2021年の確定申告期間はコロナで延長される?

2020年は新型コロナウイルスの影響を受けて確定申告期間が延長されました。2021年になった現在も新型コロナウイルスの勢いは治まっていないため、今年の確定申告期限も延長されるのかどうか気になるところです。

2021年の確定申告について、国税庁より4月15日(木)まで期限延長することが発表されました(2021年2月2日に発表)。

この記事ではこんな疑問にお答えします

  • 2021年の確定申告は、コロナで期間延長されるの?
  • 去年はどれくらい延長されたの?去年の申告が終わってない時はどうすればいい?
  • 確定申告を個別延長できる?申請方法は?

新型コロナウイルスが今年の確定申告に与える影響と現時点での国の方針について、新たな情報が発表され次第、最新情報を追記予定です。

1.令和2年分(2020年分)の確定申告期間は延長される?

2021年の確定申告(令和2年度分)の確定申告期間の延長や、現在の国税庁が公表している情報をまとめます。

(1)令和2年分の確定申告・納付期限を延長すると発表

2020年(令和元年分)の確定申告は新型コロナウイルス感染拡大の影響で確定申告期間が延長されました。

本来の確定申告期限である3月15日から期限が4月17日まで延長されるとともに、4月17日以降でも確定申告を受け付けるという非常に柔軟な対応が採られました。

2021年の確定申告

2021年(令和2年分)の確定申告は、申告・納付期限が4月15日(木)となることが発表されました

2月2日の報道では、「政府は確定申告期間を1か月延長し、4月15日までとすることで最終調整している」と報じられていましたが、同日、国税庁は確定申告期間の延長を発表しました。

【参考】国税庁

(2)国税庁が発表している方針、感染症対策

確定申告期間前から感染が広がっていたこともあり、各確定申告会場では様々な感染防止対策を行っています。

現在国税庁が発表している感染防止対策は以下の通りです。

「自宅でe-Tax」による確定申告を推奨

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、国税庁は「自宅でe-Taxによる確定申告」を推奨しています。

e-Taxを利用したことがない方にはハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、電話やチャットボットによるe-Taxの相談窓口が設置されています。

これを機にe-Taxによる確定申告を始めてみてもいいかもしれません。

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税務署への持参は入場整理券が必要

税務署に確定申告書を持参して申告する場合、例年は期間内であれば自由に税務署に行って確定申告を行うことができました。

しかし、今年は感染防止策として「入場整理券」が無ければ税務署で確定申告を行うことができません。

入場整理券では確定申告会場への入場時間が指定されており、指定された時間以外は会場に入ることができません。

整理券の発行状況によっては指定された日時ではなく後日の来場をお願いされるケースもあるようです。

整理券は各確定申告会場で当日配布されます。また、当日の入場整理券の配布状況は国税庁のホームページで確認できます。

LINEを利用した入場整理券の発行方法

入場整理券はLINEによるオンライン事前発行にも対応しているため、可能な方はLINEから発行した方が簡単でしょう。LINEによる入場整理券の発行は以下の手順で行います。

  1. LINEアプリを開き「国税庁LINE公式アカウント」を友だち追加
  2. 「トーク」画面から「相談を申し込む」を選択
  3. 管轄の税務署、来場希望日時を選択
  4. 内容を確認して「申込」をタップ

上記の手順でLINEによる入場整理券の発行は完了です。税務署の確定申告会場の入場時に、スマホで申込完了画面を提示すればOKです。

なお、公的年金の受給者を主な対象として、確定申告期間である2月16日以前から申告に関する相談を受け付けています。これも混雑緩和のための対応です。

税務署が実施予定の感染防止対策

令和2年分の確定申告期間において、税務署が打ち出している感染防止対策は以下の通りです。

  • ソーシャルディスタンスを確保した会場レイアウトを採用
  • こまめな換気・消毒の実施、会場内には手指消毒液を設置
  • 職員はマスク・フェイスシールドを着用して対応、日々の体調管理の徹底

また、確定申告会場に来場する納税者に向けて、以下の対応を求めています。

入場時の検温 37.5度以上の発熱や咳などの風邪の症状がある場合、検温に協力しない場合は入場を断る可能性あり
マスクの着用、手指の消毒 会場ではマスクを常時着用、会場入口等での手指消毒を推奨
少人数での来場 確定申告会場には納税者本人が1人で行くことを推奨
介助の必要がある場合等でも、必要最小限の人数での来訪を推奨

(3)振替納税・準確定申告の延長について

2020年は確定申告期間以外にも、振替納税や準確定申告の期限も延長されました。

これらに関する2021年の方針を確認しておきましょう。

振替納税の期限は延長される?

