確定申告で控除を忘れたときの更正の請求書の書き方
確定申告を行った後に「そういえば使える控除があったな…」「一部かかった費用が抜けていた」などと気づいた方もいらっしゃるかと思います。
そこで必要なのが「更正の請求」という作業です!
この「更正の請求」を行えば、間違っていた確定申告を正しく行い、税金を還付してもらうことができます。
この記事がおすすめの方!
- 確定申告後、税金を払いすぎてしまっていたことに気付いた人
- 確定申告後、還付金の額が少ないことに気付いた人
- 確定申告を間違えてしまった人
目次
1.更正の請求とは?
(1) 更正の請求とは
更正の請求とは、確定申告の後に、納める税金が多すぎた場合や還付される税金が少なすぎた場合に税務署に訂正を求め、正しい税額に修正する手続きのことです。
具体的には、更正の請求書を管轄の税務署に提出することにより行います。
(2) 修正申告・訂正申告とは何が違う?
更正の請求と混同されがちですが、修正申告とは納める税金が少なすぎた場合や還付される税金が多すぎた場合に申告内容を訂正して納税者から追加分を支払う手続きです。
また訂正申告とは確定申告の期限内に間違いに気づいた場合に申告内容の訂正を行うものです。
簡単にまとめると以下の通りです。
(3) 更正の請求の期限は?
更正の請求が可能な期間は、法定申告期間から5年以内となります。
つまり、2022年分の確定申告(法定期限2023年3月15日)については2028年3月15日まで更正の請求が行えます。
2.更正の請求のやり方(手書き)
(1)更正の請求に必要な書類
更正の請求には「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」が必要です。
こちらは国税庁のホームページ(上記リンク)でダウンロード出来るほか、最寄りの税務署で入手することが出来ます。
(2)更正の請求の手順
更正の請求には前述の「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」に必要事項を記入・捺印し、郵送もしくは持参し、管轄の税務署に提出します。
控除や経費などを追加して申告する場合は経費や控除を証明する領収書などの添付が必要です。
(3)更正の請求書の書き方
更生の請求書の記入には、申告済みの申告書の控えなどを参考に必要事項を記入します。
記入が必要な項目は以下の通りです。
- 住所・個人番号・氏名・職業・電話番号
- 請求の目的となった申告又は処分の種類
- 報告書を提出した日
- 更正の請求をする理由
- 添付した書類
- 請求額の計算書(該当箇所)
- 還付される税金の受け取り場所
申告書の控えを捨ててしまったなどの場合には、提出した税務署で閲覧の手続きにより、原本を参照出来ます。※係員の立ち会いのもとスマホなどで撮影出来る場合もあります。
請求書には、住所や氏名、マイナンバーなどを記載するほか、更生の請求に理由なども詳細に記入する必要があります。
控除や経費を追加で申告する場合はそれらの領収書や明細をもとに金額などを転記します。
(4)更正通知書が送付される
更正の請求が承認されると、税務署からこのような「更正通知書」が送付されてきます。
3.更正の請求のやり方(修正申告書作成コーナー)
更生の請求はe-Taxでも手続き出来ます。
(1)確定申告書等作成コーナー
国税庁のホームページの「確定申告書等作成コーナー」の下のほうに「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」というリンクがありますので、ここをクリックします。
作成前の準備
過去にe-Taxで申告した場合は「過去のデータを利用して新規作成」することも出来ます。
画面表示に従い選択し「所得税及び復興特別所得税の更生の請求書・確定申告書コーナー」の画面を表示します。
書類の作成
対象となる更生の年度を選択し、「所得税の更生の請求書」の「作成開始」をクリックします。生年月日や更生の請求前の課税額を申告書の控えなどを参照し、入力します。
その後、更生の請求の対象となる控除などを選択して各画面で金額、対象となる支払先などの詳細を入力します。
最後に還付される金額を振込んでもらうための金融機関名や口座番号などを入力します。「住所」や「氏名」「マイナンバー情報」などを入力します。
(2)証拠書類は別途郵送
控除や経費の追加で、証拠となる書類は、別途、郵送することになります。どんな書類を郵送すればよいかわからなくても大丈夫です。
e-Taxで更正の請求をしてしばらくすると、税務署の担当から連絡があり、「こういう書類を送ってほしい」と依頼されますので、そのときに郵送すれば良いでしょう(税務署が混み合っていると、連絡があるまでに2ヶ月くらいかかることもあります)。
注意点ですが、期限内のe-Taxでの確定申告では提出が不要な書類でも、更正の請求をしたときは、基本的に提出することになります。
- 寄付金控除に関する証明書
- 医療費の領収書
- 親族関係を証明する戸籍謄本
など
更正の請求が承認されると、税務署から「更正通知書」が送付されます。
4.更正の請求にまつわる質問と回答
更正の請求は所得税、消費税、法人税など税金の種類でやり方などが変わるの?
更生の請求書は税金の区分により書類の様式や添付する書類などが変わります。
また更生の期限も所得税では申告期限後最大5年間となりますが、法人税の場合は最大9年となるなど期限なども異なります。
それぞれのやり方についてはこちらからご確認ください。
参考:更正の請求|国税庁
更正の請求で更正の請求・修正申告書作成コーナーが利用できないケースは?
繰越損失がある所得等が複数あり、更正の請求又は修正申告により、増加と減少が混在する繰越損失がある場合利用できないケースがあります。
例えば、翌年分以後に繰り越す居住用財産の譲渡損失の金額について、更正の請求をする場合などは修正申告書作成コーナーが利用できません。
更正の請求を行った場合、還付時期はいつ?
税務署や時期にもよりますが、請求後3ヶ月を経過すると加算金が付加されるため、手続きに問題がなければ遅くとも3ヶ月以内には、還付されます。
更正の請求ができる要件と出来ない要件にはどんなものがある?
医療費控除や住宅ローン控除、ふるさと納税による寄付金控除など本来申告できる控除を申告していなかった場合は更生の請求をすることが出来ます。
これに対して正しい申告手続きで処理が完了している場合は、更生の請求は出来ません。
例えば法人税の申告の際に、不動産取得税などの費用を取得費に含めて不動産を資産計上したものの損金計上しなかったようなケースでは更生の請求は出来ません。資産計上した時点で正当な手続きとして処理が完了しているためでです。
更正の請求書はエクセルで作成してもいいの?
更生の請求書は、エクセルで作成することも出来ます。
よくある質問
まとめ
この記事を簡単にまとめます。
- 更正の請求とは、税金を払いすぎてしまった場合や還付金が少なかった場合に行う
- 更正の請求は確定申告を行ってから5年以内に行う必要がある
- 更正の請求を行うには「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」を手書きで書いて提出するか、e-Taxを利用して行うことが出来る!
最後にこの記事を読んでいただいた方におすすめの記事をまとめました!
これらの記事を読んで、確定申告が間違っていてもあわてないで行いましょう!
【関連記事】