確定申告で配偶者控除・配偶者特別控除を受ける方法

配偶者控除

妻や夫を養っている方は、年末調整や確定申告で「配偶者控除」あるいは「配偶者特別控除」を利用して納税額を引き下げることができます。この記事では、確定申告で配偶者(特別)控除を利用する方法について解説していきます。

1.確定申告で配偶者控除・配偶者特別控除を受ける方法

配偶者控除・配偶者特別控除を確定申告で利用する方法は、確定申告書に配偶者の氏名や収入などの情報を記載して税務署に提出するだけと非常にシンプルです。

配偶者控除・配偶者特別控除を受けるために確定申告書に記載する内容は以下の通りです。

  1. 配偶者の氏名・生年月日・マイナンバー
  2. 配偶者の前年1年間の合計所得
  3. 控除の金額
  4. 控除の区分(配偶者控除と配偶者特別控除のどちらを利用するか)

上記のうち、配偶者の氏名はもちろん、マイナンバーや所得については皆さん記入に迷うことはないでしょう。けれど「控除の金額」や「控除の区分」の記入には事前知識が必要です。以下に確認していきましょう。

(1)確定申告書に記入する「配偶者控除の金額」とは?

確定申告で受けられる配偶者控除・配偶者特別控除の控除額は自分で計算する必要があります。

控除額は配偶者の収入やあなた自身の収入によって控除の金額が変動しますが、比較的多くの方が該当するケースを挙げると、以下の条件すべてに当てはまる方は控除額38万です。

  • 自分の所得が900万円以下(給与収入のみの場合は年収1,095万円以下)
  • 配偶者の所得が48万円以下(給与収入のみの場合は年収103万円以下)
  • 配偶者が前年12/31時点で70歳未満

ご自身や配偶者の収入が増えるほど控除の金額は下がっていき、あなたの前年の所得が1,000万円超(年収1,195万円超)となる場合は配偶者控除・配偶者特別控除は利用できません。

また、配偶者特別控除は配偶者の所得が133万円超(年収約201万円)となると利用できません。これらの点にも注意してください。

配偶者控除の金額についてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

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(2)確定申告書で配偶者控除欄にある「区分」とは?

確定申告書の配偶者控除欄には「区分」を記載する欄が二つあります

区分1の欄は、配偶者控除と配偶者特別控除のどちらを利用するかを記入する欄で、配偶者特別控除を利用する人は区分1の欄に「1」と記入します。

配偶者控除の区分1の記入方法
  • 配偶者の所得が48万円以下(年収103万円以下)
    →配偶者控除を利用するので区分1は空欄
  • 配偶者の所得が48万円超(年収103万円以下超)
    →配偶者特別控除を利用するので区分1の欄に「1」と記入

区分2は配偶者が国外居住の人のみが関係する欄です。配偶者が日本国内に居住している方は区分2は空欄でOKです。配偶者が国外居住の方は、以下に従って区分2欄を記入してください。

配偶者控除の区分2の記入方法
  • 配偶者が国外居住で、年末調整で配偶者控除を受けている
    →区分2に「1」と記入
  • 配偶者が国外居住で、年末調整で配偶者控除を受けていない
    →区分2に「2」と記入

2.確定申告での配偶者控除の書き方(手書き)

ここからは配偶者控除を利用する場合の確定申告書の書き方について解説していきます。確定申告書の作成の際は以下の書類を手元に準備しておくとスムーズに記入できるでしょう。

  • ご自分の源泉徴収票
  • 配偶者の源泉徴収票(配偶者に給与収入がない場合は不要)
  • 配偶者のマイナンバーを確認できる書類

(1)確定申告書・第一表の書き方

確定申告書は第一表と第二表のセットになっていて、第一表は以下のようにいくつかのエリアに分かれています。

配偶者控除を受けるには「所得から差し引かれる金額」エリアと「その他」のエリアに控除の金額や配偶者の情報を記入する必要があります。

  1. 「収入金額等」の記入欄……前年の収入を書く(必須
  2. 「所得金額等」の記入欄……前年の所得(収入から経費を引いた金額)を書く(必須
  3. 「所得から差し引かれる金額」の記入欄……利用する控除の金額を書く
  4. 「税金の計算」の記入欄……所得と控除の金額から納税額・還付額を計算する(必須
  5. 「その他」の記入欄……配偶者の所得等を書く

確定申告の配偶者控除

確定申告書第一表。配偶者(特別)控除を受けるには「所得から差し引かれる金額」エリア(赤枠3)に控除の金額を、「その他」のエリア(赤枠5)に配偶者の所得を記入します

