株取引をしたら確定申告は必要?申告したほうがお得な場合は?
株取引をして、儲かったとき、または損をしたとき、確定申告は必要なのか?また、確定申告をする義務はないが、申告したほう…[続きを読む]
FX、先物取引をしている人に確定申告は必要なのでしょうか。
この記事では、「どのくらいの利益が出たら確定申告が必要なの?」「損が出た場合、確定申告は不要?」「FXの収益を確定申告するのに必要な書類は?」などの疑問に答えていきます。
FXの利益は10ある所得の区分のうち、「雑所得」に分類されます。そして、雑所得は「収入-経費」が20万円を超えたら確定申告が必要です。
つまり、FXで「収入-経費」が20万円を超えたら確定申告が必要になるケースが多いです。
しかしこの条件は給与所得者、パート・アルバイト、年金受給者、個人事業主など所得の状況によって変わってきます。
ケース | 確定申告が必要になるライン |
---|---|
給与所得者(副業はFXのみ) | (FXの収入-FXの経費)が20万円を超える |
給与所得者(副業はFX以外にもある) | (FXを含めた副業収入-FXを含めた副業経費)が20万円を超える |
パート・アルバイト・学生(給与所得がある) | 上記給与所得者と同じです。 ・FXのみの場合は(FXの収入-FXの経費)が20万円 ・FX以外にも副業がある場合は、副業合計で(収入ー経費)が20万円を超えている |
専業主婦・学生(パートやアルバイトはなし) | 他に収入がない場合、(FXの収入-FXの経費)が48万円(基礎控除)を上回った場合、確定申告が必要です。 |
年金受給者 | ・FXのみの場合は(FXの収入-FXの経費)が20万円 ・FX以外にも副業がある場合は、副業合計で(収入-経費)が20万円を超えている ・公的年金の受給額が400万円を超えている |
個人事業主 | ・本業で必ず確定申告 |
FXの場合は為替差益やスワップポイントによる収入が利益となります。
雑所得には様々な種類に分類されますが、その中でもFXの利益は「先物取引に係る雑所得等」となります。
その中でも、FXの利益は申告分離課税により課税されます。
所得税、住民税、復興特別所得税など、課税される税金を合計すると20.315%となります。
先程、FXで得た雑所得が20万円以下であった場合は確定申告が必要ないことを紹介しました。
しかし以下のようなケースでは、FXの利益が20万円以下であっても確定申告が必要です。
FXの利益が20万円以下であっても、他の雑所得との合計額が20万円を超えていた場合確定申告が必要となります。
他の雑所得として、宝くじや競馬などの所得があてはまります。
給与収入のサラリーマンであっても年収が2000万円を超える場合確定申告が必要です。
また、医療費控除など確定申告を要件とする控除を受ける場合も同様です。これらのケースでは、FXの所得が20万円以下であっても申告しなければなりません。
FXの利益が20万円を超えていても他の商品先物取引や株価指数先物取引などで損が発生した場合は、損益通算できます。
株式投資と確定申告についてはこちらの記事にてご確認ください。
また、複数の証券会社や為替取引業者と取引している場合も合算の対象となります。なおビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)取引の損益との通算はできません。
専業主婦(主夫)や学生など、FX以外に収入がない方は、20万円を上回っていても48万円以下であれば確定申告が不要です。
しかし、誰にでも適用される控除である基礎控除の48万円を上回った場合は確定申告が必要です。
FXの年間の損益が損失となった場合は基本的には確定申告は必要ありません。
しかしFX取引で発生した損失は、最大3年間繰り越して他の先物取引などの利益から控除することが出来ます。この損失の繰り越し制度を使うためには、確定申告が必要になります。
FXで利益が出たにもかかわらず確定申告を故意にしない、忘れてしまうことはお勧めできません。
FXの取引による支払い調書は為替取引業者や証券会社から全て税務署に提出の義務があるため、後日調査が入ることも十分に考えられます。正当な理由がなく申告が遅れた場合は、延滞税の対象となり、悪質な場合は重加算税が課せられます。
