積立NISAは年末調整が必要?│新NISAつみたて投資枠・成長投資枠

積立NISA つみたてNISA

2024年から新NISAの制度が始まり、積立NISA(つみたてNISA)もこちらの統合されています。

新NISAではつみたて投資枠(旧つみたてNISA)と成長投資枠(一般NISA)の両方を利用でき、非課税保有期間は無期限となりました。

少額での投資が可能で、運用して得られた利益が非課税になる便利な制度ですが、会社員・公務員の人は、積立NISAに関して、年末調整が必要なのでしょうか?

この記事では、NISAを利用している場合の年末調整について、わかりやすく解説します。

1.積立NISA・つみたてNISAは年末調整は不要

結論からいいますと、積立NISAでは年末調整は必要ありません。新NISA制度に移行してからも変わりません。

年末調整するのは給与収入のみ

理由の1つ目は、年末調整で対象となるのは給与収入(給与所得)のみだからです。
会社が従業員に給与を支払うときに、「源泉徴収」といって、所得税を差し引いて支払いますが、これは仮の金額ですので、年末に実際の所得税額を計算し、精算します。

ただ、従業員が副業や投資などで得た他の収入(雑所得、不動産所得など)については、年末調整の対象とはならず、従業員が自分で確定申告をします。

積立NISAは投資ですので、会社で年末調整をすることはありません。

 

【2025年の年末調整では株式の利益も記入?】

2025年の年末調整では、基礎控除額の判定のため、給与以外の所得額も記載する必要があります。

所得の合計額によって、基礎控除額が細かく変更になるからです。

新NISA以外で株式の利益が出ている場合、記載が必要になるケースがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

 

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積立NISAの利益は非課税

2024年に始まった新NISAでは、2023年までは最長20年までだった非課税保有期間が、無期限に延長されています。

制度の変更や廃止がない限り、つみたて投資枠、成長投資枠のいずれも、新NISAの運用で得られた利益は無期限に非課税なのです。

このため、年末調整も確定申告も行う必要がありません。

また、口述しますが積立NISAの掛金を所得から控除することもできません。

2.iDeCo(個人型確定拠出年金)は年末調整の対象

積立NISAと似た制度として、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)があります。

iDeCoとは、私的年金制度の一種で、毎月一定金額の掛金を払って、積立と運用を行い、老後のための資産を形成する制度です。

iDeCoの大きな特徴は、運用中の利益が非課税になること、そして、掛金を全額控除できることです。掛金を全額控除できるので、所得税・住民税や、社会保険料を大きく減らすことができます。ここが一番大きなメリットといえます。

ただし、60歳になるまで引き出すことができません。60歳以降に受け取れますが、税金がかかります

iDeCo(個人型確定拠出年金)のほかに、会社の給与から掛金を差し引くタイプの、企業型DC(会社型確定拠出年金)もありますが、仕組みはほぼ同じです。

(1)年末調整で小規模企業共済等掛金控除を受けられる

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や企業型DC(会社型確定拠出年金)の掛金を払った場合は、年末調整で「小規模企業共済等掛金控除」を受けられます。

年末調整の書類の一つである「給与所得者の保険料控除申告書」に記入して提出します。

書き方の詳細はこちらをご覧ください。

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(2)積立NISAの掛金は控除できない

一方、積立NISAは、掛金を控除できません。

混乱しやすいのですが、積立NISAは運用して得た利益が非課税になるので、そのかわり掛金を控除することはできません。

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は最終的に受け取るときに税金がかかるので、そのかわり払うときは掛金を控除できるのです。

  積立NISA iDeCo
掛金 控除できる 控除できない
利益に対する課税 無期限に非課税 受け取るときに課税

3.積立NISAの注意点

積立NISAは少額から積立投資ができ、運用益が非課税になる制度ですが、注意点もあります。

(1)損益通算と繰越控除ができない

「損益通算」とは、一定期間に出た利益と損失を相殺することです。

たとえば、商品Aに投資して年間20万円の利益を得たけれど、商品Bに投資したら年間30万円の損失を出してしまったとき、20万円の利益から30万円の損失を引くと、結果、10万円の損失になりますので、その年は、税金がかかりません。さらに、その年に控除しきれなかった損失10万円を、最大3年間繰り越すことができ、繰り越した年の利益と相殺することができます。

しかし、積立NISAでは、利益や損失が出ても、ほかの投資の利益や損失と相殺することはできません。これは、同じ積立NISA口座内で、複数の商品を運用していて損失が出た場合でも、損益通算することはできません。

(2)元本割れのリスクがある

積立NISAは「少額・長期・分散投資」できる制度です。なんとなく安心なイメージがあるかもしれませんが、投資ですので、元本割れのリスクがあります

それでも、一般的な株式などの商品よりはリスクが低めですので、うまく使いこなすと良いでしょう。

まとめ

  • 積立NISAは年末調整も確定申告も不要
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)は年末調整で控除できる
監修
ZEIMO編集部(ぜいも へんしゅうぶ)
税金・ライフマネーの総合記事サイト・ZEIMOの編集部。起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)を中心メンバーとして、税金とライフマネーに関する記事を今までに1300以上作成(2024年時点)。
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