消費税の納付時期(支払い時期)はいつ?納付方法は?

支払い方法 支払い時期

消費税の納付時期(支払い時期、納付期限)はいつか? 納付方法にはどんな方法があるか? について解説します。

個人/法人で異なる部分については、それぞれ分けて解説します。

1.消費税の納付時期(支払い時期)・納付期限

消費税の納付時期(支払い時期)・納付期限には、大きく分けて、確定申告による納付と、予定納税(中間申告)による納付の2つのパターンがあります。

予定納税(中間申告)は、直近の課税期間の消費税額(地方消費税を除く)が48万円以上の場合に発生します。

ここまでは、個人/法人で共通の内容です。

なお、すべての日付について、該当する日が土日祝・年末年始(12月29日~1月3日)の場合は、翌営業日になります。

(1)個人事業主

確定申告

個人事業主の年度および課税期間は、1月1日から12月31日までと決められています。

消費税の確定申告の納付時期(納付期限)は、確定申告と同じで3月末です。口座振替による納付を利用している場合は、4月の納付になります。

  通常 2023年(令和5年)の場合
納付時期 3月31日 2023年3月31日(金)
口座振替の振替日 4月下旬 2023年4月27日(木)

予定納税(中間申告)

消費税の予定納税は、前年の消費税額(地方消費税を除く)が48万円の場合に必要になります。その金額によって回数が異なります。

  • 48万円超400万円以下:年1回
  • 400万円超4,800万円以下:年3回
  • 4,800万円超:年11回
年1回の場合
  納付時期 口座振替の振替日
1回目 8月末 9月下旬
年3回の場合
  納付時期 口座振替の振替日
1回目 5月末 6月下旬
2回目 8月末 9月下旬
3回目 11月末 12月下旬
年11回の場合
  納付時期 口座振替の振替日
1~3回目 5月末 6月下旬
4回目 6月末 7月下旬
5回目 7月末 8月下旬
6回目 8月末 9月下旬
7回目 9月末 10月下旬
8回目 10月末 11月下旬
9回目 11月末 12月下旬
10回目 12月末 1月下旬
11回目 1月末 2月下旬

予定納税について、詳しくは、後述の「予定納税とは」をご覧ください。

(2)法人

確定申告

法人の事業年度および課税期間は、決算月によって決まりますので、支払い時期(納付時期)も、決算月を起点に決まります。

消費税の確定申告の納付時期(納付期限)は、確定申告と同じで、決算月の月末から2ヶ月以内です。

  通常 3月決算の場合の
納付期限
納付時期 課税期間の終了の日の翌日から2か月以内 5月31日

予定納税(中間申告)

個人事業主と同じく、消費税の予定納税は、直近の課税期間の消費税額(地方消費税を除く)が48万円の場合に必要になり、金額によって回数が異なります。

  • 48万円超400万円以下:年1回
  • 400万円超4,800万円以下:年3回
  • 4,800万円超:年11回
年1回の場合
  納付時期 3月決算の場合の
納付期限
1回目 事業年度開始から6ヶ月経過した日から2ヶ月以内 11月末
年3回の場合
  納付時期 3月決算の場合の
納付期限
1回目 事業年度開始から3ヶ月経過した日から2ヶ月以内 8月末
2回目 事業年度開始から6ヶ月経過した日から2ヶ月以内 11月末
3回目 事業年度開始から9ヶ月経過した日から2ヶ月以内 2月末
年11回の場合
  納付時期 3月決算の場合の
納付期限
1~2回目 事業年度開始から2ヶ月経過した日から2ヶ月以内 7月末
3回目 事業年度開始から3ヶ月経過した日から2ヶ月以内 8月末
4回目 事業年度開始から4ヶ月経過した日から2ヶ月以内 9月末
5回目 事業年度開始から5ヶ月経過した日から2ヶ月以内 10月末
6回目 事業年度開始から6ヶ月経過した日から2ヶ月以内 11月末
7回目 事業年度開始から7ヶ月経過した日から2ヶ月以内 12月末
8回目 事業年度開始から8ヶ月経過した日から2ヶ月以内 1月末
9回目 事業年度開始から9ヶ月経過した日から2ヶ月以内 2月末
10回目 事業年度開始から10ヶ月経過した日から2ヶ月以内 3月末
11回目 事業年度開始から11ヶ月経過した日から2ヶ月以内 4月末

(3)予定納税(中間申告)とは

消費税の予定納税(中間申告)とは、直近の課税期間に、地方消費税を除いて48万円以上の消費税額が発生した場合、今期も同じ税額になるとみなして、その金額を分割して納税する制度です。

