医療費控除と交通費|対象になるもの、ならないものは?

バス 交通

1年間に多額の医療費を支払った場合、確定申告の際には一定金額以上の医療費を控除することが出来ます。

この医療費には、診療で支払った医療費はもちろん、通院にかかった交通費で一定の条件を満たすものは控除の対象になります。

ここでは、医療費控除の対象になる交通費・対象外の交通費を整理して解説します。

1.医療費控除の目的と交通費の考え方

医療費控除の目的

多額の医療費は家計にとって重い負担となります。

そのような場合に、少しでも家計への負担を軽減する方法として「医療費控除制度」があります。

1年間の医療費を合算して、一定額を超えたときはその金額が控除されます。

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医療費控除の対象となる交通費の考え方

交通費についても、一部が医療費控除の対象となります。

対象となる交通費(通院費)について、国税庁ホームページでは次のように回答しています。

医療費控除の対象となる通院費は、医師等による診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものであることが必要であり(所得税基本通達73-3)、患者自身が通院するに際して必要なものに限られています。

簡単にまとめると以下の点が重要です。

  • 医師等の診察を受けるために直接必要な交通費 → ガソリン代や駐車場代など、付随する費用は対象外
  • 通常、必要になると想定される程度の交通費 → 過度に多くないこと
  • 患者自身の通院に必要な交通費 → 患者以外は原則対象外

以上の点を踏まえて、各交通費が医療費控除の対象になるかどうか見ていきましょう。

2.医療費控除の対象となる交通費

医療費控除の対象となる交通費を具体的にあげていきます。

(1)電車やバスなど公共交通機関の交通費

通院の際に使った電車やバスなどの公共交通機関の交通費は医療費控除の対象になります。

SuicaなどのICカードは、きっぷ利用の場合より運賃が少し安くなることがありますが、きっぷとICカードのどちらを利用したにせよ、実際に支払った金額が医療費控除の対象になります。

例えば、JRの新宿→渋谷の運賃は、Suica利用で157円、きっぷ利用で160円ですが、Suica利用であれば157円で申請します。

なお、通勤・通学用の定期券を持っていて、定期券の区間内の医療機関を利用した場合は医療費控除の対象にはなりません

(2)遠隔地の病院への旅費(必要がある場合)

主治医の指示などにより遠隔地の大学病院などへ通院した場合の新幹線代などは医療費控除の対象となります。

遠方の医療機関でしか治療を受けられない場合などがこれに当たります。

「遠隔地の病院の方が評判が良い」など個人的な理由で受診をした場合などは控除の対象にはなりません

【参照】国税庁:遠隔地の病院において医師の治療を受けるための旅費

(3)患者の通院に付き添う場合、付き添い人の交通費

幼い子供や老人など1人で通院が難しい場合、付き添いの家族の交通費は医療費控除の対象になります。

ただし、「子供が入院している場合に母親が世話のために通院している場合の交通費」のように、お見舞いにかかる交通費は対象となりません。

1人での通院が危険というような、やむを得ない理由が必要となります

【参照】国税庁:患者の世話のための家族の交通費

(4)在宅(訪問)医療の医師の交通費

在宅医療(訪問医療)で医師を自宅に招く際に、医師のタクシー代を支払ったときは、医療費控除の対象になります。

2.医療費控除の対象にならない交通費

以下のようなものは医療費控除の対象になりません

(1)通学・通勤定期内の医療機関に通院したときの交通費

定期区間内の医療機関を利用した場合、交通費を医療費控除に含めることができません

もちろん医療機関に行くまでに定期区間を利用した場合も、その区間の料金は差し引く必要があります。

定期を使用したことはバレる?

バレるかどうかは税務署によるところが多いでしょう。

当たり前ではありますが、不正行為は絶対にしてはいけない行為です。交通費の虚偽申告となり無申告加算税延滞税、悪質な場合は重加算税などの罰則があります。

また、医療費控除の計算方法から考えても、不正に計上した交通費の全額が返ってくるわけではありません。

仮に税務署のチェックを通過したとしても、還付される金額は少なく、それほど得をするわけではありません。

(2)Suicaなどの電子マネーのチャージ代

通院のために公共交通機関を利用する場合、Suicaなどの電子マネーを利用するケースは多いと思います。

ただし、チャージ金額全体を控除の対象とすることは出来ません。実際に、通院に利用した公共交通機関の交通費だけが対象となります。

(3)通院のためのタクシー代

通院のためのタクシー代は、原則として医療費控除の対象になりません

ただし、やむをやない場合はタクシー代も控除の対象となります。

たとえば、公共交通機関の動いていない深夜や病気やケガで歩くことができない場合などタクシーを利用せざるを得ない場合のタクシー代は医療費控除の対象となります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