「所得から差し引かれる金額」エリア

配偶者(特別)控除欄に配偶者控除の金額を記入します。配偶者特別控除を利用する方は区分1に「1」と記入しましょう。配偶者が国外にいる方は先述の解説に倣って区分2に「1」または「2」を記入します。

確定申告の配偶者控除

「所得から差し引かれる金額」エリアには、配偶者(特別)控除(赤枠①)の他にも全員が利用できる基礎控除(赤枠②)、医療費控除などの記入欄があるので利用できる控除は全て記載し、㉑㉕に控除の合計額を記入しましょう。

「その他」エリア

「配偶者の合計所得金額欄」に前年の配偶者の合計所得金額を記入します。

配偶者控除の確定申告

なお、配偶者の収入が給与収入のみである場合の合計所得金額の計算方法は「給与収入-給与所得控除」となります。給与所得控除の金額は収入によって異なりますが、年収162万5千円以下の人の給与所得控除は一律「55万円」です。

配偶者の年収が162.5万をこえる場合については下記の記事にてご確認ください。

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上記以外のエリアの記入について

確定申告第一表には上記の記入欄以外にも、ご自身の所得や税額を計算して記入するエリアがあります(記入必須)。記載方法は以下の記事で詳しく解説していますので、記載方法に不安がある方や税金の計算方法が分からない方はぜひ併せてご覧ください。

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(2)確定申告書A第二表の書き方

確定申告書第二表には第一表に記入した内容の詳細情報を記入します。配偶者(特別)控除に関しては「配偶者や親族に関する事項」エリアの一番上の行に配偶者の情報を記入しましょう。

確定申告の配偶者控除

基本の記載事項

  • 「氏名」……配偶者の氏名を記入
  • 「個人番号」……配偶者のマイナンバーを記入
  • 「生年月日」……配偶者の生年月日を記入
  • 「住民税」……同一生計の場合は住民税欄の「同一」に〇を、別居なら「別居」に〇を記入

配偶者が障害者・特別障害者の場合

配偶者が障害者の場合は「障」、特別障害者の場合は「特障」に〇をします。

配偶者が国外居住の場合

配偶者が国外居住の場合は「国外」に〇をします。配偶者が国外居住の方のうち、年末調整ですでに配偶者控除を利用した方は「年調」に〇をします。

「その他」の欄について

右端の「その他」欄の「調整」とは、所得金額調整控除に関する欄です。所得金額調整控除の適用を受け、かつ配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けない方はここに〇を記入します。

所得金額調整控除は年収850万円超で16歳~22歳の扶養家族がいる方受ける控除ですので、以下全ての条件に当てはまる方がこの欄に〇を記入することになります。

  • 自分の年収が850万円超
  • 配偶者の年収が201万円以上
  • 16歳~22歳の子どもがいる

配偶者と別居している場合

また、配偶者と別居している方は第二表の最下部に配偶者の氏名・住所を追記しなければなりません。

確定申告の配偶者控除

(3)確定申告書Bを使う場合

個人事業主の皆さんは確定申告書Bを利用されるケースが多いでしょう。ここまで、確定申告書Aの図例をお見せしながら説明をしてきましたが、確定申告書Bを利用する場合も配偶者控除の記入方法に違いはありません。

3.確定申告での配偶者控除の記入例

ここからはモデルケースを想定して、確定申告書への配偶者控除の記入方法を解説します。

【モデルケース】

  • 配偶者:妻(同居で同一生計)
  • 妻のパート年収:98万円(給与収入以外の収入なし)
  • 本人の年収:800万円(給与収入以外の収入なし)

確定申告書第一表「所得から差し引かれる金額」

まずは配偶者控除の金額を計算しなければなりません。配偶者控除が利用できるかどうかは配偶者の年収で判定します。配偶者控除は年収103万円以下の場合に利用できる控除であるため、このモデルケースでは問題なく配偶者控除を利用することができます。

また、あなたの前年の所得が1,000万円超(年収1,195万円超)となる場合は配偶者控除・配偶者特別控除は利用できません。さらに、あなたの前年の所得が900万円超1,000万円以下である場合は所得に応じて控除額が少なくなります。このモデルケースではあなたの年収が800万円であるためいずれにも該当せず、配偶者控除の上限額の控除を受けることができます。

したがってこのモデルケースでは配偶者控除の金額は上限額の「38万円」となります。

第一表の「所得から差し引かれる金額」エリアの「配偶者(特別)控除」欄に「380,000」と記入します。配偶者と同居で、かつ配偶者特別控除を利用しないため区分欄はいずれも空欄です。

