医療費控除とは?税金が還付される仕組みと申請方法を解説
年間に10万円を超える医療費を支払った場合は、確定申告により「医療費控除」の適用を受けることができます。「医療費控除…[続きを読む]
医療費控除の申請は、パソコンやスマホを使ってe-Taxで行うことができます。
この記事では、サラリーマンなどが医療費控除の申請を行うことを前提に、「国税庁 確定申告書等作成コーナー」を利用してe-taxを使う方法について説明します。
まず、パソコンで申請する方法を説明して、次項ではスマホを使う方法をお伝えします。
目次
医療費控除では年間に支払った医療費が一定額以上の場合、確定申告を行うことで「所得税の還付」と「住民税の軽減」を受けることができます。
医療費控除について基礎的なことから知りたい方は、先に以下の記事をご覧ください。
医療費控除を受けたい場合は確定申告が必要です。年末調整で会社に任せることはできません。
最近はスマートフォンでも確定申告ができます。
スマホで確定申告できるのは、「所得が給与所得、公的年金等、その他雑所得、及び一時所得の人」です。
例えば、事業所得や不動産所得がないサラリーマンなどは、スマホから医療費控除はじめ、各種控除の申請が容易にできます。
一方で、事業所得や不動産所得がある人はスマホでの確定申告はできないので、パソコンをお使いください。
e-Taxで医療費控除を受けるためには、次の書類等を利用します。
詳しい利用方法は後程詳しく説明しますので、ここではどんな書類が必要か簡単に理解してください。
支払った医療費の金額を把握するために必要です。領収書の内容をe-Taxに入力する際に使います。
現在は領収書の提出は必要ありませんが、後日税務署から確認が来た時に備えて保管しておく義務があります。
医療費のお知らせとは「健康保険を利用して支払った医療費の一覧がまとめられたもの」で、加入している健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)から送付されます。
確定申告の際に医療費のお知らせを添付することで、一件ずつ領収書の内容を入力する手間が省けます。場合によってはデータとして受け取ることもあります。
下記は柏市の例ですが、加入している団体によって書式は異なることがあります。
医療費集計フォームとは、「支払った医療費をExelなどの表計算ソフトで入力や集計をするためのフォーム」です。
毎回支払った医療費を医療費集計フォームに入力・保存しておくと、e-Taxで確定申告するときにデータを読み込むだけで明細書を作ることができます。
画像引用元|国税庁
確定申告の際には医療費の合計額のみ入力し、後日医療費控除の明細書を提出するという方法があります。
医療費控除の明細書は税務署でもらうか、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
「医療費通知、医療費集計フォーム、医療費控除の明細書」については、全員が必要というわけではありません。利用する医療費の入力方法に応じて用意しましょう。
また、上記の医療費控除関係の書類以外に、確定申告を行うために必要な書類には次のものがあります。
e-Taxを初めて利用する場合はいくつかの準備が必要です。
過去にe-Taxを利用したことがある方は「(2)医療費控除を入力する手順」からお読みください。
e-Taxを利用するための事前準備として、次の手順でパソコン環境をセットアップします。
一見、取っ付き難くて面倒な感じがしますが、e-Taxを使い始める初年度だけの作業が多く、翌年からは手間をかけずスムーズに行えると思いますので、ご安心ください。
国税庁 確定申告書等作成コーナーより作成を開始します。
画像引用元|国税庁
確定申告書作成コーナーで作った書類を提出する方法は以下の3つです。
なお、e-taxを使うためには、「マイナンバーカード」か、マイナンバーカードがない場合は、事前に税務署で「ID(利用者識別番号)・パスワード」を発行してもらう必要があります。
今回の記事では、e-taxで提出することを前提にしていますので、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」のやり方について説明します。
パソコンやスマホで入力した内容を印刷して提出することもできます。
まず①、②のうち自分が利用する方法を選択します。
画像引用元|国税庁
「マイナンバーカード方式」を選択した場合で、e-Tax を利用するための準備が整っていないとき、事前準備セットアップファイルをダウンロードする必要があります。
表示される手順に従ってセットアップをしてください。
画像引用元|国税庁
2年目以降で、 e-Taxを利用するための準備が整っている場合は、「事前準備セットアップが正常に適用されています」と表示されますので、次のステップに進みます。