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(4)通院のためのガソリン代や高速代、駐車場代

通院のための自家用車にかかるガソリン代や高速代、駐車料金は医療費控除の対象になりません

医療費控除の対象は「人的役務の提供の対価」となっており、電車やバスなどの移動サービスの提供に対する対価が対象です。

自家用車の運転にかかる経費は、これに含まれないため対象外となります。

(5)里帰り出産のための交通費

里帰り出産のための帰省の交通費は医療費控除の対象とはなりません。

なお、出産関連費用としては妊娠中の定期検診や検査などの交通費や、緊急時のタクシー代は控除の対象に含めることができます。

(6)その他、医療費控除の対象にならない交通費

その他、医療費控除の対象にならない交通費関連の費用を、いくつかあげておきます。

  • 持病の治療のため、温泉に行った際の交通費
  • 身体障害者用の特殊な乗用車の購入費用
  • 医師に勧められて海辺の別荘を借りて転地療養を行うときの交通費
  • 本人や付き添い人の宿泊費

3.医療費控除の交通費の申告方法

ここでは医療費控除を受けるために必要な、「医療費控除の明細書」の記入方法を解説します

事前準備

電車やバスなどの公共交通機関では一般的には領収書は発行されません。そのため、通院にかかった交通費の金額、日付、行き先はメモしておきましょう。パソコンに慣れている人であればExcelなど利用して整理しておくと良いでしょう。

金額が分からなくなってしまった場合は、Yahoo!乗り換え案内、ジョルダン、Navitimeなどのサイトを利用して、自宅と医療機関の合理的な経路を選択して金額を調べれば大丈夫です。

以下、明細書の書き方ごとに交通費の記入の仕方をみていきます。

(1)手書きの用紙に記入する場合

医療費控除の適用を受けるためには、「医療費控除の明細書」に必要事項を記入し、確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。

医療費控除の明細書の交通費の書き方

「医療費(上記1以外)の明細」欄に、交通費の個別の明細を記入していきます。
その際には以下の点に注意してください。

  • 交通費は合計額を「医療費を受けた人」「支払先」ごとにまとめて記入できます
    例)同じ人が複数回タクシーを利用し合計1万円分になった場合は、1行にまとめて書くことができます
  • 交通費は、医療費の区分のうち「その他の医療費」の項目にチェックします

医療費控除の明細書

詳しくは以下の記事をご覧ください。

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(2)国税庁ホームページの作成コーナーを利用する場合

国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーを利用すれば「医療費控除の明細書」のほか、「確定申告書」等もネットで作成することができます。

所得控除の入力画面から「医療費控除」を選択し、画面の指示に従って入力していきます。

こちらでは領収書の内容を1つずつ入力することもできますし、「医療費集計フォーム」を使ってまとめて明細書を作成することもできます。

【参考】国税庁:医療費控除を受ける方へ

医療費集計フォームとは

「医療費集計フォーム」は、支払った医療費を表計算ソフト(エクセルなど)で入力・集計するためのフォーマットです。

「医療費集計フォーム」に入力・保存したデータは、確定申告書等作成コーナーの医療費控除の入力画面で読み込み、反映することができますので、医療費の領収書の枚数が多い方は、「医療費集計フォーム」を利用した入力が便利です。

入力シートには、書類の場合と同様に「医療を受けた人」「病院・薬局などの名称」「医療費の区分」「支払った医療費の金額」「補填される金額」「支払年月日」などの項目があります。記入方法も書類と変わりません。

【参考】国税庁:医療費集計フォーム

4.まとめ

ここまで医療費控除の中でも交通費について解説しました。

実際の確定申告では、交通費の個別の事例については税務署の判断によるところがあります。医療費控除の対象になるかどうか判断が難しいものは、最寄りの税務署の窓口で相談されることをお勧めします。

また、今回解説しきれなかった確定申告書の作成方法については、以下の記事をご覧ください。

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