【2024最新版】医療費控除とは?税金が還付される仕組みと申請方法を解説
年間に10万円を超える医療費を支払った場合は、確定申告で「医療費控除」の適用を受けると、所得税・住民税の一部が還付さ…[続きを読む]
この記事では、共働きの夫婦が医療費控除を利用する方法や、申請の際に迷いやすい点、間違いやすい点について解説していきます。
医療費控除とは、医療費を多く払っている人が使える制度で、所定の基準を超えた分の医療費を所得から差し引くことができます。
簡単に言えば、医療費控除を適用することで所得税・住民税の一部が減額もしくは還付される、つまり医療費控除によって節税が可能という事ですね。
共働きで世帯の収入が多く、所得税や住民税の支出が多い家庭ではぜひ利用したい制度です。
では、医療費控除の対象となるものにはどんなものがあるでしょうか。
具体的な品目についてはたくさんあるので紹介できませんが、おおざっぱに言うと以下のようなものが対象となります。
この他、通院にかかった交通費なども医療費控除の対象となります。
以下の記事で対象となるものについて詳しく紹介してますので、詳細はこちらの記事をご確認下さい。
基本的には以下の計算式で10万円を超えた場合、医療費控除が使えます。
医療費が10万をこえなかったという場合の対応方法は下記の動画・記事でお話ししています。
医療費控除は夫婦で合算できます。対象となる医療費は生計を一にしている家族であれば、合算することが出来ます。
会社員の夫と主婦、というように、どちらかがどちらかの扶養に入っているケースだけでなく、夫婦共働きの場合も医療費を合算することが可能です。
たとえ住所が同じではなかったとしても、生計が同一(仕送りなど)であれば医療費の合算が可能です。
生計を一にしていれば、配偶者だけではなくその他の親族の医療費も合算可能です。
しかし一方、例えば共働きの単身赴任など夫婦で別世帯で別生計となっている場合はこの要件を満たさないので医療費を合算することが出来ません。
年間の所得が200万をこえている場合、医療費控除を利用するには年間の医療費(保険金などによる補填を除いた自己負担分)が10万円をこえている必要があります。
自分一人だけの医療費では、なかなか10万は超えないケースも多いですが、夫婦で合算すれば医療費控除を利用するハードルは下がります。
また、医療費を夫婦で合算することで還付金の金額を引き上げることも可能です。
医療費控除によって還付される金額は、次の通りです。
年間の医療費が多いほど、そして所得税率が高いほど還付金の金額は大きくなります。
たとえ自分一人の医療費でも医療費控除を利用できるとしても、家族で合算して合計の医療費を増やした方が当然還付金額は大きくなります。
また、所得税率は所得に応じて変わってきますが、夫婦で所得税率が違うのならば、夫婦で医療費を合算し、所得税率が高い方が代表して申請をすることでより高額な還付金を受け取ることができます。
医療費控除で家族合算をするメリットをお伝えしましたが、共働き夫婦の場合、必ず合算した方が税金面で得になるのでしょうか。
ふるさと納税や住宅ローン控除を利用する場合は金額によっては医療費控除で節税できる税額に制限が出てくるため、合算を利用してそれらの控除を適用していない方に医療費控除を利用してもらった方が税金がお得になる場合があります。
また、医療費控除の上限は200万円と決められているため、夫婦どちらかで上限の200万円まで医療費控除を受けた場合は合算せずにそれぞれで医療費控除を受けたほうがお得になります。
このようなケースだけは注意が必要です。
確定申告で医療費を合算して申告する場合には、特に新たな手続き等は必要ありません。
対象となる医療費の金額を合算して計算し、申告書に記入します。医療費控除の明細書の「治療を受けた方の氏名」欄に夫婦それぞれの氏名や金額等を記入します。
医療費の領収書などは提出の必要はありませんが、5年間は保存の義務がありますので、きちんと保存しておきましょう。
医療費を合算する場合は、e-Taxでマイナポータル連携を利用すると便利です。
詳しくは以下の動画で手順を解説していますが、マイナポータル連携を利用することで、自分の分はもちろん、家族の医療費のデータもオンラインからひっぱって自動で確定申告書や医療費の明細書に反映させることができ、個別の医療費を入力する手間が省けます。
