現金給付の対象は?いくらもらえる?新型コロナウイルスの緊急経済対策

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新型コロナウイルスの経済的な影響に対して、政府は現金給付を検討しています。

当初は「国民への現金給付」を検討していましたが、収入が減った条件に当てはまる一部の人のみに支給となる可能性があり、問題となっています。

今回の現金給付について最新情報をまとめていきます。

1.現金給付の対象は?いくらもらえる?

※家族構成や住んでいる市区町村によって、支給対象の条件となる収入金額が異なることに対して、問題点が指摘されていましたので、政府は、全国一律の基準を設け、支給金額は単身世帯10万円、家族の人数に応じてプラス5万円というような内容に変更することを検討しています。
詳細はまだ発表されていません。

(1)対象者

まだ変動する可能性はありますが、4月6日時点では、今回の支給対象となる人は、次のように発表されています。

世帯主の、2月~6月のいずれか1ヶ月の月収について、

  • ①収入が減って、年収換算で住民税非課税の水準となる世帯
  • ②収入が半分以下に減って、年収換算で住民税非課税の2倍以下の水準となる世帯

ここで、重要なポイントは「住民税非課税の水準」ですが、住民税非課税の基準は、家族構成や自治体によって異なり非常に複雑です。

たとえば、東京都23区内で単身世帯の場合、住民税非課税となる基準は給与収入の場合、年収100万円ですので、月額で約8万3千円になります。収入が減って月額で約8万3千以下になるか、または、半分以下に減って月額で約16万6千以下になれば対象となります。

当初、検討されていた所得制限は設けない見通しです。

(2)1世帯30万円

こちらも変動する可能性はありますが、4月6日時点では、1世帯当たり30万円を給付する方向です。

(3)支給方法

自己申告制」とし、所得が減って給付を希望する人が申告した場合に給付します。この場合、所得が減っていない人からの虚偽申告の可能性もあるため、証拠書類の添付や罰則も設ける案も検討しています。

ポイントをまとめてみます。

対象2月~6月のいずれかの1ヶ月について、世帯主の
①収入が減って、住民税非課税の水準となる世帯
②収入が半分以下に減って、住民税非課税の2倍以下の水準となる世帯
(2つ合わせて約1300万世帯が対象)
※所得制限はなし
支給額1世帯当たり30万円
税金非課税
申請方法自己申告制、基本は郵送かインターネットで
支給時期5月中(検討中)

まだ決定ではありませんが、約1300万世帯に30万円ずつ給付すると、約4兆円の規模となります。
当初、国民全員に10万円(約12兆円規模)という話もあがっていましたが、それと比較すると、かなり少ない金額となりそうです。

なお、4月5日、西村康稔経済財政・再生相は、感染が長期化した場合は複数回に分けて現金給付を行う考えを示しています。

(4)児童手当の追加

現在、子どものいる世帯に支給されている児童手当に、臨時で1万円を追加して支給する案が検討されています。次の支給月である6月に1回だけ加算する方向です。

(5)住民税非課税の基準は?

今回の条件の一つである「住民税非課税」は非常に複雑です。家族構成と住んでいる自治体によって異なるからです。

住民税について、詳細に書きますと、均等に発生する「均等割」と、収入に応じて発生する「所得割」の2種類があります。今回の「住民税非課税」は「均等割」が非課税になる場合を指していると考えられます。また、給与所得について、2020年(令和2年)から改正されますが、今回の基準は、2019年(令和元年)までを適用すると想定されます。

東京都23区の場合

たとえば、東京都23区内の、均等割の非課税の条件は次のとおりです。

  • 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が125万円以下(給与収入では、年収204万4千円未満)の方
  • 扶養家族のない人:前年の合計所得金額が35万円以下の人
  • 扶養家族のある人:前年の合計所得金額が「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+21万円」以下の人

給与収入の場合で、家族構成別に基準を整理してみます。

  • ①世帯主の収入が減って、住民税非課税の水準となる世帯
  • ②世帯主の収入が半分以下に減って、住民税非課税の2倍以下の水準となる世帯
家族構成住民税非課税の基準
所得①の年収
()内は月収
②の年収
()内は月収
本人のみ35万円以下100万円以下
(約8.3万円)
200万円以下
(約16.6万円)
本人+扶養配偶者91万円以下156万円以下
(13万円)
312万円以下
(26万円)
本人+扶養配偶者+子ども1人126万円以下206万円未満
(約17.1万円)
412万円未満
(約34.3万円)
本人+扶養配偶者+子ども2人161万円以下256万円未満
(約21.3万円)
512万円未満
(約42.6万円)

