【2024年版】医療費控除の明細書の書き方(記入例つき)
医療費控除を受けるには、領収書を提出する代わりに「医療費控除の明細書」を提出します。書類の書き方について、記入例を利…[続きを読む]
特殊な矯正器具を使い、治療期間も長いため高額な費用の掛かる歯列矯正(歯科矯正)。この費用は医療控除に含めることができるのでしょうか。
歯列矯正の医療費控除について詳しく解説します。
医療費控除についてそもそもの控除について理解していきましょう。
そもそも「医療費控除」とは入院、病気の診療代など医療費の一部を確定申告することにより税金を安くすることの出来る制度です。
控除とは所得税を計算する際に差し引ける一定の金額のことです。
一定の金額とは以下のように計算されます。
※1 1つの治療でかかった費用を超えて補てんされた場合でも他の医療費から差し引くことは出来ません。
※2 その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額の5%の金額
医療費控除を受けると、課税される所得が少なくなりますので、所得税と住民税が最終的に少なくなります。
【参考】国税庁:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
医療費控除の対象になるのは、直接医療機関に支払った診療代のほか、分娩費用、義足や義手などの医療用器具の購入費用、入院の際の食事代や交通費なども対象になります。
歯科矯正も一定の要件を満たすものは医療費控除の対象になります。
一定の要件とは、専門の歯科医が診断して矯正が必要と判断されたことにより治療を行った場合です。
例えば発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするための歯列矯正など、矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて矯正が必要と見られる場合です。
一方、美容を目的とした矯正治療は医療費控除の対象になりません。
まず、歯科矯正にかかる費用は主に以下の通りです。
これらを合計すると方法にもよりますが概ね100万円〜200万円程度の費用がかかります。
治療目的であれば、これらの費用は医療費控除の対象となります。
矯正に関する費用の中には医療費控除の対象にならないものもありますので注意しましょう。例えば以下のような費用です。
医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。
歯科矯正の確定申告に必要なものは以下の通りです。
※2017年の確定申告より医療費の領収書は添付せず、医療費の明細書に転記する方式に変わっています。ただしその場合も領収書は税務署から照会があった場合に備えて5年分は自宅で保管が必要です。
確定申告書の用紙は、税務署でもらうことができます。国税庁のホームページよりダウンロードもできます。
医療費控除の明細書も同様です。
お住まいの管轄の税務書あてに必要書類一式を郵送もしくは持参により提出します。e-Taxを使えばネットからの申告手続きもできます。
確定申告書や医療費控除の明細書などの最寄りの税務署で入手できる他、国税庁のホームページ上で必要項目を入力してダウンロードしても利用できます。
確定申告の提出期限は2月16日から3月15日までです。
ただし、税金の還付申告は年初から受け付けています。また、5年以内であれば遡っての申告が出来ます。
申告書や明細書の詳しい書き方は、次の記事をご覧ください。
歯列矯正の医療費控除の際によくある質問をまとめています。
医療費控除の申告の際には患者本人だけでなく、生計をともにする家族や親族の分の医療費を支払った場合はまとめて控除の申告が出来ます。
生計を一つにしていることが要件であり、必ずしも同居している必要はありません。遠隔地で一人暮らしの息子や別居の親なども対象に含めることが出来ます。この場合扶養していなくても対象となります。
税金の控除は所得が高く税率が高い人が控除の申告をした方が節税額が大きくなりますので、生計を一つにする家族の中で所得の高い人が控除の申告をするようにするのがよいでしょう。
ローンやクレジットの分割払いにより歯列矯正の治療を受けた場合も医療費控除の対象となります。控除の受けることが出来る年度はローンやクレジットを組んだ初年度となります。
ただしローンの金利やクレジットの手数料などは控除の対象に含めることは出来ません。
【参照】国税庁:No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
歯科の治療については医療費控除の対象にできるのは「歯科技師による診療又は治療の対価で、その病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」と定められています。
そのため、審美治療のための場合のインプラントやホワイトニング、美容の矯正治療などは医療費控除の対象にはなりません。
歯ブラシ代や歯磨き粉の購入費用は控除の対象にはなりません。
交通費は公共交通機関の利用など一定の要件を満たすものは控除の対象に含める事が出来ます。必要性があると認められない場合のタクシー代や新幹線代などは控除の対象となりません。
付き添いの方の交通費は、患者本人が小さいお子さんやお年寄りなどで一人で通院が難しい場合に控除の対象となります。
自家用車のガソリン代、駐車料金やSuicaなどのチャージ代などは控除の対象になりません。
歯科矯正の医療費控除について解説しました。
歯科矯正は治療目的の要件を満たせば医療費控除の対象になります。自由診療で保険対象外なので控除の対象ではないと理解されている方も多いのではでしょうか。過去、医療費控除を申告するのを忘れてしまったという方も5年以内であれば遡って申告が出来ます。