競馬で当たったら確定申告が必要?|一時所得と雑所得だと違うの?

競馬で当たって儲けが出た場合、払戻金の金額によっては税金がかかってしまいます。この記事では、賞金がいくらから確定申告が必要になるのか、どのように申告すればいいのか、分かりやすくお伝えします。

この記事を読んでもらいたい人!

  • 競馬の賞金で確定申告が必要なのか知りたい人
  • 競馬で大金を手にした人
  • 競馬で賞金を手にしたが、損失もあり通算できるのか知りたい人

1.競馬で当たったら確定申告が必要?

1-1.競馬で当たったら確定申告が必要?

競馬の払戻金は、その金額によっては確定申告が必要です。

競馬を含め、競輪やボートレースなどの公営競技の払戻金は、通常は「一時所得」として確定申告を行います。

一時所得は「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得のうち、労務や役務の対価や、資産の譲渡による対価としての性質を持たない一時の所得」と定義されています。

簡単に言うと、一時所得は「想像してなかったけど運よく手に入ってしまった所得」で、具体的には懸賞や福引の賞金品、生命保険などの一時金、競馬などの公営競技の払戻金などがこれに当たります。

競馬以外の一時所得についても気になる方は下記の記事もぜひ併せてご覧ください。

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1-2.競馬の儲けで確定申告が必要なのはいくらから?

一時所得は次の計算式で計算されます。

【一時所得の求め方】

(一時所得の対象の収入の合計額ー収入を得るためにかかった経費ー特別控除50万円)÷2

上記の計算式により一時所得が発生した場合は、確定申告が必要になります。

競馬の場合は、一年間の払戻金の合計額が対象となるので、年間の払戻金が50万円以下で他に一時所得がない場合、一時所得として課税の対象にはなりません。

また、一般的な会社員の方の場合は給与所得以外の所得が20万以下であれば確定申告不要です。上記の計算で一時所得の金額が20万以下になり、その他の所得(雑所得など)がなければ確定申告する必要はありません。

1-3.馬券は経費になるの?

一時所得の場合は、当たり馬券の購入費用だけを経費とすることが出来ます。
外れ馬券については経費とすることが出ません。

2.雑所得として申告すればはずれ馬券も経費にできるって本当?

2-1.競馬の払戻金を雑所得として申告するとどうなるの?

通常、競馬の払戻金は一時所得に分類されますが、「馬券を自動購入出来るソフトなどを利用して事業と認められる様態で馬券を購入している」場合は、雑所得と認められる場合があります。

その場合、外れ馬券や予想ソフトなどの購入費用も経費として計上できます

ただし雑所得の場合は、一時所得で計算された「50万円の特別控除」はありません。

そのため、雑所得では以下の計算式で、20万円を上回った場合確定申告が必要です。

馬券の払戻金ー必要経費(馬券、自動購入ソフトなど)

2-2.競馬の払戻金が雑所得になるケースとは?

競馬の払戻金の場合、以下の条件をいずれも満たすような、「営利を目的としている」と認められるケースでないと雑所得とは認められないようです。

  • 年間ほぼ全てのレースで馬券を購入している
  • 収支についても回収率が100%を超える

以前、馬券の自動購入ソフトによって6年間にわたり年間3億円〜21億円の馬券を購入し、多額の利益を得ていたケースについて、税務署が外れ馬券の購入費用を経費として認めなかった(雑所得としての申告を認めなかった)ことから裁判になり、最高裁により雑所得と認められた事例がありました。

参考:最高裁の平成29年12月15日判決の骨子

3.競馬が当たった時の確定申告のやり方

ここまでお伝えした通り、競馬が当たった時は、一時所得、あるいは雑所得として申告を行います。どちらの所得として申告するかで記入箇所や記入内容がことなりますので、以下、それぞれ確認していきましょう。

3-1.競馬の払戻金を一時所得として申告する方法

必要書類

競馬の払戻金の確定申告を行うためには、確定申告書と払戻金の明細の提出が必要です。

払戻金の明細はノートなどでも構いませんので、次の事項を記録しておきます。

  • 開催日・開催場・レース番号(レース名)
  • 払戻金に係る受け取り額
  • 払戻金に係る投票額

インターネット投票の場合は上記のわかる画面のプリントアウトなどでも代用できます。

国税庁のホームページでは集計用のフォーマットを入手できます。

参考:「公営競技の払戻金に係る所得の計算書」

なお、これらの書類は競馬の所得を確認するのに必要なものです。確定申告には他にも、「本人確認書類」や「各種控除を証明する書類(控除を利用する場合)」が必要になりますので、ご準備ください。

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確定申告書の書き方

確定申告書(第一表)

