贈与税の確定申告|手続き方法、必要書類をわかりやすく解説

贈与

現金や不動産などを無料でもらうと贈与税がかかります。
贈与税の確定申告は所得税の確定申告とは異なり、やや特殊な申告です。

ここでは、以下の基礎的な内容を簡単にわかりやすく解説していきます。

  • 贈与とは? 贈与税とは何か? 仕組みについて、税率、計算方法
  • 贈与税の確定申告の手続方法、必要書類

1.贈与税:贈与にかかる税金

贈与税とは、贈与にかかる税金です。

1-1.贈与とは?

そもそも「贈与」とは、通常の生活ではあまり聞き覚えのない言葉ではないでしょうか。「財産を無償で与える行為」を贈与と言います。

簡単に言うと、財産をあげる人が「この財産をあげます」、財産をもらう人が「その財産をもらいます」と意思表示することで成立する契約です。
身近なところでは、お正月の「お年玉」についても広い意味では贈与になります。

贈与は、家族や親せきなどに関わらず成立する契約です。ただし、お年玉などは一般的な習慣であり、妥当な金額と認められるものについては贈与税が課税されません。

生前贈与と死因贈与について

ちょっと難しい話になりますが、贈与にかかる税金は「贈与された時期」によって異なります。

贈与する人が生きているときに行う贈与を「生前贈与」といいますが、これには贈与税が課税されます。
贈与する人が亡くなったときに財産を受取る場合を「死因贈与」といいますが、これには相続税が課税されます。

ここでは、生前贈与について課税される贈与税について見ていきます。

1-2.どんな人が贈与税の申告が必要?

贈与税の申告は、贈与を受けた人(財産をもらった人)が行い、納税しなければなりません。
贈与を受けた人全員が申告するわけではなく、1年間(1月1日~12月31日)に110万円を超える財産の贈与を受けた人が贈与税申告をする義務があります。

ただし、もらった財産や制度によって110万円以内の贈与でも贈与税の申告が必要なケースや、110万円超でも贈与税申告と納付が不要なケースがあります。

1-3.贈与税の非課税制度

贈与税には、多くの非課税制度があります。この非課税制度のいくつかは、適用するために贈与税申告が必要になります。
ここでは、紹介するだけにとどめますので、参考程度としてください。

申告が必要な非課税制度
  • 住宅取得等資金の贈与税の非課税制度
    父母、祖父母から住宅を新築・増改築等をするために資金の贈与を受けた場合の特例です。贈与税が発生するかどうかに関わらず、贈与税申告書の提出が必要になります。
  • 配偶者控除の特例
    婚姻期間が20年以上の配偶者から自宅(居住用不動産)の贈与、または自宅の購入資金の贈与を受ける場合の特例です。こちらも贈与税の発生の有無に関わらず、申告が必要になります。

2.贈与税の仕組みと税率

贈与税の仕組みと計算方法をご紹介します。

2-1.贈与税の2種類の計算方法

贈与税の計算方法は、次の2種類です。

①原則:暦年課税

暦年課税とは、毎年1月1日~12月31日までに贈与された財産をもとに贈与税の税額を計算する方法です。贈与税の原則的な計算方法であり、何も手続きを行わなければ贈与税は暦年課税により計算することになります。

②特例:相続時精算課税

相続時精算課税とは、累計2,500万円までの財産についての贈与税を先送りする方法です。一時的に贈与税の負担なしで財産を親から子ども等に移すことができますが、相続時にその分が加算され相続税が課税されます。

ここでは、原則である暦年課税を見ていきましょう。

2-2.110万円までは非課税

暦年課税では、年間110万円までの基礎控除額が設定されています。この基礎控除額により、年間110万円以内の贈与については贈与税が0円になるため、贈与税の申告をする必要がありません。

2-3.2つの贈与税率

贈与税は、次の計算式により算出します。

(贈与財産の評価額-基礎控除額110万円)×贈与税の税率-控除額=贈与税額

ここで使用する贈与税の税率は、2種類あります。

1つ目は「特例税率」というもので、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日時点で20歳以上の人(子・孫など)への贈与について適用されます。
2つ目は「一般税率」と言われ、1つ目の「特例税率」に該当しない贈与に適用されます。

贈与税率は、一般税率と比べ特例税率の方が贈与税の負担が少なくなるように設定されています。

【特例税率】
財産の課税価格
(110万円控除後)
税率 控除額
200万円以下 10% -
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円
【一般税率】
財産の課税価格
(110万円控除後)
税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

