住民税は年収いくらからかかる? 住民税非課税世帯は年収いくらから?

一定の収入がある人はみな、住民税を支払い、住民税は地域の収入として行政サービスに充てられます。それでは、住民税がかかる「一定の収入」とはいくらなのでしょうか。また、住民税がかからない「非課税世帯」とはどんな家庭のことを指すのでしょうか。
この記事では、住民税がかかる条件とかからない条件について解説します。
この記事ではこんな疑問にお答えします
- 住民税は年収いくらからかかるの?
- 払わなくていいケースもあるの? その条件は?
目次
1. 住民税を払わなくていい人・住民税がゼロ円の人とは?
住民税とは1月1日に住所がある都道府県、市町村に納める税金です。住民税は教育、福祉、消防・救急、ゴミ処理といった生活に身近な行政サービスの費用を賄います。
基本的にすべての人に課税されますが、以下に挙げたような要件に該当する人は住民税がゼロ円となり非課税となります。
- 生活保護を受給している方
- 未成年者で前年の所得が135万以下(給与収入だけなら204万4000円未満)の方
- ひとり親および寡婦で前年の所得が135万以下(給与収入だけなら204万4000円未満)の方
- 障害者の方で前年の所得が135万(給与収入だけなら204万4000円未満)以下の方
- 年収が一定以下の方
生活保護を受給している方
行政の生活支援を受けている方は住民税が非課税となります。
未成年者
20才未満※の未成年者は、前年の所得が135万円以下であれば住民税はかかりません。※2022年4月からは18才未満。
ひとり親および寡婦
ひとり親および寡婦に該当する方で前年の合計所得金額が、135万円以下の場合、住民税は非課税となります。以前は婚姻歴のある寡婦(寡夫)のみを対象としていましたが、「未婚のひとり親」に対する不公平などもあり、2021年度から非課税の対象が拡大しました。また、男性の「寡夫控除」はなくなり、「未婚のひとり親」に一本化されました。
障がい者
障がい者の方で前年の合計所得金額が、135万円以下の場合、住民税は非課税となります。
年収が一定以下の方
ここまでの条件に当てはまっていない場合も、年収が一定以下であれば住民税はかかりません。年収いくらまでなら住民税がかからないかは扶養家族などの人数によっても異なりますので、次章で詳しく説明します。
2. 住民税は年収いくらからかかる?
住民税には「均等割」と「所得割」があり、住民税の支払額は均等割と所得割のそれぞれの金額を合計した金額となります。住民税がゼロ円となるのは均等割と所得割がいずれもゼロ円(非課税)となる場合です。
この章では、年収がいくらまでなら均等割や所得割が非課税になるのかを解説します。
なお、一章でも説明しましたが以下の条件にあてはまる方は前年の所得が本章で解説する金額以上であっても所得割、均等割がともに非課税となります。
- 1月1日時点で生活保護を受給している
- ひとり親および寡婦、未成年者、障がい者の方で前年の所得金額が135万円以下(給与収入のみであれば年収204万4000円未満)
(1) 住民税の均等割が非課税になる条件は?
前年の合計所得金額が各地方自治体の定める金額以下の方は均等割が非課税となります。東京23区の例を見てみましょう。
扶養している配偶者・家族がいる場合
前年の所得が以下の金額以下であれば均等割が非課税となります。
「同一生計配偶者」とは、年間所得48万円(給与収入だけなら103万円)以下の、配偶者のことです。
「扶養親族」とは、年間所得48万円(給与収入だけなら103万円)以下の、子ども・親など、その人が扶養している親族のことです。この「扶養親族」の人数には、16歳未満の子どもを含みます。
単身者の場合
単身者の方は、前年の所得が45万円以下の場合は住民税均等割も所得割も非課税となります。例えば給与収入のみだけの、ひとりぐらしの方であれば目安となる年収では100万円、所得では45万円となります。
住民税(均等割)が非課税となる年収はいくら?
住民税(均等割)が非課税となる条件の金額について、世帯の人数(扶養人数)ごとに整理しました。
所得だとわかりづらいため、給与収入(年収)に換算しています。(ここでは、給与収入だけの方を想定しています。)
世帯の人数 | 所得 | 給与収入(年収) |
---|---|---|
1人(単身) | 45万円 | 100万円 |
2人(扶養1人) | 101万円 | 156万円 |
3人(扶養2人) | 136万円 | 205万円 |
4人(扶養3人) | 171万円 | 255万円 |
5人(扶養4人) | 206万円 | 305万円 |
年金収入の場合はどうなるの?
「住民税非課税」とは住民税(均等割)が非課税のこと
「住民税の均等割が非課税となる所得の金額」は「所得割が非課税となる所得の金額」よりも低いため、均等割が非課税であれば所得割も非課税、つまり住民税全体が非課税となります。この状態を、一般的に「住民税非課税」といいます。
ですが、均等割の支払いは必要でも、所得割の方は非課税になることもあります。ここからは、所得割が非課税になる年収について条件をチェックしてみましょう。
(2) 住民税の所得割が非課税になる条件は?
前年の合計所得金額が各地方自治体の定める金額以下の方は所得割が非課税となります。こちらも東京23区の例を見てみましょう。
扶養している配偶者・家族がいる場合
前年の所得が以下の金額以下であれば所得割が非課税となります。
単身者の場合
前述の通り、単身者の方は前年の所得が45万円以下の場合は均等割も所得割も非課税となります。
住民税(所得割)が非課税となる年収はいくら?
