年末調整・確定申告の「配偶者控除・配偶者特別控除」とは?|令和2年分
妻や夫を養っている方は、「配偶者控除」「配偶者特別控除」という制度を利用して所得税や住民税を減額することができます。…[続きを読む]
ご家族を養っている方は、年末調整か確定申告で「扶養控除」を利用することで納税額を引き下げることができます。今回は、確定申告で扶養控除を利用する方法を解説していきます!
目次
確定申告で扶養控除を利用するためには、確定申告書にご自身の収入等に加え、養っているご家族の氏名や生年月日などの情報を記載して税務署に提出する必要があります。
まずは扶養控除に含められる親族の範囲など、基本的な点を解説していきます。
扶養控除の対象となるのは、以下に該当する親族です。
6親等内の血族および3親等内の姻族とありますが、そのうち実質的に多くの人に関係するのは以下の親族でしょう。
上記は3親等以内の親族を指しているため、実際に扶養控除の対象となる6親等というとかなり範囲が広いことが分かると思います。
先ほど挙げた親族に該当する人すべてが扶養控除の対象となるわけではありません。それ以外にも下記の条件があります。
16歳以上であるかどうかの判定は確定申告を行う年の前年12月31日時点の年齢で行います。したがって確定申告時点で子どもが16歳であっても、前年12月31日時点で15歳であった場合には扶養控除の対象とはなりません。
また、個人事業主・フリーランスの方は配偶者や子供を「青色申告者の事業専従者」「白色申告者の事業専従者」としていると扶養控除を受けることができないため注意してください。
扶養控除の対象には配偶者は含まれません。「妻(夫)を養っているから扶養控除の対象になる」と勘違いしてしまいがちですが、配偶者を養っている場合は扶養控除ではなく「配偶者控除」が適用されます。
配偶者控除の対象となるかどうかは、配偶者の年収などによって別途判定が必要です。下記で詳しく解説していますので気になる方はぜひ併せてご覧ください。
扶養控除を受けるには確定申告書に下記の情報を記入する必要があります。確定申告書の作成の際には家族のマイナンバーなどが分かる資料を手元に用意しましょう。
さらに、申告書には扶養控除の「控除額」と「区分」の記入欄もありますので、まず先に控除額と区分について確認していきましょう。
扶養控除の控除額は基本的に「38万円」ですが、扶養親族の年齢や同居・別居などの状況によって金額が変わります。以下に該当する方は注意しましょう。
扶養控除の控除額についてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
確定申告書第一表の「扶養控除」欄には「区分」を記入する欄があります。この「区分」欄は「扶養親族の中に国外居住の人が含まれている人」のみが関係する欄です。扶養親族が全員日本居住の方はここは空欄のままでOKです。
扶養親族の中に国外居住の人が含まれている人は、以下の通り記入します。
ここからは実際に確定申告書を作成する方法をお伝えします。なお、確定申告書にはAとBの様式がありますが、いずれを選んでも扶養控除に関する項目の記入方法は同じです。
確定申告書は第一表と第二表のセットになっていて、第一表は以下のようにいくつかのエリアに分かれています。扶養控除を受けるには「所得から差し引かれる金額」エリアの「⑲扶養控除」欄に扶養控除の金額を記入します。
確定申告書第一表。扶養控除については上図の赤枠3、「所得から差し引かれる金額」エリアに記入します
「所得から差し引かれる金額」エリア。この中の「扶養控除」欄(赤枠)に控除の金額を記入します。
「所得から差し引かれる金額」エリアには扶養控除の記入欄以外にも各種控除の記入欄があるので利用するすべての控除の金額を記入して合計欄(㉑欄と㉕欄)に控除の合計額を記入しましょう。
「所得から差し引かれる金額」以外のエリアの記入方法については下記の記事で詳しく説明していますので、ご自身の収入の記載のしかた、税金の計算方法に不安のある方は続けてご覧いただければと思います。
確定申告書第二表は、第一表の記入項目の補足情報などを記載する書類です。扶養控除に関しては、「配偶者や親族に関する事項」のエリアに扶養親族の情報を記入します。なお、一番上には配偶者の情報を記載するため、扶養親族の情報は2行目以降に記入します。
上図の1~4の欄には扶養親族それぞれの氏名・マイナンバー・続柄・生年月日を記入してください。
