駐車場代に消費税はかかる?月極駐車場の賃料は?インボイスは必要?
駐車場代・駐車場の賃料には基本的には消費税がかかりますが、消費税がかからない場合もあります。
「駐車場」なのか、単なる「土地」なのかが、消費税が課税されるかされないか判断の重要なポイントです。
駐車場の形態に応じて、消費税がかかる(課税)・かからない(非課税・不課税)ケースを紹介し、消費税課税の場合はインボイスが必要かどうかも紹介します。また、どういう理屈で消費税の税区分が決まるのかも、わかりやすく解説します。
目次
1.土地の貸付けは非課税、駐車場の貸付けは課税
駐車場の消費税について考えるうえで重要なポイントは、賃貸の対象が「駐車場」なのか「土地」なのかどうかです。
まず、原則的に「土地の貸付けは非課税」です。
「駐車場の貸付け」は土地の貸付けの例外として課税されることになります。
土地の貸付けが非課税になるのは、土地は利用しても価値が減少しないからです。消費されないので消費税がかからないわけです。
更地のみを借りてそこに自動車を置いても非課税です。
一方で、駐車場の貸付けに課税されるのは、駐車場などの施設利用がメインで、土地の借入れは施設の借入れに付随しているものにすぎないとみなされるからです。
貸付け期間が1ヶ月未満の場合も、土地の貸付けというよりも物品の貸付けやサービス提供に類似する取引とみなされるため課税されます。
月極駐車場のように、貸付け期間が1ヶ月以上の場合は、駐車場の形態によって、課税される場合とされない場合があります。
2.駐車場の課税判定フロー
駐車場として使う土地を借りて賃料を支払っている場合でも、その土地にフェンスも囲いもなく、アスファルトも敷かれてなく、区画も決められていなければ、非課税になります。駐車場の体(てい)をなしていないからです。
それでは以下のフローにしたがって、どのような場合に駐車場代が課税または非課税になるのかみていきましょう。
判定① 貸付け期間が1カ月未満 |
→ Yes |
課税 |
↓ No | ||
判定② 砂利やアスファルト舗装で地面の整備をしている、 フェンスで囲われている、区画がある、 建物などがある? |
→ Yes |
|
↓ No | ||
判定③ 車両の管理をしている? |
→ Yes |
|
↓ No | ||
非課税 |
更地でも、観光地などでよくみられる青空駐車場のように、貸付け期間が1ヶ月未満であれば課税されます。
コインパーキングも、貸付け期間が1ヶ月未満であることが前提のサービスですので、たとえ、どんなにひどい土地であっても課税されます。
個人でも月極駐車場の家賃は消費税がかかる?
自宅に駐車場がないため、個人で近くの月極駐車場を借りるケースは多いでしょう。この場合でも、その駐車場が整備されたりフェンスで覆われたりしているか、または車両の管理をされていれば、駐車場の家賃に消費税がかかります。
居住用の住宅の家賃は消費税がかからない(非課税)と聞いたことがあると思いますが、駐車場は居住スペースとは別であり、別途、駐車場サービスを利用していることになり、消費税がかかるのです。
3.駐車場を借りるときの初期費用の税区分に要注意!
駐車場を借りるとき、初期費用がかかります。初期費用には礼金、保証金・敷金、仲介手数料などがありますが、これらには、消費税が課税されるものと、そうでないものが混ざっていますので、課税事業者の方は要注意です。
礼金は借主(支払者)に返還されないので課税されます。返還されないお金は駐車場代の割増し料金のような性質を帯びるので「駐車場代金は課税」のルールが適用されます。
不動産仲介会社を通して駐車場を賃貸借する場合は、仲介手数料も課税されます。
一方で、保証金と敷金は解約時に借主に返還されるので、不課税になります。非課税ではなく不課税です。
非課税とは、本来課税されるべき取引について政策的に課税対象としない処置のことをいいます。
不課税とは、もともと課税されない取引のことです。敷金や保証金は、駐車場の借主が駐車場のオーナーにお金を預けているだけなので、事業性も対価関係もなく、消費税を課税する根拠がないのです。
内容 | 課税区分 |
---|---|
礼金 | 課税 |
保証金・敷金 | 不課税 |
不動産会社への仲介手数料 | 課税 |
消費税の仕入税額控除を行うにあたって、この課税区分を間違えないようにしましょう。
消費税の仕入税額控除にはインボイスが必要
2023年10月以降のインボイス制度下では、課税事業者が消費税の仕入税額控除を適用するために、インボイス(適格請求書)が必要です。
礼金・駐車場の賃料については、駐車場のオーナーから、仲介手数料については、不動産会社から、インボイスを発行してもらう必要があります。
駐車場のオーナーや不動産会社が免税事業者でインボイスを発行できない場合は、残念ながら消費税を控除できず、借り主の負担になります。
(当初6年間は経過措置で一部を控除できます。)
