配当金にかかる税金、配当所得とは?
配当所得は十種類ある所得の一種であり、税金(所得税と住民税)が課されます。どんな所得か、どのように課税するか、控除は…[続きを読む]
株取引をして、儲かったとき、または損をしたとき、確定申告は必要なのか?
また、確定申告をする義務はないが、申告したほうがお得な場合はどんなときか?
を解説します。
目次
株取引を通じて発生した利益には税金がかかります。株取引の利益としては、「配当金」と「株式の譲渡益(売却益)」があります。
配当金と株式譲渡益について、それぞれにかかる税金や、確定申告が必要かどうかを紹介します。
株取引で発生する税金は、保有する株式が上場株式か非上場株式かによって変わります。
配当金を受け取るときは、原則として源泉徴収されます。源泉徴収税率は、上場株式の場合は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)で、非上場株式の場合は20.42%(所得税20.42%)です。
配当金については以下の記事で解説していますのでご覧ください。
上場株式の配当金を受け取る場合、既に源泉徴収がされているので、確定申告は不要です(確定申告をすることもできます)。
非上場株式の配当金を受け取る場合、既に源泉徴収がされていても原則として確定申告が必要です。
ただし、1回に支払いを受ける金額が少額(10万円×配当計算期間÷12で計算した金額以下)であれば確定申告は不要です。
たとえば、半期に一度配当を行う非上場会社の配当金であれば、1回につき5万円(つまり年間10万円)以下であれば、確定申告は不要となります。
配当金と確定申告について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
株式を売却して利益が出たとき、その利益を「株式譲渡益」といいます。
株式譲渡益(売却益)に対する税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)で、これは上場株式でも非上場株式でも同じです。
配当金と異なり、株式譲渡益からは源泉徴収されないのが原則です。
ただ、納税者の口座が「源泉徴収ありの特定口座」の場合、証券会社が源泉徴収し代わりに納税してくれます。
「特定口座」とは、証券会社が株式の譲渡所得等を計算してくれる口座のことです。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、証券口座を開設するときに選択します。
対して、証券会社が株式の譲渡所得等を計算してくれない口座を「一般口座」と呼びます。
会社員・公務員などお勤めの方は、株式の売却と、副業その他の収入など、給与所得以外の所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要になります。
非上場株式の株式譲渡益がある場合は、確定申告が必要です。
上場株式の株式譲渡益がある場合も、原則として確定申告が必要です。
ただし、納税者が口座開設時に「特定口座(源泉徴収あり)」を選択した場合は、取引の都度税金が計算され源泉徴収されていますので、確定申告が不要となります。
確定申告が必要かどうか、表にまとめると以下のようになります。
株式の種類 | 確定申告の要否 | 例外 | |
---|---|---|---|
配当金 | 上場株式 | 申告不要 | - |
非上場株式 | 申告必要 | 配当金の額が1年あたり10万円以下の場合は確定申告不要 | |
株式譲渡益 | 上場株式 | 特定口座(源泉徴収あり)の場合は確定申告不要 | |
非上場株式 | - |
上場株式を売却して損失が出た場合、確定申告をすることでお得になることがあります。
上場株式の売却損については確定申告を行うことで、上場株式の配当金や他の口座の利益と相殺(これを「損益通算」といいます)したり、相殺しきれなかった金額を翌年以降3年に渡って繰り越す(これを「繰越控除」と言います)ことができます。
詳しくは次の章で紹介します。
また、配当金についても源泉徴収された税額の一部が確定申告によって還付される可能性があります。
具体的な数字を挙げて説明します。
上場株式については確定申告を行うことで、上場株式の譲渡損失と利益(配当金・株式譲渡益)を相殺することができます。
たとえば、ある年にトヨタ自動車株式の譲渡損失が20万円、パナソニック株式を保有していることで受け取った配当金が30万円ある場合を考えます。(計算の便宜上税率を20%とします)
確定申告をしなければ、源泉徴収される税金は、パナソニックから受け取る配当金に対して【30万円×20%の6万円】となりますが。
もし、確定申告をすれば、トヨタ自動車株式の譲渡損失20万円と相殺して、税金は【10万円×20%の2万円】とすることができます。
トヨタ自動車の譲渡損失が40万円、パナソニックから受け取る配当金30万円とすると相殺しきれず10万円損失が残りますが、残った10万円は確定申告によって翌年以降3年間に渡って繰り越すことができます。
