年末調整・確定申告の「保険料控除」とは?金額や対象となる保険
年末調整で保険料控除を適用すると節税になります。保険料控除の種類と、対象となる保険を詳しく解説します。また、対象にな…[続きを読む]
公的年金なら一定の金額を超えない限り確定申告は不要ですが、個人年金に加入している場合はどうでしょうか。
この記事では、個人年金に加入していて確定申告が必要になる場合の条件や確定申告の方法について、具体例を基にわかりやすく解説していきます。
目次
個人年金とは、国民年金のような公的年金とは違い、個人の方が私的に保険会社と契約する生命保険の一つの保険商品です。契約時に定められた年齢まで保険料を払い、その後一定期間または生涯に渡って年金を受け取る事ができる仕組みです。
個人年金の受け取りは、「所得」とみなされます(雑所得に分類されます※)ので、確定申告をする必要があるケースも存在します。どのようなケースか、順に見ていきたいと思います。
※個人年金保険の契約者と年金受取人が違う人物の場合は、年金受け取りの初年度だけ贈与税となります。
国民年金や厚生年金などの公的年金等を一切受け取っておらず、当年に受け取る年金が全て個人年金によるものである場合は確定申告が必要になります。
年金の受け取りに際しては、保険会社が所得税を源泉徴収することがあります。支給される年金額から支払った保険料を控除した金額(雑所得の金額)が25万円以上の場合、その金額の10.21%が所得税・復興特別所得税として源泉徴収されます。
一方、基礎控除(基本48万円)や配偶者控除などを差し引くと、税金の払いすぎとなる場合は源泉徴収された所得税の還付を受けることが出来ます。このようなケースでは、確定申告が必要になります。
前述の源泉徴収で支払った所得税がある場合に、社会保険料、生命保険料、医療費、住宅ローンなどで各種の控除を受ける方は確定申告をする必要があります。年金所得だけでなく、給与所得などがある場合も同様です。
使用する確定申告書は以下のものです。
国税庁のホームページからダウンロードできます。
ここでは、個人年金の箇所に絞って確定申告書の書き方を解説します。
第一表の「収入金額等」の「雑(所得)・その他」欄に個人年金の収入金額を記入します。保険会社から届く通知書や証明書(「支払年金額等のお知らせ」などの名称の書類)に支払い金額が書いてあります。
個人年金の場合、区分欄には「1」と記入します。
続いて「所得金額等」の「雑・その他」欄に個人年金の収入から支払保険料を経費として差し引いた金額を記入します。
その他の所得があれば、合計した金額を⑩欄および⑫欄に記入します。
医療費控除等、利用できる控除がある方は控除の金額を記入して控除の合計金額を記入しましょう。
第一表は以降、ここまで記入した「所得」と「控除」の金額をもとに税金の金額を計算し、申告者情報や還付金の振込先を記入して終了です。詳しくは下記の記事をご覧ください。
「所得の内訳」欄に以下の内容を記入しましょう。
個人年金の収入を申告する時は、保険会社から発行される通知書など、支払金額などが分かる書類を確定申告書に添付して税務署に提出します。
その他、申告書の提出の際にはマイナンバーカードのコピーなどの本人確認書類、各種の控除を受ける場合は控除の証明書も添付する必要があります。
ここまで個人根金についてお話してきましたが、年金には他にも公的年金・企業年金があります。個人年金以外の年金を受給をしている場合も、確定申告をする事になるケースもあるので注意が必要です。
年金受給者の方の申告手続の負担を減らすため、公的年金などの受け取りには一定の要件を満たす場合に申告不要となる「確定申告不要制度」が設けられています。
国民年金などの公的年金による収入が400万円以下でかつ、それ以外の雑所得が20万円を下回る場合は、確定申告が不要となります。ここでいう雑所得とは、前述の個人年金や給与所得、生命保険の満期返戻金などを指します。
国民年金や企業年金の合計額が400万を超える場合は「雑所得」として確定申告が必要になります。申告書の書き方は以下の記事をご参照ください。
公的年金とは日本国内に住所があるすべての人が加入を義務付けられる年金制度です。公的年金は以下の3つの種類があり、国民年金への加入は法律によって義務付けられています。
企業年金とは企業が従業員の老後の生活の向上のため、基礎となる公的年金に加えて、選択的に設ける年金制度です。企業が福利厚生目的に、生命保険会社などに委託している年金となります。
会社によっては企業年金がない場合もありますが、企業年金がある会社の場合、必ず加入する事になります。原則、企業年金を受給する場合、確定申告をする必要がありますが上記の通り一定金額以下なら確定申告不要制度を利用できます。
個人年金をその他の公的年金などの雑所得を合計した所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
個人年金による雑所得やその他の所得の合計額が基礎控除(基本48万円)やその他の控除を差し引いて1円以上となり税負担が発生する場合は、確定申告が必要となります。
個人年金は雑所得と所得の1つです。給与所得などと同様に医療費控除や住宅ローン控除などの控除の適用を受けることができます。
確定申告は翌年2月16日から3月15日にしなければなりません。支払うべき税金がある場合に確定申告を忘れてしまうと、無申告加算税や重加算税の対象となる場合があります。
還付がある場合は確定申告を忘れてしまうと還付を受けることができません。
個人年金は支給される年金額から支払った保険料を控除した金額(雑所得の金額)が25万円以上の場合、その金額の10.21%が所得税・復興特別所得税が生命保険会社が源泉徴収します。
源泉徴収は個人の所得の全体額に関わらず行われますので、控除などを適用すると所得税の還付を受けることが出来ます。還付には確定申告が必要なので、申告をしないと還付を受けることが出来ません。
申告書の収入金額等の欄には、源泉徴収前の収入金額を記入します。第一表の「その他」の「源泉徴収税額の合計額」欄などには、他の所得の源泉徴収された税額との合計金額を記入します。第二表などには、収入金額や源泉徴収税額の欄が分けられているので対応する金額を記入します。
今回は個人年金受給者の確定申告について解説しました。受け取る年金が個人年金のみの場合や、還付金を受け取る場合、控除を受ける場合には確定申告を受ける必要があります。
確定申告は毎年2月16日〜3月15日(休日の場合はその翌日)に行われるので、年内には必要かどうかが分かります。
もし忘れてしまい提出期限を過ぎてしまうと期限後の申告になり、無申告加算や延滞税がかかる可能性があります。確定申告が必要な場合は、早めに準備しておく事をおすすめします。