交通費はどこまで医療費控除の対象になる?

バス 交通

確定申告の際には一定金額以上の医療費を控除することが出来ます。

対象となる金額は支払った金額から保険金などで補填された金額と10万円(または所得金額の5%)を引いた金額です。
診療で支払った医療費はもちろんですが、通院にかかった交通費も一定の条件を満たすものは控除の対象になります。

医療費控除の対象になる交通費とならない交通費を整理して解説します。

1.医療費控除の対象となる交通費

すべての交通費が医療費控除の対象になるわけではありません。

まず、医療費控除の対象となる病院や施設について、国税庁のホームページには次のように示されています。

  • 病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設又は助産所

病院や診療所だけでなく介護施設や助産所なども対象になっています。

また、対象となる交通費について、国税庁ホームページでは次のように回答しています。

医療費控除の対象となる通院費は、医師等による診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものであることが必要であり(所得税基本通達73-3)、患者自身が通院するに際して必要なものに限られています。

対象となる交通費を具体的にあげていきます。

(1)電車やバスなど公共交通機関の交通費

通院の際に使った電車やバスなどの公共交通機関の交通費は医療費控除の対象になります。

なお、通勤や通学の際に定期券を利用している場合で定期券の範囲の医療機関を利用した場合は医療費控除の対象にはなりません。

また、金額の端数の関係で、ICカードを利用した場合は、きっぷ利用の場合も運賃が少し安くなることがありますが、どちらを利用したにせよ、実際に支払った金額が医療費控除の対象になります。
たとえば、JRの新宿→渋谷の運賃は、Suica利用で157円、きっぷ利用で160円ですが、もしSuica利用であれば、157円で申請します。

(2)遠隔地の病院への旅費(必要がある場合)

主治医の指示などにより遠隔地の大学病院などへ通院した場合の新幹線代などは医療費控除の対象となります。(宿泊費は対象外)

ただし、自身で遠隔地の病院の方が良いなどの理由で受診をした場合など病状からみて近隣の病院でも治療できる場合は控除の対象にはなりません。

【参照】国税庁:遠隔地の病院において医師の治療を受けるための旅費

(3)患者の世話のための家族の交通費

子供や老人など一人で通院が難しい場合の付き添いの家族の交通費は医療費控除の対象になります。

ただし、子供が入院している場合に母親が世話のために通院している場合の交通費は対象となりません。患者である子供が通院している必要があります。

【参照】国税庁:患者の世話のための家族の交通費

(4)医師の送迎費

在宅医療で、医師を自宅に招いて、そのタクシー代を支払ったときは、医療費控除の対象になります。

2.医療費控除の対象にならない交通費

以下のようなものは医療費控除の対象になりません

(1)通院のためのタクシー代

通院のためのタクシー代は原則的に医療費控除の対象になりません

ただし、やむをやない場合はタクシー代も控除の対象となります。
たとえば、公共交通機関の動いていない深夜や病気やケガで歩くことができない場合などタクシーを利用せざるを得ない場合のタクシー代は医療費控除の対象となります。

(2)通院のためのガソリン代や高速代、駐車場代

通院のための自家用車にかかるガソリン代や高速代、駐車料金は医療費控除の対象外になりません。

医療費控除の対象は「人的役務の提供の対価」となっており、電車やバスなどの移動サービスの提供に対する対価が対象であり、自家用車の運転にかかる経費はこれに含まれないためです。

(3)Suicaなどの電子マネーのチャージ代

通院のために公共交通機関を利用する場合、Suicaなどの電子マネーを利用するケースは多いと思います。

ただし、チャージ代金全体を控除の対象とすることは出来ません。実際に、通院に利用した公共交通機関の交通費だけが対象となります。

(4)里帰り出産のための交通費

里帰り出産のための帰省の交通費は医療費控除の対象とはなりません。

妊娠中の定期検診や検査などの交通費や緊急時のタクシー代は控除の対象に含めることができます。

(5)その他、医療費控除の対象にならない交通費

その他、医療費控除の対象にならない交通費関連の費用を、いくつかあげておきます。

  • 持病の治療のため、温泉に行った際の交通費
  • 身体障害者用の特殊な乗用車の購入費用
  • 医師に勧められて海辺の別荘を借りて転地療養を行うときの交通費

3.医療費控除の交通費の申告方法

医療費控除で交通費を申告する際に、平成29年度の確定申告から領収書の提出が不要になりました。(ただし、税務署から照会があった時に備えて5年間は自宅等で保存する必要があります。)
そのかわりに医療費控除の明細書を添付する方式に変わっています。

電車やバスなどの公共交通機関では一般的には領収書は発行されません。そのため、通院にかかった交通費の金額、日付、行き先はメモしておきましょう。パソコンに慣れている人であればExcelなど利用して整理しておくと良いでしょう。

金額が分からなくなってしまった場合は、Yahoo!乗り換え案内、ジョルダン、Navitimeなどのサイトを利用して、自宅と医療機関の合理的な経路を選択して金額を調べれば大丈夫です。

以下、確定申告の手段ごとに交通費の記入の仕方をみていきます。

(1)手書きの用紙に記入する場合

医療費控除の適用を受けるためには、「医療費控除の明細書」に必要事項を記入し、確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。

医療費控除の明細書の交通費の書き方ですが、「医療費(上記1以外)の明細」欄に個別の明細を記入する欄があります。合計額を「医療費を受けた人」「支払先」ごとにまとめて記入できます。交通費は「その他の医療費」の項目に記入していきます。

医療費控除の明細書

(2)国税庁ホームページの作成コーナーを利用する場合

国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナー」を利用すれば「医療費控除の明細書」のほか、「確定申告書」等も作成することができます。医療費控除の明細書の内容が自動で確定申告書に反映されますので便利です。

医療費の明細を入力する際には「医療費集計フォーム」を使います。

「医療費集計フォーム」は、支払った医療費の内容を表計算ソフト(エクセルなど)で入力・集計するためのフォーマットです。「医療費集計フォーム」に入力・保存したデータは、確定申告書等作成コーナーの医療費控除の入力画面で読み込み、反映することができますので、医療費の領収書の枚数が多い方は、「医療費集計フォーム」を利用した入力が便利です。

入力シートには、「医療を受けた人」「病院・薬局などの名称」「医療費の区分」「支払った医療費の金額」「補填される金額」「支払年月日」などの項目があり、交通費はその他の医療費として入力します。

まとめ

医療費控除の中でも交通費について解説しました。

実際の確定申告に際しては、個別の事例については税務署の判断によるところがあります。医療費控除の対象になるかどうか判断が難しいものなどは最寄りの税務署の窓口で相談されることをお勧めします。

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