確定申告書「第一表」の「収入金額等」の「一時」欄には、「払戻金の総額」−「当たり馬券の購入金額などの経費」−「50万円」を記入します。

一時所得 収入金額等

「所得金額」の「総合譲渡・一時」欄という欄には、「収入金額」で記入した金額の2分の1の金額を記入します。

一時所得の確定申告

確定申告書(第二表)

申告書の「第二表」の「総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項」欄に以下の内容を記入します。

  • 「所得の種類」欄……「一時」と記入
  • 「収入金額」欄……払戻金の総収入金額を記入
  • 「支出金額」欄……当たり馬券の購入額を記入
  • 「差引金額」欄……収入金額から支出金額を引いた金額を記入
記入例:競馬の払戻金200万円(収入金額)・当たり馬券の購入金額50万円(支出金額)

一時 第二表

ここまで、競馬の払戻金についての記入方法をお伝えしましたが確定申告書には他にも以下のような内容を記入する必要があります。

  • 氏名やマイナンバーなどの本人情報(必須)
  • 競馬以外の収入や所得(ある方)
  • 利用する控除の控除額(控除を利用できる方)
  • 納税額・還付額の計算結果(必須)
    など

以下の記事で確定申告書全体の作成方法を解説していますので是非ご活用ください。

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3-2.競馬の払戻金を雑所得として申告する方法

必要書類

雑所得の申告にも、一時所得の場合と同じく「確定申告書AまたはB」、「払戻金の明細」を提出します。

また、雑所得でも一時所得と同じく「本人確認書類」や「各種控除の証明書(ある方)」が必要になります。

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書き方

確定申告書(第一表)

確定申告書の「第一表」の「収入金額等」の「雑 その他」の欄に競馬の払戻金を含めた雑所得(公的年金等を除く)の総収入額を記入します。

雑所得 収入金額等

「所得金額等」の「雑 その他」の欄に競馬の払戻金から経費を差し引いた金額を記入します。もしも競馬以外にも雑所得(公的年金等を除く)がある場合はその金額(収入から経費を差し引いた金額)も合計して記入しましょう。

雑所得の合計を記入する欄には公的年金などすべての雑所得を合計した金額を記入し、さらに下の「合計」欄には雑所得を含めたすべての所得の合計を記入します。

雑所得 所得金額等

確定申告書(第二表)

申告書の「第二表」の「所得の内訳」欄に以下の内容を記入します。

  • 所得の種類……「雑」
  • 種目……「競馬払戻金」
  • 給与などの支払者の「名称」及び「法人番号又は所在地」等……「JRA」など(中央競馬の場合)
  • 収入金額……払戻金の総収入金額
  • 源泉徴収税額……「0」※競馬の払戻金に源泉徴収はありません
記入例:競馬の払戻金(収入金額)が200万円の場合

雑 第二表

以上、競馬の払戻金を雑所得として申告書に記入する方法をお伝えしました。その他の欄の記入方法は競馬以外の確定申告と共通ですので、下記の記事を参考にご記入ください。

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4.まとめ

この記事を簡単にまとめていきます。

  • 競馬の払戻金は一時金の場合、「払戻金ー当たり馬券の金額」が50万円を超えたら確定申告が必要
  • 雑所得の場合は、「払戻金ー必要経費(馬券の購入費、ソフトの購入費など)」が20万円を超えたら確定申告が必要
  • 競馬の確定申告には、払戻金の明細が必要になるので日頃から記録をつけておこう!

競馬の賞金は何所得?

基本的には一時所得に当たります。

競馬で当たったら確定申告が必要?

一時所得の対象になる収入(競馬、競輪、ボートレースの賞金など)を下記の式に当てはめた時、計算結果が+になれば税金がかかります(確定申告が必要になります)。

(一時所得の対象の収入の合計額ー収入を得るためにかかった経費ー特別控除50万円)÷2

ただし、一般的な会社員の方の場合は給与所得以外の所得が20万以下であれば確定申告不要です。

馬券の購入費用は経費になる?

当たり馬券の購入費用だけを経費とすることが出来ます(一時所得の場合)。

最後にこの記事を読んでいただいた方におすすめの記事をまとめました!

中には初めて競馬で当たって確定申告について詳しく知らないといった方もいらっしゃるかと思うので、ぜひこれらの記事を参考にして、確定申告で躓かないようにしましょう!

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服部
監修
服部 貞昭(はっとり さだあき)
東京大学大学院電子工学専攻(修士課程)修了。
CFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。
ベンチャーIT企業のCTOおよび会計・経理を担当。
税金やお金に関することが大好きで、それらの記事を2000本以上、執筆・監修。
「マネー現代」にも寄稿している。
エンジニアでもあり、賞与計算ツールなど各種ツールも開発。
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