特定扶養控除(特定扶養親族)とは?控除額、年末調整の方法

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・特定扶養控除を受ける場合の、子供の年収の条件が103万円から150万円に引き上げられます。また、年収150万円~年収188万円以下の範囲では、減額された特別な扶養控除を受けられます。詳しくはこちら(2025/2/12)

年末調整の書類を書いていると、「特定扶養控除/特定扶養親族」という用語が出てきて、何のことか疑問に思うかもしれません。

簡単にいうと、「特定扶養親族」とは、19歳から22歳までの、扶養している子供のことです。この年齢の子供は、控除額が高くなります。

特定扶養親族がいるといくら節税できるのか、控除額や年末調整の方法などを、わかりやすく解説します。

1.特定扶養親族とは?

「扶養親族」とは、その名のとおり、扶養している親族のことで、年収123万円(所得58万円)以下の人のことです。

2025年から年収条件が、103万円→123万円に引き上げられました。

扶養親族がいると、年末調整や確定申告で扶養控除を受けられます。

そのうち、12月31日時点での年齢が19歳から22歳までの親族を、「特定扶養親族」といいます。特定扶養親族がいると、控除額が高くなり節税になります。その金額が高くなる扶養控除のことを特別に「特定扶養控除」と呼びます。

扶養親族の細かい条件については、別の記事「扶養控除の対象となる扶養家族とは?」をご覧ください。

年齢は12月31日時点、1月1日生まれは少し特殊

年齢は、12月31日時点で判断します。年末調整の書類を記入する日付ではありませんので、ご注意ください。

また、1月1日生まれの人は少し特殊です。民法143条では、誕生日の前日の午後12時に1歳年齢が加算されることになっています。つまり、2007年(平成19年)1月1日生まれの人は、年齢を判定する2025年(令和7年)12月31日時点において満19歳となります。

2.特定扶養親族の控除額

扶養控除の控除額は、扶養親族の年齢によって異なります。また、所得税と住民税でも扶養控除額が異なります。一覧にまとめました。

扶養親族の年齢 扶養親族の区分 所得税の控除額 住民税の控除額
0歳~15歳以下 年少扶養親族 0円 0円
16歳以上~18歳以下 一般扶養親族 38万円 33万円
19歳以上~22歳以下 特定扶養親族 63万円 45万円
23歳以上~69歳以下 一般扶養親族 38万円 33万円
70歳以上(同居) 老人扶養親族
(同居老親等)
58万円 45万円
70歳以上(その他) 老人扶養親族
(その他)
48万円 38万円

所得税では、一般的な扶養親族の控除額は38万円ですが、特定扶養親族の場合、63万円です。なんと、25万円も多く控除できるのです。

その理由ですが、19歳から22歳までの年齢は、ちょうど大学生となる年齢で、学費や一人暮らしの生活費などで、たくさんのお金がかかることから、控除額が多めに設定されています。

大学生でなくても特定扶養親族になる

特定扶養親族は年齢で決まりますので、大学生でなくても、特定扶養親族になります

逆に、大学生であっても、18歳以下、または、23歳以上であれば、特定扶養親族から外れてしまいます。

3.特定扶養親族は、いくら節税になる?

(1)特例扶養親族の節税額

具体例

例えば、年収600万円で、特定扶養親族がいる場合といない場合を比べてみましょう(配偶者控除など他の控除は考慮しません)。

例:給与収入600万円の人の場合

・扶養控除なし
所得税181,500円+住民税302,700円=合計484,200円

・扶養控除あり(特例扶養親族の対象になる子1人)
所得税117,200円+住民税257,700円=合計374,900円

※社会保険料控除は15.45%(令和7年9月時点、協会けんぽ東京、介護保険あり、雇用保険:一般の事業)で計算

扶養控除ありの場合は、なしの場合に比べて、所得税が64,300円、住民税が45,000円、合計で109,300円、安くなっています
かなりの違いがありますね。

年収ごとの節税額一覧

年収ごとに節税額を一覧にしてみました(他の控除は考慮していませんので、実際には少し違いますが、参考としてください)。

給与年収 所得税の節税額 住民税の節税額 節税額合計
300万円 32,200円 54,000円 86,200円
400万円 32,100円 54,000円 86,100円
500万円 51,700円 54,000円 105,700円
600万円 64,300円 45,000円 109,300円
700万円 99,600円 45,000円 144,600円
800万円 128,700円 45,000円 173,700円
900万円 128,600円 45,000円 173,600円
1000万円 128,700円 45,000円 173,700円

※住民税は10%ですが、年収が低いときは、調整控除の結果、節税額が少し多くなります。

(2)特定扶養親族と一般扶養親族の節税額の比較

こんどは、特定扶養親族(19歳~22歳)と一般扶養親族(16歳~18歳、23歳~69歳)で、節税額がどれだけ違うか比較してみました(他の控除は考慮していません)。

給与年収 特定扶養親族
の節税額
一般扶養親族
の節税額
節税額の差
300万円 86,200円 54,900円 31,300円
400万円 86,100円 54,900円 31,200円
500万円 105,700円 71,800円 33,900円
600万円 109,300円 71,800円 37,500円
700万円 144,600円 107,000円 37,600円
800万円 173,700円 110,600円 63,100円
900万円 173,600円 110,600円 63,000円
1000万円 173,700円 110,600円 63,100円

