転職先の年末調整で源泉徴収票の提出は必要なの?

転職した方は、新しい勤務先での年末調整に注意すべき点があります。

  • 前職の収入を含めるべきか?
  • 前職の源泉徴収票は絶対に必要なのか?

といった疑問点を分かりやすく解説します。

1.年末調整では前職の収入も含める

年の途中で転職し再就職した場合は、転職後の会社で年末調整を行うことになります。

注意しなければならないのは、年内に転職前の勤務先と転職後の勤務先、両方の会社で給与をもらっているケースです。

そのようなケースでは、転職前の収入も含めて年末調整を行いますので、転職後の勤務先に、前職の源泉徴収票を提出する必要があります。もし年内に2回転職をした場合は、前職と前々職2社分の源泉徴収票を提出しなければなりません。

一方、12月に再就職をして、転職先で年内に給料が支払われていないケースでは、転職前の勤務先、転職後の勤務先のどちらでも年末調整は行いません。この場合には、自分で確定申告をする必要があります。

1-1.源泉徴収票はいつ提出すればいい?

転職後の勤務先に源泉徴収票を提出する時期は、その会社の指示に従いましょう。

転職の時点で前職から源泉徴収票を受け取っている場合はその時点で提出してしまった方が安全ですが、年末調整の時期にその他の書類と合わせて提出するよう指示される場合もあります。

1-2.自分で確定申告をしてはダメなのか

転職後の勤務先に前職の源泉徴収票を提出しなかったとしても、後日、自分で確定申告をすれば、結果として国に納める税金は正しい金額となります。

ただしルール上は転職後の勤務先に源泉徴収票を提出することになっています。特別な事情がない限りは源泉徴収票を提出し、年末調整で全て完了させることを心掛けましょう。

ちなみに、転職後の会社に前職の源泉徴収票を提出せず、さらに確定申告もしなかった場合、ほぼ確実に市区町村などから連絡が来ることになります。
そうならないためにも転勤後の勤務先に源泉徴収票を提出し、年末調整で全て完了させておきましょう。

1-3.退職金は提出する必要なし

前職の退職時に退職金が支給された場合、「退職所得の源泉徴収票」が発行されます。

ただし、退職金の税額は退職時点で確定しているため、転職後の勤務先への提出は必要ありません。提出しなければならないのは「給与所得の源泉徴収票」のみと覚えておきましょう。

2.なぜ源泉徴収票の提出が必要なのか?

源泉徴収票には、その勤務先でその年に得た給与収入、毎月の給与から控除された社会保険料額、源泉所得税額等が記載されます。

会社員の1年間の所得税額は「1年間にその人が得た総収入」を基礎として、そこから保険料控除などを控除して算出されます。
そしてその算出した年間の所得税額と、毎月の給与から控除された源泉所得税との差額を年末調整で調整します。

現在の勤務先の給与だけでは1年間の総収入や、控除された社会保険料、源泉所得税の金額はわかりません。
前職の源泉徴収票を提出することでそれらの金額が確定し、正確な所得税額が算出できるのです。

(参考:令和元年度の源泉徴収票サンプル)

源泉徴収票

2-1.源泉徴収票を提出しなかった場合はどうなる?

もし、転勤後の勤務先に源泉徴収票を提出しなかった場合、どうなるのでしょうか?

国税庁のQ&Aでは、前職分の源泉徴収票がない場合には、会社では年末調整を行うことができないと明言されています。

【参照】国税庁:前の給与の支払者が支払った給与等の金額が分からないときの提出範囲

つまり、転職後の勤務先に源泉徴収票を提出しなかった場合、自分自身で確定申告を行わなければならないということです。

3.源泉徴収票を送ってもらえない場合

前職の勤務先から源泉徴収票を送ってもらえない場合はどうすれば良いでしょうか?

3-1.源泉徴収票の交付は会社の義務

まず、前職の勤務先は、退職後1か月以内に源泉徴収票を交付しなければならないと法律で定められています(所得税法第226条)。

前職の勤務先と気まずさがあったり、トラブルを避けたい気持ちもあるかもしれませんが、源泉徴収票をもらえなくて困るのはあなた自身です。なんとか源泉徴収票を送ってもらうよう交渉しましょう。

それでも前職から源泉徴収票を交付してもらえない場合は、「税務署に相談する」と伝えましょう。
税務署の名前を出すことで源泉徴収票を送ってくれる可能性もありますし、源泉徴収票を交付してもらえない場合は実際に税務署に相談しなければならないため、脅しにも当たりません。

3-2.どうしても貰うことができない場合の対処法

上述のように対応しても源泉徴収票が交付されなかった場合や、前職の勤務先が倒産している場合は、税務署に相談する必要があります。

住民票がある管轄の税務署に出向き、事情を説明したうえで「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。管轄の税務署が分からない方は以下のリンクから検索してください。

【参照】国税庁:税務署の所在地などを知りたい方

この届出書を提出すると、税務署から前職の勤務先に対して源泉徴収票を交付するよう指導が入ります。したがって高確率で源泉徴収票の交付が受けられるはずです。

「源泉徴収票不交付の届出書」は以下のリンクからダウンロードできるので、自宅で記入してから税務署に出向いてもOKです。

【参照】国税庁:源泉徴収票不交付の届出書

4.源泉徴収票が間に合わない場合はどうすればいい?

前職の勤務先に交付を依頼して送ってはもらえることにはなったが、転職先の年末調整の締切に間に合わない場合はどうすればいいでしょうか?

この場合、原則的には自分で確定申告することになります。
ただし勤務先によっては締切後でも臨機応変に対応してくれる場合があるので、相談してみましょう。

5.源泉徴収票はコピーでも良いのか?

前職からの源泉徴収票の交付が、メールでPDF形式で送られてきた場合や、前職から原本のコピーが郵送されてきた場合について解説します。

転職先に提出するためのものや、確定申告に利用するための源泉徴収票は、原則、原本でなければならないこととされています。したがって前職に原本を送ってもらうよう依頼しましょう。

ただし、実務上はコピーを提出しても年末調整の処理が可能なケースも多いと言えますし、税務署もそこまで細かくは突っ込んでこない可能性もあります。
しかし、余計なトラブルを避けるためにも、国の規定に従って処理をするように心掛けましょう。

6.年末調整の住民税への影響

住民税は前年の収入の総額が計算の基になります。

したがって、前職の収入を含めて年末調整をしなかった場合、誤った住民税額が計算されてしまうことになります。必ず転勤後の勤務先に源泉徴収票を提出することを心掛けてください。

もし、前職の源泉徴収票を転職後の勤務先に提出していなかった場合、お住まいの市区町村から勤務先に連絡が行く可能性が高いので十分注意しましょう。

なお、前職の源泉徴収票を転勤後の勤務先に提出できなかった場合でも、確定申告をすることで正しい住民税額が算出されることとなります。このケースに該当する方は確定申告を忘れずに行いましょう。

まとめ

転職時の年末調整と、源泉徴収票の提出についてまとめます。

  • 年末調整は、転職前の給与収入を含めて行います。
  • 転職前の給与収入を証明する書類が「源泉徴収票」です。
  • →よって、転職前の勤務先から源泉徴収票を取り寄せ、転職後の勤務先に提出する必要があります。
  • 前職の収入を含めて年末調整できなかった場合は、必ず、自分で確定申告を行ってください。
    そうしないと、市区町村から勤務先に連絡がいき、会社に迷惑をかけることになります。

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