確定申告の配偶者控除

モデルケースの場合、本人の年収が800万以下で基礎控除も利用できるため図例には基礎控除48万についても記入してあります。その他、医療費控除等、利用できる控除がある方は全て記入して合計欄に控除の合計額を記載しましょう。

確定申告書第一表「その他」

さらに、配偶者の所得を「その他」エリアの「配偶者の合計所得金額」欄に記入します。配偶者の収入が給与収入のみの場合、合計所得金額は「給与収入―給与所得控除」で計算します。この場合は「給与収入(98万円)-給与所得控除(55万円)=合計所得金額(43万円)」となるため、この欄に「430,000」と記入します。

確定申告の配偶者控除

確定申告書第二表

第二表には妻の氏名、マイナンバー、生年月日を記入します。また、このモデルケースでは妻と同居で同一生計であるため「住民税」欄の「同一」に〇を記入します。

確定申告の配偶者控除

4.確定申告書作成コーナーで配偶者控除の申請をする方法

ここまで確定申告書を手書きで作成する場合の記入方法をお伝えしましたが、確定申告書はPC・スマホを使ったオンライン入力でも作成できます。

国税庁HPの「確定申告書作成コーナー」にアクセスし、表示される質問に答えていくと確定申告書が完成します。

配偶者(特別)控除については「所得控除の入力」の画面で配偶者についての情報を入力しますると、控除額などは自動で計算してくれます。

確定申告の配偶者控除

会社員の場合は「給与所得の入力」画面で源泉徴収票の記載内容を入力したあと、上記の配偶者や扶養親族の入力画面が表示されますのでそこで配偶者の情報を入力します。源泉徴収票に記載されている配偶者や扶養親族を控除から外したいという場合は控除から外す方についてはこの時詳細を入力せずに先に進みましょう。

5.確定申告での配偶者控除申請に必要な書類

確定申告書の用意ができたら、本人確認書類各種控除の証明書を添付してお住まいの地域の税務署に提出します。

配偶者控除は他の控除と違って基本的には証明書の添付等は不要ですが、配偶者が日本国外に居住している場合は別途以下の添付書類が必要となります。

  • 親族関係書類(戸籍謄本の写し、住民票、パスポートの写しなど)
  • 配偶者に生活費等を送金していることが確認できる書類(送金明細やクレジットカード明細等の写し)
  • 上記書類の翻訳文

なお、年末調整の際に上記の書類を勤務先に提出している場合は、確定申告の際に添付書類を提出する必要はありません。

6.確定申告と配偶者控除に関するよくある質問

最後に確定申告における配偶者控除についてよくある質問と回答をまとめましたので参考にしてください。

(1)年末調整後に確定申告で配偶者控除の内容を修正するにはどうすればいいですか

年末調整で配偶者の年収を間違えていた等の理由で、誤った配偶者控除を申請してしまった場合には確定申告で修正することが可能です。修正方法は、確定申告書に正しい配偶者控除の金額を記入し、確定申告をすればOKです。

(2)確定申告で配偶者控除を利用するには妻が専業主婦でなくてはいけませんか?

配偶者が専業主婦でなくても配偶者控除を利用することができます。ただし、配偶者の年収が103万円以下であることが条件です。

なお、配偶者の年収が103万円を超えていても、年収約201万円以下であれば配偶者特別控除を利用することができます。

(3)確定申告の配偶者控除は妻・自分が年金を受け取っていても利用できますか?

配偶者控除が利用できるかどうかは「合計所得金額」で判断します。したがって年金を受け取っていたとしても、合計所得金額が48万円以下であれば配偶者控除を受けることができます。

なお、年金収入は確定申告において「雑所得」に該当します。年金収入がある人の雑所得の計算方法は以下の国税庁ホームページで確認してください。

国税庁:高齢者と税

(4)年末調整後に確定申告が必要になりました。配偶者控除は年末調整と確定申告両方で申請して良いのですか?

年末調整で配偶者控除を利用しており、さらにその後確定申告をする必要が生じた場合、確定申告書には再度配偶者控除の金額を記入しなければなりません。

「年末調整と確定申告の両方に配偶者控除を記入したらダブってしまうのでは?」と勘違いしてしまいそうですが、二重で控除されるようなことはないため心配は無用です。

正しい計算をするためには確定申告でも配偶者控除の金額を記入しなければならないと覚えておいてください。

(5)育休中に配偶者控除を受けるには確定申告が必要ですか?

育休中であっても、在籍中の会社で年末調整をしてくれる場合は確定申告をする必要はありません。ただし、年末調整をしていない場合は確定申告で配偶者控除を利用することになります。

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