年収700万円までの人なら約3万円、年収800万円以上の人なら約6万円、差額があることがわかります。

4.[2025年新設]特定親族特別控除とは

(1)年収の壁が大幅アップ

2024年までは、扶養控除を受けるための、年収条件(年収の壁)は、「年収103万円(所得48万円)以下」でした。

そのため、親の扶養控除がなくならないようにするために、年収103万円以下に抑えてアルバイトをする学生が多くいました。
本人はもっと働きたいのに働けず、また、社会的にも人手不足が生じて問題になっていました。

2025年は、所得税改正で、年収条件(年収の壁)は、「年収123万円(所得58万円)以下」に引き上げられますが、それでも、ここ数年はインフレで、賃金も急上昇していますので、簡単に年収123万円に達してしまう状況です。

そこで、2025年から、年収123万円(所得58万円)を超えても、親が控除を受けられるように、「特定親族特別控除」という新しい控除制度ができました。

年収150万円(所得85万円以下)であれば、扶養控除と同じ63万円の控除を受けられます。このため、「年収の壁150万円」にアップしたといわれています。

年収150万円(所得85万円以下)を超えると、控除額が少しずつ減りますが、年収188万円(所得123万円)以下であれば、控除を受けられます。

扶養控除 特定親族特別控除

特定親族特別控除の詳細は、こちらをご覧ください。

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(2)扶養控除と特定親族特別控除の金額

所得税・住民税の扶養控除と特定親族特別控除の、年収(所得)条件と控除額は以下の表のようになります。

扶養控除+特定親族特別控除
親族の給与年収
()内は合計所得金額
控除額
所得税 住民税
150万円以下
(85万円以下)(※)
63万円 45万円
150万円超~155万円以下
(85万円超~90万円以下)
61万円 45万円
155万円超~160万円以下
(90万円超~95万円以下)
51万円 45万円
160万円超~165万円以下
(95万円超~100万円以下)
41万円 41万円
165万円超~170万円以下
(100万円超~105万円以下)
31万円 31万円
170万円超~175万円以下
(105万円超~110万円以下)
21万円 21万円
175万円超~180万円以下
(110万円超~115万円以下)
11万円 11万円
180万円超~185万円以下
(115万円超~120万円以下)
6万円 6万円
185万円超~188万円以下
(120万円超~123万円以下)
3万円 3万円
188万円超~
(123万円超~)
0万円 0万円

※年収123万円以下(所得58万円以下)は扶養控除、年収123万円超~年収150万円以下(所得58万円超~所得85万円以下)は特定親族特別控除

※住民税の扶養控除額が変更されるのは2026年(令和8年)の支払いからです。

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5.特定扶養親族の年末調整での申請方法

年末調整での扶養控除の申請をするには、勤め先から配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に特定扶養親族の氏名・住所・マイナンバーを記入し、勤め先に提出します。

令和7年分と令和8年分で、書類のフォーマットが少し違います

(1)令和7年分(2025年分)

下記は記入例(申告書の一部抜粋)です(「税金一郎」が海外に留学中の特定扶養親族という設定です)。

扶養控除等申告書 令和7年分

「特定扶養親族」の欄にチェックを入れます。

住所は、引っ越し予定があれば、今の住所ではなく、令和8年1月1日時点の住所を記入します。

マイナンバーは基本的には記入しますが、以前にマイナンバーを提出している場合は記入不要なこともありますので、勤務先にお問い合わせください。

書き方の詳細は、「【令和7年分】給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方(記入例つき)」をご覧ください。

子供のアルバイト収入の書き方

扶養にしている子供や親がアルバイト・パートをしている場合は、その所得の見込み金額を記入します。

収入金額では所得金額を記入します。所得は次のように計算します(ただし、給与収入190万円以下の場合)。

所得 = 収入 - 給与所得控除(65万円)
たとえば、収入が120万円なら、所得は、120-65=55万円です。

扶養控除等申告書を記入するときは、まだ、その年が終わっていないはずですので、だいたいの見込み金額を記入すればOKです。

(2)令和8年分(2025年分)

令和7年分と少し違うのは、「特定親族」のチェック欄も追加されたことです。

扶養控除等申告書 令和8年分

書き方の詳細は、「【令和8年分】給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方(記入例つき)」をご覧ください。

6.よくある質問

Q.大学生の子供は特定扶養親族ですか?

A.特定扶養親族とは、12月31日時点の年齢が19歳以上22歳以下の扶養親族のことです。大学生かどうかは関係ありません

大学生であっても、12月31日時点で18歳未満(飛び入学したケース)、または23歳以上の人(浪人・留年したケース)は、特定扶養親族ではありません。

Q.海外に留学中の子供も扶養控除の対象になりますか?

A.留学中であっても、生活費を仕送りしているなど、生計を共にしていれば、扶養控除の対象となります。ただし、親族関係書類(親族であることを証明するもの)と送金関係書類(生活費を送金していることを証明するもの)が必要です。

海外でアルバイトをしていて収入がある場合でも、国外源泉所得となりますので、扶養控除を判定するうえでの収入には含まれません。国内での収入が123万円以下であれば、扶養控除の対象になります。

Q.勤労学生控除との関係はどうなりますか?

A.勤労学生控除とは、本人の所得税に関する控除です。2025年からは、年収150万円以下(所得85万円)以下という条件に変わりました。

ただ、本人は、年収160万円以下(所得95万円)以下であれば、所得税がかかりませんので、所得税上は、勤労学生控除を適用する意味がなくなりました。

住民税では、勤労学生控除を適用すると、年収134万円以下までは、住民税の所得割がかからなくなります。年収110万円(東京23区など1級地の場合)を超えると、均等割約5,000円はかかります。

監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を10年以上担当。
税金やお金に関することが大好きで、関連記事を2000本以上、執筆・監修。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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