固定資産税の軽減措置とは?|家を建てる前に知っておきたい3つのルール

軽減措置

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や家屋を持っている人に対して課される税金です。既に支払いをしたことがある方はその負担の重さをご存じかと思います。この記事では固定資産税が減額される条件について、税理士事務所代表の杉谷大輔さんに解説していただきます。

この記事ではこんな疑問にお答えします!

  • 固定資産税を安くする方法はないの?
  • 固定資産税には「軽減措置」があるって聞いたけど詳しくはどんなものなの?

1. 固定資産税を安くする方法は?

固定資産税を安くする方法、あるいは固定資産税が安くなる条件には、たとえば次のものがあります。

  • ① 土地を住宅用に使う
  • ② 家屋の新築や一定の改修を行う
  • ③ 災害によって被害を受けた場合に減免申請を行う
  • ④ 生活保護法に基づく生活扶助を受けている場合に減免申請を行う

① 土地を住宅用に使う

土地を住宅用に使えば、固定資産税の課税標準額(税率を乗じる金額)が最大で通常の6分の1になります。

② 家屋の新築や一定の改修を行う

家屋を新築したり新築マンションを購入した場合、一定の期間中は固定資産税額が通常の半額となります。また、中古住宅にバリアフリー改修や耐震工事を行った場合は、工事が完了した翌年の固定資産税が減額されます。

③ 災害によって被害を受けた場合に減免申請を行う

災害(地震、台風など)によって家屋が全壊や半壊した場合、申請によって固定資産税額が免除または減免されることがあります。

④ 生活保護法に基づく生活扶助を受けている場合に減免申請を行う

生活扶助を受けている場合、申請によって固定資産税が免除されることがあります。

新型コロナの影響による固定資産税の減額措置はないの?

なお、新型コロナウイルス感染症の影響によって固定資産税の支払いが困難な場合であっても、居住用の家屋や土地に対する固定資産税の免除や軽減の措置が取られている市区町村は確認できませんでした。

ただし、収入が減少したなどの理由を添えて申請すれば、居住用の家屋や土地に対する固定資産税の支払を1年間猶予してくれる(待ってくれる)市区町村もあります。「固定資産税が支払えない」となったときは納付書を無視するのではなく、市区町村の税務課へご相談されることをおすすめします。

2. 固定資産税の軽減措置

(1) 家屋にかかる固定資産税の軽減措置

家屋のうち住宅については、市区町村ごとに固定資産税額の軽減措置が用意されています。たとえば神戸市における軽減措置は次のとおりです(バリアフリー工事を行った住宅は床面積が100平米まで、それ以外は床面積が120平米までの部分に限ります)。

対象 軽減額 期間
一般の新築住宅 2分の1 3年間
新築マンション(3階建以上の耐火構造または準耐火構造の住宅) 2分の1 5年間
一般の新築住宅のうち認定長期優良住宅 2分の1 5年間
新築マンションのうち認定長期優良住宅 2分の1 7年間
耐震改修工事を行った住宅 2分の1 1年間
耐震改修工事を行った住宅(長期優良住宅の認定を受けて改修) 3分の2 1年間
バリアフリー工事を行った住宅 3分の1 1年間
省エネ改修工事を行った住宅 3分の1 1年間
省エネ改修工事を行った住宅(長期優良住宅の認定を受けて改修) 3分の2 1年間

出典:神戸市

また、東京都23区内にある住宅に対しては、東京都が独自に耐震化のための建替え又は改修を行った住宅に対する固定資産税の特例を用意しています。この特例の適用を受ければ、新築後新たに課税される年度から3年度分について固定資産税が全額減免されます。

(2) 土地にかかる固定資産税の軽減措置

住宅やアパートなど、人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(これを「住宅用地」といいます)については、課税標準額が次のとおり減額される特例があります(適用があるのは、家屋の延べ床面積の10倍まで住宅用地に限ります)。

対象 軽減後の課税標準額
200平米までの部分 通常の6分の1
200平米を超える部分 通常の3分の1

なお、この特例は現に住宅が立っている土地でしか適用できないのが原則ですが、住宅の建て替え中である土地や、土地の上に建っていた住宅が特定の豪雨などによって全壊したり住むことができなくなったりした場合は、一定の期間であれば引き続き「住宅用地」として扱われることもあります。