扶養親族の中に障害者がいる方は、障害者の場合は「障」、特別障害者の場合は「特障」に〇をします。
扶養親族の中に国外居住の方がいる場合は「国外」に〇をします。ただし、年末調整ですでに扶養控除を利用した方は「年調」に〇をします。
16歳未満の扶養親族の場合、住民税欄の「16」に〇を記入します。また、別居している親族の場合は、住民税欄の「別居」に〇を記入します。
「その他」欄には「調整」と記載があります。これに関係するのは前提としてあなたの年収が850万円を超える場合です。そのうえで以下に該当する方は、その親族の欄の「調整」欄に〇を記入します。
ここからはモデルケースを用いて確定申告書への扶養控除の記入方法を解説します。
まずは扶養控除の対象となるかどうかを判定します。下記のステップで判断しましょう。
まず年齢の条件から判定すると、16歳未満である次女が扶養控除の対象から除かれます。続いて年収の条件から判定します。長男にはアルバイト収入が100万円ありますが、年収103万円以下であるため扶養控除の対象となります。
したがってこの場合、控除の対象となる扶養親族は「父・母・子ども(20歳・17歳)」の4人です。
続いて控除額を計算します。このモデルケースに当てはめると、控除額は次のようになります。
このモデルケースの扶養控除額は「187万円」となります。第一表の「所得から差し引かれる金額」エリアの「扶養控除」欄に「1,870,000」と記入します。モデルケースでは扶養家族は国内に住んでいるので区分欄は空欄です。
図例では、扶養家族の他に配偶者がいるものとして配偶者控除の38万、全員が利用できる基礎控除の48万も合計欄にも記入してあります。
第二表には扶養親族の氏名、マイナンバー、続柄、生年月日を記入します。また、このモデルケースでは両親と別居しているため「住民税」欄の「別居」に〇を記入します。また、次女は16歳未満であるため、「住民税」欄の「16」に〇を記入します。
図例では、扶養家族(図赤文字)の他に配偶者の情報も記載してあります(図紺色文字)。
ここまで確定申告書を手書きで作成する場合の記入方法をお伝えしましたが、確定申告書はPC・スマホを使ったオンライン入力でも作成できます。
国税庁HPの「確定申告書作成コーナー」にアクセスし、表示される質問に答えていくと確定申告書が完成します。扶養家族の年収などを入力すると控除額の計算等は自動で行ってくれるため便利です。
扶養控除については「所得控除の入力」の画面で扶養する家族についての情報を入力します。
所得控除の入力画面で「扶養控除」欄の「入力する」ボタン(図赤枠)をクリックします
扶養家族の情報を入力する画面が出るので一人分ずつ氏名などを入力していきます
確定申告書作成コーナーの詳しい使い方は下記の記事でも詳しく説明しています。
確定申告書の用意ができたら、本人確認書類と各種控除の証明書を添付してお住まいの地域の税務署に提出します。
扶養控除については基本的には添付必須の書類はありません。ただし、扶養親族の中に国外に居住している人が含まれている場合には、以下の書類を確定申告書とあわせて税務署に提出する必要があります。
これらの書類は確定申告書を電子申告(e-Tax)で行う場合にも提出する必要があります。郵送による方法のほか、PDF形式で送信する方法などがあります。PDFで送信するやり方については以下の国税庁ホームページを参考にしてください。
なお、国外に居住している扶養親族がいる方でも、すでに年末調整で扶養控除を受けている方は上記の書類を添付する必要はありません。
年末調整で扶養控除の申告をしたものの、内容を間違えてしまった人は確定申告で扶養控除を修正することができます。扶養控除申告書の提出をしなかったり、扶養親族の記入漏れがあっても確定申告で取り戻せるので安心してください。
修正方法は確定申告書に正しい扶養親族の情報を記入し、正しい控除額を記載するだけです。年末調整で漏れてしまった分だけを確定申告書に記入するわけではなく、再度すべての扶養親族の情報を記入し、すべての扶養親族分の扶養控除額を記入する点に注意しましょう。
いかがでしたでしょうか。今回は確定申告で扶養控除を受けるための事前確認事項や必要書類、申告書の作成方法についてお伝えしました。
確定申告についてまだ疑問のある方は以下の記事もおすすめです。ぜひ参考にされてください。