まず、東京都23区内の給与収入の例でみますと、単身世帯の基準はかなり厳しいことがわかります。一方、扶養している配偶者と子ども2人の4人家族では、収入が減った後の金額がそれなりに高くても対象になります。

千葉県木更津市の場合

それでは、千葉県木更津市ではどのようになるか見てみましょう。均等割の非課税の条件は次のとおりです。

  • 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が125万円以下(給与収入では、年収204万4千円未満)の方
  • 扶養家族のない人:前年の合計所得金額が28万円以下の人
  • 扶養家族のある人:前年の合計所得金額が「28万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+16万8千円」以下の人

給与収入の、家族構成別の表です。

家族構成住民税非課税の基準
 所得①の年収
()内は月収
②の年収
()内は月収
本人のみ28万円以下93万円以下
(約7.8万円)
186万円以下
(15.5万円)
本人+扶養配偶者72.8万円以下137.8万円以下
(約11.4万円)
275.6万円以下
(約22.9万円)
本人+扶養配偶者+子ども1人100.8万円以下168万円未満
(14万円)
336万円未満
(28万円)
本人+扶養配偶者+子ども2人128.8万円以下210万円未満
(17.5万円)
420万円未満
(35万円)

東京都23区の場合と差があることがわかります。

フリーランスは所得の計算が必要

以上は、会社勤めなどの給与所得者の例ですが、フリーランス等の個人事業主は事業所得になりますので、収入から経費を引いた所得を計算する必要があります。

通常は1年に1回、確定申告の際に所得計算を行いますが、今回の給付対象か確認するためには、月単位で所得を算出する必要があります。これは相当に大変な作業であり、また、経費をどちらの月に入れるかによっても、金額がかなり変わってきそうです。

(6)本制度の問題点

住民税非課税の基準が複雑すぎて自分が対象かわからない

すでに書きましたが、住民税非課税の基準が、家族構成や自治体によって異なります
さらに、計算が複雑です。今回は、基準となる所得から年収を計算し、さらに月収に換算したうえで、自分の月収と比較する必要があります。よほど税金に詳しい人でない限り、自分が対象になるのか、すぐにはわかりません。

今回は、政府や市区町村から対象者に通知がくるわけではありません。自己申告制ですので、自分が対象になることを自覚し、申請する必要があります

これは非常に大きな問題です。多くの人が、自分が対象者に当たるのか確認するために、市区町村の窓口に相談に行き大混雑するでしょう。または、電話相談窓口も大変混み合うことが予想されます。

おそらく窓口はパンクし、もらいたくても、待たされてもらえない人が続出するのではないかと思われます。

原則、郵送・オンライン対応で、申請できない人も

窓口での混雑を避けるため、政府は、申請について原則、郵送またはインターネットで行う考えを示しています。

しかし、今回、収入が減少している人の多くは、リアルな現場で自分の技能やスキルを用いながら働いている人たちや、中小店舗で働く人たちです。そのような方々の中には、パソコンやスマートフォンを持っていない人もいるでしょうし、書類の扱いに慣れていない人もいるでしょう。

郵送で書類に不備があれば、返送され、そのやりとりで時間をロスすることになります。さらに、1000万世帯以上から一気に来る申請に対して、果たして市区町村の職員は対応可能なのでしょうか?職員の負担も相当なものになりそうです。

また、フリーランス等、個人事業主の方は、収入から経費を引いた所得を月単位で計算する必要があり、これも高いハードルとなりそうです。

収入減の基準は?

所得制限はありませんが、もっとも問題となりそうなのは、「収入が減った」という部分であり、以下のような課題がありそうです。

  • 2月~6月のいずれか1ヶ月の月収が減ったとのことだが、基準は1月の月収?前年度の年収?
  • 収入が減る前の基準となる「収入」の範囲は?給与収入や事業収入だけが対象か?株や不動産の譲渡益も含まれるのか?
  • 証拠としてどんなものが必要?現金でもらっている人は証明する方法がない?

