2025年参院選 給付金・税制・経済政策の公約比較

2025年の参院選(第27回参議院議員通常選挙)は、2025年7月3日(木)公示、2025年7月20日(日)投開票の日程で行われます。

回の参議院選挙の改選数は、定数248の半数である124(選挙区74、比例代表50)となります。

2025年参院選 公約比較について

世界的な原材料・エネルギー価格の高騰による物価上昇、米価格の急激な上昇、保険料の増加など、国民生活はさらに厳しさを増していおり、今回の参院選では、今までにも増して経済政策が大きな論点となると考えられます。

物価高対策として、「現金給付」か「消費税減税」かが、今回の大きな争点となっています。

当サイトでは、税制・社会保障・教育関連と経済政策の観点のみに絞って、主要政党の公約を比較します。各政党の全ての政策を紹介することはできませんので、具体的な数値や方針を主に紹介します。

公約は「個人向け」「事業者向け」に分類していますが、これは「主に個人向け」「主に事業主向け」という意味であり、両者に共通する場合もあります。

それぞれの政党ごとに公約が多くあるため、なるべく抽象的な内容は避け、明確なものを中心に記載しました。

各党のホームページやTV・新聞メディアでのニュース情報を参考にしていますが、間違いがある場合にはご容赦ください。各政党のWEBサイトのリンクについては、参院選特設サイトがある場合はそのページに、ない場合は政党のトップページに対してリンクを貼っています。

政党の掲載について

本記事では、文章量等の都合から、すべての政党を掲載できてはいませんが、ご了承ください。

届出をしているが、本記事では掲載していない政党について、下記にリンクを貼っておきます。

2025年参院選 政策・公約 比較まとめ一覧表

各政党の政策・公約を一部の内容に絞ってまとめます。

▷物価高対策(現金給付・消費税減税・ガソリン税)

政党
略称
現金給付 消費税減税
自民 国民全員一律2万円
(子供と非課税世帯の
大人は1人当たり4万円)
ガソリン税の暫定税率廃止
を議論
公明 軽減税率の引き下げの検討 ガソリン補助金
立民 国民全員一律2万円 食料品のみ1年間限定で0%
インボイス廃止
ガソリン税の暫定税率廃止
維新 食料品のみ2年間限定で0%
中長期的には8%で
軽減税率を廃止
ガソリン税の暫定税率廃止
共産 一律5%に減税
さらに廃止を目指す
インボイス廃止
ガソリン税の暫定税率廃止
国民 一律5%に減税
(賃金上昇するまで)
インボイス廃止
ガソリン税の暫定税率廃止
ガソリン二重課税廃止
れいわ 国民一律10万円 廃止(最低でも5%減税)
インボイス廃止
ガソリン税ゼロ
参政 段階的廃止
インボイス廃止
ガソリン税の暫定税率廃止
社民 食料品のみ0%
インボイス廃止
ガソリン税の暫定税率廃止
保守 食料品のみ恒久的に0%
インボイス中止
ガソリン税の暫定税率廃止
N党 一律5%に減税
インボイス廃止

現金給付を公約に掲げているのは、自民・公明・れいわの3党のみです。

自民・公明以外は、消費税減税または廃止を公約に掲げています。公明も、軽減税率の引き下げを検討するとしています。

なお、消費税一律5%減税の場合、消費税の税率が一つになりインボイスが不要になります。
しかし、立民・社民・保守は食品のみ0%にするとして、複数税率の状態を維持しながらも、インボイス廃止を主張しています。複数税率がある場合にインボイスを廃止すると、事業者による不正が発生することが想定されます。

自民・公明の与党以外は、ガソリン税の暫定税率の廃止を公約としています。れいわのみ、ガソリン税そのものの廃止を主張しています。
なお、自民の森山幹事長は、ガソリン税暫定税率を年度内に廃止する意向を示しました(2025/7/4)。