振替納税とは口座振替により税金を支払うことができる制度です。振替納税を利用する場合、本来の納付期限の約1か月後に指定の口座から税金が引き落とされます。

令和元年分の確定申告では、申告・納付期限が延長されると、振替納税日も「4月21日から5月15日」と後ろ倒しになりました。

そして、令和2年分の確定申告も、確定申告期間の延長に伴い振替納税日の変更が発表されました

口座振替日は現在のところ所得税が「令和3年5月31日(月)」消費税が「令和3年5月24日」とされています。

※振替納税を利用するためには事前の申請が必要となります。

準確定申告は延長される?

確定申告をしなければならない人が年の途中で死亡した場合、相続人等が代わりに死亡した方の確定申告を行います。

この手続きを「準確定申告」といい、準確定申告は「相続の開始があったことを知った日」から4か月以内に済ませる必要があります。

令和元年分の確定申告では準確定申告の申告期限も「期限日以降であっても柔軟に受け付けする」という形で延長されました。

しかし、令和2年分の確定申告では現在のところ期限の延長は予定されていません

2.【参考】令和元年度分(2019年分)確定申告はコロナの影響で延長

令和元年分の確定申告は新型コロナウイルスの影響で期限が延長されました。

ここでは、「昨年の申告期限延長の情報の振り返り」と、「令和元年分の確定申告がまだ完了していない人向けの対応方法」を解説していきます。

(1)2020年はコロナの影響で延長が認められた

2020年(令和元年度分)の確定申告では、特に条件を設けず全ての納税者に対して申告・納税期間の1か月延長が実施されました

期限も明確に設定せず「柔軟に対応する」という方針で、実質期限を設けない対応となりました。

新型コロナウイルスの感染が広がり始めた時期がちょうど確定申告期限間近だったということもあり、極めて異例の対応であったと言えるでしょう。

(2)昨年の申告が済んでいない時はどうする?

令和元年分の確定申告が実質期限の定めがなかったとはいえ、いつまでも申告をしなくていいといことではありません。

現時点で令和元年分の確定申告が完了していない場合、令和2年分の確定申告を行うまでに申告を済ませなければなりません

なお、令和2年分の確定申告と同時に提出しても問題ありません

順番を間違えると期限後申告になる

令和2年分確定申告の申告期限(令和3年3月15日)以降に令和元年分の確定申告を行った場合、「やむを得ない理由」がない限り期限後申告として取り扱われます。

期限後申告となった場合、無申告加算税延滞税が課される可能性があるため十分注意しましょう。

なお「やむを得ない理由」に該当するケースについては3章で詳しく解説します。

還付申告の場合は5年間申告可能

確定申告をすることで税金が還付になる方は、1月1日から5年間の提出期限が定められています。

したがって2019年分(令和元年分)の還付申告の期間は「令和2年1月1日~令和6年12月31日」となり、まだまだ余裕があります。

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申請書等の提出に注意が必要

令和元年分の確定申告期限は「令和2年分の確定申告を行うまで」と説明しましたが、注意が必要な点があります。

もし令和元年分の確定申告書を提出する前に「青色申告承認申請書」や「消費税の確定申告書」など、所得税の申告書以外の申告書や申請書を提出している場合、令和元年分の所得税の確定申告は期限後申告として取り扱われてしまいます

これは「所得税の確定申告書以外の書類を提出できるのであれば、確定申告も可能なはず」という理屈です。

他の税目の申告や、申請書・届出書などを提出する予定がある方は、併せて確定申告書も提出しなければならないと頭に入れておきましょう。

ただし、これは令和元年分の確定申告に限った話です。令和2年分の確定申告は先に申請書や他の税目の確定申告書を提出しても問題はありません。

3.個人で確定申告期限を延長する方法はある?

2021年(令和2年分)の確定申告では、やむを得ない事情がある場合は個別に申請をすることにより確定申告期限・納税期限を延長できる可能性があります。

(1)個別指定の申告納付期限の延長とは?