収入が減っても支給されない人がいる

今回の支給対象となる人について、東京都23区内の単身世帯で想定してみます。

  • ①収入が減って、年収換算で住民税非課税(約100万円)の水準となる世帯
  • ②収入が半分以下に減って、住民税非課税の2倍(約200万円)以下の水準となる世帯

この条件を基に、いくつかの収入減のパターンを想定してみますと、対象になる場合とならない場合が発生します。

 元の収入
()内は月収
減収後の収入
()内は月収
減少割合対象
(1)120万円
(10万円)
90万円
(7.5万円)
25%対象
(2)360万円
(30万円)
180万円
(15万円)
50%対象
(3)720万円
(60万円)
240万円
(20万円)
67%対象外

パターン(1)のケースでは、年収100万円以下になっていますので、対象となります。
パターン(2)のケースでは、年収が半分以下になって、かつ、年収200万円以下になっていますので、対象となります。

しかし、パターン(3)のケースでは、年収が67%と大幅に減少していますが、年収200万円以下ではないため、対象になりません。おそらく、収入が減って一番苦しいのはパターン(3)の人ですが、その人には支給されません。

苦労した人は報われない

他、根本的な問題として、収入が減った理由がコロナウイルスの影響ではなく、本人の問題であったとしても、対象になってしまいます。一方、収入が減らないように精一杯努力した人は対象になりません。

6月までの、ある1ヶ月間の月収が減っていれば支給対象になりますので、ある1ヶ月間は働かずに収入を減らして、30万円をもらったほうが得だということになりかねません。
低賃金で働くよりも生活保護を受けたほうが得になる問題に通じるところもあります。

2.現金給付とは?

(1)緊急時の支援策

「現金給付」は主に経済危機など緊急時に行われる支援策です。

通常の経済対策や給付金においては、もらえる人の条件を特定し、危機に瀕している人をピンポイントで助ける方向性で行われますが、今回掲げられている現金給付は国民全員(またはほとんどの国民)が給付の対象となります。

国民全員に一律で現金を給付することによって、新型コロナウイルスによって打撃を受けた人を支援するだけでなく、消費を促すことで状況の改善を目指します。

しかし、現金給付についても賛否両論あり「全国民に少しずつ現金を渡すため本当に困っている人に役立てられない」「実際に給付しても貯金に回るだけになる」など懸念されています。

(2)リーマン・ショック時の「定額給付金」

2008年に起きたリーマン・ショックで世界中の経済が大打撃を受けました。当時の日本政府は景気後退への対処と国民の生活支援という名目で「定額給付金」の支給を実施しました。

給付額は1人につき12,000円(65歳以上及び18歳以下は20,000円)となっており、「住民基本台帳に記録されている者」「外国人登録原票に登録されている者」を対象とされました。

事業費は2兆395億円に上り、家計への給付総額は1兆9,570億円となりました。平成20年3月上旬から給付が開始され、平成22年3月時点で対象世帯の97.7%が受け取りました。

定額給付金においては一定の消費増加効果が得られたものの、給付額のうち消費に向かったのは25%程度となっており、効果に関しては批判的な意見が目立ちます。

【参照】内閣府:「定額給付金の経済効果」について

3.今回の現金給付に関する議論

(1)今までの経緯

現金給付の金額について、当初、リーマンショック時の12,000円以上というのは決まりましたが、2万円、3万円、5万円、10万円、20万円など、いろいろな案が出てきました。

また、現金給付の対象者は国民全員としているものの、直接的な効果を考え子育て世帯や非課税世帯に限るという案も浮上しました。

日本の人口は、2019年9月1日現在、1億2,377万人ですので、仮に国民全員に10万円を支給すると約12.4兆円が必要となります。

3月23日、西村康稔経済再生担当相は、現金給付は早くても5月末になるとの見方を示しました。生活資金で困っている人は「緊急小口資金」と「総合支援資金」を利用して欲しいと呼びかけています。

【参考記事】新型コロナウイルスに関する、個人への支援策まとめ:10~20万円を無利子で貸付

3月25日の最新情報では、政府は、所得が減少した世帯に限って、1世帯に20万~30万円程度を現金給付する案を検討しているようです。困っていない人に現金を支給しても消費に回らないというのが理由のようです。所得制限はいくらで線引きするのかが、大きな課題となりそうです。

3月26日、政府は、全国民への一律給付は行わない方向で最終調整に入ったようです。「富裕層にも配ると国民の理解が得られない」というのが理由です。

3月28日、安倍晋三首相は記者会見で、収入が減少した個人に加えて、個人事業主や中小企業の事業主にも、現金給付を行う考えを示しました。収入源の具体的な基準については示されていません。

3月30日、明らかになった自民党の提言によると、リーマン・ショック時を上回る60兆円、GDPの10%を超える規模の経済対策を行い、そのうち、10兆円の現金給付を行うことを検討しています。10兆円は消費税5%分に相当します。現金給付の対象は、「日常生活に支障をきたしている世帯・個人」を予定しています。

4月3日、政府は、取得が減った世帯に対して、1世帯当たり30万円を給付する方向で最終調整に入りました。自己申告制とし、不正を防ぐために収入が減ったことを証明する書類とともに申請することを検討しています。

(2)現金か?商品券か?

