【令和2年版】年末調整の扶養控除とは?子供や親の要注意ケース

年末調整の時期に「扶養控除」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。

扶養控除とは、扶養している家族がいる場合、所得税や住民税を軽減できる制度です。
状況により軽減できる金額が異なるため、正確に理解して申請したいところです。

ここでは、まず、扶養控除の仕組みや手続きについてご紹介します。
また、子供や親がいる場合の要注意ケースや、「あれ、こういうときどうなるんだろう?」という、疑問になりそうなパターンをいくつか解説します。

1.扶養控除とは?

1-1.扶養控除の概要

子供や両親などを扶養する(養う)場合、独身者(扶養家族がいない人)よりも生活費や教育費などの経済的負担が多くなります。

扶養控除とは、家族を扶養することによる経済的負担を軽くする目的で作られた制度です。
扶養控除の適用を受けることにより、大幅に所得税と住民税の金額を減らすことができます

例えば、年収600万円の場合、扶養家族がいない人よりも、扶養家族が2人いる人のほうが、扶養控除により所得税と住民税を合わせて143,600円も納税額が少なくなります。

例:給与収入600万円の人の場合

・独身者(扶養家族なし)
所得税208,300円+住民税309,000円=合計517,300円

・扶養家族がいる場合(一般扶養控除の対象になる子2人)
所得税130,700円+住民税243,000円=合計373,700円

※社会保険料控除は14.385%で計算

1-2.扶養控除の控除額

扶養控除は、扶養家族の年齢によって5つに区分され、所得税と住民税の扶養控除額が異なります。

扶養親族の年齢 扶養親族の区分 所得税の控除額 住民税の控除額
0歳~16歳未満 年少扶養親族 0円 0円
16歳以上~19歳未満 一般扶養親族 38万円 33万円
19歳以上~23歳未満 特定扶養親族 63万円 45万円
23歳以上~70歳未満 一般扶養親族 38万円 33万円
70歳以上(同居) 老人扶養親族
(同居老親等)
58万円 45万円
70歳以上(その他) 老人扶養親族
(その他)
48万円 38万円

  
0歳から16歳未満の子どもを扶養している場合には「年少扶養親族」に該当し、所得税と住民税の扶養控除を受けることができません。
16歳未満の児童に対して月額1万円~1万5千円の「子ども手当(児童手当)」が支給されているためです。

注:控除される金額がそのまま減税されるのではありません。控除金額に税率をかけた分が減税されます。
計算方法の詳細は、「簡単にできる所得税の計算」をご覧ください。

2.扶養控除の対象となる親族とは

扶養控除の対象になる扶養親族には要件があります。
年末調整をする年の12月31日時点で次の3つの条件を全て満たす場合に扶養控除の対象になります。

  • ①その年の12月31日時点で16歳以上の6親等内の血族及び3親等内の姻族であること
  • ②年間の合計所得金額が48万円 (令和元年までは38万円) 以下であること
  • ③扶養する人と生計を一にしていること

※個人事業主の場合、青色申告専従者での給料の支払いを受けていないこと。または白色申告専従者でないことが要件に追加されます。

2-1.条件①6親等内の血族及び3親等内の姻族

扶養控除の対象になる親族は「6親等内の血族及び3親等内の姻族」です。血族とは、本人の血縁関係にあたる人のことをいい、姻族とは本人の血族の配偶者と配偶者の血族の人をいいます。

6親等内の血族の範囲はとても広いため血縁関係者であれば、ほとんどの方が該当します。
例えば、少し遠い血縁関係である「いとこ」は「4親等の血族」となります。そのため「いとこの子」は5親等の血族、「いとこの孫」は6親等の血族です。

一方、3親等内の姻族の範囲は決して広くはありません。配偶者の両親、祖父母、曽祖父母、兄弟姉妹、甥姪が3親等内の姻族になります。

2-2.条件②合計所得金額が48万円以下

扶養控除には、所得要件があります。
扶養対象の人の年間の合計所得額が48万円以内の場合に扶養控除の適用が受けられ、48万円を超える場合は扶養控除の対象になりません。