予定納税の回数は、消費税額に応じて、年1回、年3回、年11回のパターンがあります。

確定申告と合わせると、消費税の支払い回数は、年1回、年2回、年4回、年12回の4パターンあることになります。

支払い回数 確定申告 予定納税
年1回 1回 0回
年2回 1回 1回
年4回 1回 3回
年12回 1回 11回

確定申告では、自分で消費税額を申告をしたうえで、消費税を納税しますが、
予定納税では、金額が印字された納付用紙が税務署より送付されてきますので、それを納付するだけです。

予定納税の金額は、前期に支払った消費税額を、支払い回数によって分割した金額になります。

予定納税の回数と、1回あたりの納付金額は、前期の消費税額によって異なります。この場合の消費税額は地方消費税を含まない額です。

前期の消費税額 中間申告 1回当たりの納付金額
48万円以下 不要
48万円超400万円以下 1回 前期消費税額の12分の6
400万円超4,800万円以下 3回 前期消費税額の12分の3
4,800万円超 11回 前期消費税額の12分の1

予定納税で納税する消費税は、概算となりますので、課税期間が終了したら確定申告を行い、1年間を通じて正しい消費税額を申告して納税します。

もし予定納税で、本来の税額より多く納税した場合には、還付されます。

事業年度開始から、予定納税の期間までの、消費税の計算を正しく行い中間申告を行えば、正しい税額を支払うことができますが、経理上は負担になります。売上が大きく減った、あるいは、仕入が大きく増えた等の理由で、納税すべき消費税額が大きく減少したときは、中間申告がおすすめです。

予定納税と中間申告については、以下のページでさらに詳しく解説していますので参考にしてください。

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消費税の納付時期・納付期限の具体的な日付は、下記の計算ツールで確認が可能です。

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2.納付方法(支払い方法)

消費税の納付方法(支払い方法)は次の7種類があります。
近年では、電子的な支払い方法が増えてきています。

①納付書を持参して現金で支払う

納付書に税額を記入して、税務署や銀行、郵便局の窓口で支払います。
以前からある最も一般的な方法です。

確定申告であれば、通常、税務署から白紙の納付書が送られてきますが、税務署にも置いてあります。
予定納税の場合、税務署から金額が印字された納付書が送られてきます。

②ダイレクト納付

e-Taxによる電子申告を行い、事業者の預金口座から口座引落しによって支払います。
電子申告後、e-Taxのシステムから、即座に納付できますので、大変便利です。

③インターネットバンキングによる納付

インターネットバンキングを開設している事業者は、e-Taxの利用開始手続を行うことで支払いができます。
ただし、Pay-easyというシステムに対応していない金融機関では利用できません。

④クレジットカード納付

国税クレジットカードお支払サイト」に登録することでクレジットカードによる支払いができます。
ただし、納税額1万円ごとに税込約83~84円の決済手数料がかかりますので、ご注意ください。
納税額の上限は1,000万円までです。また、クレジットカードの限度額の制約も受けます。

⑤コンビニ納付

国税庁のホームページの「コンビニ納付用QRコード作成専用画面」からQRコードを取得すれば、コンビニで支払うことができます。
ただし、納税額の上限が30万円までです。

⑥預金口座から振替納税で支払う

個人事業主は口座引き落としで支払うことができます。
実際に引き落とされるのは、納付期限より2週間から1ヶ月ほど後になりますので、資金繰りに少し余裕ができます。

⑦スマホアプリ納付

国税スマートフォン決済専用サイト」から、スマホアプリ決済を利用して納付できます(スマートフォンからのみアクセス可能)。
決済手数料はかかりません。納税額の上限が30万円までです。

2023年4月時点で利用可能なアプリはこちらです。

  • PayPay
  • d払い
  • au PAY
  • LINE Pay
  • メルペイ
  • Amazon Pay

以下のページでさらに詳しく解説していますので参考にしてください。

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よくある質問

消費税の納税時期はいつ?

確定申告の場合、個人事業主は、3月31日まで、法人は、課税期間の終了の日の翌日から2か月以内です。

予定納税がある場合、その回数によって納税時期は異なります。

詳しくは、こちらをご覧ください。

前期は売上が多く予定納税がありますが、今期は売上が下がったため、予定納税をしなくても大丈夫ですか?

前期は売上が多く消費税額(地方消費税を除く)が48万円以上の場合、今期の売上が下がり受け取った消費税額が少ないとしても、予定納税をする必要があります。

ただし、今期の予定納税の対象期間までの消費税の計算を正しく行い中間申告をして、税額が発生していなければ、予定納税をする必要はなくなります。

服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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