年末調整の配偶者控除・配偶者特別控除の書き方【令和6年分】
配偶者が専業主婦(主夫)であったり、パートやアルバイトなどで、給与収入が少ない方は、配偶者(特別)控除を受けると税金…[続きを読む]
一定の収入があれば誰しもが支払わなけれなならない「住民税」は、家計にとって重い負担です。今回の記事では住民税の節税方法について、税理士事務所の杉谷大輔さんに解説していただきます。
目次
個人の住民税(都道府県民税と市町村民税)は、以下の二つの合計です。
住民税所得割は所得税のように収入に応じて税率が決まる「累進税率」ではなく、たくさん稼いでいる人もあまり年収が多くない人にも同じ税率で税金がかかる「単一税率」なので、特に所得が多くない方にとっては相対的に負担が重い税金です。
住民税所得割の税額は、次の算式で計算します。
この式を見ると、住民税所得割の税額を減らすためには、以下のいずれかを達成できればよいことがわかります。
それぞれを達成するための具体例は次のとおりです。
目的 | 手段 |
---|---|
所得控除を増やす | ・ご家族の年収を調整して配偶者控除や扶養控除を取る ・個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する |
適用される税率を低くする | ・税率の低い地方自治体へ引っ越す |
税額控除を増やす | ・ふるさと納税を活用する |
次章、それぞれの具体例について、概要、節税効果、利用方法、そして注意点や節税効果を高めるためのアドバイスを解説します。
「配偶者控除」や「扶養控除」の適用を受ければ、住民税の所得控除額が増えます。
配偶者控除は最大33万円(配偶者が70歳以上のときは最大38万円)、扶養控除は最大45万円の所得控除を受けることができます。住民税の税率は10%ですから、配偶者控除を受ければ33,000円、扶養控除を受ければ45,000円の節税効果があります。
給与所得者の方は年末調整または確定申告、それ以外の方は確定申告をすることによって翌年の住民税が減額されます。
配偶者控除の場合は、配偶者の所得金額による制限の他に、納税者本人の所得金額による制限もあるので注意が必要です(納税者本人の所得金額が1,000万円を超える場合は適用を受けることができません)。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金を支払えば、住民税の所得控除額が増えます。
個人型確定拠出年金の掛金は全額所得控除を受けることができます。つまり、iDeCoの掛け金として支払った金額はそのまま、課税所得から差し引くことができるのです。
個人型確定拠出年金の掛金の拠出額には限度がありますが(自営業者は年81.6万円、確定拠出年金のない企業の会社員は年27.6万円)、たとえば自営業者の方が限度額まで拠出した場合は、81,600円の節税効果があります。
給与所得者の方は年末調整または確定申告、それ以外の方は確定申告をすることによって翌年の住民税が減額されます。なお、個人型確定拠出年金は、「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入します。
掛金は60歳まで引き出せないので、高い節税効果に惹かれて毎年限度額まで拠出すると、直近で自由に使うことができるお金が減ることには注意が必要です。
この記事では所得控除として配偶者控除・扶養控除・小規模企業共済等掛金控除をご紹介しましたが、人によっては他にも所得控除を適用できる可能性がありますので、年末調整や確定申告では漏れずに申告するようにしましょう。
住民税の税率が低い地方自治体へ引っ越せば、住民税額が減ります。
たとえば大阪府泉南郡田尻町であれば、所得割の税率が通常よりも0.6%低く、均等割の税率が通常よりも300円低いので、所得割の課税標準が300万円のときは18,300円の節税効果があります。
税率の低い自治体へ住民票を移せば、翌年から低い税率が適用されます。
実際に住民票を移す必要があるなど、手間がかかります。
ふるさと納税として支払った金額から2,000円を引いた金額(最大)が住民税から控除される上、各種返礼品を受けることが可能です。
私たちから見たお金の動き的には住民税のうちの一部をふるさと納税の寄付金として納めているようなイメージになるので、直接的な節税効果はありません。
ですが、寄附金額の最大3割の返礼品を受けることができる効果があります。
また、クレジットカードでふるさと納税をすればポイント還元を受けることできます。
各ふるさと納税サイトには様々なお得な特典がありますが、例えば楽天カードを持っている場合、楽天市場で「お買い物マラソン」実施中にふるさと納税を行えば寄附額の最大44%がポイント還元されます。このように、納税による出費の一部をポイント還元という形で取り戻すことが可能です。
原則として確定申告をすることによって適用を受けることができます。
ただし、確定申告をする必要がない方(給与所得以外の収入がない方など)で、かつ年間の寄附先が5自治体以下の方は「ワンストップ特例制度」の適用を受けることができ、この特例の適用を受ければ確定申告が不要になります。
この特例の適用を受けるためには、寄附をした地方自治体へ「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」の提出をする必要があります。
寄附金の控除限度額を超えた分は控除を受けることができないので、支払った金額は単なる「寄附」となることに注意が必要です。住民税(特例控除分)の寄附金控除限度額は住民税所得割額の20%ですから、たとえば住民税所得割の金額が30万円の場合は6万円が限度額です。
