年末調整をしないとどんな罰則がある?|会社側・従業員側の罰則を税理士が解説
年末調整をしなかったらどうなるのか、会社側・従業員側それぞれの罰則について税理士が解説します。[続きを読む]
年末調整は基本的に勤め先の指示に従う形で行います。ですが、場合によっては会社に提出したくない書類があったり、結婚や離婚の事実など会社の人に知られたくないことがあったりして、「年末調整を自分でやりたい」と考える方もいるでしょう。
あるいは年末調整の前に会社をやめてしまっていて、会社で年末調整をしてもらえないこともあるでしょう。
この記事では、そのような場合の対応方法について、ケース別に解説していきます。
目次
最初に結論をお伝えすると、年末調整は会社がするものであって、個人で行うことはできません。
年末調整書類は国税庁HPなどでも手に入れられますが、会社ではなく国や税務署に直接提出するという事はできないのです。
ですから例えば、
という場合でも、自分で年末調整をすることはできません。
「会社が従業員の年末調整をすること」、そして「従業員が会社に年末調整書類を提出すること」はいずれも所得税法上の義務として定められているのです。
それでは、上記のようなケースではどうすればよいのでしょうか? それぞれのケースの対応方法を確認していきましょう。
前章で年末調整は会社の義務とお伝えしましたが、それでも会社で年末調整を受けられないケースもあります。よくあるのが次のようなケースです。
年末調整の前に会社を辞めている場合、年内に再就職したのであれば転職先で年末調整を受ければ問題ありません。年末調整書類を記載する時に、転職先の収入に前職の収入を合算すればOKです。
ただしこの時、前職の源泉徴収票もあわせて提出することになります(転職した時点で提出している場合は不要です)。
前職の源泉徴収票がまだ発行されていない、あるいは無くしてしまったという場合は前職に連絡して源泉徴収票の発行をお願いしましょう。
もしも源泉徴収票の発行が転職先の年末調整に間に合わなければ、転職先で年末調整を受けることはできません。この場合、自分で確定申告をする必要があります。
また、年末調整の前に会社を辞めて、なおかつ年内には再就職しなかったという場合も年末調整をうけられないため、自分で確定申告をする必要があります。この場合も前職の源泉徴収票が必要です。
ダブルワークやバイトの掛け持ちなどで2か所以上で給料をもらっている場合も、年末調整を受けられるのは一社のみです。
この場合はメインの働き口で年末調整をうけることになり、サブの働き口では年末調整を受けられません。
メインの働き口で年末調整を受けたうえで、確定申告または住民税申告の手続きをすることになります。
ここまでいくつか、「会社で年末調整を受けられないケース」についてお話ししましたが、この他にもいくつか年末調整の対象外となるケースがあります。
詳しくは上記の記事で解説していますが、そうした特別な事情がないにも関わらず会社が年末調整をしないというのは所得税法に反します。
前章でお伝えした通り、従業員の年末調整を行うのは会社の義務なのです。
こうした場合は会社に働きかけてなんとか年末調整をしてもらうか、税務署に対応を相談することになります。会社がどうしても動いてくれない、あるいは動き出すのが遅すぎて年末調整の時期に間に合わない場合は、従業員それぞれが期限内に確定申告をすることになります。
そして、確定申告を行うには、会社に源泉徴収票を発行してもらう必要があります。源泉徴収票の発行も会社の義務ですが、万が一、会社が源泉徴収票すら発行してくれない場合は税務署に「源泉徴収票不交付の届出手続」を提出することになります。
前章では会社で年末調整を受けられないケースについてお話ししました。それでは、
というように、「会社で年末調整を受けられるけれど、個人的な情報を記入した年末調整書類を会社に提出したくない」というケースはどうすればよいでしょうか。
まず、年末調整書類を会社に提出しないというのはおすすめしません。書類の提出そのものは従業員の義務として定められているからです。
ただし、年末調整書類に自分の氏名や住所、マイナンバーなど最低限の項目だけを記入して提出することは可能です。
配偶者控除や扶養控除、ひとり親控除などは確定申告でも申告可能なので、各種控除に関する情報を年末調整書類に記載せず、確定申告を行いましょう。
この他、会社にマイナンバーを知られたくない、会社に副業がバレるのが嫌だ、という理由で年末調整を受けたくない方は以下の記事を参考にしていただければと思います。
会社で年末調整を受ける予定だったけれどうっかり提出期限を過ぎてしまったという場合はどうでしょうか。
会社側としては、従業員から集めた年末調整書類をもとに「給与支払報告書」という書類を作成し、翌年の1/31までに各従業員の住む市町村宛てに送付しなければいけません。
このため、社内期限を過ぎていても1/31までであれば年末調整書類を受け付けてもらえる可能性はあります。
1/31を過ぎてしまった場合は会社で年末調整を受けることは諦め、確定申告を行いましょう。そのうえで、次年度分の扶養控除申告書を会社に提出することになります。
いずれにしても、年末調整書類を出し忘れたという場合は、多少気まずかったとしても会社の担当者の方に一度相談する必要があります。
ここまで、「年末調整を自分でやりたい!」という方向けに各ケースの対処方法をお伝えしましたが、ほとんどのケースで確定申告が必要になることがお分かりいただけたと思います。
確定申告も年末調整も、方法や書類、時期などが違うだけでやっていることは同じなので、会社で年末調整を受けられない会社員・パート・バイトは確定申告をすることになるのです。
確定申告を行うには、勤務先から源泉徴収票を受け取る必要があります。ダブルワークの方や転職をした方は年内に給料を受け取ったすべての勤務先の源泉徴収票を用意しておきましょう。
源泉徴収票については通常、年末または年明けに会社からもらっているはずです。(会社を辞めてる人は退職の際にもらいます)。
確定申告には期限があるので、源泉徴収票が発行されていない場合や無くしてしまった場合はできるだけ早く勤務先に連絡を取って発行・再発行をお願いすることをおすすめします。