ペナルティーについて、どんなものがあるのかについてはこちらをご確認ください。
FXの利益を申告する場合の手順は、他の所得を申告する場合と同じです。
確定申告書に必要事項を記入し、必要な証明書などの添付書類とともに管轄の税務署に持参するか郵送で提出します。
また、e-Taxを用いてオンラインで提出することも可能です。
FXの確定申告で記入が必要な書類は「(申告分離課税用の)第三表」「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」となります。
【必要書類】
確定申告書、先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書については国税庁のホームページからダウンロードすることが出来ます。
年間取引明細書については、証券会社や為替取引業者から発行されます。
年間報告報告書は、取引画面から印刷できる他、証券会社や為替取引業者から郵送されます。
個々の取引の決済の報告書やスワップポイントの受け取りの報告書でも代用できますが、スワップポイントの受け取り(支払い)金額は対象期間により変わるため年間取引報告書の利用をお勧めいたします。
なお、こちらで紹介したのはあくまで、FXの利益を記入するために必要な書類となります。このほかにも確定申告には以下のような書類が必要となります。
下記記事にてケース別に必要書類を解説しておりますので、併せてご確認ください。
確定申告書第三表、左側部分「収入金額」の「分離課税」「先物取引」欄にFXなどの利益金額の合計額を記入します。
真ん中「所得金額」、「分離課税」部分の「先物取引」に所得の金額を記入します。
次に「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を記入します。
表の上にある所得の選択欄では「雑所得用」欄を○でかこみましょう。
「取引の内容」のブロックには以下のように記入します。
「総収入金額」のブロックには以下のように記入します。
「手数料」欄には銀行手数料などを記入します。
「必要経費等」欄には、経費として計上したセミナー代、書籍代などを「その他の経費」の欄に記入します。
なお、経費として消費税等の税金がかかっている場合も、「その他の経費」に記入します。
損失が出たために損失の繰越控除を申告する場合は、前述の利益が出た場合と同様に「第三表」「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」に損失額などを記入します。
ここからはFXにて100万円の損失が出たケースにて、具体的にどこに何を書けばいいのかについて解説していきます。
まず、第三表の「収入金額」、の「分離課税・先物取引」欄に「△1000000」と記入します。
同じく、「所得金額」欄の「分離課税・先物取引」欄にも「△1000000」と記入します。
次に、右側の「その他」「先物取引」「翌年以後に繰り越される損失の金額」欄に「1000000」と記入します。
「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の「取引の内容」の「種類」欄に「外国為替取引」と記入します。
「決済の方法」に「仕切」と記入します。
「総収入金額」の「差金決済等に係る利益又は損失の額」欄とその下の「計」欄に「△1000000」と記入します。
必要経費等がある場合は前述の内容を参考に経費の金額を記入します。(ここでは便宜上経費を申告しないものと仮定しています)。「所得金額」欄に「△1000000」と記入します。
「申告書付表」の「先物取引に係る繰越損失用」にも記入します。
①の「本年分の先物取引等に係る雑所得等の金額」欄に「△1000000」円と記入します。
次に㉒の「先物取引に係る雑所得等の金額の差引金額又は損失額」欄には、「1000000」と記入し、㉖の「翌年以後に繰り越される先物取引に係る損失の金額」欄には「△1000000」と記入します。
なお、今回のケースでは考慮していませんが、他の先物取引に係る雑所得(国内のオプション取引、他の国内のFX取引)がある場合は、損益通算することが出来ます。それ以外の雑所得との損益通算は出来ません。