▷税金・社会保険(年金)

政党
略称
所得税 社会保険・年金
自民
公明 基礎控除等の引き上げ
扶養控除など各種控除の見直し
社会保険加入の拡大
年金の給付水準底上げ
在職老齢年金の見直し
立憲 金融所得課税に累進課税導入
基礎控除などの引き上げ
退職所得控除1年一律60万円
高所得者の保険料引き上げ
130万円の壁で手取り減らない
低所得高齢者の年金上乗せ
相続税・贈与税の累進強化
維新 金融所得課税を総合課税化
配偶者控除等の見直し
勤労税額控除を導入
国民医療費4兆円削減
社会保険料年6万円減
第3号廃止
基礎年金の税方式化
共産 所得税最大65% マクロ経済スライド中止
年金引き上げ、最低保障年金
子供の国保料ゼロ
後期高齢者医療制度廃止
相続税最大70%
国民 年収178万円の壁に引き上げ
年少扶養控除を復活
暗号資産を分離課税20%
働く若者の所得減税
現役世代の社会保険料削減
年金の最低保障
高齢者の窓口負担を2割
外国人に空室税
入国税の拡大
れいわ 所得税の累進課税を強化
金融所得課税の見直し
マクロ経済スライド廃止
社会保険料の引き下げ
後期高齢者医療制度を廃止
介護保険の国負担50%以上増
法人税引き上げ
参政 年収の壁を212万円に引き上げ
金融所得課税の課税強化
予防医療に保険適用拡大 国民負担率を35%以内に
税の種類を10種類に減らす
社民 金融所得課税を総合課税化
年少扶養控除の復活
最低保障年金月10万円
社会保険料の本人負担を25%
法人税引き上げ
保守
N党 基礎控除200万円まで引き上げ
ふるさと納税を廃止
住民税の所得割を減税
社会保険料の総称を給与税に
厚生年金保険料を1割減額
後期高齢者自己負担を3割に
森林環境税を廃止
不動産取得税を廃止
法人税引き下げ

所得税については、いろいろな案がありますが、金融所得課税の分離課税(約20%)を総合課税(最大55%)に変更することで、所得1億円を超える富裕層への課税を強化する公約が多いです。

社会保険については、社会保険料の削減や、マクロ経済スライド廃止による最低保障となる年金額を確保する公約が多いです。

そのほか、相続税・贈与税の最高税率を、かつての70%に戻して、富裕層への課税強化する案もあります。

▷子育て・教育・賃金など

政党
略称
子育て・教育 賃金
自民 高校授業料の実質無償化 2030年賃金約100 万円増加 GDP1000兆円(名目GDP)
中小企業5年間60兆円の生産性向上
公明 学校給食の無償化
高校の授業料、教材費の無償化
同一労働同一賃金
介護従事者、保育士等の給与を
全産業平均(月額38.6万円)
奨学金の減額返還制度・
企業による代理返還制度
立憲 大学・給食の無償化
18歳までの児童手当を月1万5千円に
児童扶養手当の所得制限を引き上げ
最低賃金を時給1500円以上
中小企業の社会保険料減免
130万円の壁に対する給付
新たな家賃補助制度
維新 0~2歳児の保育無償化
出産費用、給食の無償化
大学院まで完全無償化
最低賃金の水準を引き上げ エンジェル税制の優遇措置
減反の補助金廃止
共産 大学の授業料半減・入学金ゼロ
給食費の無償化
最低賃金を時給1500円
手取り月額20万円程度
中小企業の社会保険料減免
農家手取り保障
減反廃止
国民 3歳からの義務教育化で待機児童ゼロ
給食費・教材費等、高校まで完全無償化
子育て・教育・奨学金の所得制限撤廃
手取りを増やす 奨学金債務減免
年5兆円の教育国債
2035年名目GDP1000兆円
れいわ 子ども手当一律月3万円
保育料、給食費、18歳まで医療費無償化
大学院まで教育無償化
介護・保育の月給10万円増
最低賃金を時給1500円
中小企業の社会保険料減免
家賃補助・給付付きの職業訓練
公的な家賃補助制度
高速道路無償化
参政 0〜15歳へ月10万円給付金 最低賃金と社会保障の見直し 公務につく人の奨学金返済免除
教育国債
社民 大学まで教育無償化
出産への保険適用
子ども医療費と保育料の無償化
最低賃金を時給1500円 給付型奨学金と返済免除制度
農家の所得を増やす
保守 専門学科(商業・工業科等)の無償化
出産育児一時金の引き上げ
(国籍条項あり)
大学の補助金を減らし統廃合
N党