「 ID・パスワード方式」を選択した場合は事前準備セットアップファイルは必要ありませんので、ダウンロードの指示は表示されません。
続いて個人認証を行います。
e-Taxを利用する場合の個人認証は、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」でやり方が異なります。
「マイナンバーカード方式」ではICカードリーダーを準備して、マイナンバーカードをICカードリーダーで読み込むことにより個人認証します。
画像引用元|国税庁
マイナンバーカードの読み取りを選択すると、以下の画面が表示され「利用者証明用パスワード」の入力が求められます。
これは、マイナンバーカード発行時に設定するものですが、3回間違えるとロックされてしまうため注意しましょう。
画像引用元|国税庁
続いて、初めてe-Taxを利用する場合は以下の順で必要事項を入力します。
画像引用元|国税庁
画像引用元|国税庁
マイナンバーカード情報を直接入力するか、カードを読み取るか選択します。
ここで入力するパスワードも、マイナンバーカード発行時に設定したものです。
入力完了後、登録情報の確認を行うと事前準備は終了です。
「ID・パスワード方式」では届出完了通知に記載されている利用者識別番号と暗証番号を入力することにより個人認証します。
届出完了通知は以下のようなものです。
画像引用元|国税庁
画像引用元|国税庁
登録情報を確認して事前準備は終了です。e-taxを使用した確定申告書作成に入る事ができます。
ここでは、医療費控除を入力する方法について説明します。
画像引用元|国税庁
セルフメディケーション税制の入力については、次項で説明します。
画像引用元|国税庁
医療費を入力する方法には、次の4つの方法があります。
画像引用元|国税庁
個別の領収書から、「医療を受けた方の氏名」、「病院・薬局などの支払先の名称」、「医療費の区分(診療・治療、医薬品購入など)」、「支払った医療費の額」などを、1件ずつ入力します。
画像引用元|国税庁
なお、領収書が多い場合は、領収書1件ごとではなく、病院・薬局などの支払先ごとに金額を合計してまとめて入力しても構いません。
領収書の枚数が膨大で入力するのが大変な場合は、「医療費集計フォーム」の利用がオススメです。
医療費集計フォームとは、支払った医療費をEXCELなどの表計算ソフトで入力や集計をするためのフォームです。
払った医療費を医療費集計フォームに入力・保存しておき、そのデータを医療費控除画面から読み込んで明細書を作ることができます。
画像引用元|国税庁
医療費集計フォームはExcel形式のため、Excelを少し使ったことのある人なら入力に苦労することはないと思います。
特に領収書の数が多い場合にオススメです。
医療費集計フォームは次の国税庁のホームページからダウンロードできます。
入力画面では医療費の合計額だけを入力する方法です。
入力は簡単ですが、別途医療費控除の明細書を作成して税務署に提出する必要があります。
画像引用元|国税庁
医療費控除の明細書は国税庁のホームページからダウンロードできます。
医療保険者から交付された医療費通知書を持っている方は、医療費通知に記載されている医療費の合計額だけを入力します。
入力は簡単ですが、医療費通知書(原本)を、別途、税務署に提出する必要があります。
医療保険者から交付された「医療費通知データ」を持っている方は、この医療費通知データを読ませる事ができます。
この場合は、医療費通知書を税務署に提出する必要はありません。
どちらの場合も、医療費通知書に記載のない医療費がある場合は追加で1件ずつ入力します。
画像引用元|国税庁
最後に入力内容を確認し、医療費控除の入力は終了です。
医療費控除の特例としてセルフメディケーション税制があり、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を12,000円以上購入した場合、このセルフメディケーション税制が利用できます。
通常の医療費控除に比べて、申請のハードルはかなり下がります。
セルフメディケーション税制を申請する場合は、次の2つの方法のどちらかを使い医療費を入力します。
入力方法は、前記の医療費控除と同様ですので、医療費控除の入力の方法をご覧ください、
なお、詳細な入力方法については、国税庁WEBサイトをご参照ください。
医療費控除の入力が終わったら、以下の手順で確定申告書の送信まで完了させましょう。
申告データを送信する際に受付結果が表示されますので、正常に送信されたか結果を確認します。
上記では、パソコンを使ってe-taxを行う方法について見てきました。
スマホを使う場合は画面表示が若干異なりますが、入力方法はパソコンの場合と同じです。
また、スマホ申告のやり方については国税庁がYouTubeで動画を公開していますので併せて参考にしてください。