住民税(所得割)が非課税となる条件の金額について、世帯の人数(扶養人数)ごとに整理しました。
先ほどと同様に、所得だとわかりづらいため、給与収入(年収)に換算しています。(ここでは、給与収入だけの方を想定しています。)
世帯の人数 | 所得 | 給与収入(年収) |
---|---|---|
1人(単身) | 45万円 | 100万円 |
2人(扶養1人) | 112万円 | 170万円 |
3人(扶養2人) | 147万円 | 221万円 |
4人(扶養3人) | 182万円 | 271万円 |
5人(扶養4人) | 217万円 | 321万円 |
(3)住民税が非課税にならないとどのくらい負担がかかる?
均等割
均等割とは、住民税の基本料金に相当し、納税の義務のある住民から平等に一定額を徴収するものです
2023年までは、市町村民税(特別区民税)部分の均等割額は3500円、道府県民税の均等割額は1500円となっています。都道府県に収める分と市町村に収める分を合わせて、5000円の納税ということですね。
この他、道府県民税に森林環境税として300円〜1300円程度を加算している自治体も多くあります。
所得割
所得割とは、納税の義務のある住民がそれぞれの所得に応じて負担するものです(所得が多い人ほど住民税の金額が高くなります)。
金額は課税所得に対して、市町村民税(特別区民税)が6%、道府県民税が4%(合わせて10%)が基本ですが、自治体によっては増減させている場合もあります。
ここでは、東京都23区の場合を例にとって解説しましたが、住民税が非課税となる所得(年収)の基準は自治体によって異なります。
必ず、お住いの自治体のホームページ等をご確認いただくようにお願いします。
3.住民税非課税世帯とは?
(1)住民税非課税世帯とは?
「住民性非課税世帯」とは生計を一にしている(共にしている)世帯の家族全員が1章・2章で解説した条件にあてはまり、住民税が課税されていない状態を指します。
生計を一にしているとは必ずしも同居をしている必要はなく、一人ぐらしの子供に仕送りをしているようなケースでは同一世帯とみなされます。同居してもルームシェアなどにより、生計を別にしているようなケースでは別世帯とみなされます。
住民税の非課税措置の適用には申告等は必要ありません。ただし、後述する国民健康保険料の減免などの優遇措置を受ける際には、市区町村などへの連絡が必要な場合があります。
(2)住民税非課税世帯となる年収のモデルケース
それでは実際に、住民税非課税世帯となるモデルケースをいくつかご紹介します。
なお所得の計算の際に以下の所得については別途税率が定められているため、住民税の計算には含めません。
- 失業給付金
- 通勤手当
- 職業訓練給付金
- 遺族年金・障害年金
- 相続や贈与により得た資産
- 児童手当、児童扶養手当
- 健康保険の保険給付金、育児休業手当金
一人暮らしの場合
- 20才会社員男性の独身世帯(東京23区)
- 給与収入のみ
このケースでは年収100万(所得45万円)以下であれば均等割・所得割がかからず住民税が非課税となります。
夫婦の場合
- 30才男性会社員(世帯主)と30才主婦の夫婦二人世帯(東京23区)
- 収入は男性の給与のみ
このケースでは世帯主男性の年収が156万(所得101万円)以下であれば夫婦の均等割・所得割がかからず住民税が非課税となります。
子供がいる家庭の場合
夫婦と子供の3人世帯で収入は男性の給与収入のみの場合
- 30才男性会社員 世帯主
- 30才女性主婦 収入なし
- 5才娘
このケースでは世帯主男性の年収206万円未満(所得136万円以下)であれば夫婦の均等割・所得割がかからず住民税が非課税となります。
4.住民税非課税世帯のメリット
住民税が非課税の世帯には、さまざまな優遇が受けられます。具体的には、下記の通りです。
- 介護保険料が軽減される
- 国民健康保険料や国民年金の負担料が軽減される
- NHKの受信料が免除される(障がい者が世帯内にいる場合)
- 入学金・授業料の減免や返済義務のない給付型奨学金などの支援の対象に
- 2歳未満の子の保育園などの利用料が無償に
- 新型コロナウイルスの緊急支援策の対象に
- 入院時の食事代の減免が受けられる。(自治体による)
- 健康診断やがん検診の料金減免などが受けられる(自治体による)
また、住民税が非課税であることによる権利の制限などは特にありません。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は住民税が非課税になる条件について解説しました。
YouTubeでも本記事の内容を解説していますので、ご覧ください。
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住民税を払わなくていい人・住民税がゼロ円の人とは?
住民税は基本的にすべての人に課税されますが、以下に挙げたような要件に該当する人は住民税がゼロ円となり非課税となります。
- 生活保護を受給している方
- 未成年者で前年の所得が135万以下(給与収入だけなら204万4000円未満)の方
- ひとり親および寡婦で前年の所得が135万以下(給与収入だけなら204万4000円未満)の方
- 障害者の方で前年の所得が135万(給与収入だけなら204万4000円未満)以下の方
- その他年収が一定以下の方
住民税は年収いくらからかかる?
東京23区で扶養している配偶者・家族がいる場合、前年の所得が以下の金額以下であれば均等割が非課税となります。
「35万円×(本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数)+31万円」
同じく東京23区で単身者の場合、単身者の方は、前年の所得が45万円以下の場合は住民税均等割も所得割も非課税となります。