子育て・教育については、給食費、保育料、医療費の無償化や、高校・大学・大学院の授業料・入学金の無償化などの公約が多いです。
子ども手当(児童手当)を増額するという案や、学生本人が借りる奨学金の返済を免除するという案もあります。

賃金については、最低賃金時給1500円以上が目安となっています。また、中小企業の社会保険料を減免する公約も多いです。

各党ごとの政策・公約(マニフェスト)

▷自由民主党(自民党)

個人向け

  • 国民全員一律2万円の現金給付(子供と非課税世帯の大人は1人当たり4万円
  • 年末調整で所得税を2~4万円減税(すでに決定済み)
  • 高校授業料の実質無償化
  • 地域定着型の奨学金制度

事業者向け

  • 中小企業・小規模事業者に対して5年間60兆円の生産性向上
  • 全国に100ヶ所の企業城下町
  • 理系学部・大学院を強化し、AI・データサイエンス・エンジニア人材の育成に特化した投資
  • 農業の生産性向上のため、既存の農業関係予算とは別枠で思い切った予算を確保する
  • 実質1%、名目3%の賃金上昇率を達成し、2030 年度に賃金が約100 万円増加を目指す

個人・事業者共通

  • 公定価格(医療・介護など)の引き上げ
  • GDP1000兆円(名目GDP)を実現、国民所得を5割増しに

【出典】自民党:公約・政策パンフレット

公約の特徴

物価高対策は、国民全員一律2万円の現金給付です。

公約の内容は多岐にわたっていますが、「強力な経済対策を実行する」「中小・小規模事業者支援に全力で取り組む」など、全体的に抽象的な内容が多く、具体的な内容や数値はほとんど見られません。これは、過去のすべての選挙においても同じ傾向です。

「給付金2万円」「名目GDP1000兆円」という部分が、唯一の具体的な内容です。

現在、政権を運営している党であり、新規の政策というよりも既存の政策の継続や拡充が多くあります。すでに実施中の内容も多いため、実現性の面では高いと考えられます。一方で、各種の問題を抜本的に解決しようとするような、大胆な政策はあまり見られません。

▷公明党(公明)

個人向け

  • 軽減税率の引き下げの検討
  • 所得税減税(基礎控除等のさらなる引き上げ)
  • 子育て世帯の負担軽減のため、扶養控除など各種控除の見直し
  • 生活応援給付:国民全員一律2万円の現金給付、子供と非課税世帯の大人は1人当たり4万円
  • ガソリンの暫定税率(1リットル25.1円)を廃止
  • マイカー通勤を行う従業員に対する通勤手当の所得税の非課税限度額を拡充
  • 学校給食、授業料、教材費の無償化など、教育費の負担軽減
  • 月々の返還額を自分で決める「減額返還制度」の年収制限の緩和、企業や自治体が行う「代理返還制度」の導入メリットの拡大
  • 同一労働同一賃金の実現で「正規/非正規」の概念をなくす
  • 労働時間のルールの見直しや多様で柔軟な働き方を推進し、所得アップにつなげる
  • エッセンシャルワーカー(医療・介護・保育・物流・建設等に従事する労働者)の所得を抜本的に引き上げる
  • 妊娠・出産の無償化、産後ケアの充実
  • パート・アルバイトへの被用者保険(社会保険加入)のさらなる適用拡大
  • 在職老齢年金の見直し
  • 介護従事者、保育士等の給与を全産業平均(月額38.6万円)に引き上げることを目指す

