平成31年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の書き方(記入例つき)
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(以下、申告書といいます)は、サラリーマンの人であれば誰でも書いたことがあるので…[続きを読む]
アルバイト、パート、インターンを掛け持ちするときに悩んでしまうのが税金関係です。
毎月の源泉徴収額や税金の還付など、複数の明細に目を通すたび、心配になってしまうことが多くなります。
バイト先が一つだけの場合よりちょっと複雑になるため、いくつかの注意点を抑えられるようにひとつずつ細かいところまで確かめていきましょう。
会社員など給与を受け取っている人は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を記入し勤め先の会社へ提出しています。アルバイトの場合も同じように手続きが必要となり、アルバイト先へ申告書を提出するのが一般的です。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、配偶者控除や扶養控除などの控除額を確定するために必要な手続きの書類で、書類内には控除の対象となる家族の氏名や住所などを記入します。そして、その年の最初の給与を受け取る前日、または就職後最初の給与を受け取る前日までにアルバイト先へ提出します。
また、扶養控除等(異動)申告書という名称ですが、勤労学生控除、障害者控除又は源泉控除対象配偶者の控除の適用なども、こちらの申告書で手続きを進めます。その際、氏名や住所など自分にまつわる部分のみを記入して提出します。
申告書の書き方など詳しくは以下の記事で解説していますので、気になる方はぜひ参考にしてください。
申告書を提出する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
また、掛け持ちをしている場合、全てのアルバイト先へ提出しても良いのでしょうか?
気になる申告書のポイントについて解説していきます。
給与を受け取る場合、所得税をあらかじめ差し引く源泉徴収が行われるため、本来の額面よりも受け取る金額が低くなります。
申告書を提出すると、扶養控除のあるなしに関わらず、この源泉徴収額が安く計算されるようになるため、出さない場合よりも受け取る金額が多くなります。
また、申告書は年末調整に必要な書類でもあります。提出することでアルバイト先が年末調整をしてくれるため、個人での確定申告などの手間がなくなります。
提出するだけで多くのメリットを受けられるため、忘れずに提出しましょう。
アルバイトを掛け持ちする場合、源泉徴収額を安くするために全てのアルバイト先に提出したいと考えるかもしれません。しかし、申告書は1つの会社にしか提出できないルールがあります。
複数のアルバイト先がある場合、基本的には受け取る給与額が多いところに提出します。
これは、後で詳しく説明がありますが、源泉徴収税率が提出したアルバイト先での給与に対しては税率が低く、提出していないほうでは高いためです。
ただし、所得税などの対象となるのはその年に受け取った給与の総額によって決定します。他のアルバイト先の給与と合計した金額で別途確定申告をすれば、多めに払った税金が返ってきます。
つまり、受け取る給与額が多いところに提出するのは、あくまでも手取り額を多くするためと理解しておきましょう。
申告書は提出期間が決まっています。
申告書を提出していない場合、高額な源泉徴収が行われるため、毎月の手取り給与が少なくなります。
源泉徴収によって差し引かれる金額は、国税庁が毎年発表している源泉徴収税額表によって決定されます。
掛け持ちしている場合には、甲欄と乙欄、それぞれで計算された源泉徴収が行われます。
給与金額が大きく変わらなくても源泉徴収額が大きく異なる場合には、この甲欄と乙欄での決定方法の違いによるものです。
こちらから給与所得の源泉徴収税額表にアクセスできます。
【参考外部サイト】給与所得の源泉徴収税額表(平成31年(2019年)分)(国税庁)
それでは、実際にどれくらい甲欄と乙欄で源泉徴収金額が異なるのか、扶養家族がいない場合を想定して、2019年度の月額表を用いて見ていきましょう。
まずは、A社(甲欄)5万円、B社(乙欄)3万円、合計で8万8,000円未満の場合を考えていきます。
A社の給与に応じた甲欄を見ると、8万8,000円以下の場合は0円となるため、源泉徴収はされません。
一方で、B社の乙欄では「その月の社会保険料等控除後の給与額の金額に3.063%に相当する金額」と定められています。
