領収書に消費税を書くと収入印紙(印紙税)がお得!

契約書や領収書など記載する金額が一定金額を超えると、印紙税が発生します。収入印紙を貼ることによって印紙税を納税します。

実は、領収書に「本体価格〇〇円、消費税〇円、合計〇〇円」というように、消費税の金額を明記すると、印紙税を節税できることがあります。

収入印紙(印紙税)が必要な金額と、それは税抜き/税込み、どちらで決まるのか? 印紙税の節税方法について、わかりやすく解説します。

1.印紙税とは

不動産売買契約書や不動産売渡証書、金銭借用証書、工事請負契約書、領収書などのことを課税文書といいます。その名のとおり、こうした文書を発行すると納税義務が生じます。その税金の名前が、印紙税です。

(1)印紙税と収入印紙

印紙税は税務署に直接お金を収めるのではなく、収入印紙を購入し、その収入印紙を契約書などに貼り付け、さらにその収入印紙に消印をする形で納税します。

収入印紙に消印をすると、もうその収入印紙は使えないので、税金を支払った効果が生じるのです。

収入印紙

(2)印紙税はいくらからかかる?

印紙税の額は契約書の内容や契約金額によって異なります。
ここでは代表的な印紙税の額を紹介します。

売上代金にかかる金銭の受取書(第17号文書)(いわゆる領収書)

お店で顧客に渡す領収書にかかる印紙税です。5万円以上から印紙税がかかります。

受取金額 印紙税額
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
(中略) …  …
10億円を越えるもの 20万円

売買契約書等(第1号文書)

不動産などの売買契約でかかる印紙税です。

契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
1万円以上10万円以下 200円
(中略) …  …
50億円を越えるもの 60万円

※印紙税額の軽減については考慮せずに、原則の金額を掲載しています。

請負契約書(第2号文書)

業務を請け負うときにかかる印紙税です。

契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
1万円以上100万円以下 200円
(中略) …  …
50億円を越えるもの 60万円

※印紙税額の軽減については考慮せずに、原則の金額を掲載しています。

預金通帳や貯金通帳など(第8号文書)

1年ごとに200円

【出典】国税庁:印紙税額一覧表

2.領収書に消費税を書くと印紙税が節税に!

領収書に消費税を明記すると印紙税を節税できる仕組みを紹介します。

先ほど、印紙税の金額を紹介しました。

  • 売上代金にかかる金銭の受取書(いわゆる領収書)
    5万円未満:非課税
    5万円以上100万円以下:200円

つまり、5万円以上から印紙税がかかりますが、この「5万円以上」という金額は、消費税込み価格なのか、消費税抜き価格なのかが問題になります。

領収書に本体価格と消費税額を明記すると、消費税抜の価格で「5万円以上」を判定します。
もし、合計金額のみ記入すると、消費税込の価格で「5万円以上」を判定することになります。

より具体的に解説していきます。

(1)印紙税と消費税の関係

例えば、税込50,000円(本体価格45,455円、消費税4,545円)(消費税10%)の売買取引をしたとします。

このとき、領収書に消費税額を明記しないと、印紙税の制度では「50,000円の取引があった」とみなされるので、200円の収入印紙を領収書に貼らなければなりません。

しかし、領収書に消費税額を明記すると「45,455円の取引があった」とみなされるので、非課税となり収入印紙を貼る必要はありません。200円節税できるわけです。

(2)領収書への消費税の書き方

国税庁は領収書への消費税額の明記の仕方を例示しています。
以下の書き方は消費税額を明記したことになります。

  • ◎ 総額50,000円 税抜価格45,455円、消費税額等4,545円
  • ◎ 税抜価格45,455円、消費税額等4,545円 計50,000円
  • ◎ 総額50,000円のうち消費税額等4,545円
  • ◎ 総額50,000円 税抜価格45,455円

領収書にこのように書けば、「45,455円の取引」として認められ、印紙税は非課税です。

一方、以下のような書き方は、消費税額を明記したことになりません。

  • × 総額50,000円(消費税10%を含む)
  • × 総額50,000円(税込)

領収書にこのように書いてしまうと、「50,000円の取引」とみなされるので、印紙税200円が必要になります。

【引用】国税庁:No.7124 消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額

なお、印紙税において、消費税を明記することによって税抜き金額を取引金額とみなすのは、下記の3つの文書だけです。

  • 売上代金にかかる金銭の受取書(第17号文書)(いわゆる領収書)
  • 売買契約書等(第1号文書)
  • 請負契約書(第2号文書)

まとめ

印紙税は「地味に効いてくる税金」といわれています。収入印紙という「切手のようなもの」を契約書や領収書に貼り付けるだけなので、納税意識が生まれにくいからです。

領収書や契約書には「総額50,000円 本体価格45,455円、消費税額等4,545円」といったように、しっかりと、総額、本体価格、消費税額等を記載してください。

さらに、事務社員やアルバイト員にも、印紙税の仕組みを教えて、徹底するようにしましょう。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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