事業者向け

  • 雇用の7割を占める中小企業が、物価上昇を上回る賃上げができるよう、価格転嫁等による取引適正化の徹底や、5年間で60兆円の投資を集中的に行う
  • 特に、サービス業など、最低賃金引き上げで大きな影響を受ける、人手不足が深刻な業種については、省力化やデジタル化をきめ細かく支援し、生産性の向上を実現する
  • デジタル人材の育成・配置などで中小企業のDX化を進め、省力化・業務効率化投資による生産性向上で中小企業の「稼ぐ力」を向上させ、働く人の給料を増やす
  • 世界中にメイドインJAPANを!中小企業の輸出支援
  • 農林水産業の所得向上へ、2030年までの集中対策を
  • 最低賃金を2020年代に全国加重平均1,500円まで引き上げ
  • 「106万円」、「130万円」の壁を見直し、壁を意識した就業調整をすることなく、働いた分だけ給料が増えるよう支援する

個人・事業者共通

  • コメの安定供給を確保するため、コメを増産し、コメの適正価格での流通を促す
  • 日本版「ソブリン・ウェルス・ファンド」の創設
  • 観光で“稼げる”日本へ2030年の訪日外国人を6,000万人に

【出典】公明党:2025参院選 重点政策

公約の特徴

物価高対策は、国民全員一律2万円の現金給付です。

自由民主党との連立与党として、基本的には、自由民主党と歩調を合わせていますが、「軽減税率の引き下げを検討」など、独自の公約も見られます。

▷立憲民主党(立民)

個人向け

  • 食料品のみ消費税を1年間限定で0%
  • 3%の名目賃金上昇率の実現
  • 大学・給食の無償化など、教育の無償化
  • 18歳までの児童手当を、月額1万5千円に増額
  • 児童扶養手当の所得制限を大幅に引き上げ
  • 新たな家賃補助制度を創設
  • 医療・介護・障がい福祉等に関する社会保障サービスの自己負担の合計額について、所得に応じて上限を設ける総合合算制度を創設
  • 低所得の高齢者の年金に一定額を上乗せして給付する制度を創設
  • プッシュ型給付システム(給付支援サービス)の全自治体への展開を強力に推進
  • 富裕層優遇のいわゆる「1億円の壁」の解消に向けて、当面は分離課税のまま超過累進税率を導入し、中長期的には総合課税化
  • 所得税の累進性の強化、所得控除から税額控除へ、税額控除から「給付付き税額控除」への転換
  • 基礎控除の合理的な範囲での引き上げ、配偶者控除や扶養控除等の所得要件の引き上げ
  • 退職所得控除の控除額を勤続1年あたり一律60万に変更
  • 自動車の任意保険についても所得税の控除の対象とする
  • 社会保険料負担の上限額を見直し、富裕層に応分の負担を求める、低所得者への保険料軽減措置
  • 食事手当の非課税限度額を7000円まで引き上げ
  • 相続税・贈与税の累進性を高める
  • 10年限定となっている事業承継税制の特例措置の恒久化及び免除措置の創設
  • 相続税の小規模宅地評価にかかる特例措置の拡充