また、ワンストップ特例制度の適用を受けるときは、申請書と必要書類(マイナンバーカードの写し)を期限(寄附した年の翌年1月10日必着)までに寄附した地方自治体へ提出する必要があります。
この期限に間に合わなかった場合は確定申告をしないと寄附金の控除を受けられなくなるため、確定申告をしたくない方は必ず期限までに提出するようにしましょう。
住民税の支払いに利用できる決済方法は自治体によって異なりますが、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済で支払える場合はポイント還元を受けることが可能です。
このうち便利さやお得さでおすすめなのはスマホ決済で、スマホにアプリが入っていてネットが使える場所ならいつでもどこでも簡単に住民税を支払うことができ、ポイント還元をうけることが可能です。
スマホに決済アプリを入れるのが嫌いな方であればコンビニ納付の際にnanacoやWAONを利用する(それぞれセブンイレブン、ミニストップのみで利用可能です)方法がおすすめです。
なお、クレジットカード決済については「手数料がかかる」からお得でないイメージの方も多いと思いますが、たとえばdカード GOLDなら税金の支払いを含めて年間100万の利用があれば11,000円分の特典が付きますし、以下のようなクレカの入会特典を利用すれば税金の支払いで20~25%のポイント還元も可能です。
ライフカード | 入会から3か月後末日までに5万以上の利用で3000円相当、 10万以上の利用で6000円相当のポイントGET |
---|---|
三井住友カード | 入会翌々月まで還元率15%など |
dカード | 入会~入会翌月末まで15%還元で最大2500ポイントGET |
なお、上記は住民税を普通徴収の方法によって納付する方(個人事業者の方)のみ可能な手段です。
特別徴収の方法によって納付する方(サラリーマンやアルバイトの方)は会社が個人に代わって納付するため、この方法は使えません。また、給与所得者の住民税は事業主が徴収して納付する必要があるため、事業主または従業員の希望により普通徴収を選択することはできません。
ただし、副業をしている方であれば、副業分の住民税については確定申告・住民税の申告時に普通徴収を選ぶことができる自治体もあります。
住民税をクレジットカードで支払う場合、システム利用料が必要ですので、ポイント還元額(お持ちのクレジットカードによります)がシステム利用料を下回るときは現金で納付した方がお得です。
お持ちのクレジットカードのポイント還元率が1%であれば納付額が何円であってもクレジットカードで納付した方がお得ですが、一方、ポイント還元率が0.5%の場合は納付額によって有利不利が変わります。
納付金額 | システム利用料 (消費税込み) |
システム利用料÷納付金額 (最大) |
---|---|---|
1円~5,000円 | 0円 | 0% |
5,001円~10,000円 | 41円 | 0.41% |
10,001円~20,000円 | 125円 | 0.625% |
20,001円~30,000円 | 209円 | 0.696% |
30,001円~40,000円 | 292円 | 0.73% |
40,001円~50,000円 | 376円 | 0.752% |
以降10,000円ごと | 84円加算 | 0.84% |
住民税の均等割は所得の多寡にかかわらず課せられるため、住民税の非課税世帯(住民税の支払いを免除されている世帯)でない限りどんな節税対策をしても住民税をゼロにすることはできません。
ただし、被災した場合や前年と比べて著しく所得金額が減少した場合は、地方自治体への申請によって住民税額の減免を受けられるケースもあるため、この減免を受けることができれば、住民税の金額をゼロにすることも可能です。
また、ふるさと納税による所得割の控除限度額は所得割の金額の20%ですから、どれだけふるさと納税をしたとしても住民税の所得割の金額を0円にすることはできません。たとえば、所得割の金額が30万円の方の控除限度額は6万円ですから、6万円を超えてふるさと納税をしたとしても、所得割の金額は変わりません。
いかがでしたでしょうか。今回は住民税の節税方法についてお伝えしました。最後に、文中でも触れた住民税のキャッシュレス決済について、各サービスの還元率をまとめました。
住民税をよりお得に支払いたいという方は参考にしていただければと思います。
また、どうしても住民税の支払いが難しい場合の対応については以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
※当ページからのお申し込みはLINE Pay株式会社および三井住友カード株式会社が主催する各種キャンペーンの条件に該当しない場合がございます。
上記にもあるとおり、LINE Payで住民税を支払うなら、ポイント還元には三井住友カードが必須です。
「Visa LINE Payクレジットカード」や「Visa LINE Payクレジットカード(P+)」でチャージ&ペイをしても、住民税の支払いではポイントを貯められないので注意が必要です。
住民税の負担を軽くする方法には主に次のような方法があります。
ふるさと納税による所得割の控除限度額は所得割の金額の20%ですから、どれだけふるさと納税をしたとしても住民税の所得割の金額を0円にすることはできません。たとえば、所得割の金額が30万円の方の控除限度額は6万円ですから、6万円を超えてふるさと納税をしたとしても、所得割の金額は変わりません。