翌年に株式を一切譲渡せず、パナソニックから配当金30万円を受け取った場合、繰り越された10万円と相殺して20万円で税金を計算することができます。
特定口座源泉徴収ありの場合、その特定口座内の上場株式の譲渡損失であれば、確定申告を行わなくてもその特定口座に保管した上場株式の配当金と損益通算することができます。
たとえば、A証券会社の特定口座に保管したB社株式の譲渡損失の額が10万円、B社から受けた配当金が15万円の場合、15万円から10万円を引いた5万円がA証券会社の特定口座における課税所得となり、確定申告を行わなくても源泉徴収済みの20,315円が戻ってきます(証券会社が戻してくれます)。
この規定は同じ証券会社の特定口座内での損益通算の特例であるため、A証券会社で購入したB社株式の譲渡損失額と、C証券会社で購入したD社の配当金を損益通算したい場合は、原則どおり確定申告が必要です。
また、損益通算後になお譲渡損失の金額があり、その金額を翌年以降に繰り越したい場合も確定申告が必要です。
確定申告義務がある人の確定申告期間は、その年の翌年2月16日から3月15日までです。(最終日が土日祝に当たるときは次の月曜になります。)
一方、確定申告義務はないものの、確定申告で還付を請求する人は、その年の翌年1月1日以降に確定申告書を提出することができます(還付申告)。還付申告の場合は、3月15日までという期限はなく、翌年の1月1日以降5年が経過する日まで申告可能です。
「確定申告書等作成コーナー」に必要事項を入力する際、特定口座で受け取った配当金や譲渡所得があるときは、証券会社から送付されてくる「特定口座年間取引報告書」を見ながら行います。一般口座で受け取った配当金や譲渡所得があるときは、会社から受領した配当金通知書などを見ながら入力を行います。
なお、「特定口座年間取引報告書」は、少し前までは確定申告書に添付が必要でしたが、現在ではその必要はありません。
ここで紹介したのは申告書のなかで必要なものです。この他にも、本人確認書類や源泉徴収票など人によって必要書類は変わってきますので、下記記事を参考に書類をそろえてください。
確定申告をする方法としては以下が考えられます。
参考までに、e-Taxで確定申告を行う場合の流れは次のとおりです。
確定申告の流れについては関連記事をご覧ください。
「確定申告書等作成コーナー」を使って確定申告書を作成する場合は、「確定申告書作成コーナー」のガイダンスに従って必要事項を入力すれば、自動的に確定申告書及び必要な明細が作成されます。
「確定申告書作成コーナー」を利用しない場合は、国税庁のホームページに申告の仕方が詳しく紹介されていますので、それを見ながら確定申告書及び明細を作成すると便利です。また税務署でも書き方を教えてくれるため積極的に活用しましょう。
バレます。
株式の譲渡対価を支払う者(証券会社、銀行など)は「株式等の譲渡の対価等の支払調書」という書類を、その者の納税地を所轄する税務署長に提出する義務があります。
この支払調書には、譲渡対価の支払いを受ける者(つまり、その証券会社を通じて株式を譲渡した個人)の住所、氏名、マイナンバー、支払金額等を記載する必要があるため、この支払調書を通じて、税務署は「誰がいくら株式譲渡所得があるか」を把握可能です。
外国株式のうち、たとえばニューヨーク証券取引所やNASDAQなどに上場している株式は、日本の株式市場(たとえば東京証券取引所)に上場されている株式と同じく「上場株式」にカテゴライズされるため、その確定申告は日本の上場株式と同じように行えば問題ありません。
外国株式を現地通貨建て(ドル建て等)で取引しているときは、発生した利益を日本円に換算します。
なお、米国株式に係る配当の場合、配当時に米国側で10%の源泉徴収がされます。この源泉徴収された金額は、日本で確定申告を行えば、「外国税額控除」という規定によって、その全額または一部が還付されます。
NISA口座に入っている株式は、その配当金及び譲渡益が非課税となるため、確定申告は不要です。
NISA口座に入っている株式の譲渡損失はないものとみなされるため、たとえ確定申告を行ったとしても特定口座の株式の配当金及び譲渡益と相殺することはできません。
まず、株式購入時の手数料は、株式の取得価額に算入します。たとえば、株価@1,000円の株式100株を購入し、購入手数料として5,000円を支払った場合、その株式の取得価額は105,000円となります。
次に、株式運用時の手数料(口座維持手数料など)は、配当所得からも譲渡所得からも控除することはできません。
最後に、株式売却時の手数料は、株式の譲渡所得の計算上考慮します。たとえば、取得価額105,000円の株式を150,000円で売却したときの売却手数料が5,000円だった場合、株式の譲渡所得は150,000円から105,000円と5,000円の合計額を控除した金額、つまり40,000円となります。