自動車税の未納・滞納のデメリットと対応方法まとめ
自動車税の支払いをもしもうっかり滞納してしまったら、いつから、どんなペナルティがあるのでしょう? どんな対応が必要に…[続きを読む]
「自動車税」の支払いは毎年発生しますので、家計にとって重い負担です。時には支払いが難しい年もあるでしょう。この記事ではそんな「自動車税」の免除が受けられる条件や申請の手順などについて、税理士の杉谷大輔さんに解説していただきます!
目次
自動車税には、自動車を取得するときに一度だけかかる「自動車税環境性能割」と、毎年4月1日時点で自動車を持っている人にかかる「自動車税種別割」の二つがあります。
まず、自動車を取得するときにかかる「自動車税環境性能割」は、次のような自動車を取得した場合に免除されます。
次に、毎年4月1日時点で自動車を持っている人にかかる「自動車税種別割」は、次のような自動車を取得した場合に免除されます。
このうち、障害者の方の免除については後ほど詳しく紹介します。
次の自動車を取得したときは、自動車の新規登録時の自動車重量税が免除されます。
さらに、次世代自動車または2020年度燃費基準+90%達成車については、自動車を取得した3年後に受ける車検においても自動車重量税が免除されます(2020年度燃費基準+50%達成車または+40%達成車の場合は、自動車の新規登録時(取得時)のみ免除されます)。
現行のエコカー減税(自動車重量税の免除)は2021年4月30日までに新車登録を受けた自動車に、現行のグリーン化特例(自動車税種別割の減額)は2021年3月31日までに新車登録を受けた自動車に適用されますが、この適用期限がそれぞれ2年間延長されました。つまり、エコカー減税は2023年4月30日までに、グリーン化特例は2023年3月31日までにそれぞれ新車登録を受ければ、それぞれの適用を受けることができます。
さらに、2021年3月31日までに新車登録をしたガソリン車のうち一定の燃費基準を達成したものについては、自動車税環境性能割の税率が1%減免されます。
なお、新型コロナウイルス感染症や各種災害などの影響で収入が減少したことなどの理由によって自動車に関する税金の支払を期限までに行うことができない場合は、自動車重量税は最寄りの税務署へ、自動車税種別割はお住まいの都道府県へそれぞれ申請することで、納付の猶予を受けられることがあります。
なお、自動車税環境性能割の納付を猶予するか否かは都道府県によって異なるようなので、お住まいの都道府県へお尋ねください(自治体のホームページを見る限りでは、東京都は納付猶予の対象外としている一方、鳥取県は「全ての県税」を納付猶予の対象としているなど、対応にバラツキがあります)。
自動車税は都道府県税ですので、その取扱いは都道府県によって異なります。以下では、東京都の場合の例を紹介します。
次のいずれかに該当する自動車の場合、自動車税環境性能割及び自動車税種別割が減免されます。
所有者 | 運転する人 | 用途 |
---|---|---|
障害者本人 | 障害者本人 | 指定なし |
障害者本人 | 同居の家族など | 障害者の方の通院・通学専用 |
同居の家族など | 障害者本人 | |
同居の家族など | 同居の家族など |
たとえば、所有者が障害者である夫で、運転するのは障害者ではない妻の場合、その自動車を専ら夫の通院用に使うのであれば免除の対象となりますが、主として妻の通勤用に使うのであれば免除の対象とはなりません。
なお、免除が受けられるのは障害者の方1人につき1台までですので、たとえば障害者の方がご自身で運転する自動車を2台持っているときは、どちらか1台は免除を受けることができません。
免除の対象となる障害者は、以下のいずれかお持ちの方のうち、障害の区分に応じた障害の程度(等級)が一定以上の方です。
たとえば、障害の区分が「下肢機能障害」の場合は、障害の程度が1級から6級の方(つまり身体障害者手帳が交付されている方全て)が免除の対象となりますが、障害の区分が「上肢機能障害」の場合は、等級が1級または2級の方のみが免除の対象となります。
免除申請を行うための期限は次のとおりです。
ナンバーのついていない新車または中古車を取得したとき | 自動車登録の日から1か月以内 |
---|---|
ナンバーのついている中古車を取得したとき | |
既に自動車を所有しているとき | 4月1日から5月31日までの間 |
お住まいの都道府県によって異なります。東京都の場合は以下のいずれかです。
障害者本人が所有する自動車に対する免除を申請する場合に必要な書類等は次のとおりです。
障害者本人の同居の家族が所有する自動車に対する免除を申請する場合に必要な書類等は次のとおりです。
これらの必要書類も都道府県によって異なります(たとえば、神奈川県では上記に加えて自動車検査証(車検証)の提出も必要です)。詳しくは、お住まいの都道府県へお尋ねください。
なお、免除が受けられるのは障害者の方1人につき1台までですので、既に免除を受けていた自動車をお持ちだった障害者の方が別の自動車に関して免除の申請をしようとする場合には、申請期限までに既に免除を受けていた自動車の廃車登録(抹消登録)あるいは名義変更(移転登録)を行う必要があります。
平成27年(2015年)3月末までは、車検を受けるときに自動車税の納税証明書の提示が必要でしたが、同年4月以降は納税情報の電子化に伴って納税証明書の提示が不要になりました。自動車税に関する証明書が不要なのは自動車税の免除を受けている場合でも同じです。
上記の「納税情報の電子化」は、国土交通省の運輸支局等と都道府県のシステム連携によって実現されたものです。細かい話ですが、自動車税種別割は都道府県税で、軽自動車税種別割は市町村民税ですので、軽自動車の場合はこのシステム連携が行われず、納税証明書の電子化がなされていません。
したがって、軽自動車の車検を受けるときは、現在でも軽自動車税の納税証明書を提示する必要があります。
軽自動車税種別割が免除されている方は、各市町村へ申請すると「○○市市税条例第〇〇条により免税」と記載がある車検用納税証明書の交付を受けることができますので、これをディーラーなどへ持参すれば車検を受けることが可能です。
いかがでしたでしょうか。今回は自動車税の免除についてお伝えしました。個人が所有する自動車の場合、心身に障害をお持ちの方やそのご家族であったり、特別な事情がある場合に免除を受けられる可能性があります。
次のような自動車を取得した場合、自動車税の支払いは免除されます。
また、免除を受けられない場合でも納税の猶予や分割払いが可能になるケースもありますので、滞納してしまう前に自治体に相談されることをおすすめします。