所得税が引かれます。そのとき、扶養親族がいる場合は、その分も考慮して、引かれる金額が少なくなります。
年収123万円(所得58万円)を超えた親族(子供)は扶養親族ではないのですが、年収165万円以下(所得100万円)であれば、源泉徴収をするうえでは扶養親族と扱って1人分としてカウントします。
ただし、源泉徴収で引かれる所得税は仮の税額ですので、実際の税額は、年末調整で調整します。
源泉徴収は会社側で行いますので、従業員の方は、特に意識する必要はありませんが、オススメ情報を記載しておきます。
子供の年収が165万円を超えそうな見込みはあるものの、確実であるとまでいえない場合には、いったん、年収165万円以下と見積もって、「源泉控除対象親族」の欄に記入しておくと良いでしょう。
すると、扶養親族が1人分増えますので、毎月、引かれる所得税は少なくなります。
最終的は、子供の年収が165万円を超えていたら、年末調整や確定申告で調整して、追加で税金を払うことになりますが、先に払うより、後で払うほうが、いくらか有利になります。
今はインフレの時代ですので、少しでも手元にお金を持っておき、定期預金なり投資で増やしたほうがお得です。
「特定扶養控除」、つまり、年齢19~22歳で、年収123万円(所得58万円)以下の親族(子供)に適用される控除の控除額は、63万円です。これは、以前と同じで変わりません。
参考までに、住民税も合わせて表で記載しておきます。
特定扶養親族の給与年収 ()内は合計所得金額 |
控除額 | |
---|---|---|
所得税 | 住民税 | |
123万円以下 (58万円以下) |
63万円 | 45万円 |
「特定親族特別控除」、つまり、年齢19~22歳で、年収123万円(所得58万円)超~年収188万円(所得123万円)以下の親族(子供)に適用される控除の控除額は、年収によって異なります。
年収150万円(所得85万円)までは、63万円です。それを超えると、控除額は段階的に少しずつ減ります。
所得税・住民税の両方の控除額を表にしておきます。
特定扶養親族の給与年収 ()内は合計所得金額 |
控除額 | |
---|---|---|
所得税 | 住民税 | |
123万円超~150万円以下 (58万円超~85万円以下) |
63万円 | 45万円 |
150万円超~155万円以下 (85万円超~90万円以下) |
61万円 | 45万円 |
155万円超~160万円以下 (90万円超~95万円以下) |
51万円 | 45万円 |
160万円超~165万円以下 (95万円超~100万円以下) |
41万円 | 41万円 |
165万円超~170万円以下 (100万円超~105万円以下) |
31万円 | 31万円 |
170万円超~175万円以下 (105万円超~110万円以下) |
21万円 | 21万円 |
175万円超~180万円以下 (110万円超~115万円以下) |
11万円 | 11万円 |
180万円超~185万円以下 (115万円超~120万円以下) |
6万円 | 6万円 |
185万円超~188万円以下 (120万円超~123万円以下) |
3万円 | 3万円 |
188万円超~ (123万円超~) |
0円 | 0円 |
※住民税の扶養控除額が変更されるのは2026年(令和8年)の支払いからです。
年末調整での特定扶養親族・特定親族の申請をするには、勤務先から配布される次の2つの書類に記入して提出します。
令和7年分と令和8年分で、記入する親族の範囲が違いますので、要注意です。
「B 控除対象扶養親族」欄に記入します。
ここに、記入するのは、「控除対象扶養親族」です。つまり、16歳以上で、かつ、年収123万円以下(所得58万円以下)の子供です。
(年収123万円を超える「特定親族」は、ここには記入しません。)
図を再掲しておきます。
書き方の詳細は、「【令和7年分】給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方(記入例つき)」をご覧ください。
「B 源泉控除対象親族」欄に記入します。
ここに、記入するのは、「源泉控除対象親族」です。つまり、以下に当てはまる範囲の親族のことです。
下の記入例では「税金 次郎」さんが、特定親族、かつ、源泉控除対象親族に該当します(所得90万円=年収155万円)。
書き方の詳細は、「【令和8年分】給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方(記入例つき)」をご覧ください。
扶養にしている子供がアルバイト・パートをしている場合は、その所得の見込み金額を記入します。
収入金額では所得金額を記入します。所得は次のように計算します(ただし、給与収入190万円以下の場合)。
扶養控除等申告書を記入するときは、まだ、その年が終わっていないはずですので、だいたいの見込み金額を記入すればOKです。
ただし、見込みよりも増減して、年収123万円(所得58万円)または、年収165万円(所得100万円)のラインをまたいだ場合には修正が必要です。翌年になってしまうと、会社も締め切ってしまっていることが多いですので、その場合は自分で確定申告をして修正が必要です。
特定親族がいる場合には、「特定親族特別控除申告書」にも記入が必要です。
この書類は「給与所得者の基礎控除申告書(兼)給与所得者の配偶者控除等申告書(兼)給与所得者の特別親族特別控除申告書(兼)所得金額調整控除申告書」という非常に長い名称の書類の一部です。
こちらの欄に記入します。その際、合計所得金額の見積額と、控除額も合わせて記入します。
控除額の早見表を参照して、間違えないように記入します。
一般的には「大学生の年収の壁」などと言われていますが、大学生であるかどうかは関係ありません。
特定扶養親族・特定親族に該当するか条件は、12月31日時点で、19歳以上22歳以下であることです。
年齢で決まりますので、大学生でなくても、その年齢であれば、特定扶養親族・特定親族になります。
逆に、大学生であっても、早生まれの大学1年生とかで18歳以下であれば対象になりません(ただし、1月1日生まれは、12月31日時点で19歳になったとカウントするので対象)。
また、23歳以上の大学院生や、浪人・留年をしている23歳以上の大学生も対象外です。
A.年末調整の書類を記入する時点では、まだ年収が確定していませんので、あくまでも、見積額(予想する金額)を記入します。
そのうえで、もし、実際の年収が記入した内容と異なるとき(年収が123万円を超えた、逆に、123万円以下になったとき)は、翌年に確定申告をします。
A.所得税・住民税では、年収の計算に交通費(通勤手当)は含まれません。
しかし、それ以外の、皆勤手当、家族手当、特別手当、賞与(ボーナス)などは、年収の計算に含まれます。
A.令和7年分の扶養控除等申告書の場合は、修正が必要です。会社に通知して、年末調整の修正が可能であれば修正します。すでに締め切っていて、修正が不可能であれば、翌年に、正しい内容で確定申告をします。
令和8年分の扶養控除等申告書の場合、子供の年収が165万円以下の見込みでであれば、もともと「源泉控除対象親族」の欄に記入しますので、問題ありません。もし、確実に年収が165万円を超えることが判明しているのであれば、扶養控除等申告書を会社に再提出します。