事業者向け

  • 最低賃金を全国で時給1500円以上に引き上げ
  • 中小企業が新たに正社員を雇用した場合、その社会保険料の事業主負担を軽減する
  • 社会保険料の「130万円の壁」を給付(「就労促進支援給付」)で埋めることにより、働き控えを解消
  • 今後10年で省エネ・再エネに200兆円(公的資金50兆円)を投入し、年間250万人の雇用創出、年間50兆円の経済効果を実現
  • 法人税については、効果のない租税特別措置の廃止、受取配当等益金不算入制度の見直し
  • 中小・小規模企業については、法人税率の軽減措置(15%)を本則化
  • カレント教育を推進する企業に対して税制上の優遇措置
  • 自動運転や次世代自動車などの最先端技術での競争力を高めていくため、研究開発促進税制を拡充
  • インボイス制度(適格請求書等保存方式)を廃止
  • 青色申告特別控除の拡充
  • 青色申告を行うフリーランスや個人事業主については、純損失の繰越控除期間(現行3年間)を10年間に延長
  • 総額表示の義務化を見直し、外税表示の選択肢を恒久化
  • 印紙税を廃止

個人・事業者共通

  • 日銀の物価安定目標を「1%~3%の範囲」に柔軟化

【出典】立憲民主党「政策集2025」

公約の特徴

物価高対策は、食料品のみ1年間限定で0%です。

所得税・相続税・贈与税の累進性をさらに高めることを提案していますので、高所得者や多額の資産を持つ人は増税になります。

政策集は200ページ以上にもおよび、すべての党の中で、最も細かく政策を記しています。そのためか逆に、公約のポイントがわかりづらくなっている感もあります。

▷日本維新の会(維新)

個人向け

  • 社会保険料を年6万円負担減
  • 医療費を4兆円削減(湿布、医薬、風邪薬などの保険適用の見直し)
  • 品のみ消費税を2年間ゼロ(免税)、中長期的には消費税を8%で軽減税率を廃止
  • ガソリン税の暫定税率(1リットル当たり25.1円)廃止
  • 金融所得に対する分離課税(約20%)を総合課税化
  • 配偶者控除・配偶者特別控除の見直しにより、働き控えを解消
  • 現役世代の負担軽減のため「勤労税額控除」を導入
  • 0~2歳児の保育無償化、出産費用の無償化
  • 小中学校の給食費無償化
  • 高校・大学・大学院まで完全無償化
  • 第3号被保険者制度の廃止、基礎年金の税方式化
  • コメ価格の高騰対策として、一定水準に引き下げるまで備蓄米の放出と米国からの輸入拡大、その後は、減反の補助金を廃止

事業者向け

  • エンジェル税制の優遇措置、ストックオプションへの課税の見直し
  • 最低賃金の水準を実勢に合わせて引き上げ
  • 中小企業の持続的賃上げの前提となる収益力強化のため、DX、M&A促進等による生産性向上、設備投資の償却制度の見直しによる投資促進、改正下請法徹底による適正な価格転嫁の実現

個人・事業者共通

  • 副首都構想による統治機構改革、道州制の導入
  • 消費税を地方自立のための基幹財源と位置づけ、将来的には、地方が税率を個々に設定する地方税へと移行

【出典】日本維新の会「第27回参議院議員通常選挙 マニフェスト(政権公約)」

公約の特徴

物価高対策は、食品のみ消費税を2年間ゼロ(免税)としていますが、他の野党と違うのは、中長期的には「消費税を8%で軽減税率を廃止」したうえで、最終的には、地方税に移行し、地方がそれぞれ税率を設定し、地方の財源とすることです。

「社会保険料を年6万円負担減」と、社会保険料の削減について金額を明確にしています。

「維新八策 2025」と称された、37ページ、494項目におよぶ基本政策を掲げており、非常に多くの内容が盛り込まれています。

以前から、「副首都構想」「道州制」を打ち出しており、国が主体ではなく、地方が主体となる政治・経済構造に変更することが、政策全体の根幹となっています。

▷日本共産党(共産)

