2024年6月から4万円の所得税の定額減税、対象者と金額・減税方法
2024年6月から、所得税3万円+住民税1万円=合計4万円の特別減税を受けられます。令和6年度(2024年度)特別減…[続きを読む]
会社員・公務員など向けの減税は、2024年6月から始まりましたが、フリーランス・個人事業主や年金受給者はいつになるのでしょうか?
残念ながら、フリーランス・個人事業主は2025年2月~3月に行う確定申告のときになります。
令和6年度(2024年度)定額減税がどう行われるのかについて、わかりやすくお伝えします。
【参照】国税庁:定額減税特設サイト
目次
国税の税収は、2020年の60.8兆円から2022年には71.1兆円と、大幅にアップしました。所得税だけでも、2020年:19.2兆円から2022年:22.5兆円に増加しました。住民税も2020年:13.4兆円から2022年:13.6兆円に増加しました
所得税と住民税をあわせて3.5兆円の税収増加を国民に還元する目的で、所得税と住民税の減税を行います。
低所得世帯の給付金とあわせて、5兆円規模の支援策を予定しています。
「租税法律主義」といって、国民から徴収する税金についてはすべて法律で明確に定められていますので、減税するには法律改正が必要になります。令和6年度税制改正大綱で改正内容が発表されています。
【参照】財務省:令和6年度税制改正の大綱
なお、今回は1回だけの減税の予定であり「期限付きの定額減税」と呼ばれたりします。
納税者本人だけでなく、扶養している配偶者・子供など扶養親族も対象になります。
所得税の特別減税は、令和6年度(2024年度)の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入だけの人は年収2,000万円以下)が対象
住民税の特別減税は、令和5年度(2023年度)の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入だけの人は年収2,000万円以下)が対象
定額減税の対象になるのは、次の条件をすべて満たす配偶者です(これを「同一生計配偶者」といいます)。
一般的には、籍を入れていて、年収103万円以下の配偶者なら条件を満たします。
毎年の確定申告での「配偶者控除」では、本人の所得が1,000万円(給与収入だけの人は1,195万円)を超えていると、配偶者控除の対象になりません。
ただ、今回の定額減税では、配偶者が上記の4つの条件を満たしていれば対象になります。申告書の書き方は、別途、国税庁から案内される予定です。
配偶者以外で、扶養している家族も定額減税の対象です。
毎年の確定申告での「扶養控除」では、16歳未満の子供(扶養親族)は扶養控除の対象になっていません。
ただ、今回の定額減税では、16歳未満の子供も定額減税の対象になります。
今回の減税は、一定金額を差し引く「定額減税」です。
所得減税は、所得税3万円、住民税1万円、合計4万円です。
配偶者・子供など扶養家族がいる場合は、その扶養家族1人につき、所得税3万円、住民税1万円、合計4万円が追加で減税されます。
もし、扶養家族が配偶者と子供2人で合計3人いたら、自分の分も合わせて、所得税12万円、住民税4万円、合計16万円が減税されます。
扶養家族の人数 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|
なし | 3万円 | 1万円 | 4万円 |
1人 | 6万円 | 2万円 | 8万円 |
2人 | 9万円 | 3万円 | 12万円 |
3人 | 12万円 | 4万円 | 16万円 |
4人 | 15万円 | 5万円 | 20万円 |
フリーランス・個人事業主などの自営業者の方は、1年間の収入(所得)に対して、翌年3月15日までに確定申告を行い納税します。そのタイミングで、納税する金額から減税分を差し引いて申告し、納税します。
ただし、2023年(令和5年)の所得税の納税額が15万円以上であった人は、基本的には予定納税の対象となり、2024年の7月と11月の2回に分けて、2024年分(令和6年分)の所得税を前もって納税します。
予定納税がある場合、まずは第1期の7月の予定納税から所得税を差し引きます。差し引きれない場合は、第2期の11月の予定納税から差し引きます。それでも差し引きれない場合は、2024年分(令和6年分)の確定申告で納税する分から控除します。
住民税については、年4回(6月、8月、10月、1月)に分けて市区町村に対して納税しています。
まずは、第1期の6月に支払う住民税から差し引かれます。そこで、控除しきれない場合は、第2期の8月、第3期の10月、第4期の1月から順次控除します。
年金受給者の場合は、2ヶ月に1回支給される年金から源泉徴収(源泉所得税)の形で所得税が差し引かれていますが、まずは、2024年6月の源泉徴収税額から控除します。
もし、6月の年金支給の源泉徴収では控除しきれない場合は、次のタイミングの8月の年金支給から控除します。それでも、控除しきれない場合は、10月、12月と続きます。
住民税も、2ヶ月に1回支給される年金から特別徴収の形で差し引かれていますが、令和6年度は少し特殊な形になります。
まずは、2024年10月の源泉徴収税額から控除します(6月からではありません)。10月に控除しきれない場合は、12月以降、順次控除します。
フリーランス・個人事業主で、所得が低い場合、また、年金受給者で支給額が少ない場合など、年間の所得税が3万円未満の人は、3万円すべてを引くことができません。
この場合は、「控除外額」という扱いになります。
そして、2025年(令和7年)に、お住まいの市区町村より「調整給付」を受けられます。こちらは、別途、市区町村より案内があります。
結論から言いますと、ふるさと納税には影響しませんので、ご安心ください。
ふるさと納税では、自己負担2000円だけで寄付ができ返礼品がもらえます。
たとえば、10万円を寄付したら、自己負担は2,000円だけで、所得税と住民税で合わせて98,000円が減税されます。
実際には、収入(所得)に応じた控除限度額が設定されています(下記のツールで計算可能です)。この限度額を超えてしまうと、その分は減税されなくなり損をしてしまいます(本当の寄付になります)。
今回の定額減税で、令和6年度に支払う所得税は少なくなりますが、ふるさと納税の限度額の計算は、減税をする前の税額で行いますので、影響はありません。
フリーランス・個人事業主など自営業の方は、2023年以前から事業をしていて予定納税をしている人は、7月の予定納税から減税されます。しかし、2023年は収入がほとんどない、または2024年から起業したなどで、予定納税がない場合は、2024年の収入(所得)に対して、2025年2月~3月に確定申告を行ったときに減税されます。
そうなると、減税の恩恵を受けるのは、2025年になってからということになります。
非課税世帯で早い人は2023年末には給付金を受け取り、会社員・公務員は2024年6月に減税を受けているのに、フリーランス・個人事業主の中には、2025年3月まで先延ばしされてしまう人がいるのです。
今回の減税の目的として、物価高騰で今苦しんでいる国民に還元するというのもありますので、そこからは大きく外れてしまうでしょう。
フリーランス・個人事業主は、翌年に確定申告のタイミングまで所得税の金額が決まらないため、仕組み上、仕方ない面もありますが、やはり冷遇されている感が否めませんので、声をあげていくしかないかもしれません。