少額の減価償却資産の取得価額は、消費税を含む?含まない?

パソコン 減価償却資産

減価償却資産であっても、その取得価額が10万円未満(※)の場合、「少額の減価償却資産」とみなされ、取得価額の全額を損金の額に算入することができます。
(*「10万円」は、条件によって「20万円」になったり「30万円」になったりします。)

この「取得価額が10万円未満かどうか」は、税抜経理方式を採用している企業であれば、消費税を抜いた本体価格で判定します。税込経理方式を採用している企業であれば、税込価格で判定します。

少額の減価償却資産の仕組みと、取得価額と消費税の関係について解説します。

1.少額の減価償却資産とは

取得価額と消費税の関係をみる前に、少額の減価償却資産の仕組みについて解説します。

1-1.少額の減価償却資産の判定

少額の減価償却資産とは、減価償却資産のうち、次のいずれかに該当するものです。

  • A:使用可能期間が1年未満のもの
  • B:取得価額が10万円未満のもの

Aは、法定耐用年数が2年以上あっても、1年未満で使い切ってしまうものです。国税庁はその一例として、テレビCMのフィルムを挙げています。CMのフィルムは法定耐用年数が2年ですが、1年未満しか放映しないCMもあります。その場合は、CMのフィルムを少額の減価償却資産にすることができます。

Bは、取得価額で判定する方法です。10万円未満で買ったものであれば、少額の減価償却資産に該当します。

【参照】国税庁:タックスアンサー No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示

1-2.少額の減価償却資産のメリットとデメリット

減価償却資産が少額の減価償却資産として扱われると、企業にとってどのような「よいこと」があるのでしょうか。

最も大きな効果は節税できることです。損金が多いほど利益(所得)が減るので、利益に課せられる税金が減ります。
例えば、ある年だけ例外的に多額の利益が出てしまったとします。その利益に見合った税金を支払うと、資金繰りに困ることもあります。そのとき、少額の減価償却資産の対象を増やせば、税額を抑えることができます。

ただ、少額の減価償却資産は「節税効果の先食い」の性質があるので、次の年以降の減価償却による節税効果が失われます。損金の額をなるべく一定に保ちたい場合は、少額の減価償却資産の仕組みを使わないほうがよいでしょう。

また、減価償却をし過ぎると利益が減りますので、第三者からから「儲かっていない会社」とみられるかもしれません。

1-3.20万円未満の減価償却資産は3年で償却できる

少額の減価償却資産の仕組みでは、「原則」10万円未満のものが対象になりますが、「例外」として10万円以上20万円未満のものも対象になります。これを「一括償却資産」といいます。

ただし、10万円以上20万円未満の減価償却資産は、3年間で償却しなければなりません。法定耐用年数が3年以上でも、3年で償却できる「特典」ということができます。

1-4.中小企業はさらに30万円未満までOK

中小企業は、少額の減価償却資産の仕組みをさらに拡大して利用することができます。
30万円未満の減価償却資産であれば、取得価額の全額を損金の額に算入することができます。

この仕組みを利用できるのは、

  1. 青色申告法人である中小企業または農業協同組合など
  2. 常時使用する従業員が1,000人以下
  3. 資本金1億円以下

などの条件に当てはまる中小企業です。

また、少額の減価償却資産の取得価額の合計が300万円を超えるときは、300万円が限度額になります。

2.取得価額の判定は税込か?税抜か?

少額の減価償却資産の仕組みを使えるかどうかは、取得価額(購入価格)で判定します。このときの取得価額は、消費税込みの価格を使うときもあれば、消費税抜きの本体価格を使うときもあります。経理方式によって異なります。

経理処理で、税込経理方式を採用している企業は、消費税込みの取得価額を使わなければなりません。
税抜経理方式を採用している企業は、消費税抜きの取得価額を使わなければなりません。

2-1.具体例で解説

税込経理と税抜経理での取得価額の違いについて、具体例を使って解説します。
ここでは、取得価額が10万円未満の少額の減価償却資産について考えます。

税込経理を採用しているA社と税抜経理を採用しているB社が、税込108,900円(税抜本体99,000円)のパソコンを買ったとします。

A社の取得価額は税込108,900円とみなされるので、このパソコンは少額の減価償却資産にはなりません。

B社の取得価額は税抜本体99,000円とみなされるので、このパソコンは少額の減価償却資産になります。

税抜経理を採用しているB社のほうが、少額の減価償却資産として計上しやすくなります。

2-2.税込経理とは、税抜経理とは

税込経理方式とは、消費税額を売上高や仕入高に含めて経理する方法です。一方、税抜経理方式では、売上高や仕入高の経理は消費税抜きの価格で行ない、それとは別に消費税だけを計算する方法です。

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まとめ

少額の減価償却資産の仕組みを使えるかどうかは、取得価額で決まります。そして取得価額は、税込経理方式を採用している会社では税込の購入価格を使います。税抜経理方式を採用している会社では、税抜の本体価格が取得価額になります。

また、少額の減価償却資産の仕組みは、早めに節税効果が得られるメリットがありますが、節税効果を短期間に使い果たしてしまうことにもなりますので「財務状況との兼合い」が必要になるでしょう。

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