自動車税の延滞金はいつから、いくらかかる?
自動車税の支払い期日を過ぎてしまうと、「延滞金」がかかります。この記事では自動車税の滞納によって延滞金がいつから、ど…[続きを読む]
車やバイクを持っている人は、毎年「自動車税」を支払わなくてはいけません。もしもうっかり滞納してしまったら、いつから、どんなペナルティがあるのでしょう? どんな対応が必要になるのでしょう? この記事では、自動車税の滞納について、税理士の杉谷大輔さんに解説していただきます!
目次
自動車税は自動車を取得するときに一度だけかかる「自動車税環境性能割」と、毎年4月1日時点で自動車を持っている人にかかる「自動車税種別割」の二つがあり、それぞれに納期限があります。
新規に登録を受ける自動車の場合の納期限は、新規に登録を受ける登録の日です。
また、既に登録を受けている自動車を売買などによって譲り受けた場合の納期限は、所有者が変更されてから15日以内です。なお、この「15日以内」は、登録済の自動車について所有者の変更があったときの移転登録申請の期限(道路運送車両法13条1項)と同じです。
種別割の納期限は都道府県の条例で定められています(地方税法177条の9)。
たとえば、青森県の納期限は6月15日から6月30日まで(青森県県税条例160条の12)、大阪府の納期限は5月1日から5月31日まで(大阪府税条例67条)、そして沖縄県の納期限は5月10日から5月31日まで(沖縄県税条例142条)です。
このように種別割の納期限は都道府県によってかなり幅があるので、お住まいの都道府県のホームページで納期限をご確認ください(「〇〇県 自動車税種別割 納期限」と検索すればすぐにヒットします)。
自動車税は都道府県税の一つ(軽自動車税は市町村税の一つ)ですので、自動車税を滞納した場合の影響は基本的に他の都道府県税(たとえば個人県民税)・市町村税を滞納したときと同じですが、自動車税特有の影響もあります。
まず、都道府県税・市町村税を滞納した場合の一般的な影響は次のとおりです。
また、自動車税特有の影響は次のとおりです。
自動車税を支払わないまま納期限をすぎるとその時点から延滞金がかかり始めます。延滞金については以下の記事でも詳しく解説していますのでぜひ併せてご覧ください。
自動車税を滞納し、督促にも応じない場合は財産が差し押さえられます。
一般的には、現金(給与・預貯金)から差し押さえがされます。差し押さえは、給与の場合は勤務先へ、預貯金の場合は金融機関へ「差押通知書」を送付することにより行います。差し押さえられた現金は、取り立て後に滞納の自動車税へ充てられます。
なお、現金がない場合は、不動産や換金可能な動産が差し押さえの対象となります。
先述の通り、自動車税を滞納させたままにしておくと、給与や財産が差し押さえられます。
給与が差し押さえられる場合、債権差押通知が勤務先に届きますから、あなたが自動車税を滞納していることは勤務先の知るところとなります
財産が差し押さえられる場合、たとえば自動車に対する差し押さえが行われる場合は自動車にタイヤロックが装着されることもありますから、あなたが自動車税を滞納していることを同居の家族が知る可能性もあります。
車検を受ける際には自動車税を完納している必要があるため、自動車税を滞納していると車検を受けることができなくなります。
また、多くの自動車買取業者は自動車税の納税証明書がないと買取を行ってくれないため、自動車税を滞納していると自動車を買い取ってもらえなくなります。
自動車税を滞納しても運転免許証の効力に影響はありませんが、自動車税の滞納が原因で車検の有効期限が更新できず、車検切れの自動車で公道を走った場合は免許停止処分などの行政処分を受ける可能性があります。
自動車税の滞納情報はお住まいの都道府県の外には連携されません。自動車税を滞納することで金融機関のブラックリストに載ってしまったり、所得税(国税)の確定申告書に対するチェックが厳しくなるということはないのでご安心ください。
自動車税の納期限を2024年5月31日とした場合の、地方税法におけるタイムラインは次のとおりです。督促状の発送よりもあとのタイムラインは都道府県や滞納額によって異なります。
2024年6月1日 | これ以降延滞金が発生します |