実は新型コロナウイルスが流行する以前から、災害で被害を受けた人向けの「個別の申告・納付期限の延長措置」という制度は存在しました。

災害で所有している資産が損害を受けたり、保管していた帳簿や領収書等を紛失してしまった場合などに申告・納付期限を延長できるという制度です。

しかし災害等で直接的な被害を受けていなくても、新型コロナウイルスの影響で確定申告期限までに申告・納付が間に合わないことも想定されます。

そのようなケースに対応するために、2021年の確定申告では新型コロナウイルスの影響による申告・納付期限の延長を個別に申請することが認められています。

【参考】国税庁

(2)延長できる人の条件は?コロナに関係した条件は?

新型コロナウイルスの影響による申告・納付期限の延長申請ができる条件には、以下のようなケースが該当します。

  • 確定申告を依頼している税理士や、会計事務所の担当者が新型コロナウイルスに感染した場合
  • 納税者本人や経理担当者などが外国に滞在しており、入国制限等の影響が生じている場合
  • 「感染拡大防止のため経理担当に休暇取得を推奨」「外出制限がなされたがテレワーク設備が整っていない」などの理由で、個人事業者や税理士事務所の通常の業務体制が維持できない場合
  • 納税者本人や経理担当者が、新型コロナウイルスに感染又は濃厚接触者に該当した場合
  • 「濃厚接触の疑い」「発熱等、新型コロナウイルスに感染した疑い」「基礎疾患があるため新型コロナウイルスに感染すると重症化する恐れがある」などの理由で、医療機関や保健所から外出自粛の要請を受けた場合
  • 新型インフルエンザ等対策特別措置法により、みだりに外出しないことが要請された場合

上記のケース以外にも、個別の申請により申告・納付期限の延長申請が認められる場合もあります。

気になる方は管轄の税務署に問い合わせることをおすすめします。

(3)延長の手続き方法は?

個別に申告・納付期限の延長申請をするには、大きく分けて4種類の方法があります。それぞれの手続き方法や期限などを解説していきます。

なお、納付期限延長後の納付期限までに税金の支払いが困難な場合、さらに納税を猶予してもらえる制度もあります。

その場合は別途申請の手続きが必要となりますので、まずは税務署に相談しましょう。

①「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出する方法

1つ目の方法は「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出する方法です。この申請書は国税庁ホームページからダウンロードすることができます。

この申請書は「やむを得ない理由のやんだ日」から2か月以内に提出しなければなりません。

例えば、本人が新型コロナウイルスに感染してしまったことにより期限を延長する場合には「新型コロナウイルスが完治し、退院した日から2か月以内」に申請書を提出すればOKでしょう。

「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出すると、その「やむを得ない理由がやんだ日」から最大2か月間申告・納付期限が延長されます。

【参考】国税庁:災害による申告、納付等の期限延長申請書

② 確定申告書の余白に記載する方法

2つ目はかなり簡易的な手続きです。

確定申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載することで「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の提出を省略することができます

この場合の申告・納付期限は、原則として「申告書を提出した日」です。したがって申告書を提出した日に税金を納める必要があります。

【参考】国税庁:申告・納付等の期限の個別延長関係

③ e-Taxで電子申告する場合の記載方法

e-Taxによる電子申告で確定申告書を提出する場合、以下の方法で申告・納付期限の延長を申請することができます。

  • 「送信準備」画面の「特記事項」欄に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力

この方法によった場合の申告・納付期限は②と同様「申告書を提出した日」となります。

④ 会計ソフトを利用して電子申告をする場合の記載方法

市販の会計ソフト経由で電子申告を行う場合、以下の方法で申告・納付期限の延長申請をすることができます。

  • 所得税の申告書等送信票(兼送付書)の特記事項欄に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力

この方法によった場合の申告・納付期限は②と同様「申告書を提出した日」となります。

4.まとめ

ここまで2021年の確定申告期間の延長があるのかまとめてきました。

昨年の確定申告期間については柔軟な対応を取られたため、今年も同じように対応するものと思われます。

途中で説明した通り、e-Taxを利用すれば混雑する確定申告会場に向かう必要もなくなります

各自が無事に確定申告が済ませられるよう、様々な関連記事を用意していますので併せてご覧ください。

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監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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