ここでのポイントは、「合計所得」で判断することです。
扶養控除を受けられない主なケースは、子供や親がパートやアルバイトして所得が48万円を超えてしまうケースです。

所得とは、収入から経費を差し引いた金額をいい、パートやアルバイトの給与収入のように経費がない収入には概算で経費を見積もる「給与所得控除」があります。
給与所得控除の最低額は55万円のため、扶養の所得制限48万円と給与所得控除額55万円を合計した年間103万円までの給与収入であれば、扶養控除の所得要件に該当します

扶養親族の所得要件は、令和元年まで38万円でしたが、令和2年より10万円引き上げられ48万円になりました。
しかし、給与所得控除が65万円から55万円へ10万円引き下げられましたので、給与収入ベースで103万円までの所得要件は変わっていません。

2-3.条件③扶養する人と生計を一にしていること

「扶養する人と生計を一にしていること」とは、簡単に言うと「同じ財布で生活している」ということです。

よく同居と勘違いされることがありますが、同居していない場合でも、生計を共にしていれば扶養控除の適用を受けられます。
以下のようなケースでは、別居の場合でも扶養控除の適用を受けられます。

  • 子どもが遠方の大学に通うため一人暮らしをしており、親が生活費の仕送りをしている場合
  • 夫が単身赴任で生活しており、妻と子どもに生活費の仕送りをしている場合
  • 別居をしている両親に生活費の仕送りをしている場合

なお、配偶者は、扶養控除ではなく、「配偶者控除」または「配偶者特別控除」の対象となります。

3.扶養控除の手続き

年末調整での扶養控除の手続きは、勤め先から配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に扶養親族の氏名・住所・マイナンバーを記入し、勤め先に提出することで扶養控除の適用を受けることができます。

下記は記入例(申告書の一部抜粋)です。
書き方の詳細は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方(記入例つき)」をご覧ください。

令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 記入例

本人と扶養家族のマイナンバーを記入するため、紛失や漏えいに十分注意して取扱いを行いましょう。勤め先へ提出する時は、マイナンバー担当者に直接渡すようにしましょう。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、令和2年の年末調整より電子申告(インターネットを利用した手続き)にも対応します。勤め先から電子申告を求められる場合もありますので、会社の指示に従って手続きを行いましょう。

扶養親族が海外にいる場合

海外留学などで1年以上国内にいない扶養親族を「国外居住親族」といいます。
国外居住親族を扶養親族にするためには、親族であることを証明する「親族関係書類」と、生活費を工面していることが分かる「送金関係書類」を勤め先に提出する必要があります。

国内にいる扶養親族については、国外居住親族のような規定はないため親族関係書類や送金関係書類の提出は必要ありません。

4.こんな場合、扶養控除の申告を忘れずに

冒頭でご紹介したとおり、扶養控除は所得税と住民税の税額に大きな影響を与えます。年末調整の時には間違えないように申告することが重要です。

次のようなケースでは、扶養控除の申告を忘れてしまう可能性がありますので、ご注意ください。

①子どもが書類記入時点では15歳でも12月31日時点では16歳になる場合

扶養控除の対象になるかどうかは、その年の12月31日の現況で判断することになります。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記入時点では子どもが15歳の場合であっても、その年の12月31日までに誕生日を迎え、16歳になる場合は扶養控除の対象になります。

②年金収入が150万円の別居の親(65歳超)の生活費や療養費を支払っている場合

年金収入の所得の計算は、給与収入と異なります。

65歳未満の場合は、公的年金等控除額の最低額が60万円になり、それに基礎控除額の48万円を加算すると、108万円以下の年金収入であれば扶養控除の要件に該当します。
65歳超の場合は、公的年金等控除額が増え最低額が110万円になります。基礎控除48万円を加算すると、158万円以下の年金収入であれば扶養控除の要件に該当します。