そのため、3万円×3.063%=919円となり、B社のみ919円源泉徴収されます。
続いて、A社(甲欄)とB社(乙欄)、それぞれの会社で10万円の給与をもらった場合を考えていきます。
A社の給与に応じた甲欄を見ると、10万円の場合は、99,000円以上101,000円未満に入ります。すると、扶養親族数が0人であれば720円の徴収です。
1人以上であれば0円となるため、源泉徴収はされません。
一方で、B社の乙欄では3,600円と定められています。つまり、掛け持ち先では3600円徴収されるということです。
8万8,000円未満の場合と違って、A社とB社の源泉徴収額差は5倍程度と、大きく異なっているのが分かります。
掛け持ちしている場合、2-3の例だと2,880円多く徴収されていることになります。このように源泉徴収によって本来の税額を超過して徴収された分は確定申告によって還付されます。
年末調整とは、その年に支払われた給与や賞与を合計し、実際の所得税と源泉徴収額を照らし合わせるために行われる会社側の手続きです。
全ての支払金額が確定するのが年末のため、その名前の通り年末から年始にかけて行われます。
また、確定申告と年末調整は同じ手続きとなるため、その会社の分の確定申告をする必要はありません。そして、源泉徴収によって超過した金額分は年末調整時に還付されます。
年末調整は原則全ての会社で行われ、アルバイトであっても行われます。
ただし、年末調整には扶養控除申告書に記載された情報が必要となるため、扶養控除申告書を出した会社でのみ年末調整が行われます。
したがって、アルバイトを掛け持ちしている場合には、提出した片方の会社でのみ年末調整が行われます。
確定申告は、その人が1年の中で受け取った給与などの総額によって、所得税や住民税などを決定する大切な手続きです。掛け持ちをしている場合、年末調整は申告書を提出した会社でのみ行われており、他の会社の給与は計算されていません。
つまり、年間総額で申告されていないため、改めて自分で確定申告をする必要があります。
また、源泉徴収によって超過した金額は確定申告を行うことで還付されます。確定申告をしないと、正確な納税ができないだけでなく、超過分を返してもらうこともできないため、損しないためにも必ず確定申告をしましょう。
確定申告をする場合には、税務署や国税庁のホームページなどから「確定申告書」を入手し、必要事項を記入して提出します。
提出先は、各管轄の税務署や区役所の特設窓口などになっており、窓口では相談しながらの作成もできます。
さらに、e-Taxを用いれば、オンラインや郵送での提出が可能となり、確定申告の手間を抑えられます。
また、源泉徴収の総額では所得税の納付を賄えなかった場合には、不足分を納付する必要があります。この場合、改めて自宅へ納付に関する書類が送付されますので、この書類に同封されている払込用紙などを用いて納税します。
自分に扶養家族がいない場合でも、自分が扶養家族に含まれている場合があります。アルバイトしている学生とその親、パートをしている妻と夫などです。
扶養控除の対象となるのは、年間の収入が103万円以下の場合です。この金額を超えると扶養家族から外れてしまい、お互いの課税額が高くなってしまいます。
月収に直すと8万5,000円前後、この金額が家族へ影響するかどうかの1つの目安です。
また、配偶者の場合は年収150万円までは扶養控除の対象にありますが、年収130万円を超えると社会保険料の控除からは外れます。個人の年金や所得税を支払う必要がありますので、配偶者の場合はどの程度働くのが良いのか家族で話し合っておきましょう。
学生の方は詳しくはこちらの記事も参照してみてください。
掛け持ちをしている場合、そのことを全てのアルバイト先へ伝えるかどうか悩んでしまうかもしれません。伝えることについて法律的な義務はないため、伝える義務はありません。
ただ、シフトの調整などで、伝えたほうがスケジュールを組みやすくなる場合もあるため、問題がなければ掛け持ちしていることを伝えましょう。
また、税金や保険などの事務処理によって、アルバイト先への連絡が必要になる場合もあります。特に、アルバイトであっても掛け持ちが禁止されている場合もあるため、トラブルを防ぐためにも、面接時などであらかじめ伝えておくのが良いでしょう。
アルバイトを掛け持ちする場合には、
の2点が重要です。
この2点だけをきちんと守るだけで、毎月の手取り額の減少幅を抑え、適切な税金を納められます。
特に、確定申告を忘れてしまうと、追徴課税が課される場合もありますので、しっかりと手続きを行いながら働きましょう。