確定申告書の記入ミスをどのように訂正すればいいのか解説します。[続きを読む]
確定申告の訂正方法|申告内容を間違えた時の対応まとめ
確定申告では自分が納める税金の金額を自分で計算するため、ちょっとした記入・入力ミスでも税金の納めすぎや支払い不足につながる可能性があります。
この記事では、確定申告で間違った申告をしてしまったらどうなるのか、いつまでに何をすればいいのか、手続き方法をわかりやすく解説します。
なお、提出前の確定申告書の書き損じについては下記の記事で書類の訂正方法を解説していますのでそちらをご覧ください。
目次
1.確定申告の間違いに気づいたらどうすればいい?
提出した確定申告書に間違いがあったことに気付いた場合、正しい内容を申告するための手続きが必要です。手続きの内容は、確定申告の期限内に手続きできるかどうかで変わります。
その年の確定申告期限内に間違いに気づいた場合
正しい内容の書類を作成して税務署に提出すればOKです。ペナルティなどの心配もありません。このケースに当てはまる方はこちらにお進みください。
その年の確定申告期限が過ぎてから間違いに気づいた場合
確定申告の期限を過ぎてしまっている場合、どういう間違いをしていたかで対応方法が異なります。
- 税金を少なく払ってしまっていた・還付金が本来よりも多かった場合
……できるだけ早く「修正申告」を行う - 税金を多く払ってしまっていた・還付金が本来よりも少なかった場合
……5年以内に「更正の請求」を行う
修正申告・更正の請求が必要な方はこちらにお進みください。
2.訂正申告:確定申告期間中は何度でも申告のやり直しができる
確定申告の期限内に間違いに気づいた場合は、もう一度正しい内容で確定申告を行えばOKです。確定申告の期間中は何度でもやり直しがききます。
(1)確定申告書の訂正・再提出の方法
訂正の確定申告だからと言って、通常の確定申告と方法に異なる点はありません。もう一度確定申告書を一から作成して税務署に提出します。
そうすると、後から提出したほうが優先されます。税務署に特に連絡をする必要もありませんが、もし心配であれば、念のため、連絡を入れておくと良いでしょう。
すでに提出した添付書類はどうしたらいい?
訂正の確定申告をする場合、一回目の確定申告で提出した添付書類を再度添付する必要はありません。
ただし、確定申告書を書面により提出する場合、マイナンバーカードなどの本人確認書類は再度必要となります。税務署に持参の場合は窓口での提示、郵送により提出する場合は本人確認書類の写しを添付しなければなりません。
二回目以降の申告は最初の提出方法と違ってもいい?
提出方法には特に定めはないため、一回目の提出方法と異なる提出方法で提出しても問題ありません。例えば一回目の確定申告をe-Tax(電子申告)で行い、訂正の確定申告は郵送で提出するといったことも可能です。
(2)確定申告の訂正はいつまでにすればいい?
確定申告の訂正は法定期限、その年の確定申告の期間内に行います。確定申告の期間は例年2/16~3/15(土日祝にあたる場合はずれ込む)です。
なお、還付申告(確定申告の結果、税金が返ってくるケースのこと)の場合、1月から確定申告を行うことができますが、還付申告の訂正もその年の確定申告期限までに行えばOKです。
(3)確定申告の訂正をすると還付金の支払いは遅くなる?
還付申告の場合、税金がいつ還付になるのかが気になる点かと思います。
還付申告は1月1日から提出することができるため、提出が早ければ早いほど早く還付金が振り込まれる可能性が高くなります。
しかし訂正の確定申告書を提出した日が本来の確定申告期間中であった場合、還付金の振り込みが遅れる可能性があります。繁忙期に確定申告書を提出すると還付までに2か月程度の期間を要することもあるため、その点は頭に入れておきましょう。
なお、還付申告の訂正を忘れて確定申告期間を過ぎてしまっても、期限後に「更正の請求」という手続きを行えば還付金を受け取ることができます。還付金を受け取れなくなるといった心配をする必要はありません。
3.確定申告期限内に間違いを訂正できなかった場合の手続き
冒頭で述べた通り、確定申告の期限を過ぎてしまった場合は「修正申告」か「更正の請求」を行います。
(1)修正申告:税金を少なく払ってしまっていた・還付金が本来より多かった場合
以下のようなミスによって確定申告で本来納めるべき税金を納めていなかった場合や、本来受け取るべきでない還付金を受け取ってしまった場合はできるだけ早く「修正申告」を行いましょう。
- 収入・所得の申告漏れがあった・金額を低く申告してしまった
- 経費を二重計上してしまった
- 利用できない控除を申告してしまった
- 控除額を本来よりも大きく申告してしまった
など
税務署からの指摘が来る前に修正申告を行う場合の手続き
この場合、本来支払うべき金額との差額に加え、申告の期限を過ぎた日数に応じて「延滞税」を支払う必要があります。けれども、税務署から指摘が入ってから手続きをするよりもペナルティはずっと軽いため、気づいたらすぐに手続きを行いましょう。
必要書類や書き方等、修正申告の手続き方法は下記の記事で詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。
税務署からの指摘が来た場合の手続き
自分で修正申告を行うよりも早く税務署からの指摘が来た場合は、延滞税に加えて「過少申告加算税」を支払うことになります。なお、故意に税額をごまかしていた場合等、悪質と判断されると更に「重加算税」のペナルティが課せられます。
税務署からの指摘が来た場合の手続きは、税務署の調査官と相談しながら修正申告を行います。
修正申告のペナルティ
上記でお伝えした「延滞税」「過少申告加算税」「重加算税」の計算の仕方など、詳しくは以下の記事で解説しています。
(2)更正の請求:税金を多く払ってしまっていた・還付金を本来よりも多かった場合
以下のようなミスによって、本来受け取ることのできる還付金を受け取れなかった方や税金を払いすぎてしまった方は5年以内であれば更正の請求をして払いすぎた税金を取り戻すことができます。
- 収入・所得について、実際よりも多く申告してしまった
- 経費の計上漏れがあった
- 本来利用できる控除の申請が漏れていた
- 控除額を少なく申告してしまった
など
更正の請求の手続き方法
下記の書類を税務署に提出しましょう。
- 所得税の更正の請求書
……更正の請求を行う理由や当初の申告の誤りについて記載 - 事実を証明する書類
……控除の証明書など(更正の請求を行う理由によって異なる)
なお、更正の請求書はオンラインでも作成できます。国税庁HP内にある「確定申告書作成コーナー」にアクセスし、表示される質問に答えて書類を作成しましょう。
まとめ
確定申告の申告内容にミスがあった場合の手続き方法についてお伝えしました。最後にこの記事のおさらいをしましょう。
確定申告の内容に間違いがあった場合……
- 確定申告期限内であれば、正しい内容で申告をやり直せばOK
- 確定申告の期限を過ぎてしまった場合は修正の申告か更正の請求を行う
- 確定申告の期限後に「税金を本来より少なく支払っていたor還付金を多く受け取っていた」ことに気づいたらできるだけ早く修正申告をしないとペナルティは日ごとに増えていく