個人向け

  • 消費税を一律5%に減税、さらに廃止を目指す
  • 所得税・住民税の最高税率を現行の55%から65%に引き上げる
  • 相続税の最高税率を55%から70%に戻す
  • 年金のマクロ経済スライドの中止、「減らない年金」の実現
  • 子どもの国民健康保険料をゼロ
  • 高齢者医療の2割負担・3割負担の対象拡大をやめる
  • 後期高齢者医療制度を廃止
  • 介護保険の国庫負担割合を現行の25%から35%に引き上げ
  • 生活保護制度を「生活保障制度」に変え、福祉の抜本的充実を図る
  • 障害者児の福祉・医療は所得制限をなくし無料に
  • 大学学費の値上げを中止させ、国の予算を投入して授業料半減・入学金ゼロを実現(専門学校含む)
  • 奨学金返済の半額免除
  • 給食費無償
  • 家賃減税制度を創設、家賃が所得の2割を超える人に対して、超過分の最大15%を減税
  • 家賃補助制度を「月1万円、200万世帯」規模で創設
  • 富裕層の資産に毎年低率で課税する富裕税や、為替取引額に応じて低率の課税を行うなど、新たな税制を創設
  • 厚生年金や健康保険、介護保険など、サラリーマンの社会保険料は標準報酬に上限があるため、企業役員など高所得者の負担が低くなっており、上限を引き上げるなど応能負担の改革を行う

事業者向け

  • 法人税率を、中小企業を除いて安倍政権以前の28%に戻す
  • 最低賃金を時給1500円、手取り月額20万円程度にすみやかに引き上げ、1700円をめざす
  • 社会保険料の減免や賃金助成などで中小企業の賃上げを支援
  • 1日7時間、週35時間をめざす
  • 大企業の内部留保に時限的に課税し10兆円の財源を作る
  • 最低でも農家手取り60キロあたり2万円~2万数千円を保障

個人・事業者共通

  • 赤字国債を縮小する
  • 減反・減産から増産に
  • トランプ関税は撤回を求める、備蓄米の買い入れ量を200万トン以上に増やす

【出典】日本共産党:2025参院選 基本政策

公約の特徴

物価高対策は、消費税5%への減税、最終的には、廃止を目指しています。その代わりに、所得税・相続税の最高税率を引き上げて、高所得者や富裕層からの課税を強化します。また、法人税も引き上げ、大企業の内部留保に対しても課税します。

高齢者への年金も減らさず、むしろ増やすことを想定しています。

全体として、一部の高所得者や富裕層に対して、課税や社会保険料の徴収をさらに強化することで、国民全員ができるだけ平等になる社会を目指していると考えられます。

ほかにも約100項目にわたる、細かい政策を掲げています。政策の内容が過去から一貫しているのが特徴的です。

▷国民民主党(国民)

個人向け

  • 賃金上昇率が物価+2%に達するまでの間、消費税を一律5%に減税、インボイス廃止
  • ガソリンの暫定税率(1リットル当たり25.1円)廃止、二重課税廃止
  • 所得税の基礎控除を一律で113万円に引き上げ(年収178万円の壁に引き上げ
  • 年少扶養控除(15歳以下)を復活
  • 暗号資産への申告分離課税導入(最大55%→20%に減税)
  • 電気代値下げ
  • 現役世代の社会保険料削減
  • 年金の最低保障機能強化、第3号被保険者制度見直し、年金保険料納付期間延長
  • 就職氷河期支援、求職者ベーシック・インカム制度(仮称)の構築
  • 低中所得者向けのiDeCoの特例検討(本人の拠出額と同額を国が支援)
  • 年齢ではなく負担能力に応じた窓口負担、公的医療保険の給付範囲見直し
  • 学ぶ若者には奨学金債務減免(最大150万円、教員・自衛官等は全額免除)、働く若者(中卒、高卒、高専卒)には所得税減税
  • 年5兆円の「教育国債」発行で子育て・教育・科学技術予算を倍増
  • 3歳からの義務教育化で待機児童ゼロ
  • 給食費・教材費・修学旅行費等を含む高校までの教育費完全無償化
  • 子育て・教育・障害児福祉・奨学金の所得制限撤廃

