【2022年以前版】住宅ローン控除とは?条件、手続き方法、注意点
「住宅ローン控除」は減税額が非常に大きく、マイホームを購入した人にとって、とても有利な制度です。2022年税制改正前…[続きを読む]
家族の夢がつまったマイホーム。新居での生活はウキウキしますよね。ですが新築を立てたら忘れてはいけないのが確定申告です。条件を満たせば大きな節税効果を得られますので、しっかり確認しておきましょう!
目次
新築のマイホームを購入した場合、確定申告で節税に効果的な「控除」を利用することができます。新築を建てた際に利用できる控除は以下の2種類です。
これらの控除は「税額控除」といい、控除額の分だけそのまま税金が安くなる制度です。したがって様々な控除の中でも特に節税効果が高いと言えるでしょう。なお、これらの控除はどちらか1つしか利用できない点に注意してください。
次からそれぞれの控除について簡単に解説していきます。
住宅ローン控除は正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。住宅ローン控除の節税効果については後ほど詳しく解説しますが、簡単に言うと「住宅ローンの年末残高の1%」に相当する金額の分だけ税金が安くなります。
上記のように、節税効果が非常に大きい制度であることが分かります。
住宅ローン控除を利用するためには一定の条件がありますが、普通に住宅ローンを組んで新築物件を購入した方の多くが利用できると思われます。一方、新築物件を投資用として購入したり、新築物件をオフィスや店舗として利用する場合は住宅ローン控除は利用できません。
認定住宅新築等特別税額控除も、住宅ローン控除と同様に新築物件を購入した場合に利用できる控除です。こちらの節税効果は簡単に言えば「かかり増し費用の10%」に相当する額の分だけ税金が安くなります。
こちらは住宅ローン控除とは異なり、控除を利用できるのは初年度の1回のみです。なお、かかり増し費用とは「長期優良住宅を建築したことにより、通常の物件より余分にかかってしまった費用」のことを言います。
住宅ローン控除との違いは以下の2点です。
住宅ローン控除と比較して特筆すべきは上記の①です。住宅ローンを組んでいなくてもいいという事は、一括で新築物件を購入した方や、親や親族からお金を借りて住宅を購入した方でも利用可能ということです。
②の「認定を受けているかどうか」は物件の購入の際に不動産会社から説明があるものと思われます。気になる方は不動産会社の担当者に確認してみましょう。
なお、住宅ローンを組んで認定住宅を購入した方は、住宅ローン控除と認定住宅新築等特別税額控除のいずれかを選択して利用することができます。
これら2つの控除は、トータルの控除額で見たら圧倒的に住宅ローン控除の方が有利となります。したがって10年以上の住宅ローンを組んで新築物件を購入した方は住宅ローン控除を選択すべきでしょう。
認定住宅新築等特別税額控除を選択すべきなのは下記いずれかに当てはまる方です。
これらの人はそもそも住宅ローン控除は利用できないため選択の余地はないのですが、うっかり認定住宅新築等特別税額控除の利用を忘れてしまわないよう注意しましょう。
会社員の場合、住宅ローン控除を利用するために確定申告をするのは初年度だけです。2年目以降は年末調整で控除を利用することができるため、手続きが簡単になります。一方、個人事業主やフリーランスの方は2年目以降も確定申告で住宅ローン控除を利用することとなります。
なお、住宅ローン控除の適用開始の基準となるのは「実際に住み始めた日」です。住宅を購入した日ではない点に注意してください。初年度の確定申告は、実際に住み始めた日の翌年2月16日~3月15日の間に行います。ただし、確定申告で税金が還付になる場合は翌年1月1日から確定申告書を提出することができます。
住宅ローン控除の利用期間は基本的には「10年」です。ただし、2019年10月1日~2022年12月31日の間に居住を開始した場合は「13年」にわたって住宅ローン控除を利用することができます。
2020年12月10日に、2021年度の税制改正大綱が公表されました。それによって住宅ローン控除の利用期間が「10年→13年」に延長される特例措置が延長されました。13年間の控除を利用できる条件は、建物の種類などによって以下のように異なります。
建物の種類 | 契約日の期限 | 入居日の期限 |
---|---|---|
新築 | 2021年9月30日まで | 2022年12月31日まで |
建売・中古・増改築 | 2021年11月30日まで |
新築物件の場合は2021年9月末まで、建売や中古物件等は2021年11月末までに契約し、かつ2022年末までに入居すれば住宅ローン控除を13年間利用できることとなります。
さらに、住宅ローン控除を利用するために定められていた「床面積50㎡以上」という要件が、「床面積40㎡以上」に緩和されました。ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満の物件については、合計所得金額が1,000万円以下の方のみが対象となります。
住宅の購入を検討されている方は、上記の契約期限までに契約することをおすすめします。
ここからは新築物件を購入した人が確定申告をする際の必要書類や手順について簡単に解説していきます。
必要となる書類は利用する控除が「住宅ローン控除」の場合と「認定住宅新築等特別税額控除」の場合とで異なります。
住宅ローン控除を利用するために必要となる書類は以下の通りです。
「登記事項証明書」は法務局で入手することができます。「年末残高証明書」は住宅ローンを組んだ金融機関から10月頃に送付されてくる書類です。
上記の書類を、確定申告書と「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」とともに税務署に提出します。確定申告書や計算明細書は税務署で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
認定住宅新築等特別税額控除を利用するために必要となる書類は以下の通りです。
上記の書類を、確定申告書と「認定住宅新築等特別税額控除額の計算明細書」とともに税務署に提出します。
住宅ローン控除を利用する方は、確定申告書類に以下の内容を記入する必要があります。
