「住民税を普通徴収にしたい!」切り替えは可能? 方法は?

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住民税

最近は副業をする人も多く、「住民税を普通徴収にしないと会社に副業がバレる!」と聞いたことがある人もいるでしょう。

この記事では、

  • 住民税を普通徴収に切り替えられるケースと切り替えられないケース
  • 特別徴収から普通徴収に切り替える方法

などについてわかりやすく解説していきます。

1.住民税を普通徴収にするメリット

会社員の皆さんが「住民税を特別徴収から普通徴収に切り替えたい」と考える理由は、以下のどれかのことが多いかと思います。

  • 住民税を普通徴収にすれば副業がバレないんでしょ?
  • 普通徴収なら「前納報奨金制度」が利用できて節税になるんでしょ?
  • 普通徴収ならキャッシュレス決済でポイント還元を受けられるでしょ?

まずは、こうした「普通徴収のメリット」に関する噂が正しいのかどうかを確認していきましょう。

(1)「住民税を普通徴収にすれば副業がバレない」は本当?

普通徴収にすることで「確実に副業がばれない」というよりは、「バレにくい」ぐらいに思っておく方がよいでしょう。

確かに、「副業収入による住民税額の変化」は「会社に副業がバレる原因」の一つです

住民税の金額は前年の収入によって決まるので、本業以外の仕事で収入が増えると住民税も当然高くなります。

このため、会社の経理担当の方などに、

「この人、住民税が(給料から想定される金額よりも)高いな」
「もしかして他に収入があるのかな(副業しているのかな)」

と疑われる可能性があるという事ですね。

副業収入にかかる住民税を普通徴収にすれば、確かに、このような疑いをもたれる可能性は低くなるでしょう。

ただし、以下のような例外もあります。

  • 副業がパート・アルバイトなどの給与収入であるケース
  • ふるさと納税による住民税の減税額が副業分の住民税より多いケース
  • 住宅ローン控除による住民税減税額が副業分の住民税より多いケース

副業がパート・アルバイトの場合は普通徴収にできない

副業・本業にかかわらず、「給与」として支払われる収入については「特別徴収(天引き)」になるのが基本的なルールです。

アルバイトやパートも「給与所得」のため、原則として特別徴収が行われ、普通徴収に切り替えることはできません。

ふるさと納税や住宅ローン控除を利用しているケースも要注意

ふるさと納税や住宅ローン控除を利用している場合、以下のようなケースでは普通徴収する分の住民税がなくなり、残りは特別徴収の金額から控除されることになります。

  • ふるさと納税による住民税の減税額が副業分の住民税より大きい
  • 住宅ローン控除による住民税減税額が副業分の住民税より大きい

この場合、自治体から会社に送付される「住民税決定通知書」に副業に係る収入も載ってしまいます。

ここでいう「住民税決定通知書」は、会社を経由して私たちの手元に送付される、住民税額などをお知らせする書類です。

この書類の形式は自治体によって異なりますが、圧着タイプ(書類が折りたたまれて接着されていて、はがさないと中身が読めないタイプ)の書類であれば、会社の人に中を見られる心配はありません。

ただ、この書類が中が読める形式をとっている場合や、うまく圧着されていなかった場合、書類の中身をみられてしまえば副業収入もバレてしまいます。

(2)「普通徴収なら『前納報奨金制度』が利用できる」は本当?

「前納報奨金制度」は、住民税の一括払いによって納付額の一部が報奨金として返納される制度でしたが、現在は廃止している自治体が多いようです。

自身の自治体の実施状況につきましては自治体のホームページから確認しましょう。

(3)普通徴収にしてキャッシュレス決済を利用すればポイント還元でお得?

最近は税金の支払いをクレジットカード、電子マネー、スマホ決済などで行える地域も増えてきています。

副業分の住民税を普通徴収に切り替え、こうしたキャッシュレス決済を利用して納付すれば、ポイント還元を受けることができます。

ただし、クレジットカードの場合は支払い手数料がかかる点には注意が必要です。

2.住民税を普通徴収に切り替えられるケース・切り替えられないケースと切り替え方法

続いて、住民税を普通徴収に切り替えられるケースと切り替えられないケース、切り替えの方法について解説していきます。

(1)メインの給与所得を普通徴収にできる? 

基本的に不可能です。

給与所得者(会社員、公務員、バイト、パートなど)の個人住民税は原則として特別徴収の方法により徴収しなければなりません

したがって、従業員の希望により普通徴収を選択することはできません。

(2)副業収入(パート・バイト以外)を普通徴収にできる? 

