収入印紙は消費税が非課税|金券ショップで購入すると節税に

収入印紙

【画像引用元】国税庁:収入印紙の形式改正について

収入印紙の購入・販売は原則、消費税がかからず非課税です。しかし金券ショップで収入印紙を買うと、課税されます。
それでも金券ショップで収入印紙を買う人がいるのは、課税されるのに節税になることがあるからです。

収入印紙が原則非課税である理由と、金券ショップで買うことのメリットとデメリットなどを解説します。

1.収入印紙とは

収入印紙の見た目は切手のようですが、収入印紙は印紙税という税金を支払うための証書です。収入印紙を購入して領収書や契約書に貼り付け、その収入印紙に押印(消印)することで印紙税を支払ったことになります。

ではなぜ印紙税が課せられるのでしょうか。領収書や契約書を発行するということは、経済活動をして何らかの利益が発生していると考えられます。その経済活動に税金を支払う能力があるとみなし課税するのが印紙税なのです。

2.収入印紙の購入・販売は「原則、非課税」

収入印紙を購入・販売するとき、原則、消費税はかかりません。消費税を課すと二重課税になってしまうからです。

収入印紙を購入しただけでは税金を納付したことにはなりませんが、収入印紙を領収書などに貼って消印をした瞬間に税金を納めたことになります。したがって、収入印紙の購入は「印紙税の納付」とほぼ同じと考えられます。

もし、収入印紙を購入・販売するときに課税してしまったら、税金(印紙税)に税金(消費税)を課すことになり二重課税になってしまいます。二重課税は税制的には好ましくないと考えられています。

3.収入印紙を売っている場所

収入印紙を非課税で販売しているのは郵便局などの特定の販売店だけです。特定の販売店のことを、「郵便切手類販売者」や「印紙売りさばき所」などといいます。収入印紙は「郵便切手類」に属するわけです。

収入印紙を発行するのは、税金を取り扱う財務省です。そして財務省は、日本郵便株式会社に収入印紙の販売を委託しています。日本郵便は、郵便事業と郵便局の運営などをしている企業です。

しかし、収入印紙を購入できる場所が郵便局だけでは納税者(収入印紙の購入者)に不便なので、郵便局はそのほかの「印紙売りさばき所」に印紙の販売を委託しているのです。

そのほかの印紙売りさばき所には、コンビニやタバコ屋、法務局内の売店などがあります。印紙売りさばき所で収入印紙を購入すれば非課税です。

4.コンビニで購入するメリット/デメリット

コンビニで収入印紙を購入すると、コンビニポイントがつく場合があります。

郵便局で購入するときには特典はありませんが、コンビニでクレジットカードや電子マネー等のキャッシュレスで購入すれば、そのキャッシュレスに紐づいたポイントの恩恵を受けることができます

ただ、郵便局があらゆる印紙を取り扱っているのに対し、コンビニは「売れ筋」の印紙しか置いていません。たとえば、200円の収入印紙しかないこともあります。

ほか、コンビニでは特殊な印紙を取り扱っていないこともあります。

5.金券ショップで購入するメリット/デメリット

金券ショップで収入印紙を購入するメリットは、消費税がかかるので仕入税額控除ができることです。仕入税額控除には節税効果があります。

また、ほとんどの金券ショップは収入印紙の価格を、収入印紙の額面より安く設定しています。郵便局で非課税で買うより、金券ショップで課税で買ったほうが安くなるようにしているのです。

郵便局は財務省から収入印紙を仕入れていますが、金券ショップは一般消費者や企業などから未使用の収入印紙を購入して店頭に並べています。そのとき金券ショップは、収入印紙の額面より安く購入します。そのため、安い価格で販売することができるのです。

実店舗に限らずに、インターネット通販サイトもあり、銀行振り込み等で購入することができます。

金券ショップで収入印紙を買うデメリットは、大量に収入印紙を購入できないことがあることです。金券ショップは仕入先が限られるので、在庫不足が発生する可能性があります。また、コンビニ同様、特殊な印紙を取り扱っていない可能性もあります。

ほか、金券ショップでは、偽造品が販売されていることもあるという報告もありますので、購入される際には、ご注意ください。

郵便局での購入と金券ショップでの購入の比較

たとえば、200円の収入印紙を郵便局で購入すれば、200円を支払います。非課税であり仕入税額控除はできませんので、実質負担額は200円です。

一方、金券ショップで197円で購入すると、197円を支払いますが、17円の消費税(税率10%の場合)が含まれているため、仕入税額控除をすると、実質負担額は、197-17=180円となります。

つまり、この例では、郵便局で購入するより金券ショップで購入するほうが、実質20円お得であることがわかります。

まとめ

収入印紙はいわば、印紙税を支払う「ツール」です。したがって二重課税になることを回避するため、収入印紙を購入するときに原則、消費税は課されません。

ただし、非課税となるのは、収入印紙を郵便局やコンビニで購入する場合であり、金券ショップで購入するときは消費税が課されます。

その分、仕入税額控除が可能ですので、実質お得になりますが、金券ショップでは収入印紙の数に限りがあることもあります。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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