年金収入が150万円の場合、65歳超の扶養控除の要件に該当します。
実際に別居の親へ生活費や療養費の仕送りを行っている場合は「生計を一」の要件も満たすため「老人扶養親族(その他)」に該当し、扶養控除の対象になります。

③弟(別居)が病気で働けないので、弟とその子(甥)のために経済的に支援している

別居していても生活費を支援している6親等内の血族は扶養親族になることができるため、この場合、弟とその子(甥)を扶養親族にすることができます。

5.よくある質問

Q.年の途中で子どもが就職した場合は?

A. 扶養親族は12月31日時点の状況で判断します。年始の時点では学生で扶養していたとしても、たとえば4月に就職して、その年の給与収入が103万円を超えていたら扶養から外れますので、扶養控除の対象にはなりません。

Q.子どものバイト収入が103万円をちょっと超えてしまったら?

A.給与収入で103万円を1円でも超えてしまった場合は扶養控除が受けられません。子どもにパートやアルバイトなどの収入がある場合は、前もって子どもとよく話し、扶養親族にする/しないのどちらが有利かを考え、計画を立てると良いでしょう。

Q.1月1日生まれの子どもはどうなりますか?

A.子どもが1月1日生まれの場合は、特殊な年齢の考え方が必要になります。例えば、令和2年の申告で扶養控除を受けられる年齢(16歳以上)は「平成17年1月1日以前生まれ」になります。つまり、平成17年1月1日生まれの人も対象になることになります。通常、扶養親族の状況は12月31日の現況により判断しますが、1月1日が誕生日の場合は12月31日の24時をもって16歳になると判断することになります。

Q.再婚した配偶者の連れ子も対象になりますか?

A.連れ子と養子縁組を行えば実子として扶養控除の要件を満たします。養子縁組を行っていない場合でも、配偶者の子のため姻族として扶養控除の要件を満たすことになります。

Q.年末調整後に扶養から外れた、または扶養に入った場合は?

A.年末調整後に家族の所得が超過していることが分かり扶養から外れることになった場合は、勤め先に報告し年末調整のやり直しを行ってもらい、所得税の納税不足になった金額が徴収されます。

一方、婚姻などにより扶養が増えた場合には勤め先に報告し、年末調整のやり直しをすることができます。扶養が増えた場合は義務的に年末調整のやり直しが必要なわけではなく、確定申告により還付請求を行うこともできます。

Q.年の途中で亡くなった親を扶養していた場合は?

A.1月1日から亡くなる日まで扶養していたことになるため、扶養親族にすることができます。1月1日に亡くなった場合でも12月31日に亡くなった場合でも扶養控除額に変更はありません。

Q.兄弟二人で実家の親の生活費を送金している場合は対象になりますか?

A.兄弟のうちどちらか片方だけが、親を扶養親族とすることができます。仮に兄弟二人が親を扶養親族として申告した場合は、早く申告したほうが優先されます。ただし、どちらが早く申告したか不明な場合には、所得が多いほうの扶養親族となります。

Q.遺族厚生年金120万円を受給している親は対象になりますか?

A.遺族厚生年金は、非課税ですので、金額がいくらであったとしても所得はゼロとなります。そのため、他に収入がなければ、その親は扶養控除の対象となります。

Q.海外に住んでいる親族も対象になりますか?

A.海外に1年以上住んでいる親族は「国外居住親族」になります。生活費などを支援している場合は、扶養親族になります。ただし、親族関係書類や送金関係書類の提出が必要になります。

まとめ

年末調整において、下記の条件にすべて該当する場合は、扶養控除の対象になりますので、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に漏れなく記入して勤務先に提出するようにしましょう。

  • ①その年の12月31日時点で16歳以上の6親等内の血族及び3親等内の姻族であること
  • ②年間の合計所得金額が48万円 以下であること
  • ③扶養する人と生計を共にしていること

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