確定申告書類には記入欄がたくさんあるため難しく感じてしまうかもしれませんが、これらの内容は(1)で挙げた書類に載っている情報です。慌てず書類を見ながら記載していきましょう。なお、家の一部を店舗やオフィスとして利用している方は、上記に加えて居住用として使用している割合を記載する必要があります。
新築物件に関する確定申告書の書き方についてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日(土日の場合は翌月曜日)ですが、確定申告で税金が還付になる方は1月1日から5年の間申告することが認められています。還付金が早めにほしい方は本来の確定申告期間前に確定申告をすることで、比較的早く還付金を受け取ることができます。
なお、還付金が振り込まれるまでには通常1か月~2か月の期間がかかります。
住宅ローン控除の控除額は1年目~10年目までは「住宅ローンの年末残高×1%」で、一般住宅の控除額の上限は40万円、認定長期優良住宅の上限は50万円です。11年目~13年目は「住宅ローンの年末残高×1%」と「建物の購入価格(税抜)×2%÷3」のいずれか小さい額が控除額となります。
どの程度の節税効果があるのか、モデルケースを用いて解説していきます。
【モデルケース】
なお、分かりやすくするため初年度の住宅ローン残高は3,000万円であると仮定します。
【住宅ローン控除を利用しない場合の税金】
【住宅ローン控除を利用した場合の税金】
年数 | 所得税額 | 住民税額 | 合計額 | 節税額 |
---|---|---|---|---|
1年目 | 0円 | 322,400円 | 322,400円 | 300,000円 |
2年目 | 0円 | 332,400円 | 332,400円 | 290,000円 |
3年目 | 0円 | 342,400円 | 342,400円 | 280,000円 |
4年目 | 0円 | 352,400円 | 352,400円 | 270,000円 |
5年目 | 5,900円 | 356,500円 | 362,400円 | 260,000円 |
6年目 | 15,900円 | 356,500円 | 372,400円 | 250,000円 |
7年目 | 25,900円 | 356,500円 | 382,400円 | 240,000円 |
8年目 | 35,900円 | 356,500円 | 392,400円 | 230,000円 |
9年目 | 45,900円 | 356,500円 | 402,400円 | 220,000円 |
10年目 | 55,900円 | 356,500円 | 412,400円 | 210,000円 |
11年目 | 199,233円 | 356,500円 | 555,733円 | 66,667円 |
12年目 | 199,233円 | 356,500円 | 555,733円 | 66,667円 |
13年目 | 199,233円 | 356,500円 | 555,733円 | 66,667円 |
このように、1年目~10年目までは「住宅ローンの年末残高×1%」の金額がそのままダイレクトに節税できます。
さらに所得税から引ききれない金額がある場合には最大13万6,500円まで住民税が安くなるため、節税効果の大きさを実感していただけると思います。
11年目以降は計算方法が変わるため控除額は減りますが、元々は10年間しか利用できなかったことを考えれば大きいと感じるのではないでしょうか。
土地・建物の贈与を受けたり、新築物件の購入資金の贈与を受けた場合、どのような手続きが必要となるのか解説します。
親や祖父などから土地建物の贈与を受けた場合、「贈与税」が課税されます。課税の基準となる金額は、一定の方法により算出した「評価額」です。一般的には土地の評価は「路線価」建物の評価は「固定資産税評価額」が基準となります。
贈与税の計算方法は、土地建物の評価額から110万円を差し引いた額に、税率を掛けて計算します。税率は土地建物の評価額や、誰から贈与を受けたかによって変動します。詳細は国税庁のホームページで確認できます。
新築物件の購入資金を親や祖父母から贈与された場合も同様に贈与税がかかります。ただし、親や祖父母などの直系尊属から受ける住宅購入資金の贈与には非課税の特例が適用されます。非課税の特例は令和3年3月末までに贈与を受けていることが前提条件で、その他いくつかの要件があります。
非課税の特例を利用すれば基礎控除額110万円に加えて、以下の金額までの贈与が非課税となります。
新築物件の契約日 | 省エネ等住宅 | 左記以外 |
---|---|---|
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
なお、消費税率8%で新築物件を購入した場合は非課税枠が異なります。詳細は国税庁ホームページで確認できます。
国税庁:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
贈与税については下記の記事で解りやすく解説していますので是非合わせてご確認くださいね。
いかがでしたでしょうか。今回は新築を買った際の確定申告について解説しました。最後にこの記事のおさらいをしましょう。
新築を建てた際に利用できる控除には住宅ローン控除と認定住宅新築等特別税額控除があり、利用できるのはどちらか一方です。
なお、住宅ローン控除と認定住宅新築等特別税額控除を比べると、トータルの控除額で見たら圧倒的に住宅ローン控除の方がお得です。
住宅ローン控除を利用すると、ざっくりいって「住宅ローンの年末残高の1%」に相当する金額の分だけ税金が安くなります。
認定住宅新築等特別税額控除も、住宅ローン控除と同様に新築物件を購入した場合に利用できる控除です。
簡単に言えば「かかり増し費用の10%」に相当する額の分だけ税金が安くなります。
会社員の場合、住宅ローン控除を利用するために確定申告をするのは初年度だけです。2年目以降は年末調整で控除を利用することができるため、手続きが簡単になります。
一方、個人事業主やフリーランスの方は2年目以降も確定申告で住宅ローン控除を利用することとなります。
初年度の確定申告は、実際に住み始めた日の翌年2月16日~3月15日の間に行います。
ただし、確定申告で税金が還付になる場合は翌年1月1日から確定申告書を提出することができます。
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