詳しくは、市区町村の税務担当課へお尋ねください。

3. ルール① 新築の住宅・マンションの軽減措置

(1) 軽減措置の内容

新築の住宅、新築のマンションをお持ちの場合、以下の軽減措置を受けることが可能です。たとえば一般の新築住宅の場合、固定資産税額が3年の間半額になります。

対象 軽減額 期間
一般の新築住宅 2分の1 3年間
新築マンション(3階建以上の耐火構造または準耐火構造の住宅) 2分の1 5年間
一般の新築住宅のうち認定長期優良住宅 2分の1 5年間
新築マンションのうち認定長期優良住宅 2分の1 7年間

(2) 軽減措置を受けるための条件

軽減措置を受けるための条件は住宅の区分によって異なります。それぞれの条件は次のとおりです。

区分 条件
共通 ・2022年(令和4年)3月31日までに新築されたこと
・居住部分の床面積が家屋全体の半分以上であること
一戸建て住宅 床面積が50平米以上280平米以下であること
店舗・事務所併用住宅 居住部分の床面積が50平米以上280平米以下であること
マンションなどの区分所有住宅 専有部分の床面積に共用部分(廊下など)の持分の床面積を加えたものが50平米以上280平米以下であること(貸家の場合は40平米以上280平米以下)
アパートなどの共同住宅 独立的に区画された部分の床面積に共用部分(廊下など)の床面積(按分後)を加えたものが50平米以上280平米以下であること(貸家の場合は40平米以上280平米以下)

(3) 手続きの方法

手続きの方法やそもそも手続きが必要か否かは、市区町村によって異なります。

たとえば東京都の場合、新築住宅に対する固定資産税の減額で申告などが必要なのは認定長期優良住宅に対するものだけですから、認定長期優良住宅に該当しない新築住宅や新築マンションの場合は申告をせずとも固定資産税の減額を受けることが可能です。

なお、認定長期優良住宅に該当する場合は、新築した年の翌年1月末までに次の書類を都税事務所へ提出する必要があります。

  • 固定資産税減額申告書
  • 長期優良住宅の認定通知書の写し

固定資産税減額申告書はA4で1枚なので、登記簿などを見ながら記入すればさほど完成までに時間は要しません。また、長期優良住宅の認定通知書は、どこかのタイミング(一般的には登記書類関係書類と同時)に施主へ引き渡されるので、それをコピーすれば足ります。

出典
住宅等に係る固定資産税 ・都市計画税の主な軽減制度 一覧 (23区内)
固定資産税減額申請書

4. ルール② 住宅用地の軽減措置

(1) 軽減措置の内容

住宅用地では次のとおり固定資産税が軽減されます。200平米までの分であれば、固定資産税の課税標準額が6分の5減って6分の1になります。

対象 軽減後の課税標準額
200平米までの部分 通常の6分の1
200平米を超える部分 通常の3分の1

(2) 軽減措置を受けるための条件

その土地が「住宅用地」に該当することが条件です。

「住宅用地」とは、住宅用家屋の敷地や庭、居住者用の駐車場として利用されている土地のことをいいます。

専用住宅や共同住宅(アパートなど)が建っている土地であれば問題なく住宅用地に該当しますが、店舗や事務所との併用住宅が建っている土地の場合は注意が必要です。家屋の総面積の25%以上が居住用でなければ「住宅用家屋」に該当しないとされているため、その家屋が建っている土地は住宅用地に該当しなくなります。

(3) 手続きの方法

家屋と同じく、市区町村によって異なります。

東京都の場合は、住宅を新築した場合で登記をしないときは「固定資産税の住宅用地等申告書」を、新築の年の翌年1月31日までに都税事務所へ提出する必要があります(出展)。一方、岐阜市の場合は「住宅を新築したときは、申告していただく必要はありません」としています(出展)。