その場合は、事前に賃料の減額を交渉すると良いでしょう。
コインパーキング代・駐車場の賃料にもインボイスが必要
コインパーキング代や駐車場の賃料にもインボイスが必要になります。
課税事業者の方は、駐車場を利用する前に、その駐車場を提供している事業者がインボイス登録しているかどうか確認したほうが良いでしょう。
コインパーキングの場合は、レシート(領収書)には利用者の名前が入りませんが、インボイス登録番号が記載されていれば、簡易インボイスとして認められます。
なお、3万円未満の自動販売機および自動販売サービスによる商品の販売については、インボイスがなくてもOKという特例がありますが、コインパーキングは物品を譲渡するわけではなくサービス提供ですので、この特例には当てはまりません。
4.賃貸マンションの駐車場が非課税となるケース
これはちょっとややこしいですが、基本は、駐車場代に消費税がかかりますが、特定の条件下では駐車場料金に消費税がかからないことがあります。
敷地内の駐車場の場合、次の条件がすべてそろうと非課税です。
- 賃貸マンションやアパートの駐車場の代金が家賃に含まれている
- 「駐車場代」という名目で使用料を徴収されていない
- 入居者全員分の駐車場がある
- 車を保有していない人にも同じ額の家賃が採用されている
このケースでは、駐車場の利用を含む家賃となっているので、「家賃は非課税」のルールが適用されます。その家賃のなかに駐車場代の要素が含まれていても、非課税です。
同じことは分譲マンションでも起きます。分譲マンションの入居者(オーナー)は、管理費や共益費を毎月支払っています。もし駐車場の利用料が管理費や共益費のなかに含まれていて、車を保有せず駐車場を使っていない入居者にも同額の管理費や共益費が請求されている場合、管理費や共益費に含まれている「駐車場利用料の分の金額」には課税されません。
管理費や共益費にも課税されません。
なぜなら管理費も共益費も「駐車場利用料の分の金額」も「家賃のようなもの」だからです。ここでも「家賃は非課税」のルールが適用されます。
しかし分譲マンションの駐車場が、駐車場の利用者のみに「駐車場代」という名目で徴収されると課税されます。
また、敷地の外にある駐車場は、非課税になりません。道路を挟んで別の敷地に入居者全員分の駐車場があったとしても非課税になりません。
5.コインパーキング経営は「誰が駐車場にしているか」で税区分が変わる
コインパーキング経営をする場合、土地の賃料の消費税区分はややこしいです。
- アスファルトや機器を業者が整備:土地の賃料は非課税
- アスファルトや機器を地主が整備:土地の賃料は課税
コインパーキングの経営形態は、業者が地主から土地を借りてコインパーキングを運営します。業者が地主から更地を借りた後に、アスファルトを敷いたり機器を置いたりすれば、業者は「土地のみを借りているだけ」なので、土地の賃料は非課税です。
一方で、地主がアスファルトを敷いたり機器を置いたりしてから、業者に貸せば、業者は「駐車場という施設を借りている」ことになるので、土地の賃料は課税です。
まとめ
上記の説明を表でまとめます。
内容 | 課税区分 |
---|---|
土地のみの賃料 | 非課税 |
1カ月未満の土地の貸付け | 課税 |
駐車場にして土地を貸すときの賃料 | 課税 |
アスファルト舗装も区画もない、 外見上は更地の駐車場の賃料 |
非課税 |
賃貸住宅の駐車場料金が家賃に含まれている | 非課税 |
賃貸住宅の駐車場料金が家賃とは別に請求される | 課税 |
分譲マンションの駐車場料金が管理費に含まれている | 非課税 |
分譲マンションの駐車場料金が管理費とは別に請求される | 課税 |
コインパーキングの土地の賃料(業者が整備) | 非課税 |
コインパーキングの土地の賃料(地主が整備) | 課税 |
駐車場の初期費用-礼金 | 課税 |
駐車場の初期費用-保証金と敷金 | 不課税 |
課税・非課税・不課税は、設備や施設が設置されているか、家賃のような賃料といえるか、などによって判断します。
消費税が課税の場合、課税事業者は、その消費税の仕入税額控除の適用を受けるために、適格請求書(インボイス)が必要です。
参考ですが、駐車場の貸付は、駐車場内で事故がおきた場合、オーナー側にも責任が問われ支払いを求められることもありますので、駐車場内の事故に関しても注意が必要です。
下記の記事も併せて参考にしてください。
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こちらの記事が参考になりますので、ぜひ一読ください!
よくある質問
個人の方から駐車場を借りていますが、消費税がかかるの?
駐車場のオーナー(貸し主)が、個人事業主であれば、事業として賃貸をしていますので、消費税がかかります。
第三者の個人から、その人の自宅の駐車スペースを借りている場合も、外形的には、駐車場サービスですので、消費税がかかるでしょう。