自治体にもよりますが、副業が給与所得(パートやバイトによる副業など)でなければ可能です。

副業収入について確定申告をする場合

副業収入があって、確定申告をする方は、確定申告書第2表の「住民税に関する事項」の「自分で納付(普通徴収)」を選択することで住民税を普通徴収として納付することができます。

ただし、自治体によってはこの手続きを行っても普通徴収に切り替わらなかった、という例があるようです。

確定申告の情報が税務署から自治体に伝わるのが4~5月頃のため、心配な方はこの時期に一度自治体に確認の連絡をすることをおすすめします。

副業収入について確定申告をしない場合

副業収入があっても確定申告をしない場合(副業所得額が確定申告が必要な20万円に至っていない場合など)も住民税の確定申告はしなければいけないので、市町村への申告に際し、普通徴収にしたい旨の申し出をしましょう。

(3)パート・バイトをしていても普通徴収になるケース

1章でお伝えした通り、給与にかかる住民税は給料から天引きされる(特別徴収される)決まりになっています。

このため、本業分はもちろん、副業分・掛け持ち分であっても特別徴収が適用され、普通徴収に切り替えることはできません。

ただし、自治体によっては例外的に普通徴収が適用されることがあります。

パート・バイトでも普通徴収になるケースとは?

東京都の例ですが、次のいずれかに当てはまるような場合は普通徴収になることがあります。

  • 普A 事業所の総従業員数が2人以下(他の区市町村を含む事業所全体の受給者の人数で、以下の普B~普Fの理由に該当して普通徴収とする対象者を除いた従業員数)
  • 普B 他の事業所で特別徴収
  • 普C 給与が少なく税額が引けない。
  • 普D 給与の支払が不定期(例:給与の支払が毎月でない。)
  • 普E 事業専従者(個人事業主のみ対象)
  • 普F 退職者又は退職予定者(5月末日まで)(休職等により4月1日現在で給与の支払を受けていない方を含みます。)

3.住民税の普通徴収の納期と支払い方法

住民税を普通徴収で支払う場合、いつまでに支払う必要があるのか、そしてどうやって支払えばいいのかについて知る必要があります。

(1)住民税の支払い納期

特別徴収では1年分の住民税を12分割して毎月の給料から天引きしますが、普通徴収では一括、または年4回に分けて支払います。

納期は自治体によって異なりますが、以下のスケジュールの自治体が多いようです。

  • 1期……6月末
  • 2期……8月末
  • 3期……10月末
  • 4期……翌年1月末

前納報奨金制度を利用したい場合など、一括で納付する場合は1期にまとめて納付することになります。

住民税は納期を過ぎると超過日数に応じて延滞金が増えていくため、普通徴収に切り替えた方は納期をうっかり過ぎてしまうことがないよう、納付書に記載された期日までに支払いを済ませるよう気を付けましょう。

(2)住民税の普通徴収の支払い方

普通徴収の場合、市区町村役場から6月ごろに郵送されてくる納付書を使って住民税を納めます。

支払方法は自治体によって異なりますが、一般的には以下の方法が利用できます。

  • 納付書に記載されている指定された金融機関の窓口・コンビニエンスストア・役場の窓口・郵便局の窓口などで現金で納付する
  • インターネットバンキング・ATMで納付する(ペイジーに対応している自治体の場合)
  • 税金支払い用のサイトでクレジットカード決済をする
  • PayPayなどのスマホ決済の「請求書払い」機能で支払う

住民税の具体的な支払い方について以下の記事でまとめてあるので、興味がある方は確認してみてください。

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まとめ

「住民税を普通徴収にすれば副業がバレない」は本当?

副業収入にかかる住民税を普通徴収にすれば、確かに、副業はバレにくくなります。

ただし、以下のようケースでは住民税を普通徴収にしても副業が会社にばれる可能性はあります。

  • 副業がパート・アルバイトなどの給与収入であるケース
  • ふるさと納税による住民税の減税額が副業分の住民税より多いケース
  • 住宅ローン控除による住民税減税額が副業分の住民税より多いケース

副業収入(パート・バイト以外)を普通徴収にする方法は?

副業収入があって、確定申告をする方は、確定申告書第2表の「住民税に関する事項」の「自分で納付(普通徴収)」を選択することで住民税を普通徴収として納付することができます。

ただし、自治体によってはこの手続きを行っても普通徴収に切り替わらなかった、という例があるようです。

監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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