過去に申告した損失の繰越控除を使って利益額の控除を申告する場合は、同様に「第三表」「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」に損益額などを記入します。
「申告書付表」の「先物取引に係る繰越損失用」の①に当年の損益額を記入します。
さらに②〜⑫の「翌年以後に繰り越される先物取引に係る計算」欄の該当欄に損失や繰り越す金額や引ききれなかった金額、年度ごとの差し引きの損益金額などを記入します。㉒〜㉖欄にも同様に差し引きの損益金額などを記入します。
このケースでは申告書第三表の「収入金額」に「1000000」と記入します。
次に「所得金額」欄の「分離課税・先物取引」欄に「1000000」と記入します。
右側の「その他」「先物取引」「本年分の○72から差し引く譲渡損失額」欄に「1300000」と記入します。
「翌年以降に繰り越される損失の金額」欄に「300000」と記入します。
次に「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の「取引の内容」の「種類」欄に「外国為替取引」と記入します。「決済の方法」に「仕切」と記入します。
「総収入金額」の「差金決済等に係る利益又は損失の額」欄とその下の「計」欄に「1000000」と記入します。
「所得金額」欄に「1000000」と記入します。
「申告書付表」の「先物取引に係る繰越損失用」にも記入します。①の「本年分の先物取引等に係る雑所得等の金額」欄に「1000000」円と記入します。
⑤の「前年分までに引ききれなかった先物取引の差金等決済に係る所得の損失額」欄に一昨年分の「800000」と記入します。⑥の「本年分で差し引く先物取引の差金決済等に係る所得の損失の額」欄に「0」と記入します。
⑦の「翌年分以降に繰り越して差し引かれる先物取引の差金等決済に係る所得の損失の額」として「800000」を記入します。⑧の「先物取引に係る雑所得等の金額の差引金額」欄に「200000」と記入します。
⑨の「前年分までに引ききれなかった先物取引の差金等決済に係る所得の損失額」欄に前年分の「500000」と記入します。⑩の「本年分で差し引く先物取引の差金等決済に係る所得の損失の額」欄に「200000」と記入します。⑪の「翌年分以降に繰り越して差し引かれる先物取引の差金等決済に係る所得の損失の額」欄に「300000」と記入します。⑫の「先物取引に係る雑所得等の金額の差引金額」に「0」と記入します。
全てを記入したものが以下になります。
㉒の「先物取引に係る雑所得等の金額の差引金額又は損失額」欄に「300000」、㉖の「翌年以後に繰り越される先物取引に係る損失の金額」欄に「△300000」と記入します。
FXの損益の確定申告はe-TaXでも可能です。
FX取引のe-TaXでの入力は、「収入金額」「所得金額」の入力画面の「先物取引に係る雑所得等」で行います。取引の内容を「外国為替証拠金取引」、決済年月日を「12月31日」、決算の方法を「仕切」と入力します。
収入欄に決済による損益の合計額、その他の収入欄にスワップポイントによる損益を入力します。
セミナー代や書籍代などの経費を申告する場合は必要経費等の欄に項目や金額を入力します。
年間取引報告書などのFX関連の提出書類はe-Taxの場合は後日郵送で提出します。
なお、e-Taxによる確定申告のやり方についてはこちらの記事をご確認ください。
給与所得の会社員は、FXなどの先物取引を含む雑所得が20万円以下の場合は確定申告不要制度を利用することで確定申告が不要となります。
雑所得が20万円を超える場合や年収2000万円を超える場合、医療費控除などを利用する場合は確定申告しなければなりません。
入金の際の銀行手数料やセミナー代、書籍代、取引ソフトなどの取引に関わる費用を経費とすることが出来ます。個々の判断については管轄の税務署により異なります。
FXの自動売買についても通常の自身で行う売買と同様に一定額以上の利益が出た場合は、確定申告が必要となります。
また日本の金融庁の認可を受けていない海外のFX業者の自動売買システムによる取引の損益は、雑所得となりますが、申告分離課税(税率約20%)とはならず、他の所得と合算した総合課税(最大税率55%)となります。また損失の繰越控除は利用できません。
この記事を簡単にまとめます。