事業者向け

  • 賃金をあげた場合、法人税だけでなく、法人事業税、固定資産税や消費税の減税で支援する
  • 下請法の適用拡大で適正な価格転嫁を支援
  • 少額減価償却資産特例の上限額を引き上げ
  • 印紙税を廃止

個人・事業者共通

  • 2035年名目GDP1000兆円を実現
  • 外国人に「空室税」導入を検討(居住を目的としない住宅の取得に対して課税)
  • 入国税(観光税)の課税拡大

【出典】国民民主党の政策2025

公約の特徴

物価高対策は、消費税5%への減税です。また、もともと現役世代の所得税減税を掲げており、全員一律で基礎控除額を引き上げ、年収178万円の壁を実現します。

賃金をあげた企業には、法人税だけでなく固定資産税や消費税の減税もします。

全体的に、若者や就職氷河期世代に対する政策を強くうちだしています。

▷れいわ新選組(れいわ)

個人向け

  • 消費税を廃止、最低でも5%への減税、インボイス廃止
  • 現金給付10万円
  • ガソリン税をゼロ
  • 社会保険料の引き下げ、後期高齢者医療制度を廃止
  • 介護保険の国負担割合を50%以上に引き上げ
  • 将来的に介護保険制度は廃止し、累進性を組み込んだ税方式にすることを検討する
  • 年金底上げのため、マクロ経済スライドを廃止
  • 「最低保障年金」の導入を検討する
  • 所得税の累進課税を強化し、超富裕層に課税、金融所得課税(約20%)の見直し
  • 子ども手当一律月3万円
  • 子育て無償化:保育料、給食費、18歳までの子ども医療費、学童利用料を無償に
  • 大学院まで教育無償化、すでに奨学金で借金を負った人は奨学金徳政令で返済を免除する

事業者向け

  • 法人税を引き上げ、累進課税を導入
  • 大企業の自社株買いに課税
  • 円安など為替の変動による企業の棚ぼた利益に課税を検討する(ウインド・フォール税)
  • 年間3兆円の財政投資で介護・保育従事者の月給10万円アップ
  • 全国一律、最低賃金1500円に引き上げ、中小企業の社会保険料減免

【出典】れいわ新選組:参議院選挙 2025

公約の特徴

物価高対策は、消費税を廃止、現金給付10万円と、両方に言及しています。

毎回、すべての政党の中で最も挑戦的と思われる公約を掲げています。全体的に短い言葉でわかりやすい公約になっています。

子ども手当一律月3万円など、子育て世帯支援や教育無償化が大きな特徴です。580万人の奨学金を帳消しというのもインパクトがあります。

全体的に、働く現役世代や子育て世代の負担を軽減すること、また、低所得者のサポートに重きが置かれています。

▷参政党(参政)

個人向け

  • 消費税の段階的廃止を進める、インボイス制度廃止
  • 国民負担率を35%以内に収める
  • 投機による金融所得の税率引き上げと累進化
  • 年収の壁を現在の約倍額となる212万円まで引き上げ
  • 子育て教育関連費用に利用できる給付金(0〜15歳へ月10万円の子育て教育給付金)
  • 奨学金給付制度の拡充、返済方法の多様化、公務につくものの返済免除
  • 科学技術や知財の振興、人的資本の支援を対象とした国債発行(教育国債)

事業者向け

  • 従業員分配と技術/設備投資への税制優遇の強化
  • 最低賃金と社会保障の関係見直し

個人・事業者共通

  • 税の種類を約50から10種類程度に減らし、シンプル化によるコスト削減を国民に還元

【出典】参政党:政策2025

公約の特徴

物価高対策は、消費税の段階的廃止を進めるとしています。また、所得税の年収の壁を212万円まで大幅に引き上げます。

税の種類を約50から10種類程度に減らしてコスト削減を図るというのは、他党にない大きな特徴です。

全体的に、日本の文化や国体を守るという思想理念を基に公約が作成されています。

▷社民党(社民)