マイナポータル連携によって入力を省くことができるのは、いわゆる「医療費のお知らせ」に記載されるもの、つまり保険適用の医療費です。
このため、自由診療の治療などについては追加で入力する必要はあるのですが、それでも作業は大幅に短縮できるためマイナポータル連携がおすすめです。
支払った医療費から保険などで補填される金額を引いた合計が10万円を超える場合は、収入の高い方(所得税率が高い)の控除として申告したほうがお得になります。
支払った医療費から保険などで補填される金額を引いた合計が10万円に満たない場合は、夫婦のうちどちらか片方が所得が200万円を下回っていれば医療費控除を利用できます。
この場合は「支払った医療費から保険などで補填される金額を引いた合計」から「所得×5%」を引いた金額を医療費控除として申告出来ます。
詳しくはこちらの記事をご確認ください。
夫、妻が育休で「育児休業給付金」を受け取っている場合は、この給付金は非課税なので所得とみなされません。このケースでは、夫と妻の所得や支払った医療費の合計額によってどちらで控除を受けるのがお得になるかが変わってきます。
以下共働き夫婦のモデルケースを紹介します。
【条件】
【夫で医療費控除を申告した場合】
つまり、住民税の減額分として「12万円×10%=1万2000円」となり、1万2000円分住民税が安くなります。
さらに、還付される金額として、「12万円×20%=2万4000円」となり、2万4000円分還付を受けることが出来ます。
上記より住民税と還付金の合計で3万6000円お得になります。
【妻で医療費控除を申告した場合】
つまり、住民税の減額分として「12万円×10%=1万2000円」となり、1万2000円安くなります。ここは夫の場合と変わりません。
さらに、還付される金額として、「12万円×10%=1万2000円」となり、1万2000円の還付金が受け取れます。上記を合計することで、2万4000円となり、夫が医療費控除を申告するより、1万2000円少なくなってしまいます。
このことから、このケースの場合ですと、夫が医療費控除を利用した方がお得になります。
医療費控除の受け方にはいくつか方法があって、ざっくりわけると次の3パターンになります。
下記の記事を参考に確定申告書と医療費の明細書を作成し、税務署に直接持っていくか郵送します。
マイナンバーカードがあれば、申告書類の作成から提出までオンラインで済ませることが可能です(手順は下記記事参照)。e-Taxでは医療費通知の添付も省略可能で便利です。
前章でもお伝えしましたが、e-Taxを利用するなら、マイナポータル連携の機能を使うのがおすすめ。医療費の入力がより簡単になります(手順は下記動画参照)。
夫婦合算の医療費控除でマイナポータル連携を利用する場合は最初に代理人登録が必要ですが、設定はスマホで簡単に行えます(手順は下記動画参照)。
マイナンバーカードがない場合も、オンラインで書類を作成することが可能です。
国税庁が提供する「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、必要情報を入力すればOKです。
この記事を簡単にまとめていきます。
生計を一にしている夫婦であれば共働きでも医療費を合算してOKです。どちらかがどちらかの扶養に入っている必要もありません。
たとえ住所が同じではなかったとしても、生計が同一(仕送りなど)であれば医療費の合算が可能です。
共働きの夫婦で医療費を合算できないのは、生計を一にしていない(完全に別生計となっている)ケースや、法的な婚姻関係を結んでいないケース(事実婚など)です。
医療費控除の上限は200万円と決められているため、夫婦どちらかで上限の200万円まで医療費控除を受けた場合は合算せずにそれぞれで医療費控除を受けたほうがお得になります。
夫婦で医療費を合算することでよりお得に医療費控除を利用できるケースもあります。また、過去の年について、「夫婦合算なら医療費控除を利用できていたのに!」という場合、さかのぼっての申告も可能です。
その他、医療費控除には以下のような重要トピックもありますので併せてご確認いただければと思います。
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