妻の保険も夫の年末調整で控除できるの?
妻の保険料を夫が支払っていたら、夫の年末調整で控除できます。意外な盲点ですので、年末調整における保険料控除の仕組みと…[続きを読む]
近年では、共働きの夫婦が増えています。配偶者にある程度の収入があると、扶養に入れることはできません。
配偶者が扶養ではない場合の、年末調整の書類の書き方を、記入例を使ってわかりやすく紹介します。
目次
扶養でない配偶者のいる方は、年末調整で以下の3つの書類を会社に提出します。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、扶養している配偶者や家族の情報を記入する書類で、配偶者控除や扶養控除などを受けられます。
配偶者が扶養でなければ、ほとんど記入する箇所はありませんが、一部だけ配偶者の情報を記入する欄があります。
令和6年の年末調整で必要なのは、令和6年分の扶養控除等申告書です。
令和7年分の扶養控除等申告書は、令和7年の給与を初めてもらう前に提出しますが、令和6年分と一緒に提出することが多いです(会社の指示に従ってください)。
「給与所得者の基礎控除申告書(兼)給与所得者の配偶者控除等申告書(兼)年末調整に係る定額減税のための申告書(兼)所得金額調整控除申告書」は、名前が長いですが、「基礎控除」「配偶者控除・定額減税」「所得金額調整控除」の3つが一緒になっています。
「基礎控除」の部分は全員が記入します。
「配偶者控除」の部分は、配偶者が扶養でなければ、記入は不要です。
ただし、「所得金額調整控除」の部分は、該当する子供がいる場合は、記入します。
「給与所得者の保険料控除申告書」は、生命保険料や地震保険料を支払った場合に記入します。
配偶者が扶養でないかどうかは関係なく、保険料を支払っていれば記入する書類となります。支払った保険料がなければ、記入は不要です。
本記事では、説明を省略しますので、書き方を知りたい方は、「年末調整の保険料控除申告書の書き方(記入例つき)」をご覧ください。
一点、注意ですが、配偶者が契約している保険でも、自分が代わりにその保険料を払った場合には、保険料を控除できますので、記入します。詳しくは、こちらをご覧ください。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」はこのような書式です(図はクリックすると拡大できます)。
扶養でない配偶者がいる方は、他に、扶養家族がいなければ、基本情報のみの記入でOKです。
もし扶養家族がいる方は、扶養家族の箇所にも記入します。
この部分は、配偶者が扶養であってもなくても、共通で記入する部分です。
基本情報の左側の青字の部分は、会社のほうで、すでに記入済みであるか、後で記入しますので、基本的には記入不要です(会社から指示があれば記入してください)。
自分が住んでいる市区町村を記入します。
基本情報の右側の部分は、氏名・個人番号(マイナンバー)・住所・生年月日等を記入します。
個人番号(マイナンバー)は基本的には記入しますが、既に勤務先にマイナンバーを知らせている場合には、書かないように指示がある場合がありますので、勤務先の指示に従ってください。
住所は、今住んでいるところではなく、令和7年(2024年)1月1日時点の見込みの住所を記入します。
世帯主の箇所は、自分が世帯主であれば、自分の氏名を書き、「あなたとの続柄」に「本人」と記入します。
実家に住んでいるなど、世帯主が別の方であれば、世帯主の方の氏名を書き、「あなたとの続柄」には、あなたから見た関係を記入します。たとえば、父親が世帯主であれば「父」と記入します。
「配偶者の有無」欄は「有」に丸をします。
扶養でない配偶者がいる方は、配偶者の欄には記入不要です。空欄のままにしておきます。
令和6年12月31日時点で16歳以上の扶養親族(平成21年1月1日以前生まれ)がいる方は、その人の氏名・個人番号(マイナンバー)・住所・生年月日等を記入します(基本的な注意事項は、上記の本人の場合と同じです)。
扶養親族が19歳以上23歳未満(平成14年1月2日から平成18年1月1日までに生まれた人で)ある場合には、「特定扶養親族」にチェックを入れます。
70歳以上(昭和30年1月1日以前生まれ)の同居している両親や祖父母を扶養している場合は、「同居老親等」にチェックを入れます。
扶養親族がバイト等で収入がある場合は、令和6年(2024年)分の所得の見積額を書きます。収入の金額ではありませんので、ご注意ください。所得が48万円を超えると、扶養控除を受けることができません。
令和6年12月31日時点で16歳未満の扶養親族(平成21年1月2日以降生まれ)がいる方は、その人の氏名・個人番号(マイナンバー)・住所・生年月日等を記入します(基本的な注意事項は、上記の本人の場合と同じです)。
16歳未満の扶養親族は、扶養控除の対象ではありませんが、住民税が非課税になるかどうかの判定で利用します。