個人向け

  • 食料品消費税ゼロ、インボイス制度中止
  • 金融所得課税の分離課税方式を廃止して総合課税に移行
  • 年少扶養控除(15歳以下)の復活
  • 大学までの教育費無償化、給付型奨学金と返済免除制度を導入
  • 出産への保険適用、子ども医療費と保育料の無償化
  • 最低保障年金月10万円

事業者向け

  • 法人税の引き上げ
  • 600兆円以上に積み上がった大企業の内部留保金への課税
  • 最低賃金全国一律1,500円
  • 社会保険料の労使負担割合を1:3に、中小零細企業の負担増加分を国の公費助成で補填
  • 農家の所得を増やす

【出典】社民党:参議院議員選挙

公約の特徴

物価高対策は、消費税の食料品消費税ゼロです。

社会保険料の労使負担割合を1:3にするという案は、他党にない大きな特徴です。

▷日本保守党(保守)

個人向け

  • 食料品の消費税を恒久的にゼロ%、インボイス制度中止
  • ガソリン税減税
  • 所得税減税、働き控えを生む各種「壁」の解消、控除額の引き上げ
  • キャリア教育の拡充、専門学科(商業科、工業科・高専、農業科など)の無償化
  • 少子化による大学余りの解消、補助金を減らし統廃合促進
  • 出産育児一時金の引き上げ(国籍条項をつける)

【出典】日本保守党:重点政策項目

公約の特徴

物価高対策は、消費税の食料品消費税ゼロです。

社会保険料の労使負担割合を1:3にするという案は、他党にない大きな特徴です。

全体的に、日本の国体や伝統文化を守るという思想理念を基に公約が作成されています。

▷NHK党(N党)

個人向け

  • 消費税率5%への引き下げ、軽減税率廃止、インボイス制度を廃止を求める
  • ガソリン税の廃止を求める
  • 全ての増税に反対
  • 基礎控除200万円まで引き上げを求める
  • 住民税に1000円上乗せして徴収される国税の森林環境税を廃止を求める
  • 不動産取得税を廃止を求める
  • 入湯税廃止を求める
  • ふるさと納税を廃止、住民税の所得割の減税を求める
  • 社会保険料の総称を給与税に改めることを求める
  • 厚生年金基金の基礎年金に対する実質的な流用を撤回するように求める
  • 厚生年金保険料(個人負担分・企業負担分)を1割減額するよう求める
  • 後期高齢者の自己負担額を3割に引き上げ、後期高齢者以外の医療保険料を1割削減するよう求める
  • 介護保険料は都道府県及び市町村負担分30%まで引き上げ(第2号保険料の既存負担分を含まない)、40~64歳が負担する第2号保険料を20%削減するよう求める

事業者向け

  • 租税特別措置を原則として廃止し、法人税率のシンプルな引き下げを求める
  • 印紙税の廃止を求める

【出典】NHK党「公約」

公約の特徴

物価高対策は、消費税率5%への引き下げです。所得税の基礎控除を200万円まで引き上げとあり、仮に実現すれば、かなりの減税となります。

全体的に、ほとんどの税金を廃止または減税という案であり、政府や自治体の役割が小さい「小さな政府・行政」を目指していると考えられます。

「~を求める」という書き方がされており、政権の運営ではなく、野党として政府に意見を述べていくことを前提としています。

【参考】

参院選の仕組みについて

参院選は小選挙区と比例代表制の2つの方式に分かれています。仕組みを詳細を下記で解説しています。

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2022年参議院選挙 給付金・税金・経済政策の公約比較

2022年参議院選挙の給付金・税金・経済政策関連の政策・公約(マニフェスト)を比較しています。

この当時から、公約が変わった政党もあれば、変わらない政党もあります。

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監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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