【2022年以前版】住宅ローン控除とは?条件、手続き方法、注意点
「住宅ローン控除」は減税額が非常に大きく、マイホームを購入した人にとって、とても有利な制度です。2022年税制改正前…[続きを読む]
マイホームを買ったりリフォームをした方なら誰もが聞いたことのある「住宅ローン控除」。節税効果の高い制度ですが、実際にはどのように利用すればよいのでしょうか?
年末調整で住宅ローン控除を利用するための方法をわかりやすく解説していきます。
住宅ローン控除は、正式名称を「住宅借入金等特別控除」と言います。この制度を簡単に説明すると「住宅ローンを組んで住宅を購入したり、リフォームした場合に、税金の負担が軽減される」という制度です。
控除額は、年末時点の住宅ローン残高の1%(2022年1月1日以降の入居では0.7%)で、その住宅に居住を開始してから10年間控除が利用できます。なお、消費税増税の負担を軽減するため、2019年10月1日以降に住宅を購入した方は、控除期間が、13年に延長されました。
また、2022年1月1日以降に住宅を購入した場合は、新築住宅・買取再販に限って控除期間が13年となり、既存住宅は10年となります。
2024年1月1日以降は、さらに条件が厳しくなり、新築住宅・買取再販では、省エネ住宅でないと住宅ローン控除を利用できなくなりました。
住宅ローン控除は節税効果が非常に高い制度です。
例えば住宅ローンの年末残高が3,000万円の場合「3,000万円×1%=30万円」が戻ってきます(所得税額が30万円未満であれば、全額戻ります)。
住宅ローン年末残高の1%(または0.7%)が所得税額から直接減額されるため、所得税の還付額は大きく増えます。
住宅ローン控除を利用するためにはいくつかのステップを踏まなければなりません。少し特殊な対応が必要となるため、しっかり覚えておきましょう。
住宅ローン控除は年末調整で利用できる制度ですが、初年度に限っては年末調整ではなく確定申告を行わなければなりません。年末調整では住宅ローン控除を含めずに例年通り年末調整を行い、その翌年に自分自身で確定申告を行います。
確定申告の期限は「2月16日~3月15日(e-Taxは1月初旬から可能)」ですが、確定申告を行うことで税金が還付となる場合には1月1日から申告することができます。住宅ローン控除を利用する方はほぼ確実に税金が還付になると思われるため、年明けすぐにでも申告することが可能です。
確定申告で住宅ローン控除を利用するためには、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」という書類を確定申告書と一緒に提出する必要があります。その他、以下の添付書類も同様に提出します。
中古住宅を購入した方や認定住宅に該当する住宅を購入した方は、上記以外にも各種申請書や認定通知書等の提出が必要となります。該当する方は国税庁のホームページ等も併せて確認しましょう。
初年度は確定申告をしなければならない住宅ローン控除ですが、2年目以降は勤務先の年末調整で控除を受けることができます。年末調整でも勤務先に提出しなければならない書類がありますが、それは次章の「年末調整で住宅ローン控除を受けるための書類・書き方」で詳しく解説します。
なお、自営業の方など勤務先で年末調整を行わない方は、2年も以降も確定申告で住宅ローン控除を受けることとなります。
消費税増税に伴い、2019年10月1日以降に購入された住宅については住宅ローン控除の期間が「10年→13年」に延長される措置が取られています。
(2022年1月1日以降に住宅を購入した場合は、新築住宅・買取再販に限って控除期間が13年となり、既存住宅は10年となります。)
気になるのは11年目以降、年末調整で特別な対応は必要なのかという点かと思いますが、手続き方法は2年目~10年目までと変わりません。
なお、2021年12月31日までに入居していて、住宅ローン控除が改正される前の制度で控除を受ける方は、11年目以降は以下のように計算方法が変わります(2022年1月1日以降の入居の場合は、10年前までと計算方法は同じです)。
注意点としては、2の「建物取得価格」には土地の金額を含めず、純粋に建物のみの取得価格で計算するという点です。
10年目までは住宅ローン年末残高の1%を自動的に控除できましたが、11年目以降は控除額が少なくなり、それに伴って還付金の額も少なくなる可能性があります。
年末調整で住宅ローン控除を受けるためには添付書類が必要となります。どのような書類が必要となるのか、また、書類の記載方法についても解説します。
年末調整で住宅ローン控除を利用するためには以下の2種類の書類を勤務先に提出しなければなりません。
それぞれの書類の概要について簡単に見ていきましょう。
初年度に確定申告で住宅ローン控除を利用した方に税務署から送付される書類です。送付時期は10月頃となります。
注意しなければならないのは、1度に「2年目~10年目」までの9年分の書類がまとめて送付されてくるという点です。その年の分が毎年送付されてくるわけではないため、保管しておくことが必要です。
なお、2019年10月1日以降に住宅を取得した場合には「2年目~13年目」までの12年間分が一気に送付されてくることになります。
住宅ローンを組んだ銀行等の金融機関から送付される書類です。送付時期は毎年10月頃となります。その名の通り、住宅ローンの年末時点での残高を証明する書類です。
年末調整の際に提出する書類のうち、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は自分で必要欄に金額等を記載する必要があります。
記入方法は、下記で詳しく説明しています。
ここからは年末調整で住宅ローン控除を利用するにあたり、よくある質問について回答していきます。
住宅ローンを組んだ後に、より金利が安い金融機関に借り換えを行うこともあるでしょう。この場合原則として、借り換え後のローンは住宅ローン控除の対象とはなりません。しかし、以下の2つの条件を満たす場合には、借り換え後のローンも住宅ローン控除の対象となります。
住宅ローン控除にはそもそも「返済期間が10年以上であること」「合計所得金額が3,000万円以下であること」「継続して居住していること」といった要件があり、借り換え後のローンもその要件を満たしている必要があります。
なお、借り換えを行ったとしても控除期間は当初のままです。延長することはないので注意しましょう。
夫婦や親子の連帯債務で住宅ローンを組む方もいるかと思います。この場合、連帯債務者のそれぞれが住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローン控除はあくまで「住宅の取得」に適用される制度です。住宅のみを購入した場合は問題なく住宅ローン控除を受けることができます。
一方、原則として土地のみの購入は住宅ローン控除の対象外となります。しかし以下の4つの条件のいずれかに該当する場合には、土地の住宅ローンについても控除の対象となります。
やや要件が複雑なので、気になる方は不動産会社の担当者に確認しておくと確実でしょう。
また、「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に記載する金額はA欄が「住宅のみ」B欄が「土地等のみ」と分かれているため、記載欄を間違えないように注意しましょう。
夫婦それぞれで住宅ローンを契約できる「ペアローン」を契約している場合、年末調整の住宅ローン控除は夫婦それぞれが利用することができます。
この記事の重要ポイントをおさらいしましょう。
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