結婚されている方は、「寡婦」「ひとり親」の部分は、関係ありませんが、本人や扶養家族が障害者の場合は、障害者控除を受けられます。
障害者控除の書き方について詳しくはこちらをご覧ください。
扶養控除等申告書の書き方をさらに詳しく知りたい方は「年末調整の扶養控除等申告書の書き方(記入例つき)」をご覧ください。
「給与所得者の基礎控除申告書(兼)給与所得者の配偶者控除等申告書(兼)年末調整に係る定額減税のための申告書(兼)所得金額調整控除申告書」はこのような書式です(図はクリックすると拡大できます)。
扶養でない配偶者がいる方は、通常は、基本情報と「基礎控除申告書」のみの記入でOKです。
給与収入が850万円を超えて、かつ、23歳未満の扶養家族がいる方は、「所得金額調整控除」の箇所にも記入します。
この部分は、共通で記入する部分です。
基本情報の左側の青字の部分は、会社のほうで、すでに記入済みであるか、後で記入しますので、基本的には記入不要です(会社から指示があれば記入してください)。
基本情報の右側の部分は、氏名・住所を記入します。
この部分も、共通で記入する部分です。
給与収入の金額は、まだ、その年が終わっておらず収入がいくらか確定していませんので、見積額を記入します。
給与所得の金額も記入します。給与所得とは、給与収入から経費(給与所得控除)を引いたものです。
給与等収入額(A) | 給与所得の金額(C) |
---|---|
551,000円未満 | 0円 |
551,000円以上1,619,000円未満 | (A)-550,000円 |
1,619,000円以上1,620,000円未満 | 1,069,000円 |
1,620,000円以上1,622,000円未満 | 1,070,000円 |
1,622,000円以上1,624,000円未満 | 1,072,000円 |
1,624,000円以上1,628,000円未満 | 1,074,000円 |
1,628,000円以上1,800,000円未満 | (A)÷4(千円未満切捨て)=(B) (B)×2.4+100,000円 |
1,800,000円以上3,600,000円未満 | (A)÷4(千円未満切捨て)=(B) (B)×2.8-80,000円 |
3,600,000円以上6,600,000円未満 | (A)÷4(千円未満切捨て)=(B) (B)×3.2-440,000円 |
6,600,000円以上8,500,000円未満 | (A)×90%-1,100,000円 |
8,500,000円以上 | (A)-1,950,000円 |
給与収入以外に、副業での収入がある場合や、株や不動産による収入がある場合などには、「給与所得以外の所得」欄に、その所得の合計額も記入します。
特に他に収入がなければ、「0」と記入します。
「給与所得」と「給与所得以外の所得」の合計額を記入します。
上記で記入した金額が該当する□にチェックをします(✓マークを書きます)。
チェックした項目が(A)~(D)に該当する場合は、「区分Ⅰ」蘭にその区分を記入します。
合計所得金額の見積額 | 基礎控除額 | 区分Ⅰ |
---|---|---|
900万円以下 | 48万円 | A |
900万円超950万円以下 | B | |
950万円超1,000万円以下 | C | |
1,000万円超1,805万円以下 | D | |
1,805万円超2,400万円以下 | (なし) | |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 | |
2,500万円超2,500万円以下 | 16万円 |
給与所得・基礎控除額を計算し、区分Ⅰを表示するツールを用意していますので、ご自由にご利用ください。 |
扶養でない配偶者がいる方は、この部分の記入は不要です。
ただし、「扶養=103万円以下」と認識している人は、配偶者の収入が103万円を超えても、記入が必要なケースがありますので、注意してください。
配偶者の年収が103万円超えでも、約201万円以下であれば、配偶者特別控除を受けられます。特に、配偶者の年収が150万円以下であれば、配偶者控除と同額の控除を受けられます(通常は38万円の控除、本人の年収によって異なる)。
配偶者の年収が103万円を超えていても、年収が少ない場合には、記入漏れがないように気をつけましょう。具体的な書き方は、こちらをご覧ください。
給与収入が850万円を超えて、かつ、23歳未満(平成14年1月2日以降生まれ)の子どもを扶養しているか、本人または扶養親族(親・子ども等)に障害者がいる場合に記入します。
「要件」欄に該当する□にチェックをします(✓マークを書きます)。
扶養親族が23歳未満など、2,3,4行目にチェックを入れたときは、その扶養親族の、氏名・個人番号(マイナンバー)・住所・生年月日・続柄・所得の見積額を記入します。
所得金額調整控除の詳細については、こちらをご覧ください。
書き方をさらに詳しく知りたい方は「基礎控除・配偶者控除・所得金額調整控除申告書の書き方」をご覧ください。