iDeCo(個人型確定拠出年金)の年末調整の方法|必要書類と書き方
iDeCoの掛け金は全額が所得から控除されます。年末調整でiDeCoの控除を受けるための方法をお伝えします。[続きを読む]
積立NISA(つみたてNISA)は、少額での投資が可能で、運用して得られた利益が非課税になる大変便利な制度です。
さらに、2024年から新NISA制度が始まりました。積立NISAは新NISA制度での「つみたて投資枠」となっています。
ところで、会社員・公務員の人は、積立NISA・新NISAに関して、年末調整が必要なのでしょうか?
目次
結論からいいますと、積立NISA・新NISAでは年末調整は必要ありません。
理由の1つ目は、年末調整で対象となるのは給与収入(給与所得)のみだからです。
会社が従業員に給与を支払うときに、「源泉徴収」といって、所得税を差し引いて支払いますが、これは仮の金額ですので、年末に実際の所得税額を計算し、精算します。
ただ、従業員が副業や投資などで得た他の収入(雑所得、不動産所得など)については、年末調整の対象とはならず、従業員が自分で確定申告をします。
積立NISAは投資ですので、会社で年末調整をすることはありません。
もうひとつの理由は、積立NISA(新NISAのつみたて投資枠)の運用で得られた利益は年間120万円まで非課税だからです(成長投資枠と合わせると年間360万円)。そして、積立NISA・新NISAの掛金を控除することもできません。
よって、年末調整も確定申告も行う必要がありません。
積立NISA・新NISAと似た制度として、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)があります。
iDeCoとは、私的年金制度の一種で、毎月一定金額の掛金を払って、積立と運用を行い、老後のための資産を形成する制度です。
iDeCoの大きな特徴は、運用中の利益が非課税になること、そして、掛金を全額控除できることです。掛金を全額控除できるので、所得税・住民税や、社会保険料を大きく減らすことができます。ここが一番大きなメリットといえます。
ただし、60歳になるまで引き出すことができません。60歳以降に受け取れますが、税金がかかります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)のほかに、会社の給与から掛金を差し引くタイプの、企業型DC(会社型確定拠出年金)もありますが、仕組みはほぼ同じです。
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や企業型DC(会社型確定拠出年金)の掛金を払った場合は、年末調整で「小規模企業共済等掛金控除」を受けられます。
年末調整の書類の一つである「給与所得者の保険料控除申告書」に記入して提出します。
書き方の詳細はこちらをご覧ください。
一方、積立NISAは、掛金を控除できません。
混乱しやすいのですが、積立NISAは運用して得た利益が非課税になるので、そのかわり掛金を控除することはできません。
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は最終的に受け取るときに税金がかかるので、そのかわり払うときは掛金を控除できるのです。
積立NISA (新NISAのつみたて投資枠) |
iDeCo | |
---|---|---|
掛金 | 控除できない | 控除できる |
利益に対する課税 | 年間120万円まで非課税 | 受け取るときに課税 |
積立NISA・新NISAは少額から積立投資ができ、運用益が非課税になる制度ですが、注意点もあります。
「損益通算」とは、一定期間に出た利益と損失を相殺することです。
たとえば、商品Aに投資して年間20万円の利益を得たけれど、商品Bに投資したら年間30万円の損失を出してしまったとき、20万円の利益から30万円の損失を引くと、結果、10万円の損失になりますので、その年は、税金がかかりません。さらに、その年に控除しきれなかった損失10万円を、最大3年間繰り越すことができ、繰り越した年の利益と相殺することができます。
しかし、積立NISA・新NISAでは、利益や損失が出ても、ほかの投資の利益や損失と相殺することはできません。これは、同じ積立NISA・新NISA口座内で、複数の商品を運用していて損失が出た場合でも、損益通算することはできません。
積立NISA・新NISAは「少額・長期・分散投資」できる制度です。なんとなく安心なイメージがあるかもしれませんが、投資ですので、元本割れのリスクがあります。
それでも、一般的な株式などの商品よりはリスクが低めですので、うまく使いこなすと良いでしょう。