2-4.贈与税の計算例(暦年課税)

贈与税の具体的な計算方法を具体例とともに確認していきましょう。

①特例税率を利用する場合

祖父から成人した孫へ800万円の現金を贈与した場合

(現金800万円-控除額110万円)×税率30%-控除額90万円(特別税率)=贈与税額117万円

②一般税率を利用する場合

会社の社長から株式(相続評価額800万円)の贈与を受けた場合

(株式800万円-控除額110万円)×税率40%-控除額125万円(一般税率)=贈与税額151万円

上記の2つの例を比較すると、特例税率の方が一般税率より贈与税の負担が少ないことが分かります。

3.贈与税の申告方法

贈与税申告は、1月1日~12月31日までの贈与財産の評価額をもとに贈与税の計算を行い、翌年2月1日から3月15日までに贈与税申告書を管轄の税務署へ提出します

贈与税の申告期限は、所得税の確定申告と同様になりますので「贈与税の確定申告」と覚えると申告忘れを回避することができるでしょう。

※贈与税の申告では「確定申告」ではなく単純に「申告」という用語を利用しますが、ここでは便宜的に「確定申告」と呼んでいます。

贈与税の納税期限についても申告書の提出期限と同様の3月15日です。

所得税の確定申告のように銀行口座より振替納税制度は利用できませんので、提出期限までに納税資金を用意しておきましょう。納税が完了できていない場合は、延滞税などの罰則が発生しますので納付期限には十分注意してください。

3-1.贈与を受けた人の管轄税務署に提出

贈与税の申告は「贈与を受けた人」の申告になります。そのため、贈与税申告書の提出先は「贈与を受けた人の住んでいる場所を管轄する税務署」になります。贈与した人がどこに住んでいるかは関係ありません。

3-2.贈与税申告書の提出方法

贈与税申告書の提出方法は、所得税の確定申告と同様に3通りあります。

  1. 税務署に持参して提出する
  2. 郵送で提出する
  3. 電子申告e-Taxを利用して申告する

どの提出方法でもマイナンバー、本人確認書類が必要になりますので、忘れないように準備しておきましょう。

4.作成が必要な申告書と添付書類

贈与税の申告書では、対象になる贈与財産や申告内容によって必要な申告書や添付資料が異なります。

①暦年課税(原則)で通常申告の場合

  • 申告書第1表(兼贈与税の額の計算明細書)

②相続時精算課税(特例)で申告する場合

  • 申告書第1表(兼贈与税の額の計算明細書)
  • 申告書第2表(相続時精算課税の計算明細書)
  • 相続時精算課税選択届出書
  • 受贈者の戸籍の謄本か抄本
  • 贈与者の住民票の写し

③住宅取得等資金の非課税の特例を受ける場合

  • 申告書第1表(兼贈与税の額の計算明細書)
  • 申告書第1表の2
  • 受贈者の戸籍の謄本
  • 源泉徴収票(確定申告していない人)

④贈与税の配偶者控除の特例を受ける場合

  • 申告書第1表(兼贈与税の額の計算明細書)
  • 受贈者の戸籍の謄本又は抄本
  • 受贈者の戸籍の附票の写し
  • 対象の居住用不動産に関する登記事項証明書 ・受贈者の住民票の写し

5.申告漏れには重いペナルティ

贈与税の申告漏れや無申告が発覚すると重いペナルティが発生します。贈与税では、主に次の2つの罰則が課されます。

納税が遅れると延滞税が発生

延滞税は、贈与税の納税が遅れたことによるペナルティです。例え贈与税申告書を提出していたとしても、納税をしていなければ延滞税が発生します。課税される税率は「申告期限から2か月以内は年2.8%(※)」「申告期限から2か月経過以降は年9.1%(※)」です。

※令和2年(2020年)の税率

無申告の場合は無申告加算税

申告期限までの申告を行わなかった場合は、無申告加算税が課されます。「自主的に申告を行った場合は納付した税額の5%」「税務署の指摘により申告を行った場合は納付した税額の15%」が課税されます。

まとめ

贈与税の確定申告をまとめます。

  • 贈与を受けた人が住んでいる管轄の税務署に申告する
  • 申告期間は2月1日~3月15日、納税も3月15日まで

贈与税申告の相談は税理士に

贈与税申告についてよくわからない場合は、税理士にご相談ください。

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