このように、市区町村によって対応が異なりますので、新築住宅が所在する市区町村の税務担当課へお尋ねください。

5. ルール③ リフォーム住宅(耐震・省エネ・バリアフリー)の軽減措置

(1) 軽減措置の内容

リフォーム住宅ではたとえばバリアフリー工事を行った住宅の場合、工事の翌年に限って固定資産税額が3分の1減って通常の3分の2となります。

対象 軽減額 期間
耐震改修工事を行った住宅 2分の1 1年間
耐震改修工事を行った住宅(長期優良住宅の認定を受けて改修) 3分の2 1年間
バリアフリー工事を行った住宅 3分の1 1年間
省エネ改修工事を行った住宅 3分の1 1年間
省エネ改修工事を行った住宅(長期優良住宅の認定を受けて改修) 3分の2 1年間

(2) 軽減措置を受けるための条件

軽減措置を受けるための条件は市区町村によって異なります。たとえば神戸市における条件は次のとおりです。

区分 条件
耐震改修工事 ・1982年(昭和57年)1月1日以前に新築された住宅であること
・2022年(令和4年)3月31日までに現行の耐震基準に適合した耐震工事を行った住宅であること
・工事費用が50万円を超えていること
・居住部分の床面積が家屋全体の半分以上であること
バリアフリー工事 ・新築された日から10年以上を経過した住宅であること
・2022年(令和4年)3月31日までに一定のバリアフリー工事を行った住宅であること
・改修後の床面積が50平米以上280平米以下であること
・居住部分の床面積が家屋全体の半分以上であること
・65歳以上の人、要介護または要支援認定を受けている人、または一定の障害のある人が居住している住宅であること
・廊下の拡幅、浴室の改良などの工事を行い、その工事費用が50万円を超えていること
省エネ改修工事 ・2022年(令和4年)3月31日までに一定の省エネ改修工事を行った住宅であること
・2008年(平成20年)1月1日以前に新築された住宅であること
・居住部分の床面積が50平米以上280平米以下であること
・居住部分の床面積が家屋全体の半分以上であること
・窓の断熱性を高める改修工事、または窓の断熱性を高める改修工事とともに天井などの断熱性を高める工事を行い、その工事費用が50万円を超えていること
長期優良住宅化リフォーム工事 ・耐震改修工事または省エネ改修工事を行った住宅が長期優良住宅の認定を受けたこと
・居住部分の床面積が50平米以上280平米以下であること

なお、耐震改修工事による軽減措置と、バリアフリー工事による軽減措置または省エネ改修工事による軽減措置は重複して適用を受けることができません。

(3) 手続きの方法

たとえば神戸市の場合は、それぞれ申告が必要です。

区分 手続きの方法
耐震改修工事 耐震改修工事の完了後3か月以内に、申告書、増改築等工事証明書、及び住宅耐震改修証明書を神戸市へ提出
バリアフリー工事 バリアフリー工事の完了後3か月以内に、申告書、人的要件に適合していることを証する書類(身体障害者手帳の写しなど)、及び工事の明細書を神戸市へ提出
省エネ改修工事 省エネ改修工事の完了後3か月以内に、申告書、増改築等工事証明書、及び当該改修工事の内容を確認することができる資料を神戸市へ提出
長期優良住宅化リフォーム工事 上記に加えて長期優良住宅であることを証する書類(認定通知書の写し)を提出

6. 固定資産税の減税・軽減措置の申請を忘れたらどうすればいい?

申請を忘れたからといって諦める必要はありません。忘れていたことに気づいたら、すぐに市区町村の税務担当課へ電話し、事情を説明の上で対応を相談するようにしましょう(相談をした結果どうなるかは、事情の程度やその市区町村の方針などによって異なるものと考えられます)。

最後に

いかがでしたでしょうか。この記事では、固定資産税の軽減措置についてお伝えしました。固定資産税の軽減措置については自治体によって内容が異なります。また、軽減措置の適用に納税者の手続きが必要な自治体もあれば不要な自治体もありますので、固定資産をお持ちの方は一度自治体のHPを参照されることをおすすめします。

また、現金や口座振替で固定資産税を支払っている方は、キャッシュレス決済への切り替えも検討をおすすめします。

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税理士
執筆
杉谷 大輔(すぎや だいすけ)
税理士事務所代表。2017年に官報合格。税金の「困った」を「分かった」に出来るよう、日々奮闘しています。
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