3級商業簿記①簿記の基本原理|日商簿記まとめ

2000年(平成12年)に作成したものです。
一部を修正していますが、残りは、当時の会計原則等に基づいています。

1. 基礎概念

ア. 資産、負債、資本

資産:
企業の資金の運用形態としての財貨や債権の総称。
  財貨 ・・・ 現金、商品、建物、土地など
  債権 ・・・ 貸付金、売掛金など
負債:
企業が負っている負債など、他人からの調達分のこと。
  借入金、買掛金など
資本:
出資額や企業が稼ぎ出した利益など、自己資金部分のこと。

資産 = 負債 + 資本

イ. 収益、費用

収益:
営業活動によって企業の資本の増加をもたらす原因の総称。
  受取利息、受取手数料、商品販売益など
費用:
営業活動によって企業の資本の減少をもたらす原因の総称。
  支払利息、支払手数料、給料など

収益 - 費用 = 当期純利益  (収益>費用)
費用 - 収益 = 当期純損失  (収益<費用)

ウ. 損益計算書と貸借対照表との関係

貸借対照表 (Balance sheet : B/S):
一定時点における企業の財政状態を、資産・負債・資本によって表す報告書。
損益計算書 (Profit and Loss Statement : P/L):
一定期間における企業の経営成績を、収益・費用によって表す報告書。

期末純資産 - 期首純資産 = 当期純利益  (収益>費用)
期首純資産 - 期末純資産 = 当期純損失  (収益<費用)

 資産 負債
期首資本
当期純利益
 
費用 収益
当期純利益
  
期末資本

 

資産 負債
期末資本
当期純損失  
 
費用 収益
当期純損失
  
期首資本

 

2. 取引

ア. 取引の意義と種類

企業の取引で、お金やものが動く取引はすべて記録する。これを簿記上の取引という。
契約成立は、まだお金やものが動いていないので記録しない。

イ. 取引の8要素と結合関係

資産の増加、資産の減少、負債の増加、負債の減少、資本の増加、資本の減少、
費用の発生、収益の発生。

3. 勘定

ア. 勘定の意義と分類

勘定:
次のような形式の集計表のこと。T勘定とも呼ぶ。
左側を借方、右側を貸方という。

勘定名
__   __
借方 | 貸方

イ. 勘定記入法則

借方   貸方
___   ___
資産+ | 資産-
負債- | 負債+
資本- | 資本+
費用 | 収益

ウ. 仕訳の意義

取引の二重性:
簿記上の取引では、必ずある勘定の借方とある勘定の貸方の両方に記入する。
簿記では、取引を原因と結果というふうに、二面的に分解して帳簿に記入する。

取引の結果を勘定記入する前に仕訳を行い、それから各勘定へ転記する。

仕訳

(借) 商品 1,000 (貸) 現金 1,000 :   4/1 商品増加、現金減少
(借) 現金 2,000 (貸) 売上 2,000  :   4/2 売上発生、現金増加

転記

商品
______   ____
4/1 現金 1,000 |  
現金
______   ______
4/2 売上 2,000 | 4/1 商品 1,000
売上
____   ______
  | 4/2 現金 2,000

エ. 貸借平均の原理

貸借平均の原理:
仕訳は必ず、借方と貸方に記入され、その合計金額は一致する。
また、転記先のすべての勘定を合計すれば、借方と貸方の合計金額は必ず一致する。

4. 帳簿

ア. 主要簿 (仕分帳と総勘定元帳)

仕訳帳:
仕訳をするためのノート。
総勘定元帳:
すべての勘定を一冊にまとめたノート。

イ. 補助簿

現金出納帳、当座予金出納帳、小口現金出納帳、受取手形記入帳・支払手形記入帳、 
仕入帳・売上帳、商品有高帳、買掛金元帳

5. 証ひょうと伝票

ア. 証ひょう

イ. 伝票 (入金、出金、振替、仕入、売上の各伝票)

(1.1) 3伝票制

入金伝票 ・・・ 現金の入金取引
出金伝票 ・・・ 現金の出金取引
振替伝票 ・・・ 現金以外の取引

入金伝票
平成12年1月14日
売上 45,000
出金伝票
平成12年1月19日
仕入 36,000

 

振替伝票
平成12年1月25日
仕入 24,000 買掛金 24,000

 

1/14 (借) 現金 45,000 (貸) 売上 45,000
1/19 (借) 仕入 36,000 (貸) 現金 36,000
1/25 (借) 仕入 24,000 (貸) 売掛金 24,000

(1.2) 一部現金取引

第1法
いったんすべての売上を掛で行ったものとして振替伝票に記入し、
そのうち売掛金の一部を直ちに現金で回収したものとして入金伝票に記入する。

振替伝票
平成12年6月3日
売掛金 80,000 売上 80,000
金伝票
平成12年6月3日
売掛金 20,000

 

・振替伝票 (借) 売掛金 80,000 (貸) 売上 80,000
・入金伝票 (借) 現金 20,000 (貸) 売掛金 20,000
・仕訳 (借) 売掛金 60,000 (貸) 売上 80,000
    現金 20,000      

第2法
取引を単純に分解して、掛売上分は振替伝票に記入し、現金売上分は入金伝票に記入する。

振替伝票
平成12年6月3日
売掛金 60,000 売上 60,000
入金伝票
平成12年6月3日
売上 20,000

 

・振替伝票 (借) 売掛金 60,000 (貸) 売上 60,000
・入金伝票 (借) 現金 20,000 (貸) 売上 20,000
・仕訳 (借) 売掛金 60,000 (貸) 売上 80,000
    現金 20,000      

 

(2) 5伝票制

上記の3つの伝票+下の2つの伝票

仕入伝票 ・・・
すべて掛で仕入れたと仮定して記入する。
売上伝票 ・・・
すべて掛で売ったと仮定して記入する。

仕入伝票
平成12年7月26日
買掛金 40,000
売上伝票
平成12年7月29日
売掛金 30,000

 

7/26 (借) 仕入 40,000 (貸) 買掛金 40,000
7/29 (借) 売掛金 30,000 (貸) 売上 30,000

 

監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を1000本以上、執筆・監修。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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