パソコンを使う場合と同様に、e-taxを利用するための事前準備が必要です。
スマホは、iphoneでもAndroid端末でも利用可能です。
「国税庁 確定申告書等作成コーナー」のWEBページより作成を開始します。
指示に従い、確定申告の年度や収入等を選択していきます。
「e-tax マイナンバーカード方式」か「e-tax ID・パスワード方式」、または「書面」を選択します。
ここではe-taxで確定申告を行うことを前提に、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」について説明します。
マイナンバーカード方式を選択した場合、スマホのアプリである「マイナポータルAP」をインストールしていない場合は、このアプリをダウンロードします。
また、マイナンバーカード方式は、マイナポータルAPに対応しているスマホを準備する必要があります。
ID・パスワード方式を選択した場合、スマホのアプリである「マイナポータルAP」のインストールは必要ありません。
パソコンの場合と同様に「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2つの方法があります。
マイナンバーカード方式を選択した場合パソコンではICカードリーダーを使いましたが、スマホでは、スマホに直接マイナンバーカードを読み取らせます(一部未対応機種あり)。
ID・パスワード方式を選択した場合パソコンの場合と同様に、IDとパスワードを入力します。
このどちらかでe-Taxの個人認証を行うことにより事前準備は終了し、e-taxを使用した確定申告書作成に入る事ができます。
ここでは、医療費控除を入力する方法について説明します。
医療費を入力する方法には、次の3つの方法があります。
入力方法はパソコンと同様ですので、パソコンの項をご覧ください。
確定申告書の作成と申告データ送信して完了です。
スマホでの確定申告は以下の記事をご覧ください。
ここでは、医療費控除について、みなさんがお持ちの疑問について見ていきます。
医療費控除の入力には、パソコンの場合は4種類、スマホの場合は3種類あります。
領収書の枚数が少なければ、1件1件直接入力するのが一番簡単です。
枚数が多い場合は、「医療費通知(医療費のお知らせなど)、医療費集計フォーム、 医療費控除の明細書」を活用することになります。
医療費通知書で医療費控除がほとんどカバーされている場合は、医療費通知書を利用して、漏れている分を1件づつ入力しましょう。
医療費通知書がない場合や、漏れているものが多くある場合は、医療費集計フォームか医療費控除の明細書を活用しましょう。
医療費集計フォームでも医療費控除の明細書でも、入力する項目や手間はあまり変わりませんが、医療費集計フォームを利用すると明細書を提出する手間がかからないためお勧めです。
医療費控除の場合は税金を還付してもらう申告(還付申告)です。還付申告については申告時期が決められていません。
よって、医療費控除のみの申請であれば、税務署が混んでいる確定申告の時期ではなく、あとからゆっくりと空いている時間に申請することができます
ただし、申告期限は定められていて、医療費を支払った年の翌年の1月1日から5年間です。
5年を越えてしまうと医療費控除の申請ができなくなりますので、忘れないうちに、早めに申請しましょう。
平成29年分の確定申告からは医療費の領収書の提出はいらなくなり、それに代わって、医療費控除の明細書を提出することになりました。
ただし、申告後に税務署から領収書の提示を求められる可能性もありますので、5年間保存する必要があります。
パソコンやスマホでマイナンバーカードを読み込む必要がありますので、通知カードでは代用できません。
書類を提出、または郵送によって確定申告しましょう。
どちらを使ってもe-taxの機能は同じですが、マイナンバーカード方式では、ICカードリーダーやマイナポータルAPに対応したスマホが必要です。
一方で、国税庁としては「ID・パスワード方式は、マイナンバーカード及びICカードリーダーが普及するまでの暫定的な対応」との扱いで、将来的にはマイナンバーカード方式に統一していく方針のようです。
使う頻度が少ない場合は「ID・パスワード方式」でもいいですが、これからも継続して確定申告を行っていく方は、最初から「マイナンバーカード方式」にしておいたほうが無難だと思います。
ここまでe-Taxを利用して医療費控除の申告をする方法をまとめてきました。
以下のような方はe-Taxを利用した医療費控除の申告(確定申告)がおすすめでしょう。
「e-Taxってなんだか難しそうだな、確定申告するのも1回きりだから書類提出でいいかな」と思う方でも、パソコンを使って医療費控除を入力・印刷し、書類を提出することもできます。
入力方法も今回説明した内容と同じですので、利用してみてもいいと思います。