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2024年6月中旬から下旬 | 督促状が発送されます(地方税法177条の19) |
2024年7月以降 | 財産調査を経て、給与や財産の差し押さえが実行されます (財産調査や差し押さえは滞納者の同意を得ずに行われることもあります) |
なお、延滞金の額が1,000円未満の場合は延滞金はかかりませんので、納期限を過ぎたあとでも延滞金の額が1,000円超えるまでは、実質的に延滞金を支払わなくて済みます。
滞納期間が一年を超えても未納分の自動車税の納付義務が消滅することはないので、ただ延滞金の額が膨らんでいくだけです。
ただし、地方自治体が地方税を徴収する権利は、その法定納期限の翌日から起算して5年間行使されなければ時効により消滅します(地方税法18条)。
自動車税も地方税ですから、その納付の期限の翌日から5年の間に都道府県が何の行動(督促、差し押さえなど)も取らなければ、その自動車税に対する地方自治体の徴収権は絶対的に消滅します(つまり、納税者からみるとその自動車税を支払う必要がなくなります)。
もっとも、未納の自動車税に対して都道府県が何の行動も取らないということは考えにくいので、「自動車税の納税義務が時効によって消滅する」のは何らかの特殊事情が介在するレアケースだと思われます。
督促状が届いて自動車税の未納に気づいたときは、一日も早く督促状に記載された連絡先へ電話するようにしましょう。支払時期の相談や、納付書をなくしてしまった場合の支払方法の相談もすることが可能です。
滞納した自動車税(延滞金含む)は、都道府県税事務所や金融機関(銀行など)、コンビニエンスストアなどで納付することができます。
都道府県によってはペイジーやクレジットカードでの支払も可能ですが、クレジットカード払いの場合に手数料を徴収される場合もありますのでご注意ください(大阪府の場合は、消費税込みで330円の手数料が徴収されます)。
ご自分の自動車税の納税・滞納状況を確認したい場合は、お住まいの都道府県税事務所に電話でご確認ください。
自動車税の支払が遅延しそうなときは、まずはお住まいの都道府県税事務所に電話して相談しましょう。
ご自身の状況を説明すれば、自動車税の支払を分割払いにしてもらえたり、納付を猶予してもらえたりする可能性もあります(あくまでも「可能性がある」だけなので、状況によっては分割払いや納付の猶予を受けられないこともあります)。
なお、新型コロナウイルス感染症に係る徴収猶予の特例については、2021年2月までに納期限が到来する税が対象となっているため、2021年4月1日時点における自動車の所有者に対する自動車税は対象外です。ただし、状況によっては通常の徴収猶予を受けられる場合もありますので、上記と同じく都道府県税事務所の担当者にご相談ください。
可能です。自動車の所有者の名義変更申請は運輸支局や自動車検査登録事務所などで行いますが、その名義変更申請を行う際に旧所有者の自動車税納税証明書は要求されません。
自動車税が未納の自動車を廃車にすることは可能ですが、廃車にしたからといって既に納税義務の生じている自動車税の納税義務が免除されるわけではありません。
廃車後に届く自動車税の納付書を使って、未納の自動車税を納付しましょう。納付書に書かれた期限までに納付しない場合は、廃車後であっても廃車前と同じペナルティー(延滞金の発生や差し押さえ)が課せられることになります。
バイク(二輪車)に対する自動車税を滞納した場合の影響は、自動車の場合と同じです。なお、バイクの自動車税額は自動車に比べて少額ですので、延滞期間が長くならないと延滞金の納付義務は生じません。
いかがでしたでしょうか。今回は「自動車税の滞納」について解説いたしました。
自動車税を滞納した場合、以下のようなペナルティが発生します。
また、次のようなデメリットも発生します。
督促状が届いて自動車税の未納に気づいたときは、一日も早く督促状に記載された連絡先へ電話するようにしましょう。支払時期の相談や、納付書をなくしてしまった場合の支払方法の相談もすることが可能です。
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