現金を給付しても消費に回るか疑問なため、商品券を配布したほうが良いという意見も出ています。

一見、商品券のほうが消費喚起のためには良さそうに見えますが、利用できる地域や店が限られてしまうと、利用されない可能性もあります。

現金支給と商品券の配布と、どちらが良いのか、各所で議論されているようですが、そもそも、それぞれの目的が違いそうです。
政府が行うべき経済対策は大きく分けて次の2つがあります。

  1. コロナウイルスの影響を受けて緊急で資金を必要としている人の生活保障
  2. コロナウイルスが終息した後の消費喚起

そして、それぞれごとに時期と対策が異なります。

時期目的対策
コロナウイルス
終息前
生活資金で困っている人の保障・現金給付
・資金貸付
コロナウイルス
終息後
落ち込んだ消費の喚起・商品券の配布
・各種の割引
・ポイント付与

この議論については、下記の記事で詳しく扱っています。

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新型コロナウイルスの経済対策が緊急課題となっています。多くの人や業界から、国民全員への現金給付が要望されていますが、…

(3)提言:2段階の給付

国民全員に一律に給付すべきという意見と、所得が減った人や低所得者のみに給付すべきという意見と、大きく分けて2つの意見がありますが、どちらもメリット・デメリットがあり、どちらを採用しても不公平感や違和感が生まれるでしょう。

あるところで線引がされ、もらえる人と全くもらえない人が出てくると不満も発生します。

そこで、当サイトとしては、次の2段階の給付を提言したいと思います。

  1. まず、国民全員に一律で給付
  2. 後日、所得が減った人や低所得者に上乗せで給付

たとえば、当初出ていた案のとおり、まず、国民全員に一律で10万円を給付します。
さらに、今回の案のように、一定の基準を設けて、後日、所得が減った世帯に上乗せで30万円を給付します。
全体での財政支出は約16兆円となります。

こうすることで、全員が少なくとも10万円を給付されますので、不満も和らぎます。基準を設けませんので、スピーディーに支給ができます。

その後、少し時間をかけて十分に議論を行い一定の基準を設けて、所得が減って10万円では足りない人に、何回かに分けて追加で給付をすれば、生活を支えることができます。

4.世界各国の現金給付

世界中で感染拡大が続く新型コロナウイルスに対する経済対策において世界各国で現金給付による支援策が検討されています。

ここでは世界各国の現金給付の予定、現在の状況をまとめていきます。

(1)アメリカ

3月25日、アメリカの連邦議会上院では総額2兆2000億ドル規模の経済対策のうち、5000億ドル(約54兆円)を個人を対象とした現金給付に当てることを可決しました。
大人1人当たり1,200ドル(約13万2千円)、子供1人当たり500ドル(約5万5千円)を、早ければ4月にも支給する予定です。

支給対象は年収7万5千ドル未満の国民全員です。それを超える場合は、段階的に縮小され、年収9万9千ドル超は対象外です。

アメリカ国家として非常事態宣言を出したのは3月14日、それからわずか10日間くらいで、国民への5000億ドルの現金支給が決定されました。

大半の人は申請の必要がなく自動的に送付されるというのも重要ポイントです。アメリカでは、ほぼ全ての国民が確定申告を行っていて、役所側で給付を行うための銀行口座または小切手の送付先を把握しているからです。

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さらに、特筆すべきは、中小企業に対して、雇用の維持を条件に6月末まで給与支払いを肩代わりします。従業員を解雇せず雇用を維持すれば、返済不要なため、事実上、中小企業に対する現金給付と言えます。総額3,500億ドル(約38.5兆円)を計上しています。

(2)香港

香港では2月26日に18歳以上の永住権を持つ住民を対象に、1人当たり約1万香港ドル(約14万2千円)を支給を発表しました。約700万人が対象となっています。

(3)オーストラリア

年金受給者などの低所得者約650万人に、1人当たり750豪ドル(1ドル65円換算で約4万9000円)の現金支給を3月31日より予定しています。

(4)韓国

韓国政府は、3月31日、高額所得者を除く約7割の世帯を対象に、世帯の人数に応じて最大約9万円分の商品券か電子マネーを支給することを決定しました。支給は5月中旬ごろを予定しています。

まとめ

新型コロナウイルスによる感染拡大によって多くの死者が出ている中で経済に対する大打撃も表面化してきました。政府が検討している現金給付策はどのような内容で実施されるのか今後も注目が必要です。

給付額や対象者、給付方法などの情報を見逃さないようにしましょう。

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